- 英
- calcium hydroxide
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/20 19:58:25」(JST)
[Wiki ja表示]
水酸化カルシウム |
|
IUPAC名
水酸化カルシウム
Calcium hydroxide
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
1305-62-0 |
特性 |
化学式 |
CaH2O2 |
モル質量 |
74.0927 g mol−1 |
外観 |
無色結晶または白色粉末 |
密度 |
2.211 g cm−3, 固体 |
融点 |
580 ℃(分解)
|
水への溶解度 |
0.17 g / 100cm3(25℃) |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
-986.09 kJ mol−1 |
標準モルエントロピー So |
83.39 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cpo |
87.49 J mol−1K−1 |
危険性 |
MSDS |
ICSC 0408 |
引火点 |
不燃性 |
関連する物質 |
関連物質 |
水酸化マグネシウム
水酸化ストロンチウム
水酸化バリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
水酸化カルシウム(すいさんかカルシウム、Calcium hydroxide)は、化学式 Ca(OH)2 で表されるカルシウムの水酸化物。消石灰(しょうせっかい)とも呼ばれる。俗称で、生石灰(せいせっかい、きせっかい、酸化カルシウム)と区別するため「けしせっかい」と言われる場合もある。固体はカルシウムイオンと水酸化物イオンからなるイオン結晶である。水溶液は強いアルカリ性を示し、二酸化炭素を簡易的に検出する試薬として多用されている。
目次
- 1 生産
- 2 用途
- 3 反応
- 3.1 水溶液の性質
- 3.2 二酸化炭素との反応・変化
- 3.3 アンモニア発生実験
- 4 人体への影響
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
生産[編集]
酸化カルシウムに加水すると生成する。その水和熱はかなり大きく、乾燥剤としてよく用いられる生石灰に水を加えることは危険である。
- ,
消石灰の2008年度日本国内生産量は 1,527,210 t、消費量は 597,551 t である[1]。
用途[編集]
グラウンドなどに白線を引くラインパウダーによく用いられるほか、火力発電所の排ガス中の硫黄酸化物の除去、酸性化した河川や土壌の中和剤、凝集剤としても用いられる。 近年、目にはいると失明のおそれがあり非常に危険なことが指摘されており、白線用としてはより安全な炭酸カルシウムに変更することが推奨されてきている。 砂、海草抽出物と練ったものは漆喰と呼ばれ、壁や天井に塗られる。固まるまでに時間がかかるが長持ちする内外装材である。これが固まるのは下に示すように空気中の二酸化炭素を吸収することによって炭酸カルシウムが生成するからである。
また、コンニャクの凝固剤としても使用されている。
ほかに、試薬、食品や化粧品のpH調整剤、カルシウム補充剤、化学合成原料、体質顔料、殺菌剤、歯科治療における感染根管処置時の貼薬剤などとしても用いられる。
そのほかに石灰水は実験などに用いられる。
反応[編集]
水溶液の性質[編集]
水酸化カルシウムは水に少量溶解し塩基性を示し飽和溶液の電離度が0.8程度と高いため強塩基として分類されるが、溶解度はアルカリ金属などの水酸化物よりはるかに低く、塩基としての作用はこれらより弱い。その溶解度積は以下の通りで飽和水溶液はpH=12.4である。
- ,
また、水に対する溶解熱が発熱的であるため、溶解度は温度の上昇と伴に減少する。
- ,
水酸化カルシウムを酸で中和したものであるカルシウム塩水溶液は極僅かに加水分解するがほとんど無視し得る。その酸解離定数は以下の通りである。
- ,
従って水酸化カルシウムの第二段階塩基解離定数は以下のようになる。
- ,
二酸化炭素との反応・変化[編集]
水酸化カルシウムが飽和した水溶液は石灰水(Lime water)と呼ばれ、二酸化炭素を吹き込むと炭酸カルシウムが析出し、白く濁る。これは生成する炭酸カルシウムが水に難溶性であるためである。
更に過剰に二酸化炭素を吹き込むと、炭酸カルシウムと二酸化炭素と水の結合により炭酸水素カルシウム(Ca(HCO3)2)が生成される。炭酸水素カルシウムは水に溶解するので濁りも消える。ただし以下の平衡定数の関係上、2倍程度に薄めた石灰水でないと濁りは完全に消えない。
アンモニア発生実験[編集]
実験室でアンモニアを発生させるとき、強塩基かつ不揮発性の水酸化カルシウムと塩化アンモニウムを混合して加熱する。
人体への影響[編集]
水溶液はアルカリ性を示すため、粘膜・皮膚を侵す。特に目に入った場合は角膜・結膜に障害を起こすことがあるので、速やかに流水で十分に洗眼し、緊急に眼科医の診察を受けるべきである。
胃に入った場合は胃液で中和されるため人体への影響は少ないが、多量に摂取すると下記のような健康への影響がありうる。
- 呼吸困難
- 内出血
- 血圧上昇
- 腎機能障害
- 肝機能障害
脚注[編集]
- ^ 化学工業統計月報 - 経済産業省
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 水酸化カルシウム 理科ねっとわーく(一般公開版) - 科学技術振興機構
- 石灰水 理科ねっとわーく(一般公開版) - 科学技術振興機構
カルシウムの化合物 |
|
二元化合物 |
Ca3As2 · CaB6 · CaBr2 · CaC2 · CaCl · CaCl2 · CaF2 · CaH2 · CaI2 · Ca(N3)2 · Ca3N2 · CaO · CaO2 · CaP · Ca3P2 · CaS · CaSe · CaSi · CaSi2 · CaTe
|
|
三元化合物 |
Ca(AlO2)2 · Ca3(AsO4)2 · Ca3(BO3)2 · Ca(BrO3)2 · Ca(ClO)2 · Ca(ClO3)2 · Ca(ClO4)2 · CaCN2 · Ca(CN)2 · CaCO3 · CaC2O4 · CaCrO4 · CaCr2O7 · Ca(IO3)2 · Ca(MnO4)2 · Ca(NO2)2 · Ca(NO3)2 · Ca(OH)2 · Ca2P2O7 · Ca3(PO4)2 · CaSeO4 · CaSiO3 · CaSO3 · CaSO4 · CaTiO3
|
|
四元・五元化合物 |
Ca(CH3COO)2 · Ca(HCO3)2 · Ca(HCOO)2 · CaHPO4 · Ca(H2PO4)2 · Ca(HSO3)2 · Ca(HSO4)2 · Ca(OCN)2 · Ca(SCN)2 · CaCl(OH)2 ·
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 各種根管洗浄法の洗浄効果と水酸化カルシウム製剤による水酸化物イオンの拡散
- 豊田 有希,吉原 俊博,八若 保孝
- 北海道歯学雑誌 34(2), 53-64, 2014-03
- … 臨床において,歯根の外部吸収の治療には,根管清掃および水酸化カルシウム製剤による根管貼薬が行われている.本研究は,各種根管洗浄法のスミヤー層除去効果と水酸化物イオンの拡散に与える影響を明らかにすることを目的とした. …
- NAID 120005418096
- 新規Knoop硬さ測定システムによる覆髄剤の有効性の検討
- 松田 有之,恩田 康平,谷本 啓彰,吉川 一志,山本 一世
- 日本歯科保存学雑誌 57(1), 29-42, 2014
- … 脱灰象牙質試料に, ハイボンドテンポラリーセメントソフト (松風), ネオダイン-α (ネオ製薬), ダイカル (デンツプライ三金), カルシペックスプレーンII (日本歯科薬品), 60%水酸化カルシウム混和物 (キシダ) を貼付し, ベースセメント (松風) で被覆したものを覆髄試料, 覆髄剤を貼付せずベースセメントのみで被覆したものをコントロールとして作製し, 湿度100%容器中または石灰化溶液中で1カ月間および3カ月間保管後, …
- NAID 130003398839
- P6 X線CTを用いた水酸化カルシウム溶液による圧縮ベントナイトの変質評価(ポスター発表,一般講演)
Related Links
- 水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、白い粉末で、消石灰ともいう。グラウンドに白線を引くのに用いられる。 水にわずかにとけ、水溶液はアルカリ性。飽和水溶液は石灰水ともいい、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムの白い沈殿を生じるので ...
- 水酸化カルシウム(すいさんかカルシウム、Calcium hydroxide)は、化学式 Ca(OH) 2 で表されるカルシウムの水酸化物。消石灰(しょうせっかい)とも呼ばれる。俗称で、生石灰(せいせっかい、きせっかい、酸化カルシウム)と区別する ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
カラミンローション
組成
- 及び添加物としてグリセリン、ベントナイト、水酸化カルシウム 含有。
禁忌
- 重度又は広範囲の熱傷[酸化亜鉛が創傷部位に付着し、組織修復を遷延させることがある。]
- 患部が湿潤している場所[酸化亜鉛が創傷部位に付着し、組織修復を遷延させることがある。]
効能または効果
- 下記疾患の緩和な収れん・保護
湿疹・皮膚炎、汗疹、日焼け、第一度熱傷
- 用時よく振盪し、1日数回適量を患部に塗布する。
★リンクテーブル★
[★]
水酸化カルシウム、ヨードホルム、スルファチアゾール
- 関
- 歯髄覆たく剤
[★]
- 英
- calcium
- 関
- カルシウムイオン、リン
- calcium channel blockers, calcium channels
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 8.6-10.2 mg/dL (QB) だいたい 9.4 ± 0.8
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
血液ガス
- 血液ガスでは (mEq/l)で出されるが 4倍すれば (mg/dl)に変換できる 原子量が約40ゆえ
溶解度積
リン酸カルシウム
|
366x10-6
|
(30℃)
|
リン酸カルシウム
|
0.35x10-6
|
(38℃)
|
炭酸カルシウム
|
0.0087x10-6
|
(25℃)
|
酒石酸カルシウム
|
0.0077x10-6
|
(25℃)
|
シュウ酸カルシウム
|
0.00257x10-6
|
(25℃)
|
オレイン酸カルシウム
|
0.000291x10-6
|
(25℃)
|
パルチミン酸カルシウム
|
0.000000161x10-6
|
(23℃)
|
カルシウムの吸収(SP.744)
- +健康成人の1日あたりの食物Ca摂取0.6g
- +消化管分泌物と脱落上皮細胞のCa 0.6g
- -吸収されるCa 0.7g
- -そのまま排泄 0.5g
- 正味吸収されるCa 0.1g
カルシウムの吸収部位
カルシウム代謝の調節機構
副甲状腺ホルモン
- 1. 破骨細胞に作用してCa,Pが血中へ。
- 2. 腎の遠位尿細管に作用してCa再吸収の亢進、近位尿細管でのP再吸収の抑制。
- 3. 近位尿細管に作用して酵素を活性化し、1,25水酸化ビタミンD3の産生亢進。
1,25(OH)2D3
- 1. 空腸からのCaとPの吸収。
- 2. 骨形成促進。
- 3. 遠位尿細管でのCaとPの再吸収促進。
- 4. 副甲状腺ホルモンの合成を抑制
尿細管における部位別カルシウム輸送
- 糸球体で濾過されるのはイオン化Caと陰イオン複合型Ca(蛋白結合型Caは濾過されない)
- 濾過されたカルシウムのうち95%が再吸収される。
- 近位尿細管:60-70%
- ヘンレループ:20-25%
- 遠位尿細管、集合管:10-15%
近位尿細管
- Na+依存的に再吸収。受動輸送80%、能動輸送20%
- 基底側のCa2+ ATPase, 3Na+-Ca2+逆輸送系
ヘンレループ
- 太いヘンレループ上行脚で
- 受動輸送:管腔内電位が正であるため
遠位尿細管~集合管
- 糸球体濾過量の10-15%が再吸収されている → 量としては少ないが能動的に吸収が行われる部位。
- 能動輸送:管腔内電位が負であるため。
- PTH、カルシトニンに調節されている
- チアジド系利尿薬により細胞内Na↓となるとCa再吸収↑となる!!!! ← ループ利尿薬と違う点。よって高カルシウム血症が起こることがある。
接合尿細管
- 管腔側:Ca2+チャネル/非選択的カチオンチャネル
- 基底側:Na+-K+ ATPase, 3Na+-Ca2+交換系
尿細管におけるカルシウムの輸送の調節 SP.796
- Ca2+の尿中排泄量はNa+の尿中排泄量と比例。循環血漿量が増加するとCa2+排泄も増加
- Ca2+の尿中排泄量は血漿Ca2+濃度と比例する。
血清カルシウム濃度
- 血液中でCa2+は調節を受けて一定に保たれるが、蛋白と結合しているCaはアルブミンの量によって増減する。
- 血清アルブミン濃度 4 g/dl、血清Ca濃度 9mg/dl。補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- 血清アルブミン濃度 2 g/dl、血清Ca濃度 7mg/dl。 → 大変!!低カルシウム血症!! → ホント? ってことになる。アルブミンの量が減ってAlb-Caが減っただけで生理的に重要なCa2+は保たれているのではないか。 → こんな時に補正Ca濃度を用いるのである
- →補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- つまり、低アルブミン血症ではCa2+は保たれているにもかかわらず、血清Caは低値となりそのままでは評価できないために補正を行う。
- 補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4-血清アルブミン濃度(g/dl)) ・・・Payneの式
- アルブミンのpIは7より小さく、アシデミアでは負に帯電しているアルブミンが減少、アルカレミアでは負に帯電しているアルブミンが増加する。すなわち、pHが下がるとアルブミンとくっつなくなったCaが増加するので、血液pH0.1の低下につきfreeイオン化Ca(Ca2+)は0.12mg/dl増加する???????????
循環血液量
血清Ca濃度
- 血清Ca濃度↑→PTH↓
- 生理活性のあるのはイオン化Ca(Ca2+)のみ
- 血清Ca濃度=イオン化Ca(45%) + 蛋白結合型Ca(40%) + 陰イオン複合型Ca(15%)
- イオン化Caは一定に保たれる
pH
- アシドーシス :pHが小さくなると負電荷減少:蛋白のCa結合能↓、イオン化Ca↑
- アルカローシス:pHが大きくなると負電荷増加:蛋白Caの結合能↑、イオン化Ca↓→Ca欠乏(低カルシウム血症)
低蛋白血症
- 低蛋白血症の際、蛋白結合型Caは減少するが、イオン化Ca一定。
尿中カルシウム
血中カルシウムと尿中カルシウム
- 薬剤などの影響がなければ、血中カルシウムと尿中カルシウムは相関がありそうである → 副甲状腺ホルモン
血清カルシウムと心電図
元素
- 金属元素。周期表第2族アルカリ土類金属元素
- 原子番号:20
- 元素記号:Ca
- 原子量 40.078 g/mol
臨床関連
参考
- http://www.orth.or.jp/osteoporose/caseizai.html
[★]
- 英
- hydroxylation
- 関
- ヒドロキシ、ヒドロキシル化、ハイドロキシ、ヒドロキシ化