- 英
- levofolinate, l-LV
- 化
- レボホリナートカルシウム, calcium levofolinate, levofolinate calcium
- 商
- アイソボリン
- 関
- 葉酸、ロイコボリン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/19 21:08:00」(JST)
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レボホリナートカルシウム
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
識別 |
ATCコード |
V03AF04 |
KEGG |
D04715 |
化学的データ |
化学式 |
C20H21N7O7. Ca |
レボホリナート (Levofolinate)、レボホリナートカルシウム (Levofolinate calcium) とは、フォリン酸の 6S 体のカルシウム塩。抗癌剤 フルオロウラシル (5-FU) の効果を増強させる薬剤である。
レボホリナートカルシウムの注射剤が医薬品として使われる。商品名はアイソボリン(Isovorin、ワイス・武田薬品)。
効能・効果
胃癌、結腸・直腸癌への抗癌剤治療薬フルオロウラシル(商品名:5-FUなど)の効果を高める。この薬自身に抗がん作用はないが、フルオロウラシルと共に細胞に作用し、フルオロウラシルの働きを高めるので併用される。
作用機序
フルオロウラシルは、その活性代謝物フルオロデオキシウリジン一リン酸 (FdUMP) がDNA合成に必要なチミジル酸合成酵素 (TS) に結合し、その活性を阻害することにより抗腫瘍効果をあらわしている。
一方、レボホリナートは体内で還元されて、FdUMP および TS と強固に結合する。つまりレボホリナートは、フルオロウラシルがTSの活性を阻害する作用を強めることにより、抗腫瘍効果を増強させる作用がある。
Japanese Journal
- P1-134 レボホリナートの先発品及び後発品における有効性及び安全性に関する調査(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(外来化学療法),医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 藤井 宏典,飯原 大稔,渡邊 千尋,石原 正志,小森 善文,松浦 克彦,後藤 千寿,高橋 孝夫,吉田 和弘,伊藤 善規
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 19, 315, 2009-09-15
- NAID 110007484770
- P1-128 高規格レボホリナート製剤導入に伴う混合時間短縮効果について(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(外来化学療法),医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 齋藤 雅俊,月野木 祥子,樋口 敬子,小林 彦登,齊藤 太寿,松本 忍,宮下 博幸,伊東 崇仁,引間 有香,柴田 壮一,貝沼 潤,原田 幸一郎
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 19, 314, 2009-09-15
- NAID 110007484764
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- 通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射開始1時間後にフルオロウラシルとして1回600mg/m2(体表面積)を3分以内で緩徐に静脈内注射する。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アイソボリン点滴静注用100mg
組成
1バイアル中:
有効成分
- レボホリナートカルシウム 108.0mg(レボホリナートとして 100.0mg)
添加物
禁忌
- 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制の増悪により重症感染症を併発し、致命的となることがある。]
- 下痢のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし致命的となることがある。]
- 重篤な感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪し、致命的となることがある。]
- 多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]
- 重篤な心疾患又はその既往歴のある患者[症状の増悪又は再発により、致命的となることがある。]
- 全身状態が悪化している患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]
- 本剤の成分又はフルオロウラシルに対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者[「相互作用」の項参照]
効能または効果
レボホリナート・フルオロウラシル療法
- 胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
- 結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
レボホリナート・フルオロウラシル療法
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射開始1時間後にフルオロウラシルとして1回600mg/m2(体表面積)を3分以内で緩徐に静脈内注射する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
なお、下痢、重篤な口内炎、重篤な白血球減少又は血小板減少のみられた患者では、それらの所見が回復するまで本療法を延期する。本療法を再開する場合には、フルオロウラシルの減量や投与間隔の延長等を考慮する。
レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人400mg/m2(体表面積)を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして600mg/m2(体表面積)を22時間かけて持続静脈内注射する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人2600mg/m2(体表面積)を24時間かけて持続静脈内注射する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
- 通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人400mg/m2(体表面積)を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして2400〜3000mg/m2(体表面積)を46時間かけて持続静脈内注射する。これを2週間ごとに繰り返す。
なお、下痢、重篤な口内炎、重篤な白血球減少又は血小板減少のみられた患者では、それらの所見が回復するまで本療法を延期する。本療法を再開する場合には、フルオロウラシルの減量や投与間隔の延長等を考慮する。
- レボホリナートを投与する際には、10〜15mLの5%ブドウ糖液、生理食塩液又は電解質維持液等の溶解液を用いてレボホリナートの各バイアル内容物を溶解・採取した後、同一の溶解液を用いて全量を200〜500mL(レボホリナートとして約0.75mg/mL)とし点滴静脈内注射する。
慎重投与
- 骨髄抑制のある患者[骨髄抑制の増悪により重症感染症が併発することがある。]
- 感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪することがある。]
- 心疾患又はその既往歴のある患者[症状を増悪又は再発させることがある。]
- 肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 高度に進行した肝転移のある患者[血小板減少があらわれることがある。]
- 消化管潰瘍又は出血のある患者[症状を増悪させることがある。]
- 水痘患者[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 他の化学療法、放射線治療を受けている患者[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
- 前化学療法を受けていた患者[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
重大な副作用
激しい下痢(5%以上)
- 激しい下痢があらわれ、脱水症状にまで至ることがあるので、観察を十分に行い、下痢があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。
重篤な腸炎(頻度不明)
- 出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
骨髄抑制(頻度不明)
- 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等の骨髄抑制があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
白質脳症、精神・神経障害(頻度不明)
- 白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症(いずれも頻度不明)
- うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明)
- 急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
消化管潰瘍(頻度不明)、重篤な口内炎(0.1〜5%未満)
- 消化管潰瘍、重篤な口内炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
手足症候群(頻度不明)
- 手足症候群(手掌、足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと。症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
嗅覚脱失(頻度不明)
- 嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高アンモニア血症(頻度不明)
- 意識障害を伴う高アンモニア血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性膵炎(頻度不明)
- 急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、溶血性貧血(頻度不明)
- フルオロウラシルの類似化合物(テガフール等)で劇症肝炎、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、溶血性貧血があらわれることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍効果増強作用
in vitro試験4)
- ヒト結腸・直腸癌細胞(COLO201)、ヒト胃癌細胞(TMK-1,KATOIII,MKN28)に対し20μM濃度のレボホリナートを用いたin vitro試験で、フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強作用が認められている。
in vivo試験5,6)
- ヒト大腸癌Co-4細胞及びヒト胃癌H-111細胞を移植したヌードマウスに対し、レボホリナート(200mg/kg)とフルオロウラシル(90mg/kg)の併用で腫瘍細胞増殖抑制効果を示す。
作用機序
- レボホリナートは、Biochemical Modulationによりフルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。フルオロウラシルは活性代謝物であるフルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)が、チミジル酸合成酵素(thymidylate synthase:TS)と結合し、TS活性を阻害することにより、チミジル酸合成を抑制しDNA合成を阻害する。レボホリナートは細胞内で還元され、5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-CH2-THF)となる。この5,10-CH2-THFはFdUMP、TSと強固な三元複合体(ternary complex)を形成し、TSの解離を遅延させることにより、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- レボホリナートカルシウム(Levofolinate Calcium)
化学名
- Monocalcium N-(4-{[(6S)-2-amino-5-formyl-1,4,5,6,7,8-hexahydro-4-oxopteridin-6-yl]methylamino}benzoyl)-L-glutamate
分子式
分子量
融点
旋光度
- [α]20D:−15〜−19゜
(脱水物に換算したもの0.250g,0.2mol/Lトリス緩衝液pH8.1,25mL,100mm)
性状
- 本品は淡黄白色〜淡黄褐色の結晶性の粉末で、におい及び味はない。本品は水にやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- antidote
- 関
- 解毒薬
商品
[★]
- 英
- folinate
- 化
- ホリナートカルシウム, calcium folinate
- 商
- ロイコボリン、ユーゼル
- 関
- フォリン酸