- 英
- extracellular matrix, ECM
- 同
- 細胞外基質、細胞外間質物質、細胞間マトリックス intercellular matrix
- 関
- 細胞間質
種類
- 結合組織や上皮細胞の間、血管や平滑筋の支持構造に存在
- など
- 上皮細胞と間質細胞の間にあって、それぞれの細胞が合成している。
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/19 11:01:32」(JST)
[Wiki ja表示]
上皮細胞、内皮細胞及び結合組織に関連した
細胞外マトリックス(基底膜及び間質性組織)を表現する図、en:Epithelial cell:上皮細胞、en:Basement membrane:基底膜、en:Endothelium lining the capillary:毛細血管を被覆する血管内皮、en:Connective tissue with interstitial matrix:間質性組織による結合組織、en:Fibroblast:線維芽細胞
細胞外マトリックス(さいぼうがいマトリックス、Extracellular Matrix)とは生物において、細胞の外に存在する超分子構造体である。通常ECMと略され細胞外基質、細胞間マトリックスともいう。
目次
- 1 細胞外マトリックスの種類
- 2 マトリックス工学
- 3 細胞外マトリックスの分解
- 4 外部リンク
|
細胞外マトリックスの種類
- 繊維状のタンパク質
- 構造タンパク質
- グリコサミノグリカン
多細胞生物(動物、植物)の場合、細胞外の空間を充填する物質であると同時に骨格的役割(例:動物の軟骨や骨)、細胞接着における足場の役割(例:基底膜やフィブロネクチン)、細胞増殖因子などの保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。植物における代表的な細胞外マトリックス成分は、セルロースである。
わかりやすく表現すると、多細胞生物を構成する個々の細胞の多くは細胞外マトリックスのベッドあるいは巣に埋もれて生活しているとも言える。ただそれは単純なベッドではなく細胞の生き様を変化させることができる動的で機能的なものであり、細胞にとっての「微小環境microenvironment」の実体である。
脊椎動物、無脊椎動物にも細胞外マトリックスが見られる。ヒトを含めた脊椎動物に顕著な成分は、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンやラミニンといった糖タンパク質(一部は細胞接着分子)である。
間質にはI型コラーゲン、プロテオグリカン(バーシカン、デコリンなど)、フィブロネクチンなどが顕著である。軟骨を作る細胞外マトリックスの主要成分はII型コラーゲン、プロテオグリカン(アグリカン)、ヒアルロン酸、リンクタンパク質などである。間質(結合組織)と上皮(実質)の間などに見られる基底膜には、IV型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(パールカンなど)、ラミニン、エンタクチンなどが見られる。脳の主要な細胞外マトリックス成分はコンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヒアルロン酸、テネイシンなどの糖タンパク質である。
- コラーゲン(哺乳類では27型(種類)のコラーゲン)
- プロテオグリカン(コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ケラタン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン)
- ヒアルロン酸(グリコサミノグリカンの一種)
- フィブロネクチン
- ラミニン
- テネイシン
- エンタクチン
- エラスチン
- フィブリリン
昆虫(ハエ)や線虫などの動物にも同様な成分が見られるが、脊椎動物のものとはやや構造や成分に違いがある。甲殻類を含め節足動物における細胞外マトリックスで顕著なものは、キチンである。細胞外マトリックスは、カイメンやボルボックスといった単純な多細胞生物にも存在する。
マトリックス工学
細胞外マトリックスを操作することで組織や細胞を制御し再生医療などに利用する応用技術であり、1980年代に初めて提唱された。また個々の細胞外マトリックス成分やその複合体は細胞培養などに用いられ、既に医療応用も盛んである。特にブタの膀胱から抽出した細胞外マトリックスはアメリカ合衆国において実用化が進められており、ヒトにおいても事故で切断した指先を再生することに成功している。
細胞外マトリックスの分解
胚の発生段階やがん細胞の転移などの際、基底膜などの細胞外マトリックスが特殊なプロテアーゼなどにより分解されることで細胞の移動が制御される。
外部リンク
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 三次元解析による口腔扁平上皮癌の浸潤様式とMMP-2,MMP-9 およびMT1-MMP の発現に関する研究
- 城守 美香 1,佐々木 忠昭 1,岩瀬 博建 1 2,今井 裕 3
- Dokkyo journal of medical sciences 39(1), 67-75, 2012-03-25
- … われわれは口腔扁平上皮癌の浸潤様式に対してはじめて三次元解析による検討を行ない,その有用性について報告してきた.今回は,癌の浸潤・転移において重要な役割を担う細胞外マトリックス分解酵素のうち,Matrix metalloproteinase-2 (MMP-2),MMP-9 およびMembrane type 1 matrix metalloproteinase(MT1-MMP)の発現と三次元解析による浸潤様式との関係について検討を行ったので報告する.対象は獨協医科大学病院口腔外科で加療した口腔扁平上 …
- NAID 110009005355
- iPS細胞とマテリアル研究 : ヒトiPS細胞のフィーダーフリー培養用バイオマテリアル (第5土曜特集 次世代iPS医療) -- (作製・移植に関わるイノベーション)
- ヒトES/iPS細胞の無フィーダー細胞培養技術の開発 (第5土曜特集 次世代iPS医療) -- (作製・移植に関わるイノベーション)
Related Links
- 「細胞外マトリックス」 これが私たちの研究室の主な研究対象です。 私たち人間の体は60兆個の細胞で作られていると教科書には書かれていますが、何も細胞だけで私たちの体ができている訳ではありません。細胞の周りや細胞と ...
- 細胞外マトリックス(さいぼうがいマトリックス、Extracellular Matrix)とは生物において、細胞の外に存在する超分子構造体である。通常ECMと略され細胞外基質、細胞間マトリックスともいう。
- 栄養・生化学辞典 細胞外マトリックスの用語解説 - 細胞間物質,細胞外基質などともいう.動物細胞の外側にある安定な物質で,細胞自体が合成分泌する.コラーゲン,エラスチン,プロテオグリカンその他多種類の物質がある.
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- extracellular matrix、ECM
- 関
- 細胞外基質、細胞外マトリックス
[★]
[★]
- 英
- extracellular matrix ECM
- 関
- 細胞外マトリックス
[★]
細胞外マトリックス ECM
[★]
- 英
- matrix metalloproteinase
- 関
- マトリックスメタロプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ、細胞外基質分解酵素、基質メタロプロテイナーゼ
[★]
- 英
- extracellular matrix protein
- 関
- 細胞外マトリクスタンパク質、細胞外基質タンパク質
[★]
ミトコンドリアのマトリックス
- 英
- matrix
- 関
- ミトコンドリア
- ミトコンドリアの外膜の内部にあって、内膜によって区切られた区画のうち内側の部位。
[★]
- 英
- external、externally、extra、exo
- 関
- エキソ、エクソ、外側、外部、余分
[★]
- 英
- extracellular、exocytic、extracellularly
- 関
- 開口分泌、開口放出
[★]
- 英
- trick
- 関
- 錯覚、策略
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類