リドカイン
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リドカイン
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-(diethylamino)-
N-(2,6-dimethylphenyl)acetamide |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
A (オーストラリア) |
法的規制 |
Schedule 4 (オーストラリア) |
投与方法 |
IV, 皮下, 外用 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
35% (口腔)
3% (局所) |
代謝 |
肝臓 90% (CYP1A2) |
半減期 |
1.5–2 時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
137-58-6 |
ATCコード |
N01BB02 C01BB01 |
PubChem |
CID 3676 |
DrugBank |
APRD00479 |
KEGG |
D00358 |
化学的データ |
化学式 |
C14H22N2O |
分子量 |
234.34 g/mol |
物理的データ |
融点 |
68 °C (154 °F) |
リドカイン(独: Lidocain)は、世界で最も広く使用される局所麻酔薬であり、抗不整脈薬でもある。また、神経痛や手足のしびれの症状の一部にも有効である。
塩酸塩である塩酸リドカインのほか、いくつかの有効な化合物がある。塩酸リドカインのアストラゼネカの商品名は「キシロカイン(Xylocaine)」で、日本の医療関係者は「リドカ」「キシロ」とも呼ぶ。
目次
- 1 概要
- 2 性質
- 3 薬理作用
- 3.1 局所麻酔薬として
- 3.2 抗不整脈薬として
- 4 関連項目
- 5 参考文献
- 6 外部リンク
- 7 脚注
概要[編集]
1943年、スウェーデンの化学者ニルス・ロフグレン(英語版)とベングト・ルンドベリ(スウェーデン語版)が開発したアミド型局所麻酔薬。1948年に販売された。
局所麻酔作用が最も強いとされるテトラカインよりも作用や作用時間の点で若干劣る。しかし、テトラカインよりも毒性が弱く十分な薬効を持つため、リドカインを使用することが一般的である。或いは毒性を考慮しながら、テトラカインとの混合物として併用する。 麻酔部周囲の血管を収縮させ、少量の麻酔剤で持続的な効果を得るためと、止血作用により術中の出血を抑制するために、エピネフリンなどの血管収縮剤等が配合されたキシロカイン注射液「0.5%」エピレナミン含有がある。
プロカインと比較すると脂溶性、タンパク結合能がいずれも高く、麻酔作用、持続時間とも長い。作用時間を長くするにはアドレナリンと併用すればよい。
性質[編集]
リドカインは、白色から微黄色の結晶あるいは結晶性の粉末である。 メタノール又はエタノールに極めて溶解しやすい。 酢酸あるいはジエチルエーテルに溶解しやすい。水に不溶解である。 希塩酸に溶解する。[1]
なお、リドカインを希塩酸(HCl)に規定量を溶解させて得た塩酸リドカイン(C14H22N2O・HCl)を注射薬とし、日本薬局方において「リドカイン注射液」と称する。 塩酸リドカイン注射液は、水性で無色澄明の液体である。[1]
薬理作用[編集]
イオンチャネルの一つであるナトリウムチャネルに結合し、ナトリウムイオンの透過を阻害して活動電位を不活性化することにより、神経伝達を遮断する。心拍にもナトリウムチャネルが関与しているため、不整脈改善効果を期待して使用される。
局所麻酔薬として[編集]
0.5%,1%.2%のリドカイン製剤が市販されている。表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、脊椎麻酔、硬膜外麻酔に用いられる。
- 副作用
- 過用量に注意する必要があり、200mg以上使ってはならない。痙攣が起こる危険がある。足りない場合は、すぐに全身麻酔に切り替える必要がある。痙攣が起こった場合は、ジアゼパムを投与する。
- 禁忌
- エピネフリン(アドレナリンの米国名)入りキシロカインは、指、趾、陰茎の麻酔には用いてはならない。血管が収縮しすぎて、壊死する危険がある。
抗不整脈薬として[編集]
抗不整脈薬としてはボーン・ウイリアムス分類のⅠb群に該当する。この群はアプリンジン(アスペノン®)以外は心室性不整脈にのみ適応がある。
- キシロカイン®
- キシロカイン®としては静注用と点滴用の2種類が存在する。静注用キシロカイン50mg/2.5mlはそのまま1A用いる。点滴用はキシロカイン1000mg/10mlであるため、2000mgを5%ブドウ糖液で200mlに希釈し6~12ml/hr(1~2mg/min)で点滴する。無効時はアミサリン500mg(1Aが100mg/1ml)をブドウ糖液で20mlとし静注する。
- リドカイン静注用2%シリンジ「テルモ」(旧商品名:リドクイック®)
- 静注用キシロカイン50mg/2.5mlのジェネリック品で、静脈注射用プレフィルドシリンジ製剤である。
- オリベス®
- キシロカインと同じリドカイン製剤である。こちらは静注用は100mg/5mlである。静注では1回50~75mgまたは1mg/Kgの投与で10~20分毎の反復投与となる。1時間の最大投与は300mgまでとする。点滴では1000mg/10mlである。5%ブドウ糖液で100mlとすると10mg/mlとなるため、6~24ml/hrで維持をする。一日2000~2500mgまで投与可能で24ml/hr以上の速度で投与はしない。
- メキシチール®
- メキシレチン(メキシチール®)はリドカインアレルギーの時、代用として用いられる。経口薬もあるため300mg分3などで心室性不整脈の治療でも用いられることがある。静注での維持量は0.4~0.6mg/Kg/hrであるためメキシチール4A (1000mg) を5%ブドウ糖で100mlとすると10mg/mlとなるので、体重が50Kgならば2~3ml/hrで維持できる。
関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、リドカインに関連するカテゴリがあります。 |
参考文献[編集]
外部リンク[編集]
- nurs.or.jp/~academy/ - リドカインの概要
- オペ・ナース養成講座 ~ 新人手術室看護師のために - 局所麻酔用キシロカインの使い分け
脚注[編集]
- ^ a b 「リドカイン」『日本薬局方』第16改正。1452頁。厚生労働省。(2011-03-24)
心血管疾患 |
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疾患 |
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心疾患
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不整脈
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徐脈性
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洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
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頻脈性
|
上室性
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洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
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心室性
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心室細動 | 心室頻拍
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虚血性心疾患
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狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
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弁膜性心疾患
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僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
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先天性心疾患
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心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
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心内膜・心筋
・心膜疾患
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心内膜疾患
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心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
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血管疾患
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動脈
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静脈
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静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
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病態・症候 |
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左心不全 | 右心不全
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血圧異常
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高血圧
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本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
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低血圧
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所見・検査 |
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血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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循環器系の正常構造・生理 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 球後麻酔による一過性の眼球運動障害がみられた2症例
- 18.塩酸リドカインゼリーを併用した色素法による術前CTガイド下マーキングを施行した3手術例(第133回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)
- 上顎浸潤麻酔後の^3H標識塩酸ロピバカインおよび^<14>C標識塩酸リドカインの体内動態
Related Links
- ... の症状の一部にも有効である。 塩酸塩である塩酸リドカイン(Lidocaine hydrochloride)のほか、いくつかの有効な化合物がある。塩酸リドカインのアストラ ゼネカの商品名は「キシロカイン(Xylocaine)」で、日本の医療関係者は「リドカ」「キシロ 」とも呼ぶ。
- 塩酸リドカイン. Tweet · Buzzurl. 世界大百科事典内の塩酸リドカインの言及. 【 リドカイン】より …白色~微黄色の結晶または結晶性の粉末。化学的にはアミドで,麻酔 作用をもち,医薬としては,塩酸塩の塩酸リドカイン(製剤およびリドカイン注射液)として 用い ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
パートランゼリー2%
組成
- パートランゼリー2%は、1mL中にリドカイン塩酸塩(別名 塩酸リドカイン)20mgを含有する。
- 添加物としてカルメロースナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸プロピル及びpH調整剤を含有する。
禁忌
- 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 表面麻酔
- リドカイン塩酸塩として、尿道麻酔には通常成人では男子は200〜300mg、女子は60〜100mgを使用する。気管内挿管には適当量を使用する。
なお、年齢、麻酔領域、部位、組織、体質により適宜増減する。
慎重投与
- 高齢者(「高齢者への投与」及び「重要な基本的注意」の項参照)
- 全身状態が不良な患者[生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
- 心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある。]
- 重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる。]
- 幼児(「小児等への投与」の項参照)
重大な副作用
- ショック(頻度不明):徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
- 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明):意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(「過量投与」の項参照)。
薬効薬理
局所(表面)麻酔作用
- モルモットの角膜表面にパートランゼリー2%を50μL適用し、刺激毛による角膜表面の刺激に対する反射の有無を測定した結果、生理食塩液に比べて瞬目反射回数を有意に減少した。1)
- ラットの肛門括約筋部にパートランゼリー2%を100μL擦り込み、刺激毛による刺激に対する反応回数を測定した結果、生理食塩液に比べて肛門括約筋を収縮する反射反応回数を有意に減少した。2)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- リドカイン塩酸塩(Lidocaine Hydrochloride)
化学名
- acetamide 2-(diethylamino)-N-(2,6-dimethylphenyl)monohydrochloride monohydrate
分子式
分子量
性 状
- 本品は白色の結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦く、舌を麻ひする。水又はエタノール(95)に極めて溶けやすく、クロロホルムに溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
pH
- 本品0.5gに水100mLを加えて溶かした液のpHは4.0〜5.0である。
融 点
★リンクテーブル★
[★]
塩酸リドカイン(リドカイン)、酒石酸水素エピネフリン(アドレナリン)
- 関
- 歯科用局所麻酔剤
[★]
- 英
- lignocaine
- 関
- リドカイン、キシロカイン、塩酸リドカイン
[★]
塩酸リドカイン、エピネフリン
- 関
- 歯科用局所麻酔剤
[★]
塩酸リドカイン(リドカイン)、エピネフリン
[★]
- 英
- lidocaine
- 化
- 塩酸リドカイン lidocaine hydrochloride
- 商
- キシロカイン xylocaine Xylocain、リグノカイン lignocaine Lignocain
- TDゼット、アネトカイン、アネトカインビスカス、エムラ、オーラ、オリベス、キシレステシン、キシレステシンA、キシロカイン、セフメタゾン、チエナム、デンタカイン、ネイサート、ネリコルト、ネリザ、ネリダロン、ネリプロクト、パートラン、パートランビスカス、パートランポンプ、フリードカイン、ヘモリサット、ヘルミチン、ヘルミチンS、ペンマリン、ペンレス、ボラザ、ボラザG、メドカイン、ユーパッチ、ラセナゾリン、歯科用キシロカインカートリッジ
- (ジフルコルトロン、リドカイン)ネイサート、ネリコルト、ネリザ、ネリダロン、ネリプロクト
- 関
- 抗不整脈薬、プロカイン
- クラスIb
- Naチャネルブロック
- APD短縮
作用機序
薬理作用
- 結合解離速度は早く、正常心拍の伝導を阻害しない。
- APDの短縮はリドカインのNaチャネルに対する結合解離が早いため?? (→Sicillian Gambitの分類)
動態
適応
- 心室性不整脈
- 心肺蘇生 アミオダロンの方がよく使われる
- 無効:心房細動、心房頻拍
注意
禁忌
副作用
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- hydrogen chloride
- 同
- 塩化水素
- 関