アルコール性肝障害
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/06 05:23:09」(JST)
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アルコール性肝疾患(アルコールせいかんしっかん、英Alcoholic liver disease)または、アルコール性肝障害とは、アルコールによって引き起こされる一連の肝臓疾患のこと。
アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変の順に進行する。
目次
- 1 病因
- 2 病理
- 3 臨床像
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
病因
飲酒によって血中に入ったアルコール(エタノール)は消化管で吸収され門脈を通って肝臓で代謝される。 肝臓では主に、以下によって代謝される。
- アルコール脱水素酵素(alcohol dehydrogenase:ADH)
- エタノール→アセトアルデヒドへと分解
- アセトアルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase:ALDH)
-
- ミクロゾームエタノール酸化系(Microsomal Ethanol-Oxidizing System:MEOS)
- エタノール→アセトアルデヒドまたはアセトアルデヒド→酢酸(アセチルCoA)へと分解
脂肪酸生合成はアセチルCoA(炭素数2)を出発物質として、ここにマロニルCoA(炭素数3)が脱炭酸的に結合していく経路である。すなわち、炭素数2個ずつ反応サイクルごとに増加し、任意の炭素鎖を持った脂肪酸が作成されることとなる(脂肪酸#脂肪酸生合成系参照)[1]。
アルコールを大量・持続飲用することで、上記の代謝経路によって分解が追いつかず、かつ、代謝・合成された脂肪が肝臓に蓄積され、肝細胞に障害を与えて行く。
病理
病理組織学的に以下へ進行していく
-
詳細は「脂肪肝」を参照
-
詳細は「肝炎」を参照
-
詳細は「肝硬変」を参照
臨床像
症状
基本的に肝硬変に至るまで目立った症状はない。またアルコール依存症である場合も多く、治療コンプライアンスが維持できないことも多い。
血液検査
- AST・ALT:AST優位の上昇を示すことが多い。
- γ-GTP:上昇傾向を示す
画像検査
脚注
- ^ 脂肪酸生合成
関連項目
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 臨床パラメータを用いたアルコール性肝疾患と非アルコール性脂肪性肝疾患の判別法 (特集 日常臨床のジレンマ : NASHかASHか)
- 年齢階級別有病率から罹患中央年齢(Mid-Age of Incidence ; MAI)を算出する理論式とその応用について
- 診断と病期把握 肝疾患進展のリスク因子とその対策 (第1土曜特集 肝硬変Update : 肝硬変死の根絶をめざして)
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- aspartate aminotransferase, AST
- 同
- グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ glutamic oxaloacetic transaminase GOT
- 関
- ALT。s-AST、m-AST、ASTアイソザイム、マクロAST
SOLP → AST = GOT, ALT = GPT
分布
- ほぼ全ての臓器組織細胞中に分布。特に心臓,肝臓,骨格筋に多い。 (⇔ALTは肝臓に特に多い)
基質
- 基質特異性は広く,アミノ基受容体にα-ケトグルタル酸を用いると大抵のアミノ酸に作用して脱アミノする。
- アラニンには作用しない
酵素
- http://www.uniprot.org/uniprot/P17174
基準値
意義
- 急性の肝疾患で高値となる(半減期の短さを反映)。アルコール性の肝疾患や肝硬変でも高値となる。
- アルコール性肝疾患
- アルコール性脂肪肝
- 肝硬変、肝癌:慢性肝炎から肝硬変・管癌に進行するとALT優位(AST<ALT)からAST優位(AST>ALT)(特に肝細胞癌ではAST>>ALT)と変化し、値が低下する (LAB.1360)
- 心筋梗塞、溶血、ショック
|
AST
|
ALT
|
含有量
|
3
|
1
|
局在
|
心筋、肝臓、 骨格筋、腎臓 赤血球
|
肝臓、腎臓、 心臓、骨格筋
|
逸脱しやすさ
|
逸脱しにくい
|
逸脱しやすい
|
血中半減期
|
2日
|
6日
|
肝小葉内の分泌
|
中心静脈
|
辺縁
|
[★]
- 英
- alcohol
- 関
- エタノール
アルコールによる酩酊の分類
-
-
- 0.5 mg/ml 以上で酒気帯び → 道路交通法(0.5 mg/ml以上で運転能力の低下、1.5 mg/ml以下では著しい低下。1.5-2.0 mg/mlがもっとも危険。これ以上では運転できない)
- 血中アルコール濃度と酩酊の状態
- 0.0-0.5 mg/ml::殆ど無症状か、わずかな熱覚、味覚や嗅覚の低下
- 0.5-1.0 mg/ml:弱度酩酊:顔面紅潮、抑制からの解放、陽気、多幸感、不安や緊張の緩和、反応時間の延長など
- 1.0-1.5 mg/ml:軽度酩酊:多弁、大胆、感覚の軽度麻痺、気分爽快、多弁など
- 1.5-2.5 mg/ml:中程度酩酊:眠気に襲われる、言語不明瞭、平衡感覚が鈍麻し、千鳥足になる、理解・判断力鈍麻など
- 2.5-3.5 mg/ml:強度酩酊:歩行困難、顔面蒼白、悪心、嘔吐、感覚麻痺、精神運動性興奮、言語不明瞭、諸反射の消失など
- 3.5-4.5 mg/ml:重度酩酊、泥酔:意識消失、筋力消失、呼吸困難、体温低下、昏睡状態
- 4.5- mg/ml:呼吸麻痺、心機能不全などで死亡する。
アルコールの慢性症状
- アルコール中毒の患者において、脳神経でchromatosisが見られるが、ニューロンの脱落は末期まで見られない。小脳では虫部のニューロンが優先的に脱落する。大脳辺縁系の乳頭体に強い病変が見られる → ウェルニッケ・コルサコフ症候群と関連
- 振戦譫妄
- アルコール幻覚症
- コルサコフ症候群
- アルコール痴呆
- アルコールてんかん
アルコールによる非精神症状
アルコールによる疾患
- 身体疾患:アルコール性肝疾患(脂肪肝)、膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)、大腿骨頭壊死症、末梢神経障害
- 精神疾患:急性アルコール中毒、慢性アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール精神病
- (国試)100B077、095B075
アルコールの摂取と疾患
- ホジキンリンパ腫:掻痒症を呈する患者もいるが、そのばあい飲酒をすると当該部位に痛みが出現する(APT.83)
- 急性膵炎:増悪
アルコールの胎児への影響
- SUB.260
アルコールの摂取量
- 21世紀における国民健康づくり運動の目標値では節度ある適度な飲酒とは1日平均純アルコールで20g程度としている。 → ビール(5%) 400ml、日本酒(15%) 133.3ml
- 脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血の発症予防には過度の飲酒(1週間に150g以上)を避けることが推奨されている。
アルコールの単位
- アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20g。
[★]
- 英
- disease, disorder, disturbance, illness, sickness, malady
- 同
- 疾病、病気
- 関
- 疾病、障害、病、乱れ、無秩序、病害、病気、病弊
[★]
- 英
- liver disease、hepatic disease、liver disorder
- 関
- 肝障害、肝機能障害、肝臓病