サルファ剤
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/17 02:47:39」(JST)
[Wiki ja表示]
サルファ薬(サルファやく、英: sulfonamides)とは、スルホンアミド(-S(=O)2-NR2)部位を持つ合成抗菌剤・化学療法薬の総称。生物由来ではないため、抗生物質とは呼ばれない。
サルファ薬は葉酸生合成系のうちジヒドロプテロイン酸合成酵素(en)の基質であるパラアミノ安息香酸(PABA)に構造的に類似しており、競争阻害物質としてジヒドロプテロイン酸合成を阻害する。これにより葉酸代謝物であるテトラヒドロ葉酸の細胞内供給を決定的に不足させ、結果的にプリンとチミジンの新規合成を停止させることによって、病原微生物のDNA合成とRNA合成を阻害し静菌的に作用する。細菌のみならず真菌や原虫にも効果を示すが、ヒトは葉酸の生合成系を欠いているため、サルファ薬は病原体にのみ選択的に作用する。
ジヒドロプテロイン酸合成酵素が変異を起こし、PABA親和性が変化することにより耐性菌が出現する。細菌が一種類のサルファ薬に対して耐性を獲得すると、他のサルファ薬に対しても耐性を示すようになり、これを交差耐性という。単独で使用すると耐性菌が出現しやすいこと、また相乗効果が期待できることから、サルファ薬は葉酸活性化阻害薬(トリメトプリム)と併用されることが多い(ST合剤参照)。 プロカインは分解されるとPABAを生じるため、プロカインとの併用ではサルファ薬の作用は低下する。 映画「プライベートライアン」の劇中で、負傷したの傷口に振りかけていた白い粉がこれである。
目次
- 1 開発の経緯
- 2 参考文献
- 3 関連項目
- 4 サルファ薬を治療に用いる感染症
開発の経緯
1935年、ドイツのゲルハルト・ドーマクが、染料のプロントジルに抗マラリア作用があることを発見した。また、自分の娘が敗血症を起こしたとき、プロントジルを投与し命を救った。
その後、プロントジルの持つスルフォン環に抗菌作用のあることが判明し、次々とサルファ薬が開発された。 ドーマクは後に、プロントジルの開発によって、ノーベル医学賞を受賞した。
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編 『明解獣医学辞典』 チクサン出版社、1991年。ISBN 4885006104
- 伊藤勝昭ほか編 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版、2004年。ISBN 4874021018
- 三木卓一監修 『医薬化学 第3版 生物学への橋かけ』 2002年 ISBN 4567461533
- トーマス・ヘイガー『サルファ剤―忘れられた奇跡』中央公論新社 2013年
関連項目
- プロントジル(en)
- ジアフェニルスルホン(DDS)
- スルファモノメトキシン
- スルファジアジン
- スルファジメトキシン(en)
- スルファセタミド(en)
- スルファドキシン(en)
- スルファニルアミド(en)
- スルフィソミジン(en)
- スルフィソキサゾール(en)
- スルファメトキサゾール
- スルファジミジン
- スルファメラジン
- スルファキノキサリン
サルファ薬を治療に用いる感染症
- ニューモシスチス肺炎
- MRSA
- ハンセン氏病
- 尿路感染症・前立腺炎
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- ラットの耳下腺および顎下腺唾液中へのサルファ薬の排泄能について
- 一地域の学童におけるリウマチ熱,およびリウマチ性心疾患にかんする研究(第3報) : 再発予防内服にかんする研究
- 岡村 輝彦
- 日本内科学会雑誌 54(7), 804-807, 1965
- … 概要 リウマチ熱は再発の多い疾患である.リウマチ熱罹患者に対し経口ペニシリン(緩衝ピリミジンペニシリンまたはバイシリンV2)または持続作用性のサルファ薬(スルファジメトキシピリダジン)による化学予防を行なった. …
- NAID 130000888476
Related Links
- サルファ薬(サルファやく、英: sulfonamides)とはスルホンアミド (-S(=O)2-NR2) 部位 を持つ合成抗菌剤・化学療法薬の総称。(生物由来ではないため、抗生物質とは呼ばれ ない。)サルファ薬はジヒドロプテロイン酸合成酵素(en)の基質であるパラアミノ安息香 ...
- サルファ薬やST合剤に関する概説です。次の内容を含みます。合成抗菌薬の第一号が サルファ薬である。スルファニルアミドが抗菌活性の本体。サルファ薬の作用機序、菌は スルファニルアミドを4-アミノ安息香酸と間違えて取り込む。喜びも束の間、耐性菌が ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- fulminant
- 英
- fulminant hepatitis
- 同
- 電撃性肝炎、急性肝萎縮症 acute liver atrophy、急性黄色肝萎縮症 acute yellow liver atrophy
- 関
- 肝炎、難病
定義
- 肝炎のうち症状発現後約8週間以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡II度以上の脳症をきたし、プロトロンビン時間40%以下を示すものとする(第12回犬山シンポジウム(1981年8月))
- 肝炎ウイルスや薬物が原因となって、肝細胞の広範な壊死と脱落をきたす重篤な肝障害で、致命率が高い。
- 先行する慢性肝疾患が認められる場合には除外するが、B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの急性増悪は含める。(参考1)
- リンパ球浸潤など肝炎像が見られることは本疾患の要件で、薬物中毒、術後肝障害、急性妊娠脂肪肝など肝炎像の認められないものは除外。(参考1)
- 肝性昏睡II度以上の出現が8-24週のものは遅発性肝不全(late onset hepatic failure, LOHF)に分類される。(参考1)
- 難治性疾患克服研究事業とされている(難病#難治性疾患克服研究事業(調査研究対象:130疾患))
病因
- IMD
- ウイルス性の劇症肝炎ではB型肝炎ウイルスによるものが多く、A型肝炎ウイルスがこれに次ぐ
- 急性型 :B型 約50%、原因不明 約20%、A型 約15%、その他(薬物性、C型、E型)
- 亜急性型:成因不明 約45%、B型 約20%、薬物性 約15%、その他(A型、C型、E型)
- YN.B-34
- YN.B-34 参考1
- ウイルス性:B型肝炎ウイルス(約40%)、その他ウイルス
- 自己免疫性:自己免疫性肝炎(15%)
- 薬剤性:薬剤性肝障害(10%):PAS、ハロタン、サルファ剤
- 代謝性:急性妊娠性脂肪肝、ウイルソン病、ライ症侯群
- 虚血性:出血性ショック、心原性ショック、および敗血症性ショックの後
病型
- 急性 :急性肝炎発症後10日以内に脳症が出現
- 亜急性:急性肝炎発症後11日以降に脳症が出現 予後が悪い
検査
- 画像検査で肝萎縮が認められた場合には予後不良(SSUR.591)
血液検査
- コリンステラーゼ:低下(40%以下)
- アルブミン:低下
- AST・ALT:上昇したのち低下
- ビリルビン:上昇
- 血中アンモニア:上昇。(SSUR.591)
腹部CT
シンチグラフィ
重症度の指標
- YN.B-34
- プロトロンビン時間40%以下
- アルブミン<2.5g/dL
- 腹水、浮腫、肝性脳症
- コリンエステラーゼ:低値
- コレステロールエステル:低値 ← LCATは肝臓で合成される。
- 血中アンモニア:上昇
- ビリルビン上昇(直接ビリルビン/間接ビリルビン<0.5) ← 抱合能低下により間接ビリルビンが増加
- BUN≦6mg/dl
- 血清肝細胞増殖因子(HGF)≧1ng/ml → 肝細胞の増殖を促そうとしている。予後評価に有用
- 肝萎縮(CT, US)
症状
- 初発症状:全身倦怠感、発熱、黄疸、悪心、食欲不振。その後症状が持続。意識障害(急性型では初発することあり。亜急性型では遅発する)。(IMD)
合併症
- 脳浮腫、消化管出血、腎不全、血管内凝固症候群、全身感染症
治療
- a. 輸液管理:アミノ酸を含まないブドウ糖主体の輸液。→ 肝臓の尿素サイクルの著しい障害が見られるため分枝アミノ酸の投与は行わない
- b. 肝性脳症予防:合成二糖類(ラクツロース)、非吸収性抗菌薬PO(カナマイシン、ポリミキシンB)
- c. 合併症の治療:脳浮腫(マンニトール、グリセロール)
- d. その他:感染予防、呼吸器管理、消化管出血(予防にはH2ブロッカーが有効)に対する対応
-
- 抗ウイルス療法 ・・・ B型肝炎ウイルス
- 免疫抑制療法 ・・・・ 自己免疫性肝炎
- 肝細胞の壊死を抑制:抗凝固療法(新鮮凍結血漿、アンチトロンビン製剤、蛋白分解酵素阻害薬、副腎皮質ステロイドパルス療法 ・・・ 有効性はまだ認められていない
劇症肝炎の肝移植適応基準
- 劇症肝炎の肝移植適応基準 (第22回日本急性肝不全研究会,1996年4月) YN.B-35
- I. 脳症発現時に次の5項目のうち2項目を満たす場合は死亡と予測して肝移植の登録を行う
- 1) 年齢:45歳以上
- 2) 初発症状から脳症発現までの日数:11日以上(亜急性型) → 予後不良を示唆
- 3) プロトロンビン時間:10%以下 → 肝機能低下
- 4) 血清総ビリルビン濃度:18mg/dl以上
- 5) 直接/総ビリルビン比:0.67以下 → 抱合能低下
- II. 治療開始(脳症発現)から5日後における予後の再評価
- 下記項目について認められる項目数が2項目の場合生存と予測し肝移植登録を取り消す。0または1項目の場合死亡と予測して肝移植登録を継続する。
- 1) 脳症がI度以内に覚醒、あるいは昏睡度でII度以上の改善
- 2) プロトロンビン時間が50%以上に改善
予後
SUR.591
- 肝性昏睡II度:60%救命
- 肝性昏睡IV度~V度:10-20%救命
参考
- 1. 難治性の肝炎のうち劇症肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/242
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 英
- monkey、simian
- 関
- 類人猿、真猿亜目、直鼻猿亜目
[★]
- 英
- sulfa
- 関
- スルファ