- 英
- forceps delivery
- 関
- 頭皮鉗子、鉗子遂娩術
- 子宮口が全開大でないと適応とならない。(G10M.299)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/16 11:01:11」(JST)
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鉗子分娩(かんしぶんべん、英: Forceps delivery、独: Zangengeburt)は、補助経腟分娩の手法である。
目次
- 1 産科鉗子の構造と種類
- 2 適応と要約
- 3 分類
- 4 手技
- 5 吸引分娩との比較
- 6 問題点
産科鉗子の構造と種類
現在用いられている産科鉗子は左右の2葉(左葉と右葉)に分解可能である。その形状の要素は、 把手(handle)、接合部(lock)、鉗子柄(shank)、鉗子匙(blade)とこれらの複合が構成する児頭彎曲(cephalic curve)および骨盤彎曲(pelvic curve)である。俗に匙先端を爪先(toe)またはtip、匙と柄の移行部を踵(heel)と呼ぶ。形状要素の相異により個々の鉗子は特徴付けられ、それぞれ異なる使用目的に適合する。
比較的大きな児頭彎曲と軸牽引可能な骨盤彎曲を持つタイプである。エリオット鉗子はイングリッシュロック式であるが、日本国内では、フレンチロック式のネーゲレ(Nagele)鉗子が普及している。鉗子匙が無窓のタッカーマクレーン(Tucker-McLane)鉗子もよく用いられる。
シンプソン鉗子は比較的小さな児頭彎曲と軸牽引可能な骨盤彎曲を持つ。イングリッシュロックと平行な鉗子柄(parallel shank)が特徴的である。分娩遷延などによる応形児頭への装着を想定している。
小さい骨盤彎曲とスライディングロックを特徴とする。回旋異常の修正に好んで用いられる。
骨盤位分娩において、後続児頭娩出に用いられる特殊型の鉗子である。
適応と要約
適応
明らかな胎児機能不全などにより、急速遂娩が必要となった場合に適応となる。
微弱陣痛、回旋異常、無痛分娩、母体疲労の場合に適応となる。
要約
- 患者への説明と同意がなされている
- 必要な麻酔が施されている
- 新生児蘇生を含め、十分な人員のサポートがある
- バックアップとしての緊急帝王切開が可能である
- 児は生存している
- 膀胱および直腸は空虚である
- 子宮口は全開大し、破水している
- 児頭は嵌入・固定し鉗子適位にある
- 胎向が正確に診断されている
- 適切な産科鉗子が準備されている
- 術者または立ち会い可能な指導者が鉗子分娩に熟達している
禁忌
- 未嵌入の児頭(いわゆる高位鉗子)
- 胎児骨盤不均衡
- 頤後方位
慎重に実施
- 中位鉗子
- 高度の産瘤
- 不正軸進入
- 帝王切開の既往
- 巨大児など肩甲難産のリスク群
- 母体、胎児の出血傾向
分類
児頭下降度による分類
- 出口部鉗子(outlet forceps)
- 低位鉗子(low forceps)
- 中位鉗子(mid forceps)
- 高位鉗子(high forceps)
手技
* Pajot-Saxtrophの手技
吸引分娩との比較
鉗子分娩の利点
- 牽引を確実に行うことができる。
- 回旋異常に対応することができる。
- 頭血腫、帽状腱膜下出血の頻度が小さい。
- 肩甲難産の発生率が比較的小さい。
鉗子分娩の欠点
- 腟壁の損傷が大きくなる可能性。
- 3〜4度裂傷の頻度の増加。
- 児の頭蓋内出血の頻度がやや大きい。
- 児の一過性の顔面神経麻痺の可能性。
- 児の眼球損傷の可能性。
鉗子分娩は吸引分娩よりも牽引力が大きく回旋異常にも対応できるため、吸引分娩では不可能な経腟分娩を完遂することができる。逆にこのことが欠点と関連しているが、吸引分娩と鉗子分娩は適応範囲が相同ではなく、児頭下降が中位以上、回旋異常など、より困難な分娩に鉗子分娩が選択された結果とも考えられる。後向きに結果をみて鉗子分娩のほうが危険だと結論することはできない。危険な補助経腟分娩は、吸引分娩であれ鉗子分娩であれ同様に危険なのであり、そのような状況では帝王切開を考慮する。中位以上の鉗子分娩では母児の合併症頻度が上昇するため、中位鉗子は慎重に適応を考慮する。帝王切開が比較的安全に施行できるようになったため、高位鉗子は現在の医療状況下では原則として行われない。
問題点
実態は不明であるが、日本国内では鉗子分娩を実践している医療機関は次第に少なくなり、補助経腟分娩の手段としては吸引分娩が選択される場合が多くなっている。理由としては以下が考えられる。
前述のとおり、鉗子分娩が吸引分娩よりも危険というのは誤りであるが、医学的判断と司法判断は別物である。結果として母児の損傷が起きた場合には、法廷において因果関係を問われる可能性があるため、特に十分な経験のない医師の場合には鉗子分娩を行わないという選択があり得る。
鉗子分娩手技の習得のためには、指導医の下での多くの経験が必要であるが、鉗子分娩を行っている医療機関自体が少ない、指導体制が整備されていない、そもそも指導医がいないなどの理由で、若手医師がトレーニングを受ける機会が次第に少なくなっている。指導者が育たないため、鉗子分娩がますます減少するという悪循環に陥っている。
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UpToDate Contents
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- 1. 手術的経膣分娩 operative vaginal delivery
- 2. 胎児の後頭後位 occiput posterior position
- 3. 妊娠および経膣分娩が肛門括約筋および便失禁に及ぼす影響 effect of pregnancy and childbirth on anal sphincter function and fecal incontinence
- 4. 後頭横位 occiput transverse position
- 5. 妊娠および出産に関連した尿失禁および骨盤臓器脱 urinary incontinence and pelvic organ prolapse associated with pregnancy and childbirth
Japanese Journal
- 吸引・鉗子分娩の上手な方法 (特集 経腟分娩を成功させる21の提言) -- (経腟分娩を成功させるコツ)
- 吸引・鉗子分娩時の会陰保護 (特集 「Do」と「Do Not」を見極め,秘訣を学ぶ! 会陰保護技術 徹底マスター)
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★リンクテーブル★
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- 34歳の初産婦。妊娠39週5日に破水感を主訴に来院した。これまでの妊娠経過に異常はなかった。午前7時に破水感を自覚したため午前8時に受診した。内診所見で、子宮口は3cm開大、卵膜を触知せず、児頭下降度はSP-1cmである。腟内に貯留した羊水に混濁を認めない。入院後、午前9時に陣痛が発来した。経過のパルトグラム(別冊No. 8A)と午後4時時点の胎児心拍数陣痛図(別冊No. 8B)とを別に示す。
- 午後4時時点での適切な対応はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111E044]←[国試_111]→[111E046]
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- 28歳の初産婦、妊娠38週。身長158cm、体重58kg。第1頭位。分娩開始から16時間が経過した。当初は有効な陣痛が発来していたが、2時間前から発作10~20秒、間欠6~7分となっている。内診所見は子宮口開大8cm、展退90%、SP+2cmで2時間前と変わらず、大泉門を母体の右側、小泉門を母体の左側に触れ、矢状縫合が横径に一致している。胎児心拍数図に異常を認めない。対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100H011]←[国試_100]→[100H013]
[★]
- 分娩中の異常とその対応の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107B017]←[国試_107]→[107B019]
[★]
- 英
- uterine rupture, spontaneous uterine rupture
- ラ
- ruptura uteri
分類
- 全子宮破裂:子宮壁全層が断裂して子宮腔と腹腔とが交通するもの。
- 不全子宮破裂:裂傷が子宮筋層のみにとどまり漿膜に及ばないものをいう。
原因
-
- 産科手術(鉗子分娩、過度の子宮内掻爬術)、陣痛促進剤の誤用、外傷
症候・身体所見
- 参考1
- 切迫子宮破裂:Bandl収縮輪の上昇、過強陣痛、激しい腹痛、不穏状態、胎児機能不全
- 完全子宮破裂:内出血と腹膜刺激症状によりショック症状。外診上、子宮と胎児を振れる
- 不全子宮破裂:広間膜内から広がる広範な血腫が形成される。
診断
- 参考1
完全子宮破裂は瘢痕子宮や過強靭痛などで診断が容易であるが、自然子宮破裂は診断が困難で、胎児分娩後に診断されることが多い。子宮収縮良好で外出血が少ないにもかかわらずショック症状が見られたら不全子宮破裂が疑われる。このため、超音波検査やCR,MRIを施行する。
治療
- 参考1
- 切迫子宮破裂:帝王切開による急速遂娩
- 完全子宮破裂:ショックに対して補液・輸液を行い、迅速に開腹手術を行う。子宮全摘、あるいは破裂部の縫合を行う。
- 不全子宮破裂:血腫除去手術
予後
- 参考1
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 10.異常分娩の管理と処置 - 日産婦誌60巻4号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6004-065.pdf
[★]
- 英
- low transverse arrest, deep transverse position
- 関
- 回旋異常、遷延分娩、異常分娩
概念
- 児頭が骨盤を下降するが、第2回旋がおこらず骨盤底に達し、矢状縫合が骨盤横径に一致するもの(NGY.450)
原因
- NGY.451
- 産道の問題:広骨盤、児頭過少
- 回旋の障害:骨盤底の強靭、微弱陣痛、臍帯巻絡
治療
- 微弱陣痛を伴う場合は陣痛促進をはかる。
- 陣痛が整調になっても分娩の進行が見られない場合やnon-reassuring fetal statusが生じた場合には、急遂分娩(吸引分娩・鉗子分娩)。(NGY.451)
国試
[★]
- 英
- delivery, labor
- 関
- 異常分娩
分娩の前兆
- 子宮底:前傾、子宮の高さの低下
- 胎動減少:児頭の骨盤入口部固定
- 頻尿:胎児による膀胱圧迫
- 下腹部緊満感
- 前駆陣痛
- 子宮頸管の熟化
- 恥骨の痛み:児頭による圧迫
- 産徴:卵膜が子宮壁から剥がれて出血し、子宮頚管粘液とともに排出される
臨床関連
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- 英
- forceps、clamp
- 同
- クランプ clamp
- 関
- 固定、ピンセット、クレンメ