- 英
- Pendred syndrome
- 同
- Pendred症候群、甲状腺腫聾唖症候群 goiter-deaf mutism syndrome
概念
- 甲状腺腫、高度感音難聴、過塩素酸塩放出試験陽性を三徴とする常染色体劣性遺伝疾患
- 先天性難聴の最も多い原因疾患の一つで、遺伝性聾(heredidary deafness)の約10%を占める。(1)
歴史
- 1896年ペンドレッド(Vaughan Pendred、1869-1946, 外科, 英)が聾唖と甲状腺腫を合併する姉妹例を報告。
疫学
遺伝形式
病因
- SLC26A4遺伝子(PDS, perdin)の変異(SOTO.191)
- locus:はDFNB4 locus(7q11-2)に存在
- 発現部位:甲状腺、内耳、腎臓で発現(1)
- 腎臓では皮質集合管でchloride-bicarbonate exchangerとして機能しているが、病的な意義は不明。(2)
- 内耳:内リンパ液の組成の調整に関わっている。難聴との関わりは不明。(2)
- 機能:chloride-iodine co-transporter(2)。perdinが無くてもヨードを甲状腺濾胞細胞に輸送できるが、効率が低下する(2)。perdinの変異により、ヨードの取り込みが低下し、ヨードの有機化が低下する(2)。
- SLC26A4は前庭水管の拡張と関連しており、片側性/両側性、いずれのばあいもありうる(NEL.2621)。
- 聴力の低下:原因不明
症状
感音性難聴
- 出生時からの両側性の難聴。(SOTO.191)
- 高音域で難聴は高度。低音域では難聴の程度は様々。(NEL.2621)
- 出生児から難聴が出現するが、話し言葉習得後、後天的、進行性に難聴が出現することも普通にある。(NEL.2621)
甲状腺
- ヨウ素の有機化障害により生ずる
- ヨードの摂取量に依存しており、十分に摂取されている場合には症状が出ない(ex. Japan)。
その他
- 知能指数は正常。発育障害はない。
- 甲状腺内のペルオキシダーゼ活性の減少はない。
診断・検査
- 三徴:甲状腺腫、高度感音難聴、過塩素酸塩放出試験陽性(SOTO.191)
- 診察
-
- CTによる前庭水管の拡張(SOTO.191)。両側性(NEL.2621)に拡張が見られる。蝸牛の低形成はある場合も、無い場合もある(NEL.2621)。
- 蝸牛の奇形を伴っていることがある(Mondini cochlea)。普通は蝸牛は2.5回転するが、Mondini cochleaでは1.5回転しかしない。(1)
甲状腺機能
治療
- 過剰量のヨードが甲状腺でのヨードの不足を補償する。(2)
参考
文献
- 1. Pearce JM. et al., Pendred's syndrome., Eur Neurol. 2007;58(3):189-90
- PMID 17622729
- 2 Arwert LI et al., Goitre and hearing impairment in a patient with Pendred syndrome, Neth J Med. 2008 Mar;66(3):118-20
- PMID 18349467
URL
http://en.wikipedia.org/wiki/Pendred_syndrome
http://www.nidcd.nih.gov/health/hearing/pendred.asp
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 下薗 政巳,牛迫 泰明,永野 由起,加藤 榮司,河野 浩万,東野 哲也
- Audiology Japan 50(5), 531-532, 2007-09-05
- NAID 10021299925
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- ペンドレッド症候群は、1) 感音性難聴、2) 甲状腺腫、3) ヨード有機化障害の3つの症状 を持っている病気です。ペンドレッド症候群は1896年にイギリス人のペンドレッド医師が 甲状腺腫を伴う感音性高度難聴の2姉妹を初めて報告したことによりその名は由来し ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- enlarged vestibular aqueduct enlarged vestibular aqueduct syndrome, large vestibular aqueduct LVA, large vestibular aqueduct syndrome
- 関
- ペンドレッド症候群
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疫学
病因
- 先天的・後天的に発症(E1)
- 先天性が一般的。内耳の発生異常である。前庭水管の発生異常。妊娠15週。(E1)
- SLC26A4(PDS)遺伝子の変異が原因(SOTO.170) → 前庭水管拡大を伴った非症候性難聴とPendred症候群は一連の症候群である可能性が高い(SOTO.170)
症状
- 幼少期から感音性難聴。ときにめまいを伴う。難聴は進行性、変動することがある。発症の契機はは頭部外傷。(SOTO.170)
診断・検査
- 側頭骨のCT(E1)。CTかMRI(SOTO.170)
- 画像所見(E1):通常の水管径1mm以下なのに本症では1.5-2mm異常に拡大。(SOTO.170)
治療
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ペンドレッド症候群
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ペンドレッド症候群
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ペンドレッド症候群
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ペンドレッド症候群
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- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
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- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
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- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候