- 48歳の男性。昨夜から頭痛の悪化、嘔吐および意識障害がみられるようになったため救急車で搬入された。1か月前から上顎の齲歯のため鈍痛が持続していた。4日前から発熱、顔面痛および頭痛を自覚していたが放置していた。意識は昏迷状態で項部硬直と右不全片麻痺とを認める。頭部造影CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D011]←[国試_096]→[096D013]
★リンクテーブル★
[★]
- 28歳の男性。生来健康であったが、1週前から発熱と咳とが続くため来院した。咳は乾性で頑固である。同様の症状を訴えている会社の同僚がいる。体温38.2℃。呼吸数18/分。脈拍80/分、整。胸部聴診では呼吸音の異常は認めない。白血球6,500(桿状核好中球8%、分葉核好中球52%、好酸球2%、単球8%、リンパ球30%)。CRP 8.6mg/dl (基準0.3以下)。胸部エックス線写真で右中肺野に浸潤影を認める。誘発喀痰のGram染色では起因菌は推定できなかった。初期治療として適切な抗菌薬はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096D012]←[国試_096]→[096D014]
[★]
- 32歳の男性。4日前から咽頭痛と発熱とがあったが放置していた。昨日から高熱が出現し、嚥下困難や開口障害を伴うようになってきたので来院した。
- 血液所見:赤血球480万、Hb13.0g/dl、白血球13,600。
- 血清生化学所見;AST(GOT)30単位(基準40以下)、ALT(GPT)28単位(基準35以下)。CRP 13.6mg/dl (基準0.3以下)。
- 咽頭の写真を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D010]←[国試_096]→[096D012]
[★]
- 英
- brain abscess, cerebral abscess
- 同
- 頭蓋内膿瘍 intracranial abscess
- 関
概念
分類
病原体
- see IRE.452
- 細菌性脳膿瘍:連鎖球菌、嫌気性菌、グラム陰性桿菌、黄色ブドウ球菌。連鎖球菌(50-70%)、黄色ブドウ球菌(10-15%)
- 真菌性脳膿瘍:アスペルギルス感染、ムコール症、シュードアレッシェリア症
- 原虫性脳膿瘍:トキソプラズマ症
病期
- see SCN.350
病因
- 心疾患:心内膜炎、右左シャントを伴う心疾患()。血行性に中大脳動脈領域に発生。細菌塞栓による脳梗塞が起こると、細菌は容易に脳組織に移行 (SCN.350)
- 耳鼻科疾患:副鼻腔炎、中耳炎。好発部位は副鼻腔炎で前頭葉、中耳炎では側頭葉、小脳 (SCN.350)
- 開放性外傷:
YN.J-142
疫学
- 30歳代。先天性心疾患、副鼻腔炎、中耳炎の好発年齢と一致。 (SCN.350)
病態
症状
- 発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣で発症。 (SCN.350)
- 髄膜炎と異なり、片麻痺、精神症状、局所痙攣などの局所症状も呈する。 (SCN.350)
検査
血液検査
脳脊髄液
- 細胞数の軽度増加 (SCN.350)
- 所見に乏しく、診断にはあまり有用でない、らしい。
頭部CT
- 単純CT:白質>白質浮腫領域>病変>脳室
- 造影CT:リング上の増強。 ← 被膜形成期に造影剤により増強効果を示す(SCN.350) ← 生体の感染に対する防御反応
頭部MRI
- T1:low intensity
- T2:high intensity
[show details]
診断
鑑別診断
- CT画像上、グリオーマ、転移性脳腫瘍と鑑別。炎症所見が乏しいことが鑑別のカギ(SCN.350)
治療
- IRE.446-
-
-
- 抗菌薬による治療期間は4-6週間(時に8週間) (IRE.449)
- ステロイド:脳圧亢進、脳ヘルニアの危険が迫っている場合に使用。
- 抗痙攣薬:ジアゼパム、フェニトイン
SCN.3550
- 病期のよって治療が変わる
- 脳炎の時期:抗菌薬(経験的に広域スペクトラムの第三世代セフェムを使用)+脳圧降下薬
- 皮膜形成期:ドレナージ
予後
参考
- http://www.masa.go.jp/nes/library/ba.html
国試