フェルカルボトラン
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フェルカルボトラン(ferucarbotran) とは、ドイツのシエーリング社Schering AG(現 Bayer Schering Pharma)で開発されたカルボキシデキストランで被覆された超常磁性酸化鉄の親水性コロイドからなる造影剤。2010年4月現在、リゾビスト、Resovist の商品名・商標でスウェーデンおよび日本で製造販売されている[1][2][3]。
目次
- 1 効能・効果
- 2 作用機序
- 3 組成
- 4 副作用
- 5 臨床成績
- 6 関連項目
- 7 脚注
- 8 参考文献
効能・効果
磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の局在診断のための肝臓造影[4](ただし、スウェーデンにおいては非造影検査で明確な所見が得られなかった場合に限定して使用が承認されている)[2]
作用機序
本剤は肝臓のクッパー細胞に取り込まれるが、肝臓の悪性腫瘍の多くはクッパー細胞が存在しないため、非腫瘍部位と腫瘍部位との間にMRIでの画像上コントラストを生じる[5]。
組成
- γ-酸化鉄:γ-Fe2O3
- カルボキシデキストラン:C6H11O6-(C6H10O5)n-C6H11O5[6]
副作用
副作用発現率:2.8%(15/542:日本における承認時)[3]
- 鼻出血、熱感、倦怠感(各0.4%)
- 発疹、発赤、蕁麻疹、嘔気、後頭部痛、灼熱感、頭痛、手のしびれ、下肢のしびれ、冷汗、血圧上昇、腰痛、背部痛、胸膜刺激症状(各0.2%)
- 潮紅、嘔吐、多汗、虚脱、血圧低下(頻度不明)[7]
アレルギー患者、薬物過敏症の患者では副作用の発現率が3倍程度となる可能性がある[8][9]。
臨床成績
第II相臨床試験における肝腫瘍94例に対する有効率(有効以上):82%(肝細胞癌:84%、胆管細胞癌:100%、転移性肝癌:92%、その他(血管腫等):43%)[3]。
関連項目
脚注
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p1。
- ^ a b 富士フイルムRIファーマ、p27。
- ^ a b c “MRI用肝臓造影剤:リゾビスト注(フェルカルボトラン注射液) (PDF)”. 医薬品医療機器総合機構 (2010年4月). 2010年4月12日閲覧。
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p7より引用。
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p10。
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p2。
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p17。
- ^ “造影剤使用時の安全管理で試案作成:日本医学放射線学会・医療事故防止委員会”. MMI Medical News (2008年4月3日). 2010年2月14日閲覧。
- ^ 富士フイルムRIファーマ、p15。
参考文献
- “医薬品インタビューフォーム:MRI用肝臓造影剤:リゾビスト注(フェルカルボトラン注射液) (PDF)”. 富士フイルムRIファーマ (2010年4月). 2010年4月12日閲覧。
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Japanese Journal
- VD-011-5 リゾビストを用いた新しいセンチネルリンパ節生検の試み(乳腺,一般ビデオ,第110回日本外科学会定期学術集会)
- 塩澤 幹雄,平嶋 勇希,栗原 克己,佐田 友藍,勝部 乙大,穂積 康夫,Lefor Alan,安田 是和
- 日本外科学会雑誌 111(臨時増刊号_2), 281, 2010-03-05
- NAID 110007715767
- WS-2-10 リゾビストによる電磁誘導焼灼治療と免疫反応を組み合わせた多発がん結節治療の試み(癌宿主応答から見た癌治療の最前線,ワークショップ,第109回日本外科学会定期学術集会)
- 高木 美那子,小田 竜也,山田 圭一,橋本 真治,村田 聡一郎,大河内 信弘
- 日本外科学会雑誌 110(臨時増刊号_2), 159, 2009-02-25
- NAID 110007165525
Related Links
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- リゾビスト注,フェルカルボトラン注射液 ... 薬効 7290 その他の診断用薬(体外診断用医薬品を除く) 一般名 フェルカルボトラン注射液 英名 Resovist 剤形 注射液
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
リゾビスト注
組成
内容量(mL)
成分・含量
- 1瓶(1.6mL)中,フェルカルボトラン864mg(鉄として44.6mg)含有
添加物
- D-マンニトール64mg,pH調整剤(L-乳酸,水酸化ナトリウム)適量
禁忌
- 本剤の成分又は鉄注射剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 一般状態の極度に悪い患者
- ヘモクロマトーシス等鉄過剰症の患者[本剤の鉄により症状が悪化するおそれがある.]
- 出血している患者[出血症状を悪化させるおそれがある.]
効能または効果
- 磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の局在診断のための肝臓造影
- 通常,成人には本剤0.016mL/kg(鉄として0.45mg/kg=8μmol/kg)を静脈内投与する.ただし,投与量は1.4mLまでとする.過剰量の投与あるいは追加投与はしないこと.
慎重投与
- 本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を有する患者
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 貧血治療のため鉄剤を投与している患者[鉄過剰症を起こすおそれがある.]
- 出血傾向のある患者(抗血小板剤,血液凝固阻止剤等を投与中の患者を含む)[出血傾向を増強するおそれがある.]
- 発作性夜間血色素尿症の患者[溶血を誘発するおそれがある.]
重大な副作用
ショック,アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック,アナフィラキシー様症状(呼吸困難,顔面浮腫,発赤等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,必要に応じ適切な処置を行うこと.
薬効薬理
作用機序
- コロイド液であるフェルカルボトラン中のカルボキシデキストランで被覆された超常磁性酸化鉄微粒子は,投与後速やかに主として肝のクッパー細胞に取り込まれ,組織中のプロトンの横緩和時間(T2)を短縮してMR信号を低下させることにより,磁気共鳴コンピューター断層撮影におけるコントラスト増強効果を発揮する5).
造影効果
- ラットの正常肝及び肝炎や肝硬変を発症した肝において,造影効果を示す肝の信号強度の低下が認められた6,7).
ラットの転移性肝癌及び原発性肝癌モデルにおいて,腫瘍部と非腫瘍部とのコントラストが増加した8,9).原発性肝癌モデルにおいて,良性結節では鉄粒子の取り込みを示す信号強度の低下が認められたが,肝癌では信号強度は低下しなかった9).
マウス原発性肝癌モデルにおいて,特に微小な腫瘍の検出能が向上した10).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
本質
- カルボキシデキストランで被覆された超常磁性酸化鉄の親水性コロイド液
Hydrophilic Colloidal Solution of Superparamagnetic Iron Oxide Coated with Carboxydextran
分子式
- γ-Fe2O3/C6H11O6-(C6H10O5)n-C6H11O5
性状
- 本品は赤褐色の液である.
本品は水と混和し,エタノール(95)又はジエチルエーテルと混和しない.本品は塩酸又は硫酸/水混液(1:1)に溶け,水浴上で加温するとき硝酸に溶け,アンモニア水(28)に溶けない.
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商品
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