- 2か月前から体重減少と嚥下困難とに気付いていた。1か月前から痰を伴わない咳嗽と喘鳴を伴う呼吸困難とが出現し、次第に増強し、不穏状態となってきた。
- 20歳ころから日本酒1日5合の飲酒歴と1日30本の喫煙歴とがある。呼吸数28/分。脈拍104/分、不整。血圧180/90mmHg。頚部の聴診でwheezesを聴取する。
- 胸部エックス線写真では気管の右方への著しい圧排と高度の狭窄とを認める。
- 気管支鏡下の処置で最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F046]←[国試_099]→[099F048]
★リンクテーブル★
[★]
- 3日前、アーモンドを食べながら遊んでいて急にむせた。それ以来、咳が続いている。
- 2日前から発熱がみられる。
- 体温38.7℃。呼吸数32/分。脈拍96/分、整。心雑音はない。
- 右肺にcoarse cracklesを聴取する。
- 血液所見:赤血球428万、Hb12.7g/dl、白血球18,300、血小板36万。CRP4.8mg/dl。
- 胸部エックス線写真を以下に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F047]←[国試_099]→[099F049]
[★]
- 身体所見では、顔面、頚部および右上肢に腫脹が認められる。
- 胸部エックス線写真と喀痰細胞診Papanicolaou染色標本とを以下に示す。
- 適切な治療はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F045]←[国試_099]→[099F047]
[★]
- 英
- esophageal cancer, esophageal carcinoma, cancer of the esophagus, carcinoma of the esophagus
- 関
- 食道、癌
概念
- 食道に発生する腫瘍。予後は不良な場合が多く、早期からリンパ節転移を来しやすい。
疫学
- 罹患率、死亡率共に男性の方が多い。
- 40歳後半より増加。60歳以上で多い(参考2)。増加の程度は男性の方が急増。
- 死亡率:漸減傾向
- 罹患率:(男性)増加傾向、(女性)変動なし。
危険因子
- 喫煙と飲酒とは相乗効果があるり、1日20本以上かつ3合以上でリスクが上昇する。
- 飲酒は特に度数の高い、アルコール摂取量が多い、ALDH2変異がある、顔面が紅潮する場合にリスクが上がる
- 熱い食事の嗜好、肥満、p53変異
- 食道アカラシア、腐食性食道狭窄、バレット食道
- 低栄養(動物性蛋白質の不足?微量元素欠乏?)、
病期分類
早期癌・表在癌・進行癌
- 早期癌:深達度が粘膜内に限局。リンパ節転移の有無を問わない。
- 表在癌:深逹度が粘膜下層までに限局。リンパ節転移の有無は問わない。
- 進行癌:固有筋層以降
TMN分類
- 日本食道学会:食道癌取り扱い規約 第10版補訂版を一部改変 SSUR.455,457
- TX:原発腫瘍の評価が不可能
- T0:原発腫瘍を認めない
- T1:
-
- T1a-EP:腫瘍が粘膜上皮にとどまる(Tis)(M1) EP = epithelium
- T1a-LPM:腫瘍が粘膜固有層にとどまる(M2) LPM = lamina propia mucosae
- T1a-MM:腫瘍が粘膜筋板にとどまる(M3) MM = muscularis mucosae
- SM1:粘膜下層を三等分し、上1/3にとどまる
- SM2:粘膜下層を三等分し、上2/3にとどまる
- SM3:粘膜下層を三等分し、上3/3にとどまる
- T2:腫瘍が固有筋層に浸潤している(SM)
- T3:腫瘍が食道外膜に浸潤(AD)
- T4:腫瘍が隣接臓器に浸潤(AI)
- NX:所属リンパ節の評価が不可能
- N0:所属リンパ節に転移を認めない
- N1:第1群リンパ節まで転移を認める
- N2:第2群リンパ節まで転移を認める
- N3:第3群リンパ節まで転移を認める
- N4:第3群リンパ節より遠位に転移を認める
- MX:遠隔転移の評価が不可能
- M0:遠隔転移を認めない
- M1:遠隔転移あり
進行度
- 日本食堂学会:食道癌取り扱い規約 第10版補訂版, SSUR.455
壁深達度\転移
|
N0
|
N1
|
N2
|
N3
|
N4
|
M1
|
T0,T1a
|
0
|
I
|
II
|
III
|
IVa
|
IVb
|
T1b
|
I
|
II
|
T2
|
II
|
III
|
T3
|
III
|
T4
|
III
|
IVa
|
病態
好発部位
- 日本
- 50-60%:胸部中部食道
- 20-25%:胸部下部食道
- 10% :胸部上部食道
- 5-6% :頚部食道
- 欧米で増加している食道腺癌の好発部位:下部食道
進展様式
- 直接浸潤
- リンパ行性転移:早期からリンパ節転移しやすい。
- 癌腫が粘膜下層にとどまるT1bで30-40%の例で転移。(SSUR.455)
- m3・sm1ではリンパ節転移が10%の例で見られる。(出典不明) ⇔ m1・m2ではリンパ節転移を考えなくても良く、内視鏡的粘膜切除術(EMR)の絶対適応となる。
- sm2・sm4ではリンパ節転移が約半数の例で見られる。(出典不明)
病理
- 日本では扁平上皮癌が中部食道に多い、欧米では腺癌が下部食道に多い。
肉眼分類の傾向
- 早期癌:0-IIc(表在陥凹型)
- 進行癌:2型(潰瘍限局型)・3型(潰瘍浸潤型)
症状
- 胸骨後方の軽い痛み、不快感、嚥下時のつかえ感、しみる感じ
検査
- (食道扁平上皮癌)SCC, CYFRA21-1 , CEA (参考3)
- (食道腺癌)CEA, CA19-9 (参考3)
診断
治療
内視鏡的切除
-
- 壁深達度:T1a-EP(粘膜上皮),LPM(粘膜固有層))であること(リンパ節転移がまれなため)で、周在性2/3以下のもの(全周性に粘膜切除した場合、瘢痕狭窄のおそれ)
- (1) T1a-MM(粘膜筋板), T1b-SM1(<粘膜下組織200um)で、かつリンパ節転移がない
- (2) 周在性2/3以上の病変。
術式
手術療法
予後
- 手術後の在院死亡率3-4%。これは消化器癌手術の中で最も手術リスクが高い。(SSUR.464)
- 全切除全症例の5年生存率は36%(1988-1999年)。3領域リンパ節郭清例の5年生存率は約50%。(SSUR.464)
ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0053/1/0053_G0000152_GL.html
- 2. 食道癌 - 放射線治療計画ガイドライン・2008
- http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/esophagus.pdf
参考
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/esophagus.html
- 2. 年齢階級別がん罹患率[食道2005] - 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
- http://ganjoho.jp/resources/graph_database/images_20110111/OSV0072_04_2005.jpg
- http://www.cancertherapy.jp/tm/2007_summer/04.html
uptodate
- 1. [charged] 食道癌の診断および病期分類 - uptodate [1]
- 2. [charged] 食道癌の疫学、病理生物学、および臨床症状 - uptodate [2]
国試