- 英
- ornithine cycle
- 同
- 尿素サイクル 尿素回路 urea cycle、クレブス-ヘンゼライト回路 Krebs-Henseleit cycle、オルニチンサイクル
- 関
- オルニチン、尿素
ミトコンドリア内の反応
1) アンモニア + 炭酸 + 2ATP → ADP + Pi + カルバモイルリン酸
5)から
↓
2) カルバモイルリン酸 + オルニチン → シトルリン + Pi
↓
3)へ
サイトソルの反応
2)から
↓
3) シトルリン + アスパラギン酸 + ATP → AMP + ピロリン酸 + アルギニノコハク酸
4) アルギニノコハク酸 → フマル酸 + アルギニン
5) アルギニン + 水 → 尿素 + オルニチン
↓
2)へ
|
ornithine
|
----------mitochondria
|
ornithine
|
|<-carbamoyl phosphate {ornithine transcarbamoylase}
|
citrulline
|
----------mitochondria
|
citrulline
|
|<-aspartate {argininosuccinate synthase}
|
argininosuccinate
|
|->fumarate {argininosuccinase}
|
arginine
|
|<-H2O
| {arginase}
|->urea
|
ornithine
|
臨床関連
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/17 02:38:49」(JST)
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尿素回路(にょうそかいろ、Urea cycle)、またはオルニチン回路(Ornithine cycle)と呼ばれるこの回路は、アンモニアから尿素を生成する代謝回路である。この代謝回路は、1932年にハンス・クレブスとクルツ・ヘンゼライトによって初めて発見された。(クレブスのクエン酸回路は1937年に発見)。ほとんどの脊椎動物がこの回路を有し、これら一連の反応は肝細胞のミトコンドリア、サイトゾル内で起こる。
目次
- 1 回路の調節
- 2 尿素回路の反応系
- 3 カルバモイルリン酸シンターゼ(CPS)
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
回路の調節[編集]
尿素回路の反応速度はN-アセチルグルタミン酸の濃度に依存している。なぜなら第一段階の反応であるアンモニアと炭酸からカルバモイルリン酸を生成する反応を触媒する酵素:カルバモイルリン酸シンテターゼ I (CPS I)は、N-アセチルグルタミン酸によってアロステリックに活性化されるためである。
アミノ酸分解の速度が上がるとその脱アミノ反応によりグルタミン酸の合成速度が上がり、これがシグナルとなってN-アセチルグルタミン酸の合成速度が上がる。その結果、CPS I が活性化されて尿素回路が活発になる。N-アセチルグルタミン酸はグルタミン酸N-アセチルトランスフェラーゼによってグルタミン酸とアセチルCoAから合成され、特異的ヒドラーゼによって分解される。
尿素回路の反応系[編集]
反応系の第4段階で生成したフマル酸はクエン酸回路と同じ経路でオキサロ酢酸に変えられ糖新生に使われる。
段階 |
反応物 |
生成物 |
酵素 |
場所 |
酵素名 |
略号 |
EC番号 |
1 |
アンモニア + 炭酸 + 2ATP |
2ADP + リン酸 + カルバモイルリン酸 |
カルバモイルリン酸シンテターゼI |
CPS I |
6.3.4.16 |
ミトコンドリア |
2 |
カルバモイルリン酸 + オルニチン |
シトルリン + リン酸 |
オルニチントランスカルバモイラーゼ |
OTC |
2.1.3.3 |
3 |
シトルリン + アスパラギン酸 + ATP |
AMP + ピロリン酸 + アルギニノコハク酸 |
アルギニノコハク酸シンテターゼ |
ASS |
6.3.4.5 |
サイトゾル |
4 |
アルギニノコハク酸 |
フマル酸 + アルギニン |
アルギニノコハク酸リアーゼ |
ASL |
4.3.2.1 |
5 |
アルギニン + 水 |
尿素 + オルニチン |
アルギナーゼ |
ARG I |
3.5.3.1 |
-
- 尿素回路の反応
1 L-オルニチン
2 カルバモイルリン酸
3 L-シトルリン
4 アルギニノコハク酸
5 フマル酸
6 L-アルギニン
7 尿素
L-Asp L-アスパラギン酸
CPS-1 カルバモイルリン酸シンターゼI
OTC オルニチントランスカルバモイラーゼ
ASS アルギニノコハク酸シンターゼ
ASL アルギニノコハク酸リアーゼ
ARG1 アルギナーゼ1
カルバモイルリン酸シンターゼ(CPS)[編集]
真核生物には、カルバモイルリン酸シンターゼI (CPS I) とカルバモイルリン酸シンターゼII (CPS II) の2種類のカルバモイルリン酸シンターゼがある。ミトコンドリアにあるCPS Iはアンモニアからカルバモイルリン酸を合成して尿素回路にそれを供給し、サイトゾルにあるCPS IIはグルタミンのアミノ基からカルバモイルリン酸を合成してオロト酸を経由するピリミジン塩基の生合成経路に供給している。
関連項目[編集]
- 高アンモニア血症
- アミノ酸の代謝分解
- クエン酸回路
- 尿酸
外部リンク[編集]
- The chemical logic behind the urea cycle
- オルニチン研究会「オルニチンサイクル」
代謝 (異化, 同化) |
|
タンパク質 |
タンパク質生合成 · アミノ酸 · アミノ酸合成 · アミノ酸の代謝分解
|
|
炭水化物 |
同化
|
糖新生 · グリコーゲン合成 · 光合成 (炭素固定)
|
|
炭水化物異化
|
解糖系 · グリコーゲンの分解 · 発酵 · 細胞呼吸 · キシロース代謝
|
|
他
|
ペントースリン酸経路
|
|
|
脂肪 |
β酸化 · 脂肪酸の合成
|
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 高橋 成直,増田 秀樹,関 亘
- 信州大学農学部演習林報告 (12), p1-15, 1975-10
- … 以上の結果から,カラマツのアミノ酸代謝機構にもすでに他の高等植物で認められているオルニチン回路が関与していることを予想することができる。 …
- NAID 40001907669
- 6-29 硫黄欠乏キュウリにおけるオルニチン回路アミノ酸の存在と重窒素のとりこみに関する二,三の知見(6.植物の代謝および代謝成分)
- 6-15 イネ・カルス組織における尿素の利用(1) : ^<14>C-尿素のオルニチン回路アミノ酸へのとりこみ(6.植物の代謝および代謝成分)
- アースロバクター属の1種に関する研究 : I.有機化合物の利用について
- 美濃 羊輔
- 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 5(5), 745-751, 1969-02-10
- … 本菌にはオルニチン回路は存在しないようであるが,クレーブス回路は存在するようである。 …
- NAID 110006453167
Related Links
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- デジタル大辞泉 オルニチン回路の用語解説 - 肝細胞内にあって尿素を合成する代謝 回路。たんぱく質分解過程で生じる有毒なアンモニアが肝臓中のオルニチンと反応し、 やがてアルギニンとなり、酵素アルギナーゼによって無毒な尿素とオルニチンとに分解 され ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- ammonia
- 同
- NH3
- 関
- オルニチン回路
化学的性質
NH4+(aq) → NH3(aq) + H+
生体内でのアンモニア
- pH 7.4の環境下ではアンモニアはNH4+(aq)として存在しているものが多い。
産生部位
- 腸管:腸内細菌による産生(蛋白質・アミノ酸の分解)、ウレアーゼ産生菌からの産生
- 筋肉:末梢組織で発生したアンモニア + (キャリアーとしての)グルタミン酸 → グルタミン。血行性に腎臓に移動し、アンモニアに戻され、オルニチン回路に入る。
- 腎臓:血行性に運ばれた or 原尿として排泄されたグルタミンを材料としてアンモニアが産生されそのまま尿として排泄
- 肝臓:アミノ酸の分解によるアンモニア産生
産生系路
排泄
- 肝臓ミトコンドリアでアンモニアと重炭酸イオン、さらにATPよりカルバモイルリン酸が産生され、これとオルチニンが反応してシトルリンとなり、オルニチン回路に入る。ここで、尿素が産生され、血行性に腎臓に輸送され、尿として排泄される。
- 近位尿細管に存在する上皮細胞内でグルタミンからアンモニアが生成される。アンモニアは分泌されたH+と結合してNH4+のかたちで尿中に排泄される(SP.812)
血中アンモニア濃度を下げる治療
- ラクツロース、非吸収性抗菌薬(カナマイシン、ネオマイシン)、蛋白摂取制限
臨床検査
基準範囲
- 血漿アンモニアN 12-66ug/dl
- 血漿アンモニア 15-80ug/dl
異常値をきたす疾患
- LAB.509
-
- 重症肝疾患:劇症観念、重症肝硬変、進行肝癌
- 門脈圧亢進症:肝硬変、特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、原発性胆汁性肝硬変、日本住血吸虫症、バッド・キアリ症候群
- その他:尿毒症、ショック、ライ症侯群
- 薬物:バルプロ酸ナトリウム、鎮静薬など
測定上の注意
- LAB.509,510
- 赤血球と血漿のアンモニア含有比は2.8:1であり、溶血時や血液放置時には正誤差となりうる
- 放置:血液からCO2が失われるにつれて、蛋白や非アンモニアN化合物からアンモニアが生成する。
- → 凝固剤を用いて採血した場合は直ちに氷冷して血漿分離し、30分以内に測定する!
[★]
- 英
- ornithine transcarbamoylase deficiency
- 同
- OTC欠損症 OTC deficiency、高アンモニア血症II型 hyperammonemiatype II
- 関
- オルニチン回路、高アンモニア血症
- 尿素サイクル酵素欠損症のなかでは最も頻度が高い。
- オルニチントランスカルバミラーゼが欠損によりアンモニアから尿酸を精製する反応が阻害され、生体内のアンモニア濃度が上昇することにより種々の症状を呈する。
- X染色体上に責任遺伝子が存在するために、X連鎖遺伝となる。
- そのために男性では新生児期から発症する重症が多く、女性では保因者となるか発症しても軽症のことが多い。
[★]
- 英
- arginine, Arg, L-arginine, R
- 関
- アミノ酸、リジン、ヒスチジン、オルニチン回路、オルニチン、アミジノ基。グルタミン酸アルギニン
-CH2-CH2-CH2-NH-C-(NH2)NH
- グアニジウム基がついている(グアニジンはNH=C(NH2)2)
- ヒゲ三本+グアニジウム基と覚える。
- 生体内ではグルタミン酸からオルニチン(-CH2-CH2-CH2-NH2, リジンより炭素が1つ少ない)から尿酸サイクルを経て合成される。側鎖の根もとからの炭素源期の数は3つ
[★]
- 英
- ornithine carbamoyl transferase
- 同
- オルニチントランスカルバミラーゼ ornithine transcarbamoylase
- 関
- オルニチン回路、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、
- カルバモイルリン酸+オルニチン--(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)-→シトルリン+リン酸
[★]
- 英
- carbamoyl phosphate
H2N-CO-(OPO3)2-
- オルニチン回路に入る物質である。窒素、重炭酸イオン、およびATPから生成される。この反応はミトコンドリアで起こる。
[★]
- 英
- ornithine, Orn
- 同
- α,δ-ジアミノ-n-吉草酸 α,δ-diamino-n-valeric acid、2,5-ジアミノ-n-吉草酸 2,5-diamino-n-valeric acid、2,5ジアミノペンタン酸 2,5-diamino pentanoic acid
- 関
- オルニチン回路
- アミノ酸の一種
- 尿素回路でアルギニンから得られる。アルギニンから-C(NH)(NH3+)が取れた形。
- 極性、塩基性
-CH2-CH2-CH2-NH2
α β γ >γアミノ基を有する。即ち、側鎖には炭素が3つ含まれる。<リジンと比べて炭素が一つ少ない。
オルニチン回路での反応
[★]
- 英
- (電気)circuit、(代謝)cycle
- 関
- サイクル、周期
[★]
- 英
- tract
- ラ
- tractus