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中胚葉 | |
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中胚葉由来の組織
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胚の区分
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グレイの解剖学 | subject #6 49 |
日齢 | 16 |
MeSH | Mesoderm |
中胚葉(ちゅうはいよう 英:mesoderma)とは、動物の発生初期に区別される細胞群の名称である。外胚葉と内胚葉の間を埋めるように発達し、筋肉や体腔などを作る。中胚葉を持つ動物を三胚葉性動物という。
動物の発生では卵割が進むと内部に卵割腔を持つ胞胚期についで、内外の細胞層に分かれる原腸胚期に進む。そこでは細胞層が内側と外側の二層に分かれ、内部の細胞群は原腸を形成する。ここで外表の細胞層を外胚葉、その内側で原腸壁を構成する細胞群を内胚葉という。その際、多くの動物群ではこれと同時に、あるいはそれ以降の進行に従って、この二つの胚葉の間に形成される細胞群があり、これが中胚葉である。中胚葉の形成の方法は幾通りかの型があり、それは動物の系統と密接に関連すると考えられてきた。
外胚葉が表皮とその派生的な構造、および神経系に分化し、内胚葉が消化管とその派生的な構造に発達するのに対して、中胚葉はその両者の間を埋める非常に多様な構造に分化する。それはたとえば体腔や循環系、内骨格や筋肉、真皮などである。体節制のある動物では、体節もここから作られる。なお、脊索動物では脊索がここから形成されるが、これを中胚葉に含めない主張もある。
胚葉の発見はバンダーに遡る。彼は1817年にニワトリ胚の初期発生に於いて3つの層構造が存在することを示した。彼は2層がまず形成され、その後にその間にもう一層が形成されることまで観察していた。その後、彼の知人のフォン・バーがそれを脊椎動物全般に存在するものであることを示し、さらにラトケは同様の細胞層が無脊椎動物にも存在することを示した[1]。ベーアはこれらに基づいて胚葉説を提出した[2]。
中胚葉細胞が外胚葉と内胚葉の間を満たすものは無体腔動物、間に体腔を作って外胚葉の裏打ちのみを行うものは偽体腔動物、外胚葉・内胚葉の両側の裏打ちをするものを真体腔動物と言う。外胚葉と内胚葉の間にほとんど細胞の存在しないものを二胚葉性動物というが、実際に外皮と腸壁の間に細胞が存在しない例はヒドロ虫類しかなく、その意味では後生動物は全て三胚葉性とする主張もある[3]。
中胚葉がどこに由来するかは動物群によって様々である。大きく分けると外胚葉の細胞に由来するものと、内胚葉の細胞に由来するものがあり、前者を外中胚葉 (ectomesoderm)、後者を内中胚葉 (endomesoderm)という。真の中胚葉は後者であるとみなされ、たとえば二胚葉性動物と言われる刺胞動物と有櫛動物では外中胚葉のみを持つ。だが、これをあえて内中胚葉と区別しない立場もある[4]。
真体腔は、その発生の様式から、大きくは以下の二つに分けられてきた[5]。
この二分法は古典的な動物系統論に基づくものである。それによると三胚葉性の動物は原口が口になる前口動物と原口が肛門になる後口動物に分かれ、前者は螺旋卵割を行い、裂体腔を持つのに対して、後口動物は放射卵割を行って腸体腔を発達させる。しかし、このような二分法は現在では疑問視されている[6]。
なお、脊椎動物も後口動物であるから腸体腔であり、その中胚葉は原腸壁から袋の形で分離するとの判断があった。それによると両生類の場合、神経胚期に脊索の両側で二層の壁を持つ袋の形で外胚葉と内胚葉の間に入り込み、その後に脊索との間でくびれるようにして分離する[7]。だが現在では脊椎動物は裂体腔であると判断されている[8]。
実際の発生では状況はさらに複雑である。たとえば発生のモデル生物として使われてきたウニの場合、胞胚腔を埋める細胞には以下のような三つの形成過程がある。どれも内胚葉起源と見なせるものの、それぞれ出現する時期も場所も異なるが、その全てが中胚葉と見なされている[9]。
上記のように内胚葉が消化管、外胚葉が表皮と神経に分化する。つまり、おおよそ一番外側と一番内側の上皮をこの二つが作り上げる。中胚葉は両者を埋める構造の全てに分化し、たとえば結合組織はこれに当たる。体腔を持つ動物では体腔に面する上皮も中胚葉性である[10]。他に筋肉系、循環系、排出器、生殖巣も内胚葉から作られる。ウニの場合、中胚葉からは骨片、筋肉、色素細胞、水管系などが形成される。
以下、発生のモデル生物としてよく使われる両生類について説明する。他の脊椎動物では様々な違いはあるものの、基本的な特徴は共通している。
中胚葉に分化するのは、卵割の時期に赤道の帯域にある細胞群である[11]。
原腸胚期にはこの部分の細胞が内部の胞胚腔に侵入して原腸を形成する。その後、動物極側から入り込んだ細胞群は外層を裏打ちするように発達し、これが中胚葉となる[12]。
中胚葉は原腸胚期から神経胚期にかけて、さらに分化する。 一つの区分法として、これを中軸中胚葉・沿軸中胚葉・側板中胚葉と分ける方法がある。 中軸中胚葉は脊索で、これは下記のように大部分の脊椎動物では発生初期のみ存在して後に消失するが、その働きと意味は重要である。この部分は両生類ではオーガナイザー領域から形成され、神経管を誘導し、それによって全身の体軸等を決めるものとなる。後二者は、一般には体節と側板と呼ばれる[13]。
普通は以下のように分ける。それらからさらに分化する器官と共に、以下に記す[14]。ただし、各部位・各器官は完全にそれぞれの部分からだけ形成されるわけではない。
中胚葉のうち、原口背唇部に由来する部分は、外胚葉に働きかけて神経を形成させる。これはシュペーマンとマンゴルドにより発見され、誘導と名付けられた。誘導現象は他にもあるため、現在ではこれを神経誘導と呼んでいる。その働きを持つ部分として、シュペーマンは原口背唇部を形成体、あるいはオーガナイザー(organizer)と呼んだが、往々にシュペーマンオーガナイザーと呼ばれる[15]。
上記のように、胞胚期以前には赤道域に位置する細胞群が中胚葉に分化するが、この区域の細胞の運命は胞胚期の直前までは決まっていないことも示されている。それが中胚葉に分化する機構として、植物極側の細胞による誘導があると考えられている。これはニューコープによる以下のような実験で示され、また分子生物学的にも裏付けされている[16]。
このように背側植物極領域はシュペーマンオーガナイザーを誘導するという重要なものであり、この部位はニューコープセンターと名付けられている[17]。
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