妄想性人格障害
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/15 03:51:31」(JST)
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| 妄想性パーソナリティ障害 | 
| 分類及び外部参照情報 | 
| ICD-10 | F60.0 | 
| ICD-9 | 301.0 | 
| MedlinePlus | 000938 | 
| MeSH | D010260 | 
| パーソナリティ障害 | 
| A群(奇異型) | 
|  | 
| B群(劇場型) | 
|  | 
| C群(不安型) | 
|  | 
| 特定不能 | 
| 
抑うつ性受動攻撃性サディスティック自己敗北性
精神病質 | 
|  | 
妄想性パーソナリティ障害(もうそうせいパーソナリティしょうがい、英語: Paranoid personality disorder ; PPD)とは、猜疑(さいぎ)性パーソナリティ障害とも呼ばれる、何ら明確な理由や根拠なく人から攻撃される、利用される、陥れられるといった不信感や疑念を抱き、広く対人関係に支障をきたすパーソナリティ障害の一類型である。
目次
- 1 概要
- 2 診断基準
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
 
概要
この症状は、拒絶・憤慨・不信に対して過剰な感受性を示すとともに、経験した物事を歪曲して受け止める傾向に特徴がある。普通で友好的な他人の行動であっても、しばしば敵対的や軽蔑的なものと誤って解釈されてしまう。本人の権利が理解されていないという信念に加えて、パートナーの貞操や貞節に関する根拠の無い疑いであっても、頑固に理屈っぽく執着する。そのような人物は、過剰な自信や自己指示を誇大にする傾向がある。
この障害は強大な権力を持つ者、特に一代で成り上がった絶対権力者に非常に多く、独裁者の病であることが知られている。独裁者は常に他人に蹴落とされる可能性(それも命を失う可能性)を秘めており、部下を常時監視する必要がある。成り上がりの独裁者は自分が独裁者になる過程で、前の支配者を謀略で失脚させるようなことをしていたり、自身の暗殺計画が発覚したり、実行されたりすれば、より部下を全く信用することができなくなり、さらに命を狙われる可能性が常にある。そのため元々の性格はそのような兆候のない者でも、成り上がった独裁者は必然的に妄想性パーソナリティ障害を形成し、そのような特徴を示さない独裁者の方が少ない(例:スターリン、ヒトラー)。なお普通の巨大な会社の社長や、巨大宗教団体(特に新興宗教)の教祖にも見受けられる。参考文献:岡田尊司『パーソナリティ障害』PHP新書)。
診断基準
DSM-IV-TR
A. 他人の動機を悪意のあるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下の4つ(またはそれ以上)によって示される。
- 十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いを持つ。
- 友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。
- 情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
- 悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。
- 恨みをいだき続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。
- 自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する。または逆襲する。
- 配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ。
また診断基準Bが、統合失調症や、精神病性の障害、一般身体疾患によるものではないことを要求している。
なお、パーソナリティ障害の診断は、特定のパーソナリティの特徴が成人期早期までに明らかになっており、薬物やストレスなど一過性の状態とも区別されており、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を呈している必要がある。
脚注
参考文献
- アメリカ精神医学会、(翻訳)高橋三郎・大野裕・染矢俊幸 『DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』 医学書院、2004年、新訂版。ISBN 978-0890420256。
関連項目
- うつ病
- 統合失調症
- パーソナリティ障害
- 妄想
- 精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)
- 疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)
外部リンク
- Paranoid personality disorder resources (英語)
- National Personality Disorder website for England (英語)
- Articles about Personality Disorders in Web4health web site (英語)
- Paranoid Personality Disorder (PPD) Quiz (英語)
| 
| DSMにおけるパーソナリティ障害 |  
|  |  
| DSM-III-R のみ |  |  
|  |  
| DSM-IV のみ |  |  
|  |  
| DSM-5 (分類モデル)
 |  |  
|  |  
| DSM-5 | 
III軸にある新たな統合的多次元分類モデルは刺激的なさらなる研究成果を含んでいる |  | 
| 
| ICD-10におけるパーソナリティ障害 |  
|  |  
| 統合失調型 |  |  
|  |  
| 特定のパーソナリティ障害 | 
| 
強迫性不安性(回避性)依存性非社会性情緒不安定性演技性妄想性統合失調質 |  
|  |  
| その他 | 
エキセントリック軽佻者型未熟性自己愛性受動攻撃性神経症性 |  |  
|  |  
| 特定不能の成人のパーソナリティおよび行動の障害 |  |  | 
 
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Japanese Journal
- 妄想性パーソナリティ障害の臨床 (特集 パラノイアと妄想性障害)
 
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★リンクテーブル★
  [★]
- 英
- paranoia、paranoid disorder
- ICD-10
- F22.0
- 関
- 偏執症、妄想症、パラノイア、妄想性精神病、F22
- 含
- パラノイア、妄想性精神病、妄想状態、パラフレニー/遅発性パラフレニー、敏感関係妄想
- 除
- 妄想性パーソナリティ障害(F60.0)、心因性妄想性精神病(F23.3)、妄想反応(F23.3)、妄想型統合失調症(F20.0)
診断基準
- A. 典型的な統合失調症(F20.0-F20.3)としての基準G1(1b)またはG1(1d)に挙げた以外のもの(すなわち、まったくありそうにないものや、文化が的にも状況にそぐわないもの以外のもの)で、単一な妄想または一連の妄想群が存在すること。最もよくみられる例としては、迫害的・誇大的・心気的・嫉妬、あるいは性的内容の妄想である。
- B. 上記Aの妄想は、少なくとも3ヶ月間、認めること。
- C. 統合失調症(F20.0-F20.3)の全般基準を満たさないこと。
- D. 持続的な幻覚は、いかなる様態のものであっても、存在してはならない(三人称や論評し続けるような幻声が含まれることはないが、一時的で一過性の幻聴はあってもよい)。
- E. 抑うつ症状(またはF32.-「うつ病エピソード」であっても)が病相期に存在していた場合それが消失してもなお、妄想は変わることなく持続すること。
- F. 主要な除外基準: F00-F09で挙げた一次性または二次性の器質性精神障害、あるいは精神作用物質使用(Flx.5)による精神病性障害の証拠があってはならない。
- 亜型を詳記しようとする場合
- 必要であれば、次の型が特定されうる。すなわち迫害塑・好訴型・自己関係づけ型・誇大型・心気(身体)型・嫉妬型・性愛型などである.
 
  [★]
- 英
- paranoid personality disorder
- 同
- 妄想性パーソナリティ障害
- ICD-10
- F60.0
- 関
- 妄想性人格、人格障害
- 含
- 誇大妄想性人格障害、狂信的人格障害、好訴性人格障害、敏感妄想性人格障害
- 除
- 妄想性障害、統合失調症
  [★]
- 英
- delusion
概念
- 思考内容の異常 → 思考障害
- 誤った考え方や意味づけに異常な確信を持ち訂正できないような思考内容の異常。
定義
- 1. 非常な信念、何ものにも比べられない主観的な確信
- 2, 経験上こうであるはずだとか、こうだからこうなるという正しい論理に従わせることができない
- 3. 内容がありえないこと
 
分類
発生過程による分類
- 妄想着想:突然何の前触れもなく妄想が思いつく妄想
- 妄想知覚:実際の知覚に対して特別の意味づけがなされ、強く確信される妄想
- 妄想気分:周りがいつもと違い、何か不気味で「大変なことが起こりそうだ」という不安に襲われる
 
- 二次妄想:状況・感情・性格の反応として妄想の発生が了解できるもの。鬱病の貧困妄想や罪業妄想などは抑うつ気分から生じたものと了解される。
妄想内容による分類
| 被害的内容 | 統合失調症に多い | 
| 迫害妄想 | 自分が迫害されているという妄想 | 
| 被害妄想 | 他人から悪意をもって害されていると信じる妄想 | 
| 追跡妄想 | 追跡されているという妄想 | 
| 関係妄想 | 周囲に起こっている現実を自らに結びつけて考える妄想 | 
| 注察妄想 | 「常に盗聴されている」とか「隠しカメラで監視されている」と思い込む妄想 | 
| 被毒妄想 | 食事に毒を入れられているという妄想 | 
| 嫉妬妄想 | 恋人が浮気していると確信する | 
| 盗害妄想 | 自分の物を盗まれたと思い込む妄想 | 
| 誇大的内容 | 躁状態、統合失調症 | 
| 誇大妄想 | 自己を過剰評価したり、地位・財産・能力があるように思い込む妄想 | 
| 血統妄想 | 自分が高貴な家系と確信する妄想 | 
| 宗教妄想 | 自分が宗教上の救世主と確信する妄想 | 
| 発明妄想 | 自分がすばらしい発明したと確信する妄想 | 
| 恋愛妄想 | 他人が自分を愛しているという妄想 | 
| 微小的内容 | うつ状態 | 
| 貧困妄想 | 自分は非常に貧しい、借金を抱えてしまったなどと信じる妄想 | 
| 罪業妄想 | 自分は非常に悪い存在だ、罰せられるべきだ、皆に迷惑をかけているなどと思いこむ妄想 | 
| 心気妄想 | 自分の身体の一部が病気にかかっていると思いこむ妄想 | 
| 虚無妄想 | 自分の体や世界がなくなったと確信する妄想 | 
精神疾患と妄想
  [★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
  [★]
harm、hazard、injure
- 関
- 危険、損傷、ハザード、傷害を与える、害する
  [★]
- 英
- paranoid
- 関
- 偏執傾向