- 英
- raloxifene
- 化
- 塩酸ラロキシフェン raloxifene hydrochloride
- 同
- エビスタ
- 関
- 選択的エストロゲン受容体作動薬 selective estrogen receptor modulator SERM
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/30 15:49:00」(JST)
[Wiki ja表示]
ラロキシフェン
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
[6-hydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)- benzothiophen-3-yl]- [4-[2-(1-piperidyl)ethoxy]phenyl] -methanone
|
臨床データ |
商品名 |
Evista |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a698007 |
ライセンス |
EMA:リンク、US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
2% |
血漿タンパク結合 |
95% |
代謝 |
Gut glucuronidation(英語版)[1]
CYP system not involved |
半減期 |
27.7 hours |
排泄 |
Fecal |
識別 |
CAS番号 |
84449-90-1 |
ATCコード |
G03XC01 |
PubChem |
CID: 5035 |
IUPHAR/BPS |
2820 |
DrugBank |
DB00481en:Template:drugbankcite |
ChemSpider |
4859 |
UNII |
YX9162EO3I |
ChEBI |
CHEBI:8772en:Template:ebicite |
ChEMBL |
CHEMBL81en:Template:ebicite |
PDB ligand ID |
RAL (PDBe, RCSB PDB) |
化学的データ |
化学式 |
C28H27NO4S |
分子量 |
473.584 g/mol |
SMILES
-
O=C(c1c3ccc(O)cc3sc1c2ccc(O)cc2)c5ccc(OCCN4CCCCC4)cc5
|
InChI
-
InChI=1S/C28H27NO4S/c30-21-8-4-20(5-9-21)28-26(24-13-10-22(31)18-25(24)34-28)27(32)19-6-11-23(12-7-19)33-17-16-29-14-2-1-3-15-29/h4-13,18,30-31H,1-3,14-17H2
-
Key:GZUITABIAKMVPG-UHFFFAOYSA-N
|
ラロキシフェン(Raloxifene、商品名:エビスタ)は、選択的エストロゲン受容体調節薬(英語版)(SERM)であり、骨でエストロゲン作用を、子宮及び乳房で抗エストロゲン作用を示す。閉経後の女性の骨粗鬆症予防に用いられる。
日本では「閉経後骨粗鬆症」に対して2004年1月29日に承認された[2]。
2006年、米国NCIは、ラロキシフェンは閉経後女性の乳癌リスクをタモキシフェン同様に減少させると発表した。タモキシフェンの主な副作用は子宮癌であるが、ラロキシフェンが子宮癌を惹起する可能性はタモキシフェンより低い。又、タモキシフェンは白内障リスクを上昇させるが、ラロキシフェンは上昇させない。何方も静脈及び肺に於いて血栓生成を助長するが、ラロキシフェンの副作用発現率はタモキシフェンより少ない[3][4][5]。2007年9月、米国FDAは骨粗鬆症の有る閉経後女性の侵襲性乳癌のリスク減少並びに閉経後女性で侵襲性乳癌リスクの高い患者の同リスク減少についてラロキシフェンの適応を承認した[6]。Lancet Oncology誌はラロキシフェンの発売についての情報提供に方法を批判する社説を発表した[7]。
目次
- 1 効能・効果
- 2 禁忌
- 3 副作用
- 4 抗癌作用
- 5 用法・用量
- 6 参考資料
- 7 外部リンク
効能・効果
ラロキシフェンは閉経後女性の骨粗鬆症予防に用いられる。又米国では、侵襲性乳癌のリスク低減及び治療、並びに乳房密度(英語版)抑制にも用いられる[8]。骨粗鬆症の予防・治療については、食事で不充分な場合にはカルシウム及び/又はビタミンDを同時に服用する事が推奨される。
禁忌
ラロキシフェンは下記の患者に禁忌である[9]。
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等)又はその既往の有る患者
- 長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者
- 抗リン脂質抗体症候群の患者
- 妊婦・妊娠している可能性のある婦人・授乳婦
- 過敏症の既往の有る患者
副作用
添付文書に記載されている重大な副作用は、静脈血栓塞栓症及び肝機能障害である。頻度は低いが、脚、肺、眼で重篤な血栓症を発現する場合が有る。
その他、足の腫れ・疼痛、呼吸困難、胸痛、視覚異常等が発現する。
動物試験では、ウサギで流産及び低頻度で胎児心奇形(心室中隔欠損)が認められた他、ラットでは、胎児の発達遅延・発育異常(波状肋骨、腎盂拡張)、分娩遅延・分娩困難、出生児生存率低下、身体発育分化変化、発育分化抑制、下垂体ホルモン変化、出生児のリンパ球組織減少が認められた。
2005年、New England Journal of Medicine誌に、ラロキシフェン群の脳梗塞発症及び血栓生成が偽薬より有意に高いという論文が発表された[10] 。
2009年9月に米国保健福祉省の医療研究・品質調査機構が発表した処に拠ると、タモキシフェンとラロキシフェンは中年及び高齢女性の侵襲性乳癌を有意に抑制するが、同時に副作用リスクも増大する[11]。
抗癌作用
2007年9月、米国FDAは閉経後女性の侵襲性乳癌予防への適応を認可した[12]。
用法・用量
ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口投与する。
参考資料
- ^ Jeong, Eun Ju; Liu, Yong; Lin, Huimin; Hu, Ming (2005-03-15). “Species- and Disposition Model-Dependent Metabolism of Raloxifene in Gut and Liver: Role of UGT1A10”. Drug Metabolism and Disposition(英語版) (ASPET(英語版)) 33 (6): 785–794. doi:10.1124/dmd.104.001883. PMID 15769887. http://dmd.aspetjournals.org/content/33/6/785.abstract 2010年10月20日閲覧。.
- ^ “閉経後骨粗鬆症治療薬「エビスタ®錠60mg」(塩酸ラロキシフェン)新発売について”. 中外製薬・日本イーライリリー (2004年5月11日). 2005年2月15日閲覧。
- ^ Study of Tamoxifen and Raloxifene (STAR) Trial Cancer.gov
- ^ Results of the Study of Tamoxifen and Raloxifene (STAR) Released: Osteoporosis Drug Raloxifene Shown to be as Effective as Tamoxifen in Preventing Invasive Breast Cancer (Press Release) 06/21/2006
- ^ Vogel, Victor; Joseph Constantino, Lawrence Wickerman et al. (2006-06-21). “Effects of Tamoxifen vs. Raloxifene on the Risk of Developing Invasive Breast Cancer and Other Disease Outcomes”. The Journal of the American Medical Association 295 (23): 2727–2741. doi:10.1001/jama.295.23.joc60074. PMID 16754727.
- ^ “FDA Approves New Uses for Evista” (プレスリリース), U.S. Food and Drug Administration, (2007年9月14日), http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2007/NEW01698.html 2007年9月15日閲覧。
- ^ Thelancetoncology, (2006). “A STARring role for raloxifene?”. Lancet Oncol 7 (6): 443. doi:10.1016/S1470-2045(06)70701-X. PMID 16750489.
- ^ Jeon-Hor, Chen et al (2003年9月15日). “Reduction of Breast Density Following Tamoxifen Treatment Evaluated by 3-D MRI: Preliminary Study”. Magn Reson Imaging. doi:10.1016/j.mri.2010.07.009. 2013年3月30日閲覧。
- ^ “エビスタ錠60mg 添付文書” (2010年6月). 2015年2月15日閲覧。
- ^ 355:125-137 July 13, 2006, Effects of Raloxifene on Cardiovascular Events and Breast Cancer in Postmenopausal Women Elizabeth Barrett-Connor, Lori Mosca, Peter Collins, et al. for the Raloxifene Use for The Heart (RUTH) Trial Investigators [Free full text]
- ^ OncoGenetics.Org (2009年9月). “Medications Effective in Reducing Risk of Breast Cancer But Increase Risk of Adverse Effects”. OncoGenetics.Org. 2009年9月14日閲覧。 [リンク切れ]
- ^ AFP.google.com, US approves Lilly's Evista for breast cancer prevention
外部リンク
- STAR: a head-to-head comparison of tamoxifen and raloxifene as breast-cancer preventatives
- Full Prescribing Information
- Position paper of the National Women's Health Network(英語版)
- Heringa M (2003). “Review on raloxifene: profile of a selective estrogen receptor modulator”. Int J Clin Pharmacol Ther 41 (8): 331–45. PMID 12940590.
- Barrett-Connor E (2001). “Raloxifene: risks and benefits”. Ann N Y Acad Sci 949: 295–303. doi:10.1111/j.1749-6632.2001.tb04036.x. PMID 11795366.
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- SERM (特集 薬剤師が絶対知っておきたい! これからの骨粗鬆症マネジメント) -- (治療薬のプロファイルを読み解く)
- 寺内 公一
- 月刊薬事 = The pharmaceuticals monthly 56(7), 1051-1056, 2014-07
- NAID 40020140967
- SERMの新しい可能性 : その他の薬剤とのスイッチングおよび併用療法 (特集 SERMの新展開)
- 骨粗鬆症治療におけるSERMのポジショニング (特集 SERMの新展開)
Related Links
- エビスタとは?ラロキシフェンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 成分(一般名) : ラロキシフェン塩酸塩 製品例 : エビスタ錠60mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価 区分 : 他の代謝性医薬 ...
- 閉経後骨粗鬆症治療剤 「塩酸ラロキシフェン」について 中外製薬株式会社 学術第三部 遠藤 弘一 2004.12.20 将来見通し 本プレゼンテーションには、中外製薬の事業及び 展望に関する将来見通しが含まれていますが、い
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」
組成
- ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」は、1錠中にラロキシフェン塩酸塩60mgを含有する。
添加物として、カルナウバロウ、クロスポビドン、酸化チタン、ステアリン酸Mg、タルク、乳糖、ヒプロメロース、ポビドン、ポリソルベート80、マクロゴール6000を含有する。
禁忌
- 深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症のある患者又はその既往歴のある患者〔副作用として静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む)が報告されており、このような患者に投与するとこれらの症状が増悪することがある(「重要な基本的注意」及び「副作用」の項参照)。〕
- 長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 抗リン脂質抗体症候群の患者〔本症候群の患者は静脈血栓塞栓症を起こしやすいとの報告がある。〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 閉経後骨粗鬆症
- 通常、ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口投与する。
慎重投与
- 肝障害のある患者〔安全性は確立していない。〕
- 経口エストロゲン療法にて顕著な高トリグリセリド血症(>500mg/dL)の既往のある患者〔本剤服用により血清トリグリセリド上昇がみられることがあるため、血清トリグリセリド値のモニターを行うこと。〕
- 腎障害のある患者〔安全性は確立していない。〕
重大な副作用
- (頻度不明)
- 静脈血栓塞栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症があらわれることがあるので、下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害等の症状が認められた場合には投与を中止すること。
- 肝機能障害:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ラロキシフェン塩酸塩(Raloxifene Hydrochloride)
化学名
- [6-Hydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)benzo[b]thien-3-yl][4-(2-piperidin-1-ylethoxy)phenyl]methanone monohydrochloride
分子式
分子量
融点
性状
- ラロキシフェン塩酸塩は白色〜微黄色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けにくく、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 高コレステロール血症
LDL-C上昇
食事
薬物
疾患
内分泌疾患
TG上昇
食事
- 体重増加
- 超低脂肪食
- 炭水化物の大量摂取
- アルコール多飲
薬物
疾患
内分泌疾患
[★]
- 英
- selective estrogen-receptor modulator, selective estrogen-receptor modulators SERMs
- 関
- エストロゲン受容体、エストロゲン
[show details]