- 68歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。
- 現病歴 : 1か月前肉片がつかえ、そのときは水を飲んで通過させたが、以後固形食がしぱしぱつかえるようになった。この1か月で5kgの体重減少がみられる。2日前から水分しか通らなくなった。
- 生活歴 : 飲酒週2日、ビール大瓶1本/回を40年間。喫煙30本/日を40年間。
- 現症 : 意識は清明。身長164cm、体重65㎏。体温36.1℃。脈拍76/分、整。血圧146/98mmHg。心雑音はなく、呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟。肝・脾を触知しない。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球365万、Hb10.9g/dl、Ht35%、血小板29万。
- 血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素22mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、AST18単位、ALT10単位、Na146mEq/l、K4.5mEq/l、Cl105mEq/l。食道造影では水溶性造影剤の通過が遅延し、食道中部から下部に高度の不整狭窄像を認める。
[正答]
E
- 食道狭窄による絶食状態の継続、及び食道癌疑い
- 経鼻チューブは食道内視鏡検査の時に邪魔になろう
※国試ナビ4※ [100D048]←[国試_100]→[100D050]
★リンクテーブル★
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- 68歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。
- 現病歴 : 1か月前肉片がつかえ、そのときは水を飲んで通過させたが、以後固形食がしぱしぱつかえるようになった。この1か月で5kgの体重減少がみられる。2日前から水分しか通らなくなった。
- 生活歴 : 飲酒週2日、ビール大瓶1本/回を40年間。喫煙30本/日を40年間。
- 現症 : 意識は清明。身長164cm、体重65㎏。体温36.1℃。脈拍76/分、整。血圧146/98mmHg。心雑音はなく、呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟。肝・脾を触知しない。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球365万、Hb10.9g/dl、Ht35%、血小板29万。
- 血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素22mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、AST18単位、ALT10単位、Na146mEq/l、K4.5mEq/l、Cl105mEq/l。食道造影では水溶性造影剤の通過が遅延し、食道中部から下部に高度の不整狭窄像を認める。
- この患者の発病に最も関連したと考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D049]←[国試_100]→[100E001]
[★]
- 次の文を読み、47、48の問いに答えよ。
- 8か月の乳児。急に激しく泣き、嘔吐したため来院した。
- 現病歴 : 2時間前から突然激しく泣き始めた。その後泣き止み、ぐったりしていたが、再び泣き始め、このような発作を繰り返している。30分前に1回嘔吐がみられた。排便は6時間前にあり、普段と変わらない固形便であった。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。予防接種はDPT2回とBCGとを受けている。
- 現症 : 体温37.2℃。呼吸数40/分。心拍数140/分、整。顔色不良で、顔貌は無欲様である。聴診で心雑音はなく、呼吸音も正常である。腹部は軽度膨隆し、右季肋部に鶏卵大の腫瘤を触れる
[正答]
※国試ナビ4※ [100D047]←[国試_100]→[100D049]
[★]
- 英
- esophageal cancer, esophageal carcinoma, cancer of the esophagus, carcinoma of the esophagus
- 関
- 食道、癌
概念
- 食道に発生する腫瘍。予後は不良な場合が多く、早期からリンパ節転移を来しやすい。
疫学
- 罹患率、死亡率共に男性の方が多い。
- 40歳後半より増加。60歳以上で多い(参考2)。増加の程度は男性の方が急増。
- 死亡率:漸減傾向
- 罹患率:(男性)増加傾向、(女性)変動なし。
危険因子
- 喫煙と飲酒とは相乗効果があるり、1日20本以上かつ3合以上でリスクが上昇する。
- 飲酒は特に度数の高い、アルコール摂取量が多い、ALDH2変異がある、顔面が紅潮する場合にリスクが上がる
- 熱い食事の嗜好、肥満、p53変異
- 食道アカラシア、腐食性食道狭窄、バレット食道
- 低栄養(動物性蛋白質の不足?微量元素欠乏?)、
病期分類
早期癌・表在癌・進行癌
- 早期癌:深達度が粘膜内に限局。リンパ節転移の有無を問わない。
- 表在癌:深逹度が粘膜下層までに限局。リンパ節転移の有無は問わない。
- 進行癌:固有筋層以降
TMN分類
- 日本食道学会:食道癌取り扱い規約 第10版補訂版を一部改変 SSUR.455,457
- TX:原発腫瘍の評価が不可能
- T0:原発腫瘍を認めない
- T1:
-
- T1a-EP:腫瘍が粘膜上皮にとどまる(Tis)(M1) EP = epithelium
- T1a-LPM:腫瘍が粘膜固有層にとどまる(M2) LPM = lamina propia mucosae
- T1a-MM:腫瘍が粘膜筋板にとどまる(M3) MM = muscularis mucosae
- SM1:粘膜下層を三等分し、上1/3にとどまる
- SM2:粘膜下層を三等分し、上2/3にとどまる
- SM3:粘膜下層を三等分し、上3/3にとどまる
- T2:腫瘍が固有筋層に浸潤している(SM)
- T3:腫瘍が食道外膜に浸潤(AD)
- T4:腫瘍が隣接臓器に浸潤(AI)
- NX:所属リンパ節の評価が不可能
- N0:所属リンパ節に転移を認めない
- N1:第1群リンパ節まで転移を認める
- N2:第2群リンパ節まで転移を認める
- N3:第3群リンパ節まで転移を認める
- N4:第3群リンパ節より遠位に転移を認める
- MX:遠隔転移の評価が不可能
- M0:遠隔転移を認めない
- M1:遠隔転移あり
進行度
- 日本食堂学会:食道癌取り扱い規約 第10版補訂版, SSUR.455
壁深達度\転移
|
N0
|
N1
|
N2
|
N3
|
N4
|
M1
|
T0,T1a
|
0
|
I
|
II
|
III
|
IVa
|
IVb
|
T1b
|
I
|
II
|
T2
|
II
|
III
|
T3
|
III
|
T4
|
III
|
IVa
|
病態
好発部位
- 日本
- 50-60%:胸部中部食道
- 20-25%:胸部下部食道
- 10% :胸部上部食道
- 5-6% :頚部食道
- 欧米で増加している食道腺癌の好発部位:下部食道
進展様式
- 直接浸潤
- リンパ行性転移:早期からリンパ節転移しやすい。
- 癌腫が粘膜下層にとどまるT1bで30-40%の例で転移。(SSUR.455)
- m3・sm1ではリンパ節転移が10%の例で見られる。(出典不明) ⇔ m1・m2ではリンパ節転移を考えなくても良く、内視鏡的粘膜切除術(EMR)の絶対適応となる。
- sm2・sm4ではリンパ節転移が約半数の例で見られる。(出典不明)
病理
- 日本では扁平上皮癌が中部食道に多い、欧米では腺癌が下部食道に多い。
肉眼分類の傾向
- 早期癌:0-IIc(表在陥凹型)
- 進行癌:2型(潰瘍限局型)・3型(潰瘍浸潤型)
症状
- 胸骨後方の軽い痛み、不快感、嚥下時のつかえ感、しみる感じ
検査
- (食道扁平上皮癌)SCC, CYFRA21-1 , CEA (参考3)
- (食道腺癌)CEA, CA19-9 (参考3)
診断
治療
内視鏡的切除
-
- 壁深達度:T1a-EP(粘膜上皮),LPM(粘膜固有層))であること(リンパ節転移がまれなため)で、周在性2/3以下のもの(全周性に粘膜切除した場合、瘢痕狭窄のおそれ)
- (1) T1a-MM(粘膜筋板), T1b-SM1(<粘膜下組織200um)で、かつリンパ節転移がない
- (2) 周在性2/3以上の病変。
術式
手術療法
予後
- 手術後の在院死亡率3-4%。これは消化器癌手術の中で最も手術リスクが高い。(SSUR.464)
- 全切除全症例の5年生存率は36%(1988-1999年)。3領域リンパ節郭清例の5年生存率は約50%。(SSUR.464)
ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0053/1/0053_G0000152_GL.html
- 2. 食道癌 - 放射線治療計画ガイドライン・2008
- http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/esophagus.pdf
参考
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/esophagus.html
- 2. 年齢階級別がん罹患率[食道2005] - 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
- http://ganjoho.jp/resources/graph_database/images_20110111/OSV0072_04_2005.jpg
- http://www.cancertherapy.jp/tm/2007_summer/04.html
uptodate
- 1. [charged] 食道癌の診断および病期分類 - uptodate [1]
- 2. [charged] 食道癌の疫学、病理生物学、および臨床症状 - uptodate [2]
国試