- 英
- subcutaneous injection
- 関
- 筋肉注射
- 関
- 皮下、皮下注、皮下投与
- 皮下の結合組織内へ薬液を注入する方法。インスリンやヘパリンなど薬液の皮膚に対する刺激が少なく,かつ投与量が少ない場合に用いられる。薬液の吸収される速度は緩やかである。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/15 12:48:40」(JST)
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注射(ちゅうしゃ)とは、注射針を用いて直接体内に薬剤を注入する投与法。効果の発現が早く安定しているのが特徴である。注射に使う器具を注射器という。
目次
- 1 概要
- 2 投与経路による分類
- 3 注射による健康被害
- 4 派生した俗語
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
注射は、直接的に生物(その多くでは人間)の体に薬剤を投入する方法で、経口投与(口から薬剤を投入する)や皮膚・粘膜への塗布、ないし吸引などよりも直接的に必要な個所(患部)に薬剤を投入できるため、他の投与方法より効果が出始めるまでの時間が短く、また吸収経路でろ過されてしまったり他の物質に変質してしまったり、または吸収の過程にて解毒作用で分解されてしまうような種類の薬剤でも投与できるため、より確実な方法である。
反面、生体の組織に中空の針を貫通させるため、この侵襲(人為的に傷付けること)に対する拒否感や実質的な被害もあり、そういった問題を解決するために、様々な技術改良や器具使用の技能的な向上も日夜進められている。
アルコール消毒
以前は注射の際にアルコール綿で拭き清める場合が多かったが、2008年2月号の『日経メディカル』にて、関節注射や留置針を除く一般の皮下注射では蒸留水を含ませた綿などで拭いた場合と有意な差が見られないとする報告がなされ、意味がない行為だと認識され消毒をしない医師も増えてきている。なお同報告によれば、皮下注射の場合には穿刺の際に皮下に混入する細菌の数が極めて少ないこと、加えて皮膚表面と皮下組織とではペーハーが大きく異なり、皮膚表面の菌が活動・繁殖できないこと、皮下組織の感染は細菌だけによるものではないことを指摘しており、逆に作り置きのアルコール綿ではアルコール分が揮発してしまい「ただの水で湿った脱脂綿」として菌類の繁殖がありうるともいう。ただし厚生労働省の定める「予防接種実施要領」[1]によれば、アルコールによる接種部位の消毒をすべきことが明記されている。また穿刺前にその箇所を単純に洗ったり拭いて衛生的にすること自体に、患者側の衛生状態によっては全く意味が無いわけではない。[2]
注射と苦痛
注射は、針を皮膚に突き刺す行為なので痛みがある。実際の痛み以上に、針が刺さるのが視覚的に痛いと感じてしまう。特に子供はこれを大いに嫌い、医者にかかるときに注射するかどうかは最大の懸案である。ただ子の健康を案じている親の側にしてみれば、注射は経験上で劇的な効果が出易いとみなされ、注射してくれることを希望する場合もある。また飲み薬を出されるなどの投薬よりも、より直接的に医師が治療に参加している行為とも受け止められ、注射による治療を期待する場合も見られる。これは刺される側にとっては苦痛でありストレスを与えうるため、血液検査の後に血圧を測ると、心理的影響から普段より高い値が出てしまう場合もある。
注射の種類(使用する薬剤や様式・後述)によってもまちまちであるが、技能や患者の扱いがうまいなどの腕のよい者が注射すると、注射の際にそれほどの痛みは生じない。反面、注射する側が技能的に未熟であったり、注射される側が身構えたり暴れたりすると、余計に痛い場合も珍しくはない。こと技能的に未熟で、何度も針を刺し直しされたりすると、痛いどころの騒ぎではない。したがって患者が医者や看護師への評価する場合の基準に、注射の上手下手が大きな地位を占めることもある。また歯茎への注射のように、針を刺す部位にあらかじめ麻酔する場合もある。
なお穿刺の痛みは、注射に用いられる針の大きさや形状によっても大きく異なり、予防接種のような集団への注射では、圧力注射とも呼ばれる皮膚に高い圧力で薬剤を浸透させる針を使わない注射器が利用される場合もある。ほかにも、用途は限られるが極めて微細なため刺しても痛くない注射針「ナノパス33」というものも登場し、糖尿病患者がインスリン投与時に使用するインジェクター等に使用されている。
投与経路による分類
詳細は「投与経路」を参照
薬液を投与する部位によって効き方(薬物動態)が異なる。以下のように分類される。
- 皮内注射 (intracutaneous injection)
- 表皮と真皮の間に薬液を投与する。ツベルクリン反応など検査で用いられる。投与量は0.1 - 0.2mlと少量。
- 皮下注射 (subcutaneous injection)
- 皮下組織に薬液を投与する。針は皮膚に対して斜めに刺す。数mlまで投与できる。有効成分は比較的緩徐に吸収される。吸収は毛細血管の血流に影響されるため、血管収縮薬と併用すると吸収が遅延する。
- 筋肉内注射 (intramuscular injection)
- 筋肉中に薬液を投与する。針は皮膚に対し垂直に近い角度で刺す。数mlまで投与できる。一般に皮下注射より有効成分の吸収は早い。筋肉が未発達な小児への筋肉注射は大腿四頭筋拘縮症の原因の一つといわれている。また、筋肉内には神経や動脈が走っているので投与の際は損傷を避ける必要がある。
- 静脈内注射 (静注、intravenous injection)
- 薬液を直接静脈内に投与する。容量の制限がなく、効果の発現も早い。100 ml 以上で水分、栄養素の投与などを目的とするものは一般に『輸液』と呼ばれている。少量を一度に投与する場合には注射器を用いるが、50mlを超える場合には点滴で投与する。輸液ポンプを使って長時間一定速度で投与する方法もある。一般的には末梢の静脈に投与するが、高カロリー輸液は中心静脈に投与する。
- その他
- 抗癌剤などを直接病巣に到達させる動脈内注射や、脊椎麻酔の際に行われる脊髄腔内注射、若齢動物や小動物に対して行われる腹腔内注射などがある。
注射による健康被害
注射は注射剤そのものの副作用の他に、次のような健康被害を起こすことが知られている。
- 感染症
- 予防接種の際などに注射器や注射針を交換しないで連続で用いたことにより肝炎ウイルスの集団感染を引き起こしたことがある。また医療関係者が、使用後の注射針の扱いを誤り自分に刺して肝炎ウイルスに感染するいわゆる『針刺し事故』も報告されている。近年では、薬物乱用者が注射器を使い回しすることによるヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの感染拡大が危惧されている。
- 大腿四頭筋拘縮症
- 乳児に対し、大腿部への筋肉注射を頻回に行うことによる組織の壊死が原因とされる。
派生した俗語
- 大相撲における八百長を「注射」という隠語で表現する。打てば(頼めば)すぐ効く(勝てる)ということから。元来この隠語は確実に賭博に勝つように便宜を図る目的で賭けの対象となる競技等の結果を八百長で操作することを指していたが、いつしか相撲用語になった。
- パチスロ3号機時代には、内部基盤のうちの特定のRAM部品の上にさらに重ねる形でのアダプターを取り付け、本来なら保通協に認可されていないプログラムを無断で書き込む(上書きする)行為を、パチンコ業界・およびファンなどは注射と呼んでいた。注射を行なうと多くの場合、大連チャンや大ハマリといった荒っぽい内容のゲーム性になる。もちろん、違法行為である。
脚注
- ^ 定期の予防接種実施要領
- ^ 井蛙内科開業医ブログ
参考文献
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、注射に関連するカテゴリがあります。 |
- 投与方法
- 投与経路
- 注射剤
- 注射器
- 点滴静脈注射
- 薬物動態
外部リンク
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Japanese Journal
- 西井 竜彦,村松 高,古市 基彦,諸岡 宏明,大森 一光,塩野 元美
- 日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery 25(6), 635-638, 2011-09-15
- … 以上の保存的加療は困難と考えられ,第14病日よりオクトレオチドの持続皮下注を開始した.投与開始後すみやかにドレーンの排液は著減した.4日後に排液を再検し,乳糜は証明されず,さらに2日間持続皮下注射を継続し,胸腔ドレーンを抜去した.その後再燃は認めず,第23病日に軽快退院した.近年,難治性乳糜胸に対してオクトレオチドの有用性が報告されるようになった.従来の保存的加療が無効である乳糜 …
- NAID 10029458659
- P-1068 自己組織型ペプチド系ハイドロゲルを用いた新規インスリン皮下注射製剤の設計(一般演題 ポスター発表,糖尿病,Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 山本 優,羽森 真美,長谷川 冬華,藤村 麻里,冨塚 清子,塚元 美江,宮本 愛梨沙,西村 亜佐子,芝田 信人
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 21, 359, 2011-09-09
- NAID 110008910533
Related Links
- 皮膚にてきどな張りをもたせ針を挿入しやすくするため、針挿入後はつまんだ手を離して よい。通常筋肉はつまむことはできないため、皮下へ挿入を用意にすることができる。 筋肉をつまむには腕全体をつまむ必要があるため) ...
- 2012年6月16日 ... 皮下組織内に薬液を注入します。 ○目的 ゆっくりと吸収させた方がいい場合 例えば、 インシュリンの注射、予防接種、インターフェロン など ○注射針のサイズ 24G 25G 26G 27G *インシュリンの場合は、最近では31G~33Gを 使用する ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
サイゼン皮下注射液12mg
組成
有効成分:成分名:ソマトロピン(遺伝子組換え)
添加物:成分名:ポリオキシエチレン(160) ポリオキシプロピレン(30)グリコール
添加物:成分名:精製白糖
添加物:成分名:フェノール
添加物:成分名:無水クエン酸
添加物:成分名:水酸化ナトリウム
禁忌
- 糖尿病の患者[成長ホルモンが抗インスリン様作用を有するため。]
- 悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症
- 本剤の成長ホルモン分泌不全性低身長症の適用は、厚生省特定疾患間脳下垂体機能障害調査研究班、成長ホルモン分泌不全性低身長症診断の手引きの診断の基準確実例とすること。
- 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。
- 専用の成長ホルモン注入器を用いて注射する(「適用上の注意」の項参照)
慎重投与
- 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症の患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため、基礎疾患の進行や再発の観察を十分に行い慎重に投与すること。]
- 心疾患、腎疾患のある患者[ときに一過性の浮腫があらわれることがあるので、特に心疾患、腎疾患のある患者に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。]
重大な副作用
けいれん
頻度不明
- けいれんがあらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
甲状腺機能亢進症
頻度不明
- 甲状腺機能亢進症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
ネフローゼ症候群
頻度不明
- ネフローゼ症候群(浮腫、尿蛋白、低蛋白血症)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
糖尿病
頻度不明
- 耐糖能低下があらわれ、糖尿病を発症することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
身体成長促進作用
- 下垂体摘出ラットにおいて体重変化及び軟骨組織へのイオウの取り込みを指標として本剤の成長促進に対する影響を比較検討した結果、対照群に比べ有意な体重増加及び軟骨組織へのイオウの取り込み量が増加した。また、その効果は下垂体抽出ヒト成長ホルモン及び大腸菌由来遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤と同程度であった4)。
- 下垂体摘出幼若ラットを用いた実験で、脛骨の長さは対照群に比べ有意に増加し、また、脛骨重量及び脛骨骨頭部軟骨幅は用量依存的に増加した5)。
血中ソマトメジン‐C増加作用
- 健常成人男子において皮下投与及び筋肉内投与共に有意な血中のソマトメジン‐C濃度の上昇を示し、下垂体抽出ヒト成長ホルモンと同程度であった6)。
成長ホルモンレセプターとの親和性
- ウサギの肝臓を用いたin vitroの実験において、肝細胞膜成長ホルモンレセプターに対する125I‐hGHの結合を有意に抑制し、下垂体抽出ヒト成長ホルモン及び大腸菌由来遺伝子組換えヒト成長ホルモンと同等であった7)。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 人が倒れているとの通報で救急隊が出動した。救急隊の報告では、患者は60歳代の男性で、目立った外傷はなく、救急隊の到着時には既に心肺停止状態であった。救急救命士がバッグバルブマスクによる換気と胸骨圧迫とを行いながら搬入した。救急外来で気管挿管を行った。腹部が膨満していたため胃管を挿入したが、末梢静脈路を確保できなかった。心電図上心静止状態のため、アドレナリン投与が必要と考えられた。
- アドレナリン投与の経路として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104C019]←[国試_104]→[104C021]
[★]
- 28歳の女性。風疹ワクチン接種を希望して来院した。第1子妊娠中に風疹抗体価が陰性であることが判明した。第2子の挙児希望があり、現在は妊娠していない。内服薬や出血傾向をきたす基礎疾患はない。
- 風疹ワクチンの適切な投与経路はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111F021]←[国試_111]→[111F023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095A065]←[国試_095]→[095A067]
[★]
- 英
- intramuscular injection
- 関
- 皮下注射, 皮内注射
- 関
- 筋注、筋肉内注射、筋肉内投与
[★]
- 関
- hypodermic injection、subcutaneous、subcutaneous injection、subcutaneously、subdermal
[★]
- 英
- subcutaneous injection、hypodermic injection
- 関
- 皮下注、皮下注射
[★]
- 関
- hypodermic injection、s.c.
[★]
- 関
- s.c.、subcutaneous injection
[★]
- 英
- subcutaneous insulin injection
[★]
- 英
- injection、shot、inject
- 関
- インジェクション、充血、注入、発射、注射剤、ショット、注射薬、インジェクト、撃つ
- 皮内注射:皮膚にほぼ並行::アレルギー反応の判定
- 皮下注射:皮膚に対し20-30°:持続性:インスリン、ワクチン
- 筋肉注射:皮膚に対し直角:中殿筋、三角筋。皮下注射に比較して即効性がある(吸収性の悪い薬品)。:ブスコパン、オピオイド系鎮痛薬、トキソイド
- 静脈注射:静脈に刺入:即効性、確実性
国試
[★]
- 英
- subcutaneous、subdermal、subcutaneously、s.c.
- 関
- 皮下注射、真皮下
[★]
- 英
- subcutaneous injection
- 関
- 皮下注射、皮下投与