アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/17 16:57:59」(JST)
[Wiki ja表示]
アスパラギン酸トランスアミナーゼ |
Escherichia coliのアスパラギン酸トランスアミナーゼのリボンモデル。中央の分子は補因子のピリドキサールリン酸[1]
|
識別子 |
EC番号 |
2.6.1.1 |
CAS登録番号 |
9000-97-9 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
アスパラギン酸アミノ基転移酵素(アスパラギンさんアミノきてんいこうそ、Aspartate Aminotransferase, ART ; EC 2.6.1.1)は、アスパラギン酸とα-ケトグルタル酸をグルタミン酸とオキサロ酢酸に相互変換する酵素である。ASTまたはGOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれる。
主にミトコンドリア内で働く m-AST と細胞質基質で働く s-AST に分類される。
人体では、肝細胞をはじめとして赤血球、心筋、骨格筋などに分布する。そのためこれらの細胞が破壊された場合に血液中に流出するため、血中濃度を測定することで肝障害などの程度を知ることができる(逸脱酵素)。
目次
- 1 臨床検査におけるAST
- 2 出典
- 3 関連項目
臨床検査におけるAST[編集]
逸脱酵素としての性質から、肝機能障害の程度を評価する目的で血清中のAST濃度測定が行われる。ただし、肝障害のマーカーとしては、肝細胞が破壊し尽くされるとむしろ流出量は低下する点と、肝臓以外の障害(心筋梗塞や溶血性貧血)でも上昇しうる点に留意すべきである。肝臓に特異的という点ではALT(GPT)も同時に評価することが有用となる。
基準値[編集]
単位は IU/l(国際単位/l)で示され、10~40程度が基準値となる。
異常値[編集]
肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝腫瘍、などの肝疾患ではAST、ALTの上昇が特徴的であり、100以上、ときに500以上を示す。なかでも、アルコール性肝炎や肝硬変、肝腫瘍ではASTの上昇が目立ち、ウイルス性肝炎や脂肪肝ではALTの上昇が目立つとされている。膠原病の1種である多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)でもAST(GOT)の上昇を認める。
このほかに、AST上昇時には心筋梗塞、溶血性貧血などが鑑別疾患にあがる。採血時の溶血の可能性も考慮する必要がある。
出典[編集]
- ^ PDB 1AAMAlmo SC, Smith DL, Danishefsky AT, Ringe D (March 1994). “The structural basis for the altered substrate specificity of the R292D active site mutant of aspartate aminotransferase from E. coli”. Protein Eng. 7 (3): 405–12. doi:10.1093/protein/7.3.405. PMID 7909946.
関連項目[編集]
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 4-アミノ-4,5-ジヒドロ-2-チオフェンカルボン酸によるアスパラギン酸アミノ基転移酵素の自殺反応機構
- 2.アスパラギン酸アミノ基転移酵素とグルタミン酸の反応の解析 : C4,C5基質の反応の比較(第410回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
Related Links
- アスパラギン酸アミノ基転移酵素(アスパラギンさんアミノきてんいこうそ、Aspartate Aminotransferase, ART ; EC 2.6.1.1)は、アスパラギン酸とα-ケトグルタル酸を グルタミン酸とオキサロ酢酸に相互変換する酵素である。ASTまたはGOT(Glutamic ...
- 馬の用語事典 アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (aspartate aminotransferase(AST)) の用語解説 - 細胞膜の透過性亢進や細胞破壊により血中に遊出する逸脱酵素で、AST と略す。ASTはすべての臓器に含まれるが、心臓、肝臓、骨格筋の順に多く含まれる ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- alanine aminotransferase, L-alanine aminotransferase, ALT
- 同
- グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ glutamic-pyruvic transaminase, GPT
- グルタミン酸アラニントランスアミナーゼ glutamic-alanine transaminase、L-アラニン:2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ L-alanine:2-oxoglutarateaminotransferase
- 関
- アスパラギン酸アミノ基転移酵素 AST、マクロALT。アミノ転移
概念
- 肝細胞からの逸脱酵素。肝以外での含有量は少ない。
- 旧来のGPTおなじ
- 肝細胞障害の指標 → 炎症が沈静化していれば(慢性肝炎や肝硬変の末期)、正常範囲を示しうる。
酵素
- http://www.uniprot.org/uniprot/P24298
機能
- 可逆的アミノ基転移反応を触媒する
- L-アラニン(L-alanine)+2-オキソグルタル酸(2-oxoglutarate)=ピルビン酸(pyruvate)+L-グルタミン酸(L-glutamate
- 補酵素:ピリドキサールリン酸(VB6)補酵素
- 組織の炎症や挫滅により血中に逸脱
- 消化管から由来する大量のアラニンを肝臓でピルビン酸へと変換し,糖新生の基質として供給
- 全身に存在するが、特に肝臓に多い。
臨床検査
- 基準値:4-43U/L。7-41 U/L(HIM A-3)
- 急性ウイルス肝炎
判別
- 高度上昇 :急性肝炎、劇症肝炎、ショック
- 中程度上昇:急性肝炎m慢性活動性肝炎、閉塞性黄疸
- 軽度上昇 :脂肪肝、肝硬変、アルコール性肝障害、胆石発作、肝癌、心筋梗塞(うっ血肝により肝細胞障害を来し、軽度上昇)
- ALTは慢性期な疾患でASTより優位となる。(アルコール性の肝疾患や肝硬変、肝癌は異なる)
- 急性ウイルス性肝炎(極期)、慢性肝炎、過栄養性脂肪肝
|
AST
|
ALT
|
含有量
|
3
|
1
|
局在
|
心筋、肝臓、 骨格筋、腎臓 赤血球
|
肝臓、腎臓、 心臓、骨格筋
|
逸脱しやすさ
|
逸脱しにくい
|
逸脱しやすい
|
血中半減期
|
2日
|
6日
|
肝小葉内の分泌
|
中心静脈
|
辺縁
|
[★]
- 英
- cytoplasmic aspartate aminotransferase
- 関
- 細胞質型アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
[★]
- 英
- mitochondrial aspartate aminotransferase
[★]
腫瘍の転移
- 英
- metastasis
- 関
- metastatic potential、skip metastasis、metastatic disease
原発
|
転移
|
肺
|
リンパ節が最多。肝臓、胸膜、対側肺、副腎、心膜、骨(肋骨、椎骨)、大脳(圧迫症状出現) 遠隔転移:肺内>骨>脳>肝>副腎 小細胞癌が最も転移しやすい。
|
胃
|
分化型:血行性に肝臓、未分化型:腹膜播種
|
大腸
|
肝臓、肺
|
卵巣
|
腹腔内播種、リンパ性転移(後腹膜)。血行性は希
|
腎臓
|
肺>骨>肝。副腎もありうる。能は多くない。
|
骨肉腫
|
肺>骨 発見時に10-20%の症例で肺転移。
|
- 転移性脳腫瘍は原発巣が肺であることが最も多い、らしい。
- 転移性の硬膜外腫瘍は原発巣が肺癌>乳癌>リンパ腫
精神医学
- 英
- transference
- →感情転移
- 英
- transposition
[★]
- 英
- enzyme, ferment
- 関
- 酵素反応
酵素の分類
- (a)酸化還元酵素(oxydoreductase) EC1:ある物質を酸化したり、還元したりします。脱水素酵素、ペルオキシダーゼなどを含みます。
- (b)転移酵素(transferase) EC2: アミノ基やリン酸基などをある物質から別の物質に転移する酵素です。アミノ基を転移する酵素はアミノトランスフェラーゼと呼ばれます。
- (c)加水分解酵素(hydrolase) EC3:ある物質(基質)に水(H2OのうちHとOH)を加えることにより、2つに分解します。多くの蛋白分解酵素が含まれます。
- (d)リアーゼ(lyase) EC4:ある物質を2つに分解します。
- (e)イソメラーゼ(isomerase) EC5:ある基質を異性体に変換します。
- (f)リガーゼ(ligase) EC6;ATPのエネルギーを使って2つの物質を結合します。
[★]
- 英
- aspartate, aspartic acid, Asp, D
- 同
- 2-アミノコハク酸 2-aminosuccinic acid
- 化
- アスパラギン酸カリウム potassium aspartate、アスパラギン酸マグネシウム
- 関
- アミノ酸。L-アスパラギン酸
- 極性。酸性。
- カルボキシル基(carboxyl group)を有する。
- アラニンの側鎖にカルボキシル基が付いた形をしている。
- 側鎖:
-CH2-COOH
[★]
- 英
- asparagine, Asn, N
- 関
- アミノ酸
- 極性。無電荷。
- アスパラギン酸のカルボキシル基(-COOH)とアンモニア(NH3)が反応してアミド基(-CONH2)を有した形。
- アラニンの側鎖にアミド基が付いた形
- 側鎖
-CH2-CO-NH2
[★]
アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カルシウム、アスパラギン酸マグネシウム