- 英
- sirolimus
- 商
- ラパマイシン rapamycin, Rapamune RAPAMUNE
-sirolimus
-ラパマイシン
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ラパマイシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,
26R,27R,34aS)-9,10,12,13,14,21,22,23,24,25,26,
27,32,33,34,34a-hexadecahydro-9,27-dihydroxy-3-
[(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-hydroxy-3-methoxycyclohexyl]-
1-methylethyl]-10,21-dimethoxy-6,8,12,14,20,26-
hexamethyl-23,27-epoxy-3H-pyrido[2,1-c][1,4]-
oxaazacyclohentriacontine-1,5,11,28,29
(4H,6H,31H)-pentone |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
20%, less after eating food rich in fat |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
57~63時間 |
排泄 |
糞 |
識別 |
CAS登録番号 |
53123-88-9 |
ATCコード |
L04AA10 |
PubChem |
CID 6436030 |
DrugBank |
APRD00178 |
KEGG |
D00753 |
化学的データ |
化学式 |
C51H79NO13 |
分子量 |
914.172 g/mol |
ラパマイシン(英: Rapamycin)とは、免疫抑制剤の一つ。
シロリムス(英: Sirolimus)とも呼ばれている。
商品名はラパミューン(Rapamune®)としてワイス(現ファイザー)から販売。
目次
- 1 名称
- 2 免疫抑制作用
- 3 がん治療作用
- 4 平滑筋増殖抑制作用
- 5 寿命延長作用
- 6 関連項目
- 7 脚注
名称[編集]
ラパマイシンは、1965年にイースター島の土壌でStreptomyces hygroscopicsというストレプトマイセス属の放線菌の一種から産生された化合物として、ブラジルの研究者チームから発見された。同島のポリネシア語名の「ラパ・ヌイ」のラパと、「菌類から生じた抗生物質」を意味する接尾語のマイシンとを組み合わせてラパマイシンと名付けられた。
免疫抑制作用[編集]
ラパマイシンが、免疫抑制作用においてカルシニューリン阻害剤より優れている点は、腎臓に対しての毒性が低いということである。カルシニューリン阻害剤により長期的に免疫を抑制された患者は、腎機能が低下し、時には慢性腎不全を発症する場合もあるが、ラパマイシンではその心配が少ない。
また、臓器提供者が溶血性尿毒症症候群に罹患している際には、カルシニューリン阻害剤を使用することによって移植後に再発する危険性もある。しかし、ラパマイシンは2008年10月7日に米国食品医薬局より、腎機能低下のリスクを警告するラベルを訂正する許可が出されている。
がん治療作用[編集]
ラパマイシンの抗増殖効果として、PI3K/Akt/mTOR経路への阻害があげられる(mTOR=哺乳類ラパマイシン標的蛋白質/mammalian target of rapamycin)。また血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現を抑制して、血管内皮細胞の増殖や管腔形成を抑えるとされる。最近では、腎移植を行う予定の患者にラパマイシンを投与したところ、カポジ肉腫の進行が抑制されたことが確認されている。また、ドキソルビシンとラパマイシンとを併用したマウスに対する治療では、AKT陽性の悪性リンパ腫が不活性化されたことが示されている。
パノビノスタットはメイヨー・クリニックによる研究で、ラパマイシンと共に使用することで、相乗効果的に膵癌細胞を不活性化させる事が判明している。研究では、この組み合わせにより、培養された膵癌細胞の内、最大で65%が不活性化されると判明した[1]。なおラパマイシン誘導体にテムシロリムス(Temsirolimus/商品名トーリセル・腎細胞がん治療薬)がある。
平滑筋増殖抑制作用[編集]
平滑筋増殖抑制効果があり、狭心症・心筋梗塞等における心臓カテーテル検査において用いられる血管内ステントに、ラパマイシンを配合したステント(サイファー Cypher®)が製品化されており広く循環器科領域で用いられている。また、リンパ脈管筋腫症においても使用されている。
寿命延長作用[編集]
2009年の研究では、ラパマイシンを与えられたマウスは与えられる前に比べて寿命が28-38%伸長し、最大寿命が全体で9-14%伸長した[2]。同研究の注意書きによると、実験は生後20ヶ月の成熟したマウス(ヒトに換算すれば60歳前後)で行われた。これは、一般的な延命策と違って、すでに高齢化しているヒトの寿命を伸長させる可能性を示唆している。しかし、前述のとおり、ラパマイシンには強い免疫抑制作用があり、医師の処方によらない安易な摂取はやめるべきである。
関連項目[編集]
- 移植 (医療)
- 抗がん剤
- 寿命
- タクロリムス
- mTOR(mammalian target of rapamycin) - ラパマイシンにより阻害される標的タンパク質
- エベロリムス - ラパマイシン誘導体
- 結節性硬化症
脚注[編集]
- ^ Sun SY, Rosenberg LM, Wang X, et al. (August 2005). “Activation of Akt and eIF4E survival pathways by rapamycin-mediated mammalian target of rapamycin inhibition”. Cancer Res. 65 (16): 7052–8. doi:10.1158/0008-5472.CAN-05-0917. PMID 16103051. http://cancerres.aacrjournals.org/cgi/content/full/65/16/7052 2009年7月8日閲覧。.
- ^ 「Rapamycin fed late in life extends lifespan in genetically heterogeneous mice」ネイチャー460号 392-395ページ (2009年7月16日)
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Japanese Journal
- mTOR阻害薬(エベロリムス,テムシロリムス)による肺障害 (特集 分子標的薬剤・生物学的製剤と肺障害)
Related Links
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
トーリセル点滴静注液25mg
組成
- 本製品はトーリセル点滴静注液25mgバイアル及び添付希釈用液バイアルからなる。
トーリセル点滴静注液25mgバイアル
成分・含量(1バイアル1.0mL中注2))
添加物(1バイアル1.0mL中注2))
- トコフェロール 0.75mg
無水エタノール 394.6mg
無水クエン酸 0.025mg
プロピレングリコール 503.325mg
添付希釈用液バイアル
成分・含量(1バイアル1.8mL中注2))
- ポリソルベート80 0.72g
無水エタノール 0.358g
マクロゴール400 0.77g
- 注2:本剤は調製時の損失を考慮に入れ、過量充填されている。[「適用上の注意」の項参照]
禁忌
- 本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し重度の過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
- 本剤の術後補助化学療法としての有効性及び安全性は確立していない。
- 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に踏まえた上で、適応患者の選択を行うこと。[「臨床成績」の項参照]
- 通常、成人にはテムシロリムスとして25mgを1週間に1回、30?60分間かけて点滴静脈内投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- サイトカイン製剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。[「その他の注意」、「臨床成績」の項参照]
- 間質性肺疾患が発現した場合は、症状、重症度に応じて、以下の目安を考慮して、休薬又は中止すること。
間質性肺疾患に対する休薬・中止の目安
症状:無症候性で画像所見の異常のみ
症状:軽度の臨床症状注3)を認める(日常生活に支障なし)
症状:重度の臨床症状注3)を認める(日常生活に支障があり、酸素療法を要する)
症状:臨床症状に増悪傾向を認め、肺拡散能の低下を認める
症状:肺の基礎疾患があり、臨床上又は画像所見上の変化を認める
- 間質性肺疾患以外の重度(グレード3以上)の副作用が発現した場合は、回復まで本剤の投与を休止し、3週間以内に回復が認められ、再投与を行う場合には、投与量を1レベル減量して投与すること(減量のレベル:開始用量25mg→20mg→15mg→10mg)。
- infusion reactionを予防するため、本剤の投与前に、抗ヒスタミン剤(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩等)を投与すること。本剤投与中にinfusion reactionが発現した場合には、投与を直ちに中止すること。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
- 本剤を投与する際には、可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含む輸液セット等を使用しないこと。[「適用上の注意」の項参照]
- 本剤を投与する際には、孔径5μm以下のインラインフィルターを使用すること。
- 重度の肝機能障害のある患者では、減量を考慮すること。[「薬物動態」の項参照]
慎重投与
- 肺に間質性陰影を認める患者[間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある。]
- 肝機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]
- 感染症を合併している患者[免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
- 肝炎ウイルス、結核等の既感染者[再活性化するおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
重大な副作用
間質性肺疾患(17.1%)
- 間質性肺疾患があらわれることがあり、致命的な転帰をたどることもある。投与開始後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、症状に応じて休薬又は減量するなど適切な処置を行うこと。
重度のinfusion reaction(頻度不明注4))
- infusion reactionがあらわれることがあり、致命的な転帰をたどることもあるので、観察を十分に行うこと。重度のinfusion reactionが認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症等)、血栓性静脈炎(いずれも頻度不明注4))
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症等)、血栓性静脈炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
腎不全(頻度不明注4))
- 腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化管穿孔(1?5%未満)
- 消化管穿孔があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心嚢液貯留(頻度不明注4))
- 心嚢液貯留があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
胸水(5%以上)
- 胸水があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣(頻度不明注4))
- 痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳出血(1?5%未満)
- 脳出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高血糖(31.7%)
- 高血糖があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
感染症(13.4%)
- 肺炎等の重篤な感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注4))
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(頻度不明注4))
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍作用8,9)
- 本剤は米国国立がん研究所のヒト腫瘍細胞株パネル(ヒト腎細胞癌由来細胞株として、786-O細胞株、UO-31細胞株、TK-10細胞株、SN12C細胞株、RXF393細胞株、CAKI-1細胞株を含む)を用いたin vitro試験において、ヒト腎細胞癌由来細胞株の増殖を抑制した。また、in vivo試験において、ヌードマウスに移植したヒト腎細胞癌由来細胞株(A498細胞株)の増殖を抑制した。
作用機序10)
- 本剤はmTORの活性化を阻害し、その結果、細胞周期のG1からS期への移行を抑制すること、さらに、腫瘍微小環境における血管新生に重要な低酸素誘導性転写因子(HIF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を抑制することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (1R,2R,4S)-4-{(2R)-2-[(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)-9,27-Dihydroxy-10,21-dimethoxy-6,8,12,14,20,26-hexamethyl-1,5,11,28,29-pentaoxo-1,4,5,6,9,10,11,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,28,29,31,32,33,34,34a-tetracosahydro-3H-23,27-epoxypyrido[2,1-c][1,4]oxazacyclohentriacontin-3-yl]propyl}-2-methoxycyclohexyl 3-hydroxy-2-(hydroxymethyl)-2-methylpropanoate
分子式
分子量
性状
- 本品は白色?灰白色の粉末である。本品はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 高コレステロール血症
LDL-C上昇
食事
薬物
疾患
内分泌疾患
TG上昇
食事
- 体重増加
- 超低脂肪食
- 炭水化物の大量摂取
- アルコール多飲
薬物
疾患
内分泌疾患
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
- リンパ脈管筋腫症治療剤(mTOR阻害剤)
- 結節性硬化症に伴う皮膚病変治療剤(mTOR阻害剤).
薬効
- 結節性硬化症に伴う皮膚病変を効能・効果とする新投与経路医薬品
【希少疾病用医薬品、先駆け審査指定医薬品】
[★]
シロリムス
- 同
- mTOR
[★]
- 英
- temsirolimus
- 同
- CCI-779
- 商
- トーリセル
- 関
- その他の腫瘍用薬
[★]
- 英
- sirolimus-eluting stent, SES