- 英
- purple urine bag syndrome, PUBS]
概念
- uptodate
- まれにウロバックが紫色に変色するとがあるが、パープルウロバック症候群と呼ばれる
- 着色尿の原因は尿に含まれる物質が分解されることによって、色素が生成される事による
- 腸管の細菌叢がアミノ酸トリプトファンを分解するとインドールが生成する。
- インドールは吸収されて門脈循環にのり硫酸インドールが産生される。
- 硫酸インドールは尿中に排泄され、アルカリ尿かつ適切な酵素(インドールスルファターゼ、インドールフォスファターゼ)がある時にインドキシルに分解される。
- この分解産物はインジゴやインジルビンとよばれるもので、それぞれ青や赤を呈する。
- これらを産生する酵素を持つ細菌は、Providencia属やクレブシエラ属、プロテウス属が含まれる
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/09/23 11:26:09」(JST)
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紫色採尿バッグ症候群 (むらさきいろさいにょうバッグしょうこうぐん、英: Purple urine bag syndrome, PUBS) は主に長期病臥中で尿道カテーテルを長期留置している患者に見られ、採尿バッグ(蓄尿バッグ)が紫色に染められる現象である。紫色畜尿バッグ症候群、紫色尿バッグ症候群、とも言う。尿中のインジカンが細菌によって色素になり、その色素が採尿バッグを染め上げる。尿道カテーテルの長期留置・慢性便秘・尿路細菌感染が重なると多いが、様々な例が報告され機序不明例もある。尿が紫色な訳ではなく、尿自体は黄色である。尿に含まれる色素が採尿バッグに付着していき紫色になっていく。
概要
1978年、Barlowらが、尿路変更を行った患者ではじめて報告している。尿路感染症を伴っていたその患者では採尿バッグがときどき紫色に染められ、同年にはPayne, Sammondsらによっても同様な報告がされた。これらの報告では、老人施設ではよくあることであり、ほとんどは寝たきりでかつ女性に多いとされている[1]。1988年にはDeallerらによって、一部の菌種が有するサルファターゼ(硫酸エステル加水分解酵素)によって、尿中のインジカンが色素であるインジゴに変化し、採尿バッグが着色すると解明された[2]。
典型例での機序は、慢性便秘によって腸内細菌が異常増殖し、必須アミノ酸であるトリプトファンが有害なインドールに変えられる。腸から吸収されたインドールは肝臓において硫酸抱合後、無害なインジカンに変えられ尿に排出される。この際、尿路に細菌がいると細菌によってインジカンはインジゴブルー・インジルビン(インジゴレッド)などの色素に変わり、その色素が採尿バッグを変色させる[2][3]。色素は青色であるインジゴブルーと赤色であるインジゴビンによるが、これらの割合によって青が強くなったり赤が強くなったりしうる[1]。インジゴ青、インジゴ赤以外の色素も検出されている[4]。尿色は淡黄色で悪臭を放つ[2]。
女性に多いとされているが、症例報告によっては男性のPUBSが多く報告されているものもあり[5]、すべての症例で尿はアルカリ性を示し、着色の機序に関係している可能性が指摘されている[2][5]。
色素の産生
色素が生まれるのは、尿中のインジカンが、インドキシルホスタファーゼ活性またはサルファターゼ活性を持つ細菌によって合成されるからである[3]。その細菌はEnterococcus属の物が多いという報告もあるが、PUBSを起こしうるインドキシルホスタファーゼ活性を持つ細菌の種類は多く[2]、また治療の結果などにより原因菌種が交代することもあり必ずしも一定ではない[1]。
原因菌として下記が挙げられている[6]。
- Providencia stuartii - プロビデンシア属日和見感染菌
- Klebsiella pneumoniae - 肺炎桿菌
- Enterobacter agglomerans - パントエア菌(英語版)、日和見感染菌
原因・治療
抗生物質の投与によって細菌が減少もしくは菌種が交代することにより採尿バッグの着色が改善されたとする報告があるが、中には治療後にも着色現象が不変であったり、尿中インジカンが検出されないのに採尿バッグが着色するケースなどもあり、着色の機序はひとつだけではないことが示唆されている[1][2][3]。
PUBSにおいて着色現象そのものでなく、治療の対象とはならないが[6]、その背景になりうる便通のコントロールや、寝たきり、カテーテル長期留置、細菌感染などに対する予防医学の重要性が指摘されている[2]。
脚注
- ^ a b c d 峯山浩忠 他「採尿バッグの赤紫化」『臨床泌尿器科』Vol.47 No.10、医学書院、1993年、pp.789-790
- ^ a b c d e f g 中嶋孝 他「紫色採尿バッグ症候群14症例の検討」『臨床泌尿器科』Vol.61 No.2、医学書院、2007年、pp.155-158
- ^ a b c 中村広「インジカン」『広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(第7版)1-その数値をどう読むか-』日本臨牀 67巻 増刊8、日本臨牀社、2009年、pp.161-163
- ^ 柳川容子、安藤高夫、島村忠勝 「紫色畜尿バッグ症候群に関する新しい色素の検出 (PDF) 」 『感染症学雑誌』第77巻第1号、2003年、 10-17頁。
- ^ a b 津村 秀康 他「Purple Urine Bag Syndromeの臨床像に関する検討」『泌尿器外科』Vol.18臨時増刊号、医学書院、2005年、p.524
- ^ a b CQ27 Purple urine bag syndromeは治療すべきか? Minds ガイドラインライブラリ(公益財団法人日本医療機能評価機構)
UpToDate Contents
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- 1. 成人における尿道カテーテル関連尿路感染症catheter associated urinary tract infection in adults [show details]
…either bacteriuria or a UTI . Rarely, purple discoloration of the urine, collection bag, and tubing (purple urine bag syndrome [PUBS]) can occur due to metabolic byproducts of certain bacteria that may …
- 2. 腎疾患の診断における尿検査urinalysis in the diagnosis of kidney disease [show details]
…sample represents recently produced urine and to avoid contamination of the sample by debris in the collection bag. The specimen should be examined at room temperature within two hours of retrieval. If this … apparent after the urine stands for some time, permitting the oxidation of homogentisic acid. Purple urine, which may be due to bacteriuria in patients with urinary catheters . These and other urine …
- 3. シスチン結石cystine stones [show details]
…Urinary cystine excretion should be quantified in a 24-hour urine collection; however, in younger children, a 24-hour urine collection may not be practical, in which case a spot urine cystine-to-creatinine …
- 4. キノコ中毒の臨床症状および評価clinical manifestations and evaluation of mushroom poisoning [show details]
- 5. 妊婦の蛋白尿の評価とネフローゼ症候群のマネージメントevaluation of proteinuria in pregnancy and management of nephrotic syndrome [show details]
…frequently inaccurate due to under-collection or over-collection . Thus, when interpreting the results of a 24-hour urine collection, it is critical to assess the adequacy of collection by quantifying the 24-hour …
Japanese Journal
- <I>Escherichia coli, Morganella morganii</I>両菌種共存による紫色採尿バッグ症候群の3症例
- Escherichia coli, Morganella morganii 両菌種共存による紫色採尿バッグ症候群の3症例
Related Links
- 紫色採尿バッグ症候群(ししょくさいにょうばっぐしょうこうぐん、purple urine bag syndrome〈PUBS〉)とは、採尿バッグ(蓄尿バッグ)が紫色に染められる現象のことである。
- 紫色採尿バッグ症候群は、便秘などによってアミノ酸が分解されたものが腸管から再吸収され、肝臓で代謝されてインジカンになります。インジカンが腎臓から排出されたのち、細菌によってインジゴブルーなどになるため、尿が青色やピンク、紫に着色されることで起きるとされています。
- 尿道カテーテルから出た尿が溜まる袋である「畜尿バッグ」が紫色に染まる事から、この現象は「紫色尿バッグ症候群」と呼ばれています。
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★リンクテーブル★
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紫色採尿バッグ症候群
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- urine
- ラ
- urina
- 関
- 尿浸透圧、尿量
臨床関連
尿中への代謝物質の異常排出
尿の色
- 決定する要素:ウロビリノゲン、ヘモグロビン、ミオグロビンなど
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候