- 英
- inner zone (Z)
- 同
- ネフロン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/11/05 16:30:55」(JST)
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ネフロン(nephron:腎単位)とは、腎臓の基本的な機能単位であり、腎小体とそれに続く1本の尿細管のこと。 人間の場合は左右の腎臓合わせて2百万個ほど存在し、各ネフロンで濾過、再吸収、分泌、濃縮が行われ、原尿が作られていく。腎臓の皮質部分に位置する。
構造
腎小体には一本の輸入細動脈が入り、一本の輸出細動脈が出てゆく。腎小体に入った輸入細動脈は分枝して毛細血管となり塊を作る。この塊を糸球体と言う。糸球体を形成する毛細血管は再び一本に集まり、輸出細動脈となって腎小体から出てゆく。糸球体はボーマン嚢で包まれており、ボーマン嚢からは一本の尿細管が出ている。尿細管は腎皮質から腎髄質の方へ下行し、この部分を近位尿細管と呼ぶ。腎髄質へ辿り着くと尿細管は狭くなり、Uターンして再び皮質の方へ上行する。このUターンする部分をヘンレのループと呼ぶ。そのまま上行して皮質へ辿り着くと尿細管は輸出細動脈と接する(交わったり吻合する訳ではない)。この接する部分を糸球体近接装置と言う。糸球体近接装置を経た尿細管は遠位尿細管と呼ばれる。遠位尿細管は再び髄質の方向へ下行しながら互いに集合し、集合管となって腎髄質を貫通して腎盂に開口する。
生理
糸球体を構成する網細血管では血球成分や大質量の蛋白質は漏れ出ずに、血漿成分や体内の毒素だけが濾過されてボーマン嚢へ流れ出る。漏れ出なかった血液成分は再び一本の輸出細動脈となって腎小体から出てゆく。一方糸球体で濾過された毒素などは、ボーマン嚢で受け止められ、尿細管へと流れてゆく。尿細管壁では糸球体から流れ出た水分や栄養を再吸収したり、濾過し切れなかった毒素をさらに排泄したりして、原尿を作ってゆく。糸球体近接装置では原尿の水量や毒素濃度等の情報を輸出細動脈へ伝達する。これを受けた輸出細動脈は血圧を調節するホルモン(レニン)を分泌して、腎臓への血流を調節する。
酸塩基平衡
尿細管における酸塩基平衡の調節。
- 近位尿細管では炭酸水素イオンの再吸収が行われ、これが損なわれると近位尿細管性アシドーシスになる。
- 遠位尿細管では水素イオンの排泄が行われ、これが損なわれると遠位尿細管性アシドーシスになる。遠位尿細管で水素イオンを排泄するポンプは鉱質コルチコイドによって活性化されるので、鉱質コルチコイド作用が低下すると遠位尿細管性アシドーシスになる。これを特に高カリウム型尿細管性アシドーシスと言う。
関連項目
- 腎小体(マルピーギ小体)
- 糸球体
- ボーマン嚢(糸球体嚢)
腎・泌尿器系の正常構造・生理 |
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腎臓 |
肉眼解剖
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尿細管
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近位尿細管 - ヘンレのループ(下行脚 - 細い上行脚 - 太い上行脚) - 遠位尿細管 - 集合管 - 腎盤 ( - 尿管)
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腎循環
|
腎動脈 - 傍尿細管毛細血管 - 輸入細動脈 - (糸球体) - 輸出細動脈 - 直細動脈 - 腎静脈
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ゲロタ筋膜
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顕微解剖
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ネフロン
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腎小体
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糸球体
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毛細血管 | 糸球体内メサンギウム細胞 | ボーマン嚢
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傍糸球体装置
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緻密斑 | 傍糸球体細胞 | 糸球体外メサンギウム細胞
|
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尿細管
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生理学
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アシドーシスとアルカローシス | 膠質浸透圧 | 糸球体濾過量 | 腎血漿流量 | クレアチニンクリアランス
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生化学
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バソプレッシン | アルドステロン | 心房性ナトリウム利尿ペプチド | エリスロポエチン | レニン-アンジオテンシン系
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尿路 |
肉眼解剖
|
尿管 - 膀胱 - 尿道
|
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顕微解剖
|
移行上皮
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 黒毛和牛のクローディン16欠損症に見られた腎単位の形成異常(病理学)
- 岡田 幸助,石川 直子,藤森 康一郎,御領 政信,池田 学,佐々木 淳,渡辺 大作,高須賀 晶子,平野 貴,杉本 喜憲
- The journal of veterinary medical science 67(2), 171-178, s・v, 2005-02-25
- … .症例牛では病変が軽度な腎臓においても,正常牛と比べて明らかに糸球体数が少なく,未熟な糸球体および未熟な尿細管も確認されており,出生時に形成されている腎単位数が少ないことが示された.この事から,CL-16遺伝子の欠損は,「腎単位の形成異常」に関与していることが示唆された.免疫組織化学的には,正常対照牛のヘンレのワナ上行脚の太い部分の上皮細胞がCL-16蛋白の抗血清に対して陽性染色 …
- NAID 110003963697
- 高畑 幸子,千葉 正寛,沼津 敬治,渡辺 昭夫,一條 俊浩,蓬田 信一,八島 正,松田 敬一,川名 晶子
- 日本家畜臨床学会誌 27(1), 1-6, 2004
- … 組織学的には、全症例において未熟小型腎単位や原始集合菅が認められ、瘢痕化組織や炎症性反応は全く認められなかった。 …
- NAID 130001005828
- 二分脊椎症例に対する回腸利用膀胱拡大術における尿管新吻合法としてのLe Duc-Camey法の検討
- 平山 暁秀,小野 隆征,河田 陽一,平田 直也,山本 雅司,百瀬 均,山田 薫,塩見 努
- 日本泌尿器科學會雜誌 92(4), 520-525, 2001-05-20
- … 対する回腸利用膀胱拡大術におけるLe Duc-Camey法を用いた尿管新吻合術の成績について検討した.(対象と方法)回腸利用膀胱拡大術を行った二分脊椎症例のうち,Le Duc-Camey法を用いて尿管新吻合を行った,14症例,25腎単位を対象とした.術後経過観中に認められた尿管新吻合に関連した合併症について,その誘因となる可能性のあるものを術前および術後因子に分け検討した.術前因子としては,尿管新吻合を必要とした原因疾患, …
- NAID 110003089239
- 新ESWL機種エダップLT-02を用いた上部尿路結石の治療経験
- 林 睦雄,井上 勝己,繁田 正信
- 泌尿器科紀要 41(1), 15-19, 1995-01
- … 1993年7月より1994年3月までの9ヵ月間に,新ESWL機器エダップLT-02(R)を用いて上部尿路結石症246例(277腎単位)に対しESWLを行い,良好な成績がえられたので,3ヵ月経過観察可能な224腎単位のESWL単独療法の治療成績を報告したFrom July 1993 through March 1994, 512 ESWL therapy was performed on upper urinary tract calculi in 277 renoureteral units using an EDAP LT-02 Lithotripter. …
- NAID 120002156455
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★リンクテーブル★
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- 英
- kidney
- ラ
- ren
- 関
- 腎機能
- 図:N.265(水平断,上部) N.320(背面) N.332(水平断)
- 図:Z.92、M.173(体表解剖)、N.321,322
解剖
大きさ
重量
- 115-170g(PT.461), 160g(♂)/140g(♀)(KL.395)
血管尿管との関係
- 腎臓を内側から見るとき、腹側から静脈、動脈、尿管の順に並んでいる
位置
- 腹腔の後壁で、脊椎の両側にある(PT.461)
- 右腎:T11-L2椎体、左腎:T12-L3椎体 (M.173)。T12-L3椎体。右腎は左腎より約1.5cm低位 (KL.395)
- 両方の腎も幽門平面を貫くが、右腎は腎の上方で貫いている (M.173)
- 尋問は中面より5cm離れた場所にある (M.173)
- 腸骨稜の高いところを通る矢状面を貫く。この面は第12肋骨の先端をかすめる (M.173)
- 腎臓の背側側は上方では横隔膜を挟む。さらにその下層では第11胸神経、肋下神経、腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経が下外側に走行している (M.173)
血管
-
- 上区動脈
- 上前区動脈
- 下前区動脈
- 前区動脈
- 下区動脈
- それぞれから以下の通りに分岐する
部位名
生理
機能 (SP.776 2007年度後期生理学授業プリント)
-
-
- 尿中酸総排泄量 = 滴定酸(リン酸, 硫酸など) + NH4+ - HCO3-(重炭酸イオンの再吸収)
- 1-2. 尿素・尿酸・クレアチニンの排泄
- 1-3. 異物の排泄
- 肝臓でP450やグルクロン酸抱合された解毒物の排泄
-
- 活性型ビタミンDの産生(腎小体で濾過したビタミンDを近位尿細管で再吸収し、活性型に転換して血中に戻す)
- pO2↓→近位尿細管近傍の線維芽細胞が分泌~
- 赤血球を作る増殖因子
- 輸入細動脈顆粒細胞から分泌される
- レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最初に位置する
- 副腎皮質を刺激して鉱質コルチコイド(アルドステロン)を放出させる & 血管の平滑筋を刺激して血圧を上昇させる。
- 糖新生
ホルモンによる調節
- バソプレシン[視床下部後葉]により、遠位尿細管で水の再吸収が促進される
- 鉱質コルチコイド(アルドステロン)[副腎皮質]により、遠位尿細管でのNa( H2O)の再吸収が促進される
- 重炭酸イオン(HCO3-)の再吸収[近位尿細管、CO2が細胞内に拡散]
- ナトリウムイオン(Na+)の再吸収[近位尿細管、遠位尿細管]
- アンモニア(NH3)の排出[細胞外に拡散]
- 水素イオンH+の排出[近位尿細管、遠位尿細管のNa+-H+交換輸送体]
神経による調節 (SP.784)
- 交感神経により腎血流が調節されている
- 弱い刺激:輸出細動脈が収縮→RPF↓、濾過圧↑→GFRほぼ不変
- 強い刺激:輸入細動脈も収縮→RPF↓、GFR↓
尿の生成 (生理学実習1 実習テキストp.3)
- 腎を流れる血流量 1L/min = 1440L/day
- 原尿生成 0.1L/min = 160L/day
- 尿生成 0.7-1.0ml/min = 1-1.5L/day
-kidney
[★]
- 英
- nephron (Z)
- ラ
- nephronum
- 同
- 腎単位
- 関
- 皮質ネフロン、傍髄質ネフロン
- 図:SP.776
- 腎臓の機能的な単位
- ネフロン = 腎小体 + 尿細管
- ヒトのネフロンの数は片側の腎臓で約100万個といわれているが、ネフロンの数は個人差がある。
- ネフロンの数は平均血圧と反比例している
皮質ネフロンと傍髄質ネフロンとの解剖的な違い
|
皮質ネフロン
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傍髄質ネフロン
|
腎小体
|
皮質に存在
|
髄質に近い皮質
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直血管
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×
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○
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ヘンレループの下行脚
|
○
|
○
|
ヘンレループの細い上行脚
|
×
|
○
|
ヘンレループの太い上行脚
|
○
|
○
|
皮質ネフロンと傍髄質ネフロンとの機能的な違い
- ネフロンにより貢献する役割が異なる
- 皮質ネフロン :不揮発酸やK分泌
- 傍髄質ネフロン:水分再吸収・Na再吸収
[★]
浸透圧
2007年後期生理学実習書(1)
- 浸透圧は粒子数に比例するので、浸透圧を粒子数で表してもよい。このときに用いられる粒子数の単位がOsm
- πV=nRT (ファントホッフの法則から)
- 浸透圧
反応に関わる分子の数を表す
- 当量(Eq)=物質量(mol) x 価数(無次元)
- 生理学において、電気的な中性であるかを考えるためによく使われる。
- Ca2+が1mmol/l存在するとき、2mEq/lとも表すことができる。水溶液が電気的に中性であるならば、2mEq/l分の陰イオンが存在すると考えてよいことになる。
化学当量
臨床検査
- 単位変換 SI unit<-> conventional unit