- 38歳の男性。小学校教師。微熱を主訴に来院した。生来健康であったが、1年前から疲れやすく、6か月前から時々咳に気付くようになった。1週前から熱があるような気がしていたが、勤務先では体育祭の準備があり放置していた。体育祭の終わった翌日受診したところ、胸部エックス線写真で左上肺野に空洞を伴う浸潤影を認めた。Gaffky III号であった。この男性の勤務先でまず行うべきことはどれか。
- a. 学校内の消毒
- b. 担任学級の閉鎖
- c. 児童全員の喀痰検査
- d. 接触した児童のツベルクリン反応検査
- e. BCG未接種者への接種
[正答]
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★リンクテーブル★
[★]
- 6歳の男児。ロを開きにくいことを主訴に来院した。1週前に公園で素足で遊んでいて右足腫をガラス片で切ったが、間もなく止血したので放置していた。昨日から食物がかみにくくなった。意識は清明。体温37.5℃。開口障害、頚部の筋硬直および四肢の緊張感を認める。対光反射は正常である。脳脊髄液所見は正常である。この疾患で正しいのはどれか。
- (1) 病原菌は好気性菌である。
- (2) 症状は菌体内毒素による。
- (3) 受傷後早期に発症するものほど重篤である。
- (4) 受傷部の早期処置が重要である。
- (5) 副腎皮質ステロイド薬が有用である。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
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[★]
- 23歳の男性。前日からの米のとぎ汁様下痢を主訴に来院した。3日前に東南アジア観光旅行から帰国した。意識は清明。身長168cm、体重56kg。体温36.4℃。脈拍80/分、整。血圧110/60mmHg。腹部に圧痛はなく、肝・肺を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球550万、Hb19.0g/dl、Ht50%、白血球9,000。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.3g/dl、AST20単位(基準40以下)、ALT18単位(基準35以下)、Na135mEq/l、K3.2mEq/l。適切でないのはどれか。]]
[正答]
※国試ナビ4※ [097D058]←[国試_097]→[097D060]
[★]
- 英
- tuberculosis, TB
- 同
- 結核症
- 関
- 結核菌 Mycobacterium tuberculosis、抗結核薬
- 肺結核、腸結核、脳結核腫
- 感染予防学 080423I,II
- first aid step1 2006 p.135,137,143,162,172,173,181
- Pott's disease = vertebral tuberculosis. constrictive pericarditis = tuberculosis
概念
病原菌
疫学
平成21年
- 参考3
- 結核患者の発生は未だ2万4千人以上である。結核罹患率は引き続き減少傾向にあるが、減少率は2%台と低い。
- 新登録結核患者数 24,170人
- 罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 19.0 (対前年比0.4減)
- 80歳以上の結核罹患率は横ばいないし増加し、70歳以上の高齢結核患者は新登録結核患者の半数以上となった。
- 80歳以上の罹患率 88.3 (H20 87.6、H19 90.5、H18 93.0)
- 70歳以上の新登録結核患者の占める割合 50.1%(H20 48.9%、H19 47.9%、H18 47.0%)
- 世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
- 日本の罹患率(19.0)は、米国(4.3)の4.4倍、カナダ(4.7)の4.0倍、スウェーデン(5.4)の3.5倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍。
感染の型
- SPU.178
一次感染
- 初感染患者に形成される初期変化群の増悪による病変:全身性血行性散布(粟粒結核など)、肺原発巣の空洞化、リンパ節の穿孔による吸引性結核性肺炎、結核性胸膜炎
二次感染
症状
結核の皮膚病変
検査
- 「喀痰の抗酸菌検査では1日1回、連続して3日間検査することが推奨されている。抗酸菌検査では通常、塗抹検査と培養検査の2項目をオーダーするが、結核の疑いが強い場合には、健康保険診療上、結核菌核酸増幅法検査を1回行うことができる。」(ガイドライン1より引用)
診断
- 結核菌の診断を行う上では、あくまでも細菌学的検査(塗沫検査、培養検査)によることが原則である。(IRE.1034)
- 結核の疑いが強い場合にはPCR法により確定して、直ちに保健所に届けるのがよい。
治療
- 標準治療法:最初2ヶ月間4剤、次の4ヶ月間2-3剤の計6ヶ月間の治療
- 例:INH,RFP,EB,PZAで2ヶ月間(bactericidal phase) → INH,RFP(,EB)で4ヶ月間(continuation phase)
- 多剤耐性結核菌:少なくともINHとRFPに同時耐性を示す菌株
2009年に厚生労働省告示
- ピラジナミド(PZA)を使用できる場合には、まずイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)およびPZAにストレプトマイシン(SM)またはエタンブトール(EB)を加えた4剤併用療法を2カ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を4剤併用療法開始時から6カ月を経過するまで行う。
- PZAを使用できない場合には、まずINHおよびRFPの2剤にSMまたはEBを加えてた3剤併用療法を2ないし6ヵ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を3剤併用療法開始時から9ヶ月を経過するまでに行う。INHまたはRFPを使用できない場合、症状が著しく重い場合、治療開始から2カ月を経ても結核菌培養検査陽性の場合、糖尿病、じん肺、HIV感染症等の疾患を合併する場合、または副腎皮質ホルモン剤を免疫抑制剤を長期にわたり使用している場合、などでは治療期間を3ヵ月間延長できる。
感染経路
公衆衛生
参考
- http://www.kekkaku.gr.jp/
- http://www.jatahq.org/about_tb/index.html
- 3. 結核登録者情報調査【平成18年まで結核発生動向調査】|厚生労働省
- http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/kekkaku_tourokusya.html
ガイドライン
- 1. 結核診療ガイドライン(の要点抜粋) 山岸文雄 独立行政法人国立病院機構千葉東病院 病院長
- http://www.kekkaku.gr.jp/ga/ga-59.htm
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