出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/02 03:48:15」(JST)
この項目では、主にビットマップ画像の解像度について説明しています。
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解像度(かいぞうど)とは、ビットマップ画像における画素の密度を示す数値である。
すなわち、画像を表現する格子の細かさを解像度と呼び、一般に1インチをいくつに分けるかによって数字で表す。
単位は一般にドット・パー・インチ(dpi)である。類似の概念にピクセル・パー・インチ(ppi)、ライン・パー・インチ(lpi)があり、前者は走査線によるスキャナ等の性能表記で、後者2つは微細な線の集合により面として印刷や表示をする物において主に使用される。それぞれの単位については各項目を参照。これらの値を直接に比較することは出来ない。これらの単位の他に一般に目にする事はないがピクセルズ・パー・メートル(ppm)という単位が存在する。こちらは、ビットマップ画像やPNGといった画像形式の内部で使用される。大半の画像表示ソフトではppm単位をppi単位に変換して表示する事が殆どであるため、目にすることは稀である。
本来の解像度とは観測対象がどこまで詳しく測定(描写)されているか、別の言い方をすれば、異なる対象がどこまで分離されているかを意味する。dpiは明確に定義された物理量であるドットの密度を表す単位であり、画面の大きさによる相対的な密度としての意味を持つ解像度という用語の使用は本来の使用方法ではない。上図「解像度の違い」を例に、その問題点を明らかにしておく。
この図「解像度の違い」は一見して明らかに、右端の図が最も物理的解像度が高い。しかしながら、我々は画面上で同一 dpi での表示を観ており、画面の大きさによる(相対的)画素数は(物理的)解像度とは意味が異なる。この図を、アナログ銀塩写真(右側ほどピントが合っている)をイメージスキャナの同一 dpi で取り込んだビットマップ画像と考えてもよい。右端以外の画像をどんなに高 dpi でモニタ表示、印刷しても右端以上の(物理的)高解像度にはならない。
このような紛らわしさは物理的な解像度と画像の大きさに関与する相対的解像度について、「解像度」が使用されていることによる。 しかしながら、物理的解像度は dpi、画像の大きさに関与する相対的解像度については画素数と画面の物理的大きさを示す単位(インチ)の組み合わせが用いられている。
かつてのコンピュータディスプレイは、インパクトプリンターからCRT(ブラウン管)を用いる表示に移行し、CRTの技術的な制約から、画面の中央部は画面の左右端に比べ、解像度が低かった。 このように一様ではない表示解像度が主流の時代には、文字列表示(キャラクターディスプレイ)が中心であったので、物理的な解像度の差は問題とされなかった。また、一様性のもとめられるグラフィックディスプレイには、ベクタースキャン型の特殊な装置を用いていた。その後、グラフィカルユーザインタフェースに用いるため、縦横が正方形となるドット表示性能がCRTに求められた。 消費者向けディスプレイでは、Apple Macintoshがグラフィカルユーザインタフェースを先導し、80-100dpi程度の性能をもつCRTに余裕をもった設定で、「1ポイント=1ドット」の割り当てをおこない、72dpiの正方形ドットを表現することとした。現在でもディスプレイ表示は、正方形表示を基本に作られる事が多い。しかし、CRTの最終期には性能が上がり、コンピュータディスプレイは100〜150dpiの解像度を持つようになった。Microsoft Windowsは、96dpiの性能を前提とした設定となった。 近年は、液晶ディスプレイが主流となったため、画面上均一の解像度を得ることが可能となったことから、あらためて解像度の高さが着目されている。 OSXやiOSといったOSでは、GUIの制御にドット単位(物理単位)ではなくポイント単位(論理単位)を使用している(どのディスプレイでもGUIを物理的に同程度の大きさに出来る)。このためディスプレイのdpiの違いにより同じ大きさの文字が明瞭であったり荒くなるといった事が起きる。同様に、androidやwindows8以降では、論理的なドット単位を設定している。
印刷物の解像度は印刷方式などにもよるが、一般的な家庭用では300〜600dpi程度、商業印刷物では600dpi~2400dpiの解像度を持つ事が多い。ただし、プリンタでは解像度とはドットの中心のずれ量をあらわしているため、その解像度で印刷しても分離した個々のドットを見ることができるとは限らない。
解像度は、本来は画像を表示したり印字したりするデバイスの特性により定まるパラメータである。このため、画像データそのものに付加される解像度の情報は、「この解像度で表示してほしい」または「この解像度で表示すると原寸になる」などという補助情報でしかない。
多くの場合、横方向の解像度と縦方向の解像度は同じであるため、解像度は一つの数値で示されるが、印刷用の画像データや通信用の画像データなどでは横方向と縦方向で解像度が異なる事がある。つまり、1個の画素の横幅と縦の長さが異なる状態で表示する事により意図した画像の形状になるのである。この時の横と縦の解像度の比率を「ピクセルアスペクト(pixel aspect)」と呼ぶことがある。ただし、同じ言葉が画像の縦横の画素数の比を示す時にも用いられている。
放送分野で多く用いられているYUVフォーマットでは、各画素の色は輝度情報Yと色差情報Cr、Cbという3つのパラメータで示されるが、通信上のデータ量を減らすために色差情報は輝度情報の半分の解像度にするということがしばしば行なわれている。
また、1点ごとに何種類の色を持つ事ができるかを色深度、色解像度または色分解能と呼ぶ。色解像度は多くの場合、光の三原色である「赤・緑・青」のそれぞれの基本色の強さを何段階で表現できるかによって示される。また、この段階数の2の対数を用いてビット数として表現する事が多い。例えば、色解像度の高いデータとして現在広く用いられている24ビットトゥルーカラーと呼ばれるビットマップ画像の場合、各色256段階の色解像度を持つ。これは各色8ビット、合計24ビットの色解像度であると表現される。
人間の目は光の三原色のうち青に対する感度が弱い事が知られている。このため、赤・緑に較べて青の色分解能は低くても画質に与える影響が少ない。このことより、赤・緑に6ビットずつと青に4ビットの計16ビットで色を表現したり、赤・緑に3ビットずつと青に2ビットの計8ビットで色を表現するという事もしばしば行なわれる。これらの色表現は16ビットトゥルーカラー、8ビットトゥルーカラーと呼ばれる事がある。また、赤と青に5ビットずつ、緑に6ビットを割り当てたものや赤・緑・青に5ビットずつ割り当てたものはハイカラー (high color)と呼ばれる。
一般には、人間の目はおよそ1000万色を見分ける能力があると言われている。色解像度が24ビットあると、224=16,777,216色を表現できる事になり、これは人間の目の特性を超える。しかし、上記のように色によって人間の目の色分解能は異なり、赤は10ビット程度無いと足りないとする研究結果もある。このため、映画用の画像作成などの色再現性を重視する場合には、赤・緑・青それぞれに10ビットずつを割り当てた30ビットの色解像度をもつデータを用いる事もある。
解像度とは本来は上記の通り画素密度を示す値であるが、画像の画素数を示す言葉としても使れている。これは、テレビの水平解像度の概念に由来するためである。
画面解像度を参照。
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