モキシフロキサシン
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モキシフロキサシン
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IUPAC命名法による物質名 |
1-cyclopropyl-7-[(1S,6S)-2,8-diazabicyclo
[4.3.0]non-8-yl]-6-fluoro-8-methoxy-4-oxo- quinoline-3-carboxylic acid
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C (US)
B3 (オーストラリア) |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口投与, IV, 点眼 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
86 ~ 92% |
血漿タンパク結合 |
30 ~ 50% |
代謝 |
グルクロニド及び硫酸抱合
シトクロムP450は無関係 |
半減期 |
12時間 |
排泄 |
胆管及び腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
354812-41-2 |
ATCコード |
J01MA14 |
PubChem |
CID 152946 |
DrugBank |
APRD00281 |
化学的データ |
化学式 |
C21H24FN3O4 |
分子量 |
401.431 g/mol |
モキシフロキサシン (Moxifloxacin) は、第IIIa世代ニューキノロン系抗生物質のひとつ。商品名は「アベロックス錠®」。ドイツの製薬メーカーバイエルが開発し、かつて日本では塩野義製薬が販売していた。2010年7月1日よりとバイエル薬品の日本法人が単独で販売している。
また、アルコンが点眼薬として販売しており、日本では日本法人の日本アルコンが取り扱っている。商品名は「ベガモックス」。
特徴
PK/PD理論から一日一回投与として発売された。またレスピラートリー・キノロンとして当初発売されたが、適応症を皮膚感染症・外傷/熱傷の二次感染に対しても取得している。
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 新薬くろ〜ずあっぷ(61)アベロックス錠400mg
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- アベロックスはバイエル=富士フイルムが製造販売するモキシフロキサシン塩酸塩です。効果効能は[レボフロキサシン水和物の適応症]表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症/リンパ管・リンパ節炎/慢性膿皮症,にきび(化膿性炎症を ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アベロックス錠400mg
組成
成分・含量
- 1錠中,モキシフロキサシン400mg(モキシフロキサシン塩酸塩として436.8mg)含有
添加物
- 結晶セルロース,乳糖水和物,クロスカルメロースナトリウム,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,マクロゴール4000EP,三二酸化鉄,酸化チタン
禁忌
- 本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重度の肝障害のある患者[重度の肝障害患者に対する安全性は確立していない.]
- QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室性頻拍(Torsades de pointesを含む),QT延長の増悪を起こすことがある.]
- 低カリウム血症のある患者[心室性頻拍(Torsades de pointesを含む),QT延長を起こすことがある.]
- クラスIA(キニジン,プロカインアミド等)又はクラスIII(アミオダロン,ソタロール等)の抗不整脈薬を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
- 小児等[「小児等への投与」の項参照]
効能または効果
適応菌種
- モキシフロキサシンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属,プロテウス属,インフルエンザ菌,レジオネラ・ニューモフィラ,アクネ菌,肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ),肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
適応症
- 表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,副鼻腔炎
- 皮膚科領域感染症に対して本剤を投与する場合には,一次選択薬としての使用は避けること.
- 通常,成人にはモキシフロキサシンとして,1回400mgを1日1回経口投与する.
- 本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること.更に,本剤の投与期間は,原則として皮膚科領域感染症,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎及び慢性呼吸器病変の二次感染に対しては7日間以内,肺炎及び副鼻腔炎に対しては10日間以内とすること.
- 体重が40kg未満の患者では,低用量(200mg)を用いるなど慎重に投与すること.特に高齢者においては加齢に伴う生理機能の低下等も考えられることから注意すること.[「高齢者への投与」の項参照]
慎重投与
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある.]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 重度の徐脈等の不整脈,急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者[心室性頻拍(Torsades de pointesを含む),QT延長を起こすことがある.(「副作用」の項参照)]
- 重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある.]
重大な副作用
- 以下の重大な副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
ショック(0.01%未満),アナフィラキシー様症状(血管浮腫等)(0.1%未満)
- ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,意識消失,咽頭浮腫,顔面浮腫,呼吸困難,蕁麻疹等があらわれた場合には投与を中止すること.ショックがあらわれた場合には直ちにアドレナリン等の投与により血圧の維持を図り,必要に応じて気道の確保,副腎皮質ホルモン剤,抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)(0.01%未満),QT延長(1%未満)
- 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む), QT延長(女性及び高齢者ではQT間隔が延長しやすい)があらわれることがあるので,不整脈の兆候がみられた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
偽膜性大腸炎
(0.1%未満)
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので,腹痛,頻回の下痢があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
腱炎(0.1%未満),腱断裂(0.01%未満)等の腱障害
- 腱炎,腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので,腱の疼痛や炎症がみられた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,外国において,投与終了数ヵ月後にこれらの症状を発現した症例も報告されている.
痙攣
(0.1%未満)
錯乱(1%未満),幻覚(0.1%未満)等の精神症状
失神,意識消失
(0.1%未満)
- 失神,意識消失,意識レベルの低下等があらわれることがあるので,このような場合には投与中止等の適切な処置を行うこと.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis :TEN)(頻度不明),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.01%未満)
- 中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
*劇症肝炎(頻度不明),肝炎(主に胆汁うっ滞性)(0.1%未満),肝機能障害(1%未満),黄疸(0.1%未満)
- 劇症肝炎,肝炎(主に胆汁うっ滞性),AST(GOT),ALT(GPT)等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
低血糖
(頻度不明)
- 重篤な低血糖があらわれることがある(高齢者,糖尿病患者であらわれやすい)ので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
重症筋無力症の悪化
(頻度不明)
- 重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
薬効薬理
抗菌作用
- グラム陽性菌,グラム陰性菌,嫌気性菌及び非定型菌に対し,幅広い抗菌スペクトルを有し,ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属,プロテウス属,インフルエンザ菌,レジオネラ・ニューモフィラ,アクネ菌,肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ),肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対して強い抗菌活性を示す.特に呼吸器感染症の原因菌である肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)に対して,同系統のレボフロキサシンより優れた抗菌活性を示した22〜27).
実験的感染症に対する治療効果
- 肺炎球菌による呼吸器感染症モデルにおいて,経口投与による生存率の改善が認められ,同系統のレボフロキサシンより優れた治療効果を示した22).
作用機序
- 本剤は細菌のDNAジャイレース及びトポイソメレースIVに対して阻害活性を示し,殺菌的に作用する27,28).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- モキシフロキサシン塩酸塩
(Moxifloxacin Hydrochloride)JAN
(略号:MFLX)
化学名
- 1-Cyclopropyl-6-fluoro-8-methoxy-7-[(4aS,7aS)-octahydropyrrolo[3,4-b]pyridin-6-yl]-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid monohydrochloride
分子式
分子量
性状
- 本品は淡黄色〜黄色の結晶性の粉末である.
本品は水又はメタノールにやや溶けにくく,エタノール(99.5)に溶けにくい.
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 肺炎
成人避難所関連肺炎ガイドライン
- 冲永氏ら
- Guidelines for Refuge-Associated Pneumonia( RAP) in Adults(ver.2 2011.4.4)
1.肺炎を疑う所見
- 1. 咳嗽と有色喀痰
- 2. 37.8度以上の発熱
- 3. 呼吸数20回/分以上
- 4. SpO2≦94%
- 5. 息苦しさ・呼吸困難
- 6. crackle聴取
- 7. 胸痛(胸膜炎)
2.重症度の目安
- 1. 年齢:男70才以上、女75才以上
- 2. 基礎疾患:COPD、DM、CHF、肝・腎疾患、悪性疾患、免疫不全など
- 3. 施設入所、寝たきり
- 4. 脈拍>125回/分
- 5. 呼吸数>30回
- 6. 新たな精神症状・意識障害
- 7. 脱水:腋窩の乾燥、口腔粘膜の乾燥、ツルゴール陽性、乏尿
3.市立病院への受診・搬送基準
- 1. 「重症度の目安」3項目以上
- 2. ショックを伴う または SpO2≦90%
- 3. 結核疑い:既往歴、免疫低下など
- 4. empiric therapy 3日後にも解熱しない
- 5. 診察医の判断
4.肺炎の予防
- 1. ウイルス感染の予防:マスク、手指衛生、咳エチケット
- 2. 口腔ケア:歯磨き等
- 3. 栄養の保持
- 4. 誤嚥防止
- 5. 脱水回避:夜間のトイレを嫌がらず、こまめに水分摂取
- 6. 避難所の衛生環境の改善、保持
5.肺炎疑い時のempiric therapy
- 経口:メイアクトMS(100)6T 3x または フロモックス(75)6T 3x(以上は食後内服が守れる時)
- クラビット(500)1T 1x または レスピラトリーキノロン*
- 点滴:ロセフィン 1~2g 1日1回点滴
- 経口:メイアクトMS(100)6T 3x または フロモックス(75)6T 3x(以上は食後内服が守れる時)
- レスピラトリーキノロン 半量
- 点滴:ロセフィン 1g 1日1回点滴
- 経口:ジスロマックSR 2g または ジスロマック(250)2T 1X 3日間
- ミノマイシン(100) 2T 2X朝・夕
- 経口:レスピラトリーキノロン
- 点滴:ロセフィン 1回1~2g 1日1回点滴
- チエナム 1回0.5~1g 1日2回点滴
凡例
参考
- http://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/express/data/nmexpress1106.pdf
[★]
- 英
- synthetic antibacterial drug, synthetic antimicrobial, synthetic antibacterial medicine, synthetic antimicrobials
商品
[★]
- 英
- moxifloxacin
- 化
- 塩酸モキシフロキサシン moxifloxacin hydrochloride
- 商
- アベロックス、ベガモックス
- 関
- 抗菌薬、眼科用剤。ニューキノロン系抗菌薬