- 英
- beclomethasone、(欧州)beclometasone
- 化
- プロピオン酸ベクロメタゾン、beclometasone dipropionate beclomethasone dipropionate
- 商
- ベコタイド(吸入)、アルデシン(エアゾル)、リノコート(鼻腔用吸入カプセル)、Beconase AQ
- アルデシン、アルベゾン、アルロイヤー、キュバール、サルコート、タウナスアクア、ナイスピー、ナナドラ、プロパデルム、ベクラシン、ベクローゼ、ペンブリン、マイリー、リノコート
- 関
- ジプロピオン酸ベクロメタゾン
- 耳鼻科用剤
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/17 20:03:41」(JST)
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ベクロメタゾン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16S,17R)-9-chloro-11-hydroxy-10,13,16-trimethyl-3-oxo-17-[2-(propionyloxy)acetyl]-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-dodecahydro-3H-cyclopenta[a]phenanthren-17-yl propionate |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B3(AU) C(US) |
法的規制 |
Pharmacy Only (S2) (AU) POM (UK) |
投与方法 |
点鼻、吸入、軟膏 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
吸引直後に17-モノプロピオン酸ベクロメタゾン(17-BMP)に代謝 |
血漿タンパク結合 |
17-BMPの約87%が
アルブミン・トランスコルチンと結合
|
代謝 |
体内の種々の酵素によって分解 |
半減期 |
約4-5時間(成人)
約0.7-2時間(小児)
|
排泄 |
約75%を便中に排泄
約8%を尿中に排泄
|
識別 |
CAS登録番号 |
5534-09-8 |
ATCコード |
A07EA07 D07AC15
, R01AD01 , R03BA01
|
PubChem |
CID 21700 |
DrugBank |
DB00394 |
ChemSpider |
20396 |
UNII |
5B307S63B2 |
ChEBI |
CHEBI:3002 |
ChEMBL |
CHEMBL1200500 |
化学的データ |
化学式 |
C28H37ClO7 |
分子量 |
521.042 g/mol |
SMILES
- O=C(OCC(=O)[C@]3(OC(=O)CC)[C@]2(C[C@H](O)[C@]4(Cl)[C@@]/1(\C(=C/C(=O)\C=C\1)CC[C@H]4[C@@H]2C[C@@H]3C)C)C)CC
|
InChI
-
InChI=1S/C28H37ClO7/c1-6-23(33)35-15-22(32)28(36-24(34)7-2)16(3)12-20-19-9-8-17-13-18(30)10-11-25(17,4)27(19,29)21(31)14-26(20,28)5/h10-11,13,16,19-21,31H,6-9,12,14-15H2,1-5H3/t16-,19-,20-,21-,25-,26-,27-,28-/m0/s1
Key:KUVIULQEHSCUHY-XYWKZLDCSA-N
|
ベクロメタゾン(英:Beclometasone dipropionate)はステロイド系抗炎症薬の一種。主に呼吸器症状の改善に用いられる。
目次
- 1 概要
- 2 作用機序
- 3 副作用
- 4 禁忌
- 4.1 原則禁忌
- 4.2 併用禁忌
- 4.3 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 4.4 高齢者、小児への投与
- 5 処方例
- 6 関連項目
- 7 注釈
- 8 参考文献・外部サイト
概要[編集]
1964年に英国グラクソ研究所のエルクスらが、アレン・ハンフリース社において外皮用の副腎皮質ステロイド製剤として開発した。本邦では1996年に販売された。1987年に特定フロンが国連環境計画(UNEP)で規制されたため、噴射剤と溶剤の改良により高い肺内到達率を得た[1]。
局所投与で使用し、粘膜から吸収されても不活性物質に分解されるまでがとても早いため、全身性の副作用が少ない比較的安全な医薬品である。
作用機序[編集]
一般的な糖質コルチコイドとしての作用、すなわち糖新生、消炎、抗アレルギー作用、好エオジン白血球減少作用を有する。それにより、抗鼻炎、抗鼻閉などの効果を発現する。
鼻腔粘膜に吸収された後、速やかに不活性体に代謝されるため、副腎皮質ホルモンの重篤な副作用である下垂体・副腎皮質系機能の抑制作用は比較的弱いという利点がある。ただし、広い範囲で投与できないという欠点も同時に持ち合わせる。
薬物動態[編集]
副作用[編集]
ベクロメタゾンの場合、投与経路が気管支や皮膚などの局所に限られている。そのため血中への移行が少なく、副作用の発現頻度や程度も低いとされる。しかし実際には、程度が低いというだけでコルチゾールやプレドニゾロンのそれと種類はほぼ類似する。
- 口腔内 - 口腔カンジダ症、口渇、口内炎、味覚障害、咽喉頭(異和感、異物感など)
- 呼吸器 - 咳、嗄声、呼吸器カンジダ症、肺好酸球増多症、気管支喘息の悪化
- 消化器 - 悪心、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛
- 循環器 - 高血圧、動悸
- 筋肉・骨格 - 関節痛、筋肉痛、脱力感
- 精神神経系 - 頭痛、けん怠感、憂うつ感
- 薬剤アレルギー - じんましんなどの発疹、そう痒、浮腫、紅斑
- その他 - 尿糖、白血球増多、リンパ球減少、尿潜血、コルチゾール減少、鼻血、嗅覚障害
慎重投与[編集]
以下の症状がある患者には他剤で代用するなど、検討してからの投与が望ましい。
- 感染症の患者 - 免疫抑制作用により、症状の悪化が懸念される。
- 高血圧の患者 - 血圧を上げる作用が確認されているため、循環器症状の発現が懸念される。
インターネットの普及により、手軽に購入することができる薬の一つであるが、医師相談の下で適切な量を服用するのが望ましい。
禁忌[編集]
ベクロメタゾンの禁忌は以下のようになっている。
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
原則禁忌[編集]
原則として、以下の疾患がある際には特に必要である場合のみ、ベクロメタゾンの投与は認められない。
併用禁忌[編集]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与[編集]
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること、と各種添付文書に記載されている。なお、マウスによる動物実験では胎児の催奇形作用が報告されている。
高齢者、小児への投与[編集]
一般には、高齢者は生理機能が低下している場合が多いため、状態を観察しながら慎重な投与すること、となっている。
小児への投与は、長期的に大量に投与すると成長遅延をきたす恐れがある。しかし、他の全身性ステロイド剤よりは可能性は低いとされる。
副作用を防ぐ目的で、特に小児にはうがい、もしくは口腔内をすすぐことを指導される場合がある。
処方例[編集]
- 乾癬
- 気管支喘息
- 掌蹠膿疱症
- 扁平苔癬
- 湿疹・皮膚炎群
- アレルギー性鼻炎
- 血管運動性鼻炎
- 慢性円板状エリテマトーデス
- びらん、または潰瘍を伴う難治性口内炎
剤形[編集]
- 噴霧剤(吸入) -
- 噴霧剤(点鼻) -
- 塗布剤 -
関連項目[編集]
注釈[編集]
- ^ 医薬品インタビューフォーム - 大日本住友製薬[PDF]
参考文献・外部サイト[編集]
- 飼い主のための獣医療知識 - 副腎皮質ステロイド
- おくすり110番 - ベクロメタゾン(キュバール100エアゾール15mg8.7g®)
- 医薬品医療機器情報提供ページ - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
- 医薬品インタビューフォーム - タウナス® 7月18日 閲覧
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 吸入ステロイド喘息治療剤HFA-BDP(キュバール)の小児における特別調査
- 小児科領域における各pMDI製剤の特色と使用法 (特集 吸入ステロイド薬の特色と使用法)
- P2-307 同種骨髄移植後の消化管慢性GVHDに対してベクロメタゾン腸溶性製剤による局所療法が奏功し、GVL効果が維持できた急性期慢性骨髄性白血病(一般演題 ポスター発表,癌薬物療法(副作用対策),臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 工藤 浩史,森 達也,横山 明弘,齊藤 真一郎,矢野 尊啓,鈴木 義彦
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 441, 2010-10-25
- NAID 110008109305
Related Links
- ベクロメタゾンの場合、投与経路が気管支や皮膚などの局所に限られている。そのため 血中への移行が少なく、副作用の発現頻度や程度も低いとされる。しかし実際には、 程度が低いというだけでコルチゾールやプレドニゾロンのそれと種類はほぼ類似する。
- キュバールとは?ベクロメタゾンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる (おくすり110番:薬事典版)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
キュバール50エアゾール
組成
成分・含量
- 1缶8.7g中ベクロメタゾンプロピオン酸エステル7mg
添加物
- 無水エタノール,1, 1, 1, 2-テトラフルオロエタン(HFA-134a)
1回の噴霧主薬量
1容器の噴霧回数
禁忌
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症,全身の真菌症の患者〔症状を増悪するおそれがある.〕
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 気管支喘息
- 成人には,通常1回100μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する.
小児には,通常1回50μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する.
なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日の最大投与量は,成人では800μg,小児では200μgを限度とする.
- 本剤の1日投与量は他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の半量である(下表).したがって,他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤から本剤に切り替える場合は,用法・用量に注意すること.〔本剤は他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の半量で同等の有効性が得られるため,同量を投与すると過量投与となる.〕
例えば,成人における通常の用法・用量がベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして1回100μg・1日4回吸入の製剤から本剤に切り替える場合,これに相当する本剤の用法・用量は1回100μg・1日2回吸入である.また,小児における通常の用法・用量がベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして1回50μg・1日4回吸入の製剤から本剤に切り替える場合,これに相当する本剤の用法・用量は1回50μg・1日2回吸入である.
〔成人〕
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤(注)の1日投与量 : 400μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 200μg/日
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤(注)の1日投与量 : 600μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 300μg/日
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤(注)の1日投与量 : 800μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 400μg/日
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤(注)の1日投与量 : 1,200μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 600μg/日
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤(注)の1日投与量 : 1,600μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 800μg/日
- 注:この製剤の1日最大投与量は800μgである.
〔小児〕
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の1日投与量 : 200μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 100μg/日
- 他のベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の1日投与量 : 400μg/日
上記に相当する本剤の1日投与量 : 200μg/日
慎重投与
- 感染症の患者〔症状を増悪するおそれがある.〕
- 高血圧の患者〔血圧上昇を起こすおそれがある.〕
薬効薬理
抗炎症作用9)
- 局所投与時(McKenzie変法):ヒト正常皮膚血管収縮作用において,ヒドロコルチゾンの約5,000倍,デキサメタゾンの約600倍の局所抗炎症活性を示した.(外国人)
気道抵抗増大に及ぼす影響10)
- 卵白アルブミン感作モルモットにおいて抗原吸入により誘発される気道抵抗増大を抑制した.
全身性ステロイド作用11〜13)
- ラットを用いて視床下部−下垂体−副腎(HPA)系機能に及ぼす作用ならびに胸腺萎縮作用をデキサメタゾンと比較したところ,吸入,皮下および静脈内いずれの投与経路においてもHPA系機能抑制および胸腺萎縮作用はデキサメタゾンより弱かった.
副腎皮質機能への影響5〜8)
- 国内で実施された本剤の臨床試験における血漿コルチゾール値の測定結果より,本剤の1日量800μgまでの用量では,副腎皮質機能への影響はクロロフルオロカーボン(CFC)を噴射剤に使用したベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の1日量1,600μgまでと同程度であると考えられた.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ベクロメタゾンプロピオン酸エステル Beclometasone Dipropionate
化学名
- 9-Chloro-11β, 17, 21-trihydroxy-16β-methylpregna-1, 4-diene-3, 20-dione 17, 21-dipropanoate
分子式
分子量
融点
性状
- 白色〜微黄色の粉末で,においはない.クロロホルムに溶けやすく,メタノールにやや溶けやすく,エタノール(95)または1, 4-ジオキサンにやや溶けにくく,ジエチルエーテルに溶けにくく,水にほとんど溶けない.
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
ベクロメタゾン
- 関
- beclometasone dipropionate、beclomethasone、beclomethasone dipropionate
[★]
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(ベクロメタゾン)
- 関
- 耳鼻科用剤
[★]
ベクロメタゾン
- 関
- 耳鼻科用剤
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ベクロメタゾン
- 関
- 耳鼻科用剤
[★]
- 英
- beclomethasone dipropionate、(欧州)beclometasone dipropionate
- 関
- ベクロメタゾン、
[★]
- 英
- methasone
- 関
- メタドン?