NKT細胞
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- tritiumの化学記号
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/10 02:16:02」(JST)
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ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)はT細胞の中でも、T細胞とナチュラルキラー細胞(NK細胞)の両方の特徴を持つ亜群のことである。多くのものは自己、または他家由来の脂質や糖脂質と結合する抗原提示分子であるCD1dを認識する。NKT細胞は末梢血中のT細胞のわずか0.1%程度である[1]。
目次
- 1 命名
- 2 表面分子
- 3 分類
- 4 iNKT細胞
- 5 機能
- 6 意義
- 7 関連項目
- 8 脚注
- 9 参考文献
命名
"NK T細胞"という表現は最初、マウスのT細胞のうち、NK細胞関連マーカーであるNK1.1(CD161)を発現している亜群を定義するために用いられた。現在ではマウスやヒトでみられる、T細胞受容体(TCR)のうちVα鎖が不変(インバリアント)なセミインバリアントTCRを持つものや、NK細胞マーカーを持つものを含む、CD1d拘束性T細胞集団を指す単語として"NKT細胞"という表現が一般的に用いられる[2]。
表面分子
NKT細胞はT細胞の一種であり、αβTCRを発現しているしているが、さらに他にも数々のNK細胞に典型的なNK1.1などの分子マーカーを発現している。最もよく知られたNKT細胞の集団は定型的なT細胞と、TCRの多様性が限られているという点で異なっている(インバリアントNKT細胞、もしくは1型NKT細胞)。1型NKT細胞と他のCD1d拘束性T細胞(2型NKT細胞)はペプチド-MHC複合体より、抗原提示分子群の1つ、CD1ファミリーに属すCD1d分子により提示される脂質や糖脂質を認識する(これがCD1d拘束性といわれる理由である)。そのため、NKT細胞は結核菌のような微生物に由来する糖脂質を認識する上で重要である。NKT細胞は当初はNK1.1を発現するT細胞として名付けられたが、現在の定義上はNK1.1が陽性のものも陰性のものも含み、CD4、CD8についても陽性、陰性両方のものを含む。また、CD16、CD56を発現し、グランザイムを産生するなど、NKT細胞はNK1.1の他にもNK細胞と共通の特徴を持つ[3][4]。1型NKT細胞はPLZFを大量に発現しており、かつ1型NKT細胞の分化はPLZFに依存している[5][6]。
分類
NKT細胞は3つの集団に分類できる。[2]
|
1型NKT細胞 |
2型NKT細胞 |
NKT様細胞 |
別称 |
古典的NKT細胞
インバリアントNKT細胞 (iNKT細胞)
Vα14i NKT細胞 (マウス)
Vα24i NKT細胞 (ヒト) |
非古典的NKT細胞
多様NKT細胞 |
NK1.1+ T細胞
CD3+ CD56+ T細胞 |
拘束分子 |
CD1d |
CD1d |
MHC、その他? |
α-GalCer
反応性 |
+ |
- |
- |
TCRレパートリー |
Vα14-Jα18:
Vβ8.2, 7, 2(マウス)
Vα24-Jα18:
Vβ11 (ヒト) |
多様 |
多様 |
iNKT細胞
最もよく知られたCD1d拘束性のNKT細胞はインバリアントなTCRα鎖を持っている。上述の通り、これらの細胞は1型NKT細胞、もしくはiNKT細胞と表現される。これらの細胞はヒトとマウスの間で保存されており、多くの免疫学的プロセスに関与している。マウスの実験において初期発生における微生物暴露の欠損はiNKT細胞の不足を招き、免疫異常を引き起こすことが示されている[7]。
機能
活性化に際し、NKT細胞は多量のIFN-γ、IL-4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を大量に産生することができる。他にも様々なサイトカイン、ケモカインを産生し、例えばIL-2、IL-13、IL-17、IL-21、TNF-αなどがこれにあたる。
意義
NKT細胞の不足や機能障害により、自己免疫疾患や癌を引き起こすことが示されていることから、NKT細胞は免疫における重要な側面を担っているようである。近年NKT細胞がヒトの喘息の進行に関連していることが明らかになっている[8]。
NKT細胞は迅速なサイトカイン(例えばIL-2、IFN-γ、TNF-α、IL-4など)の分泌を行うことができ、これにより様々な免疫機能を活性化したり、逆に抑制したりすることができるため、臨床応用の可能性がある。
関連項目
脚注
- ^ Jerud, ES; Bricard G, Porcelli SA (2006). "Natural Killer T cells: Roles in Tumor Immunosurveillance and Tolerance". Transfus. Med. Hemother. 33 (1): 18–36. doi:10.1159/000090193.
- ^ a b Godfrey, DI; MacDonald HR, Kronenberg M, Smyth MJ, Van Kaer L (2004). "NKT cells: what’s in a name?". Nat. Rev. Immunol. 4 (3): 231. doi:10.1038/nri1309. PMID 15039760.
- ^ Van der Vliet, HJ; Nishi N, Koezuka Y, Peyrat MA, Von Blomberg BM, Van den Eertwegh AJ, Pinedo HM, Giaccone G, Scheper RJ (1999). "Effects of alphagalactosylceramide (KRN7000), interleukin-12 and interleukin-7 on phenotype and cytokine profile of human Va24+ Vb11+ T cells". Immunology 98 (4): 557–563. doi:10.1046/j.1365-2567.1999.00920.x. PMC 2326955. PMID 10594688.
- ^ Vivier, E; Anfossi N (2004). "Inhibitory NK-cell receptors on T cells. Witness of the past, actors of the future.". Nat Rev Immunol 4 (3): 190–198. doi:10.1038/nri1306. PMID 15039756.
- ^ Kovalovsky D, Uche OU, et al. (Sep 2008). "The BTB-zinc finger transcriptional regulator PLZF controls the development of invariant natural killer T cell effector functions.". Nature Immunology 9 (9): 1055–64. doi:10.1038/ni.1641. PMC 2662733. PMID 18660811.
- ^ Savage AK, Constantinides MG, et al. (Sep 2008). "The transcription factor PLZF directs the effector program of the NKT cell lineage.". Immunity 29 (3): 391–403. doi:10.1016/j.immuni.2008.07.011. PMC 2613001. PMID 18703361.
- ^ Olszak, et al. (2012). "Microbial Exposure During Early Life Has Persistent Effects on Natural Killer T Cell Function". Science. doi:10.1126/science.1219328.
- ^ Cromie, William J. Researchers uncover cause of asthma Harvard University Gazette, March 16, 2006.
参考文献
- ナチュラルキラーT (natural killer T: NKT) 細胞の分化と機能 ─前編─
血液: リンパ球系統 |
|
リンパ球系/
HSC:CFU-L |
B細胞系
|
形質細胞 · 記憶B細胞 · 濾胞B細胞 · 辺縁帯B細胞 · ナイーブB細胞 · Pre-B細胞
|
|
胸腺細胞
|
T細胞系
|
αβ (細胞傷害性CD8+, ヘルパーCD4+ / Th3 / Th17 / 制御性) · γδ · ナチュラルキラーT細胞
|
|
|
NK細胞系
|
リンホカイン活性化キラー細胞 · Null細胞
|
|
|
リンパ球生成 |
リンパ芽球 · リンパ球前駆細胞
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ナチュラルキラーT細胞はアポリポ蛋白E欠損マウスにおけるアンジオテンシンII誘発性腹部大動脈瘤の進展に寄与する
- 徳原 教
- 北海道醫學雜誌 = Acta medica Hokkaidonensia 87(4), 165-172, 2012-08-01
- NAID 10030993052
- 気道過敏性発症に関与する炎症性ナチュラルキラーT細胞の機能獲得
- 渡会 浩志
- 日本小児アレルギー学会誌 = The Japanese journal of pediatric allergy and clinical immunology 26(1), 37-45, 2012-03-20
- NAID 10030557176
- KRN7000の開発から15年-ナチュラルキラーT細胞を活性化する新規スフィンゴ糖脂質の構造活性相関研究
- TASHIRO Takuya,MORI Kenji
- Trends in glycoscience and glycotechnology 22(126), 280-295, 2010-11-30
- ナチュラルキラー (NK) T細胞は、自然免疫と獲得免疫の橋渡し役を担っており、感染防御ならびに免疫抑制反応の双方において重要な役割を果たしている免疫細胞である。NKT細胞による免疫反応は、糖脂質と、免疫系における抗原提示蛋白質の一種であるCD1dとの複合体を、T細胞受容体を用いて認識することにより誘導される。キリンビール(株)により1995年に開発されたKRN7000は、特異なα-ガラクトシルセ …
- NAID 10027893211
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- 記憶免疫機能を持つナチュラルキラーT(NKT)細胞を発見 -長期間生存し、2度目の抗原侵入に強力に反応 ポイント 自然リンパ球であるNKT細胞が獲得免疫にあるような免疫記憶機能を獲得 記憶免疫様NKT細胞は、長期に ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- NK T cell, NKT cell, natural killer/T-cell
- 同
- NKT細胞、NK/T細胞、NK-T細胞、ナチュラルキラーT細胞
- 関
- NK細胞
- NK細胞のマーカーをもち、かつTCRを発現する細胞 (SMB.42)
- CD1に結合した結核菌由来の脂質(リポアラビノマンナン、ミコール酸含有糖脂質)を認識しうる
ケモカイン (SMB.42)
[★]
- 関
- NKT cell
[★]
- 英
- T cell
- 同
- Tリンパ球、T lymphocyte
- 関
- TCR、B細胞、MHC
- 図:IMM.315(T細胞の成熟)
- 胸腺で成熟したT細胞は血流によって移動し、リンパ節の傍皮質、白脾髄のリンパ性動脈周囲鞘、パイエル板の傍濾胞域に集まる(人間の正常構造と機能 VIIA血管・免疫 p.28)
種類
- ヘルパーT細胞(Th細胞)
- キラーT細胞(Tc細胞)
- サプレッサーT細胞(Treg細胞)
T細胞の抗原認識 (SP.248)
CD4+ T細胞のサイトカイン放出とその原因
Th細胞活性化と接着分子
[★]
[★]
- 英
- cell
- ラ
- cellula
- 関
[★]
- 英
- killer
- 関
- 殺し屋