- 英
- myelin sheath
- 同
- 髄鞘
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/19 15:50:44」(JST)
[Wiki ja表示]
|
この項目に含まれる文字「鞘」は、オペレーティングシステムやブラウザなどの環境により表示が異なります。 |
髄鞘をもつ末梢ニューロンの模式図。軸索にシュワン細胞が幾重にも巻き付くことによって髄鞘が形成されている。 |
樹状突起
細胞体
軸索
核
ランヴィエ絞輪
軸索末端
シュワン細胞
ミエリン鞘
|
神経科学において髄鞘 (ずいしょう、myelin sheath) は、脊椎動物の多くのニューロンの軸索の周りに存在する絶縁性のリン脂質の層を指す。 ミエリン鞘とも言う。コレステロールの豊富な絶縁性の髄鞘で軸索が覆われる[1]ことにより神経パルスの電導を高速にする機能がある。
髄鞘はグリア細胞の一種であるシュワン細胞とオリゴデンドロサイト (乏突起または稀突起グリア細胞、en:oligodendrocyte) からなっている。 シュワン細胞は末梢神経系の神経に髄鞘を形成し、一方オリゴデンドロサイトは中枢神経系の神経での髄鞘を形成している。 大脳では大脳皮質の内側に髄鞘化された神経細胞の軸索の繊維が集まっており、髄鞘によって見た目が相対的に白く見えるので、白質と呼ばれている。
神経細胞の構造図 en:Dendrites=樹状突起、en:Rough ER (en:Nissl body)=粗面小胞体(ニッスル小体)、en:Polyribosomes=ポリリボソーム、en:Ribosomes=リボソーム、en:Golgi apparatus=ゴルジ体、en:Nucleus=細胞核、en:Nucleolus=核小体、en:Membrane=膜、en:Microtubule=微小管、en:Mitochondrion=ミトコンドリア、en:Smooth ER=滑面小胞体、en:Synapse (Axodendritic)=シナプス(軸索樹状突起) en:Synapse=シナプス、 en:Microtubule en:Neurofibrils=微小管ニューロフィラメント、en:Neurotransmitter=神経伝達物質、en:Receptor=受容体、 en:Synaptic vesicles=シナプス小胞、en:Synaptic cleft=シナプス間隙、 en:Axon terminal=軸索末端、en:Node of Ranvier =ランヴィエの絞輪 、en:Myelin Sheath(en:Schwann cell)=ミエリン鞘(シュワン細胞)、en:Axon hillock=軸索小丘、 en:Nucleus (en:Schwann cell)=細胞核(シュワン細胞)、en:Microfilament=マイクロフィラメント、en:Axon=軸索
目次
- 1 髄鞘の機能
- 2 脱髄疾患及び髄鞘形成不全疾患
- 3 脚注
- 4 参考文献
|
髄鞘の機能
髄鞘は伝導性が低いために、髄鞘化されていることによって神経繊維の内外の抵抗は5000倍に、静電容量は50分の1となる。この絶縁性の高い髄鞘が存在することの主たる機能は、髄鞘化された神経線維(有髄繊維)に沿った神経パルスの伝導速度が速くなることである。繊維は完全に髄鞘に覆われているわけではなく、数十 µm から数 mm おきに存在する間隙を残して髄鞘化されている。この間隙はランヴィエの絞輪と呼ばれている。髄鞘化されていない繊維では神経パルスは連続的に伝わるが、繊維がランヴィエの絞輪を残して髄鞘化され絶縁されることによって、パルスはこれらの間隙の間を跳躍的に伝導する。これを跳躍伝導という。ランヴィエの絞輪にはパルスの伝導にかかわるイオンチャネルが特に多く存在している。髄鞘が傷害される脱髄疾患では神経の伝導速度が低下するため、多様な症状が起こることとなる。
また髄鞘は軸索から電流が漏れ、短絡することを防いでいる。 さらに末梢の神経線維が切断されたときにも、髄鞘は繊維が再生するための経路を確保する。しかし哺乳類の中枢神経系では髄鞘化されているかどうかに関わらず繊維は再生しない。
スフィンゴ脂質の一種であるスフィンゴミエリン(Sphingomyelin)(SPH)は、動物の細胞膜中に存在しており、特に神経細胞の軸索を膜状に覆うミエリン鞘の構成成分としてよく知られている。
脱髄疾患及び髄鞘形成不全疾患
詳細は「脱髄疾患」を参照
脱髄は、神経を絶縁しているミエリン鞘の崩壊であり、白質ジストロフィ(en:Leukodystrophy)、シャルコー・マリー・トゥース病のような多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、横断性脊髄炎(en:transverse myelitis)、慢性炎症性脱髄性多発性神経炎、ギラン・バレー症候群、中央脳梁ミエリン症(en:central pontine myelinosis)、遺伝性脱髄疾患を含む代表的な神経変性である自己免疫疾患である。悪性貧血を罹患している患者は、迅速に適切な診断がなされなければ、神経損傷をも罹患することになる。悪性貧血に続く亜急性連合性脊髄変性症は、些細な末梢神経障害から会話、認識、意識などをつかさどる中枢神経に重大な損傷を与えることができる。ミエリンが崩壊すると、神経に沿った信号伝達が障害を受け、失われ、ついには神経が失われてしまう。
腫瘍壊死因子(TNF)[2]やインターフェロンの指令を受けたサイトカインの過剰生産により脱髄を生じさせている炎症を含めた疾患が免疫系の関連で脱髄に関係しているかもしれない。
脚注
- ^ コレステロールの体内での働きは? - よくある質問 (財団法人日本食肉消費総合センター)
- ^ Ledeen RW, Chakraborty G (March 1998). “Cytokines, Signal Transduction, and Inflammatory Demyelination: Review and Hypothesis”. Neurochem. Res. 23 (3): 277–89. doi:10.1023/A:1022493013904. PMID 9482240. http://www.ingentaconnect.com/content/klu/nere/1998/00000023/00000003/00421003.
参考文献
- 『生理心理学』、サイエンス社、岡田隆・廣中直行・宮森孝史 共著
Japanese Journal
- W5-5 関節リウマチにおける抗MBP抗体のエピトープとその意義
- 大村 浩一郎,山本 奈つき,寺尾 知可史,中嶋 蘭,井村 嘉孝,吉藤 元,湯川 尚一郎,橋本 求,藤井 隆夫,松田 文彦,三森 経世
- 日本臨床免疫学会会誌 35(4), 310a-310a, 2012
- … Myelin basic protein(MBP)は神経ミエリン鞘を形成する主要なタンパクであるが,関節リウマチ(RA)において,myelin basic proteinに対する自己抗体が高率に認められることを我々は以前報告した(PLoS One 2011; …
- NAID 130003364011
- 急速な視力低下で発症した視神経管内微小神経鞘腫の1例
- 細貝 昌弘,江口 国輝,山口 智,武田 正明,松重 俊憲,光原 崇文,栗栖 薫
- 脳神経外科ジャーナル 20(6), 450-454, 2011-06-20
- … ら発生する良性腫瘍であり,すべての原発性脳腫瘍の10.4%を占め,第VIII脳神経の前庭神経より発生することが最も多い.その他の脳神経から発生する神経鞘腫は少ないものの,脳神経はすべてSchwann細胞からなるミエリン鞘をもつため,理論的には神経鞘腫の発生母地となりえる.中枢神経の延長である視神経自体にはSchwann細胞が存在しないため,視神経管内に発生する神経鞘腫は発生母地が問題となる.われわれは右視神経管内 …
- NAID 110008662233
- スフィンゴ糖脂質の脂肪酸C2位の水酸化は神経系において軸索およびミエリン鞘の長期的な維持に不可欠である
- Yoneshige Azusa,Matsuda Junko
- Trends in glycoscience and glycotechnology 21(119), 193-195, 2009-05-31
- NAID 10026976689
Related Links
- 神経科学において髄鞘 (ずいしょう、myelin sheath) は、脊椎動物の多くのニューロンの 軸索の周りに存在する絶縁性のリン脂質の層を指す。 ミエリン鞘とも言う。 コレステロールの豊富な絶縁性の髄鞘で軸索が覆われることにより神経パルスの電導 を高速にする ...
- 2012年1月4日 ... 神経線維の周りに、ミエリン鞘を作る細胞の細胞膜が密着し、細胞質をほとんど含ま ない細胞膜だけの層が何重にもぐるぐる巻きになって取り巻いている。ミエリンとは、 細胞膜のような脂質の層が何層もつみかさなっているもののこと。その主 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- oligodendrocyte
- 同
- 乏突起膠細胞、稀突起膠細胞、希突起膠細胞、希突起神経膠、希突起グリア、寡突起神経間質、オリゴデンドロサイト、オリゴデンドログリア oligodendroglia、オリゴグリア oligoglia
- 関
- [[]]
[show details]
髄鞘を形成する細胞
臨床関連
[★]
- 英
- sphingomyelin
- 関
- スフィンゴ脂質、スフィンゴ脂質蓄積症
異化
臨床関連
[★]
- 英
- Schwann sheeth
- 関
- シュワン細胞、ミエリン鞘
- シュワン鞘とはシュワン細胞が軸索を取り囲むようにして作る鞘のことである。
- 同
- シュワン細胞
[★]
- 英
- Obersteiner-Redlich zone
- 同
- Obersteiner-Redlich帯
[show details]
[★]
- 英
- Schwann cell, Schwann's cell
- 同
- Schwann細胞
- 関
- 顆粒細胞腫、神経膠細胞、シュワン鞘
[★]
- 英
- myelination
- 関
- 髄鞘形成、ミエリン形成、有髄化、ミエリン化
[★]
- 英
- unmyelinated
- 関
- 無髄
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- myelin
- 関
- 髄鞘