- 英
- folinic acid
- 関
- ロイコボリン、ホリナートカルシウム
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/22 18:22:51」(JST)
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フォリン酸
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2S)-2-{[4-[(2-amino-5-formyl-4-oxo-5,6,7,8-
tetrahydro-1H-pteridin-6-yl)methylamino]
benzoyl]amino}pentanedioic acid |
臨床データ |
商品名 |
ロイコボリン (Leucovorin) |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 |
経静脈, 経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
用量依存性:
- 97% (25mg)
- 75% (50mg)
- 37% (100mg)
|
血漿タンパク結合 |
~15% |
半減期 |
6.2 時間 |
排泄 |
尿 |
識別 |
CAS番号 |
1492-18-8 |
ATCコード |
V03AF03 |
PubChem |
CID 54575 |
DrugBank |
APRD00698 |
ChemSpider |
5784 |
UNII |
RPR1R4C0P4 |
ChEMBL |
CHEMBL1679 |
化学的データ |
化学式 |
C20H23N7O7 |
分子量 |
473.44 g/mol |
SMILES
- O=C(O)[C@@H](NC(=O)c1ccc(cc1)NCC3N(/C2=C(/N/C(=N\C2=O)N)NC3)C=O)CCC(=O)O
|
InChI
-
InChI=1S/C20H23N7O7/c21-20-25-16-15(18(32)26-20)27(9-28)12(8-23-16)7-22-11-3-1-10(2-4-11)17(31)24-13(19(33)34)5-6-14(29)30/h1-4,9,12-13,22H,5-8H2,(H,24,31)(H,29,30)(H,33,34)(H4,21,23,25,26,32)/t12?,13-/m0/s1
Key:VVIAGPKUTFNRDU-ABLWVSNPSA-N
|
物理的データ |
融点 |
245 °C (473 °F) decomp |
レボホリナートカルシウム
臨床データ |
法的規制 |
?
|
識別 |
ATCコード |
V03AF04 |
KEGG |
D04715 |
化学的データ |
化学式 |
C20H21N7O7. Ca |
フォリン酸(フォリンさん、英: folinic acid、国際一般名: folinic acid)は、ふつうカルシウム塩またはナトリウム塩として、メトトレキサートを含む癌化学療法の際に投与される。[1] また、フォリン酸はチミジル酸シンターゼ阻害薬としての5-FUの作用を増強する効果もある。
生物学的に活性があるのはL体のみであり、レボフォリン酸という場合には全ての分子がL体であるものを指す。
フォリン酸は1948年にシトロボラム因子として発見され、現在でもその名称で呼ばれることがある。[2] フォリン酸(folinic acid)は、英語圏では時に葉酸(folic acid)と混同されることがある。フォリン酸は葉酸とは異なるものであるが、体内で容易に代謝されて葉酸の活性型であるメチレンテトラヒドロ葉酸となるため、生物学的活性は葉酸とよく似ている。
目次
- 1 シトロボラム因子の発見
- 2 フォリン酸救援療法
- 3 その他の用法
- 4 投与上の注意
- 5 医薬品としてのフォリン酸
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
シトロボラム因子の発見
1948年に、SauberlichとBaumannは、細菌Leuconostoc citrovorumの培養に必要な因子として「シトロボラム因子」を発見した。 当初はこの分子の構造は不明であったが、実験的には葉酸がアスコルビン酸存在下で肝細胞により代謝された産物として報告された。 また、このシトロボラム因子合成系に蟻酸ナトリウムを加えると、上清中のシトロボラム因子活性が上昇することが発見された。 今日では、これは5-ホルミル誘導体の収量が増加するためであるとして理解されている。 この処理によりシトロボラム因子の大量生産が可能となり、その構造が5-ホルミルテトラヒドロ葉酸であることが同定されるに至った。
フォリン酸救援療法
メトトレキサートはジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬である。すなわち、ジヒドロ葉酸がテトラヒドロ葉酸に還元されることを妨げることにより、核酸合成のde novo経路を阻害し、細胞の増殖を抑止するものである。フォリン酸救援療法とは、ある種の腫瘍に対してメトトレキサートを大量に投与する一方で少量のフォリン酸を投与すると、正常細胞はフォリン酸の作用によりメトトレキサートから「救援」され、腫瘍細胞が選択的に傷害されるというものである。
フォリン酸はテトラヒドロ葉酸の5-ホルミル誘導体である。フォリン酸は体内で容易にテトラヒドロ葉酸に代謝され、葉酸と同程度にビタミンとしての活性を発揮する。フォリン酸救援療法は、フォリン酸はジヒドロ葉酸レダクターゼの作用を受けずに活性化することから、古典的には、フォリン酸が葉酸の代わりに補酵素として用いられることがフォリン酸救援療法の基礎であると考えられていた。
しかし1980年代に、フォリン酸はメトトレキサートによるジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を解除することが報告された。詳細な機序は不明であるが、メトトレキサートやジヒドロ葉酸がポリグルタミル化されている場合にはフォリン酸による救援が行われないことが知られている。正常な細胞ではポリグルタミル化はあまり行われていないが、一部の腫瘍細胞では顕著なポリグルタミル化が行われており、このことがフォリン酸救援療法の基礎であると考えられるようになった。[3]
臨床的には、メトトレキサート投与後に適切な間隔をあけてからフォリン酸が投与される。これにより骨髄や消化管粘膜上皮細胞がメトトレキサートの毒性から「救援」されることを期待するものである。メトトレキサートによる既存の腎傷害に対しては救援効果がないことが報告されている。[4]
フォリン酸は厳密にはメトトレキサートの解毒剤とはいえないが、メトトレキサートの過剰投与に対する治療としては有効である。投与プロトコルは複数提唱されているが、いずれにせよメトトレキサートの血中濃度が5 x 10−8 M以下になるまでフォリン酸を反復投与する必要がある。[5]
その他の用法
フォリン酸は大腸癌の治療に際して5-FUと共に投与されることがある。この場合、フォリン酸は「救援」ではなく5-FUによるチミジル酸シンターゼ阻害作用を増強する目的で用いられる。すなわち、フォリン酸は5-FUおよびチミジル酸シンターゼと三元複合体を作ることで安定化する。[6]
また、フォリン酸はジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害する抗生物質を高用量で投与する際に毒性を緩和する目的で使用されることがある。こうした抗生物質にはトリメトプリムやピリミタミンが該当する。たとえばトキソプラズマ症に際してピリメタミンやスルファジアジンと共に投与される。
フォリン酸にはD体とL体の光学異性体があるが、薬理学的に活性を有するのは後者のみである。従って米国FDAは2008年にレボロイコボリンを承認した。[7]
フォリン酸はダウン症候群治療薬として検討されたこともあるが、特に効果は認められなかった。[8]
投与上の注意
フォリン酸を髄腔内投与してはならない。なぜならば、深刻な有害作用を生じ、死に至ることもあるからである。[9]またフォリン酸は胎児の免疫系を弱体化させる恐れがあるため、妊婦に投与してはならない。
また、過敏症やアナフィラキシーを来すことがある。
医薬品としてのフォリン酸
以下のカルシウム塩が医薬品として用いられる。
- カルシウム塩(ロイコボリン、Leucovorin) CAS登録番号 [1492-18-8]
- カルシウム塩五水和物 CAS登録番号 [6035-45-6]
- 6S体、カルシウム塩(レボホリナート、Levofolinate) CAS登録番号 [80433-71-2]
参考文献
- ^ Keshava C, Keshava N, Whong WZ, Nath J, Ong TM (February 1998). "Inhibition of methotrexate-induced chromosomal damage by folinic acid in V79 cells". Mutat. Res. 397 (2): 221–8. doi:10.1016/S0027-5107(97)00216-9. PMID 9541646.
- ^ http://www.jbc.org/content/200/1/223.full.pdf Citrovorum factor discovery
- ^ Goldman ID, Matherly LH (1987). "Biochemical Factors in the Selectivity of Leucovorin Rescue: Selective Inhibition of Leucovorin Reactivation of Dihydrofolate Reductase and Leucovorin Utilization in Purine and Pyrimidine Biosynthesis by Methotrexate and Dihydrofolate Polyglutamates". NCI monographs 5: 17–26. PMID 2448654.
- ^ Therapeutic Information Resources Australia (2004). Calcium Folinate (Systemic) in AUSDI: Australian Drug Information for the Health Care Professional. Castle Hill: Therapeutic Information Resources Australia.
- ^ http://www.cancercare.on.ca/pdfdrugs/leucovo.pdf
- ^ 『腫瘍薬学』 川西正祐, 中瀬一則, 大井一弥、南山堂、2010年。ISBN 978-4-525-72651-5。
- ^ Drugs.com (2008年5月7日). “FDA Approves Levoleucovorin”. 2009年6月7日閲覧。
- ^ Ellis JM, Tan HK, Gilbert RE, et al (March 2008). "Supplementation with antioxidants and folinic acid for children with Down's syndrome: randomised controlled trial". BMJ 336 (7644): 594–7. doi:10.1136/bmj.39465.544028.AE. PMC 2267988. PMID 18296460.
- ^ Jardine, LF et al (1996). "Intrathecal Leucovorin After Intrathecal Methotrexate Overdose". J Pediatr Hematol Oncol 18 (3): 302–304. doi:10.1097/00043426-199608000-00014. PMID 8689347.
外部リンク
- U.S. National Library of Medicine: Drug Information Portal - Folinic acid
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 8.大腸癌化学療法・免疫療法(<特集>原発巣からみた転移性肝癌に対する治療方針)
- Q群Streptococci : (I)既知腸内球菌との環境学的, 血清学的および生理学的異同 : (II)栄養学的特性とチミン, 葉酸, フォリン酸との関係
Related Links
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- フォリン酸(ロイコボリン)の投与によってメソトレキセートの大量投与が可能になった。 またフォリン酸とフルオロウラシルの併用がフルオロウラシル単独投与よりも治療効果 が高いということも分かってきた。またacute emesisの治療薬が開発されることにより、 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- folinate
- 化
- ホリナートカルシウム, calcium folinate
- 商
- ロイコボリン、ユーゼル
- 関
- フォリン酸
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義