- 英
- left posterior hemiblock LPH、left posterior fascicular block LPFB
- 関
- 左脚ブロック、左室前枝ブロック、束枝ブロック
左脚前枝の走行 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
左脚前枝ブロックと左脚後枝ブロック 心電図パーフェクトマニュアルp.99
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左脚前枝ブロック
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左脚後枝ブロック
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走行
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左室前壁を左方に向かう
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後側壁を下降する
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大動脈弁の近くを走行
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形状
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より細長い
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栄養
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左冠動脈前下行枝のみ
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左冠動脈回旋枝、右冠動脈
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疾患との関連
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解剖学的特性より効果病変に巻き込まれやすく、障害されやすい。また、血流のバックアップに乏しく虚血に弱い
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心電図
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QRS
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ほとんど延長しない
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ほとんど延長しない
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電気軸
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左軸偏位(-30°~-80°)
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右軸偏位(+110°以上)
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側壁誘導
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qR
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rS
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下壁誘導
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rS
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qR
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Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/11/15 11:06:07」(JST)
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左脚ブロック |
---|
幅の広いQRSを伴う典型的な左脚ブロックのV1とV6誘導心電図 |
分類および外部参照情報 |
---|
診療科・ 学術分野 |
循環器学 |
---|
ICD-10 |
I44.4 - I44.7 |
---|
DiseasesDB |
7352 |
---|
eMedicine |
ped/2501 |
---|
テンプレートを表示 |
左脚ブロック(さきゃく-、英 Left bundle branch block; LBBB)とは心電図でみられる伝導異常のこと[1]。 この異常がみられるときには、左心室の活動電位は遅れ、右心室よりも左心室の収縮は遅れることになる。
心電図による診断
左脚ブロックと上室性期外収縮による不整脈を呈する心電図
心電図における左脚ブロックの診断基準:
- 心拍は上室性起源による
- QRS幅は120 ms以上である[2]。
- QS または rS パターンが V1誘導でみられる。
- 単相性R波がIおよびV6誘導でみられる。
胸部誘導でみられるST部の左脚ブロック様の変化は信頼できない。
一般に脚ブロックのために、T波はQRS波と反対側にみられる。 一致したT波は心筋虚血や心筋梗塞を示唆する可能性がある。
暗記法として、「WiLLiaM MaRRoW」というものがある。これは左脚ブロック(L)ではWがV1に、MがV6にみられ、右脚ブロック(R)ではMがV1で、WがV6でみられるというものである。
原因
- 大動脈狭窄症
- 拡張型心筋症
- 急性心筋梗塞
- 狭心症
- 他の疾患を伴わない伝導障害
- 左脚ブロック(LBBB)は基礎疾患がある患者に見られることが多い。心不全患者では30%にLBBBが見られる。LBBBが発症する患者の70%に、先行する左室肥大(LVH)を認める。しかし12%の患者には器質的疾患を認めない。QRS幅と、左室機能障害の有病率・重症度は比例する[3]。
予後
新しく出現した左脚ブロックは、虚血性心疾患や心不全を意味しており、急性期には突然死と関連する。しかし症状のない既知の左脚ブロックは長期的には突然死への寄与は小さいことが報告されている[4]。
治療
- 内科的治療: 左脚ブロックを持つ患者は心機能の評価が必要である。失神を伴う患者はペースメーカーを必要とする。
- 外科的治療: 極度のQRS延長とうっ血性心不全を伴う左脚ブロック患者はペースメーカーにより症状が改善する可能性がある。
分類
左脚は、解剖学的には分類できないが、電気生理学的には前枝と後枝に分類される。
- 左脚前枝ブロック(left anterior fascicular block; LAFB)[5]
- QRS軸が-45度以上の高度の左軸偏位を示しているもの。II誘導で、S波の深さがR波の2倍以上あるようであれば、高度の左軸偏位と判断する。左脚前枝ブロックは心臓疾患による死亡リスクが高く注意を要する[6]。
- 左脚後枝ブロック(left posterior fascicular block; LPFB) [7]
- (完全右脚ブロック+左脚後枝ブロック)による2枝ブロックは、(完全右脚ブロック+左脚前枝ブロック)による2枝ブロックよりも、発作性房室ブロックをきたしやすい。[8]これは左脚前枝のほうが後枝に比べて細く、途絶しやすいためと考えられている。
参照・引用
- ^ “Conduction Blocks 2006 KCUMB”. 2009年1月20日閲覧。
- ^ “Lesson VI - ECG Conduction Abnormalities”. 2009年1月7日閲覧。
- ^ Mann DL, et al. Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 10th ed, 2011; p133.
- ^ Cuddy TE, et al. Sudden unexpected cardiac death as a function of time since the detection of electrocardiographic and clinical risk factors in apparently healthy men: the Manitoba Follow-Up Study, 1948 to 2004. Can J Cardiol. 2006;22:205-211
- ^ x20050921122910832459 - GPnotebook
- ^ Biagini E, et al. Prognostic Significance of Left Anterior Hemiblock in Patients With Suspected Coronary Artery Disease. J Am Coll Cardiol 2005;46: 858-63.
- ^ x20050921123129832459 - GPnotebook
- ^ Cardiac Electrophysiology. 2004. 485-489.
関連項目
外部リンク
- http://library.med.utah.edu/kw/ecg/mml/ecg_lbbb.html
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- 1. 左脚ブロックleft bundle branch block [show details]
…and left bundle branches. The main left bundle branch penetrates the membranous portion of the interventricular septum under the aortic ring and then divides into several fairly discrete branches. The …
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…and left bundle branches. The main left bundle branch penetrates the membranous portion of the interventricular septum under the aortic ring and then divides into several fairly discrete branches . There …
Japanese Journal
- 完全右脚ブロック, および左脚後枝ブロックを伴った低心機能, 大動脈弁閉鎖不全症AR(III)に対して心臓再同期療法と大動脈弁置換術を同時施行した1治験例
- 三浦 崇,丁 毅文,佐藤 一樹,押富 隆,橋本 宇史,丁 栄市
- 日本心臓血管外科学会雑誌 35(2), 89-94, 2007-03-15
- … 症例は74歳,男性.2004年10月にsevere ARによるうっ血性心不全で入院した.心不全改善後,手術治療を含めた精査加療の必要性を説明したが,本人は精査を希望せず,内服加療となった.経過中,完全右脚ブロック,左脚後枝ブロックから完全房室ブロックを合併し,本人の承諾を得て恒久的ペースメーカー埋め込み術(DDDモード)のみを施行した.2005年1月に心不全が再燃し,再入院となった.術前の心筋組織ドップラー検査で,中隔と後壁の …
- NAID 110004704455
- 完全右脚ブロック,および左脚後枝ブロックを伴った低心機能,大動脈弁閉鎖不全症AR(III)に対して心臓再同期療法と大動脈弁置換術を同時施行した1治験例
- 三浦 崇,丁 毅文,佐藤 一樹,押富 隆,橋本 宇史,丁 栄市
- 日本心臓血管外科学会雑誌 35(2), 89-94, 2006
- … 症例は74歳,男性.2004年10月にsevere ARによるうっ血性心不全で入院した.心不全改善後,手術治療を含めた精査加療の必要性を説明したが,本人は精査を希望せず,内服加療となった.経過中,完全右脚ブロック,左脚後枝ブロックから完全房室ブロックを合併し,本人の承諾を得て恒久的ペースメーカー埋め込み術(DDDモード)のみを施行した.2005年1月に心不全が再燃し,再入院となった.術前の心筋組織ドップラー検査で,中隔と後壁の …
- NAID 130003629632
- 虚血性心疾患の心電図--発症から退院まで-38-労作時に胸部不快感とfaintnessを訴え,心電図上,左脚後枝ブロック+右脚ブロックを呈し,心エコ-検査で心室壁肥厚を示した症例
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- left anterior fascicular block LAFB, left anterior hemiblock LAH LAHB
- 同
- 左脚前枝ヘミブロック
- 関
- 心室内伝導障害、左脚ブロック、左脚後枝ブロック、束枝ブロック。右脚ブロック
概念
- 心室内刺激伝導路の左脚は前枝と後枝に分かれている。
- 左脚前枝は左室前壁を左方に向かい、左脚後枝は後側壁を下方に向かう。
- 左脚前枝はもっぱら左冠動脈前下行枝から血流を得ている。
心電図所見
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
- 電気軸:左軸偏位(-30゚~-80゚)
- I,aVLがqR型(通常RaVL>RI)
- II,III,aVFがrS型(SIII>SaVF>SII)
左脚前枝の走行
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
興奮の伝達
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
- 後枝を下り、前枝を逆行性に左上方に伝達
- QRS時間は延長せず、QRS軸は初期に下方、後期には左上方となる → -30~-80(左軸変位)
左脚前枝ブロックと左脚後枝ブロック 心電図パーフェクトマニュアルp.99
|
左脚前枝ブロック
|
左脚後枝ブロック
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走行
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左室前壁を左方に向かう
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後側壁を下降する
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大動脈弁の近くを走行
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形状
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より細長い
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栄養
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左冠動脈前下行枝のみ
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左冠動脈回旋枝、右冠動脈
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疾患との関連
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解剖学的特性より効果病変に巻き込まれやすく、障害されやすい。また、血流のバックアップに乏しく虚血に弱い
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心電図
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QRS
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ほとんど延長しない
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ほとんど延長しない
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電気軸
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左軸偏位(-30°~-80°)
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右軸偏位(+110°以上)
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側壁誘導
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qR
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rS
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下壁誘導
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rS
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qR
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[★]
- 英
- right bundle branch block right bundle-branch block RBBB
- 関
- 左脚ブロック、束枝ブロック、脚ブロック
脚ブロックと心音、電気軸との関係
心電図
- V1でrSR' :R'は右室の興奮を表し幅広く高い波。
[★]
- 英
- left bundle branch block, LBBB
- 関
- 右脚ブロック、束枝ブロック、脚ブロック
分類
脚ブロックと心音、電気軸との関係
[★]
[★]
左脚後枝ブロック left posterior fascicular block
[★]
- 英
- left branch (Z)
- ヒス束が心室中隔の上方で右脚と左脚に分岐する?
- 左脚は左脚前枝と左脚後枝に分岐するが、それぞれの末梢はプルキンエ線維で結合している。
[★]
- 英
- branch、ramus
- 関
- 枝分れ、部門、ブランチ、分岐部、分枝
[★]
- 英
- block, Bloch
- 関
- 塊、遮断、阻止、封鎖
[★]
- 英
- dorsal ramus
- ラ
- ramus dorsalis
- 関
- 脊髄神経