- 英
- premenstrual dysphoric disorder
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月経前不快気分障害(げっけいまえふかいきぶんしようがい 英称:Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)は、正常な月経前症候群(PMS)と比較して、より精神症状が重いものをいう。イライラ、変わりやすい気分、不安といった精神症状、また睡眠や食欲に変化がある精神障害である。月経前の不快な気分はきわめて一般的であるため、1年間のほとんどの月経に先行して、目立った心理的な症状が重症である必要がある。
アメリカ精神医学会(APA)の診断分類である『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)に診断基準として示されている。以前の『第4版』(DSM-IV)では、特定不能のうつ病性障害に含まれ、研究用診断基準案が示されていた。日本では、月経前症候群が5.4%、精神障害としての月経前不快気分障害が1.2%の有病率である[2]。
目次
- 1 症状
- 2 診断
- 3 疫学
- 4 出典
- 5 参考文献
- 6 関連項目
症状
正常な月経前の不快気分も、きわめて一般的であり、それは何回かの月経周期に起こるだけである。DSM-5においても、DSM-IVにおいても、症状は過去1年間の月経周期のほとんどにおいて、5つ以上の顕著な症状が生じていることが必要である。
以下のような症状の特徴がある[3]。
- 悲しみ、絶望感、時に自殺念慮
- 緊張感、不安感
- パニック発作
- 焦燥感、動揺、涙もろくなる
- イライラ、怒り、対人的衝突
- 集中力低下
- 疲労感
- 食欲増進
- 過眠または不眠
- 自分を制御できない感じ
診断
月経周期の黄体期と関連して診断される。
1年間のほとんどの月経に先行して、身体症状だけでなく、不快な気分が生じており、著しい苦痛や機能の障害を引き起こすほど重症である必要がある。
鑑別診断
正常な月経前の不快気分もきわめて一般的であり、それは何回かの月経周期に起こるだけであり、それは障害とはみなされない。月経に密接に関連していることを何回かの月経周期によって確認する必要がある。そうでないとしばしば診断を誤まる。
甲状腺機能低下症や貧血など、他の身体疾患によって引き起こされることもある。
他の精神障害では、月経周期を通して症状が持続しており、それが月経の周辺に増悪する。
経口避妊薬を使っているときにのみ起こる場合は診断されない。
疫学
正常な月経周期を持つ女性の3-8%が診断基準を満たすと推定している、2003年の研究がある[4]。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、日本では、月経前症候群(PMS)が5.4%、精神障害としての月経前不快気分障害(PMDD)が1.2%の有病率である[2]
出典
- ^ a b 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会 「Q419 月経前症候群の診断・管理は?」『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014』 日本産科婦人科学会、2014年、224-227頁。ISBN 978-4-907890-01-8。
- ^ What is Premenstrual Dysphoric Disorder (PMDD)?(Office on Women’s Health, update:December 23, 2014)
- ^ Halbreich, Uriel; Borenstein, Jeff; Pearlstein, Terry; Kahn, Linda S (2003). “The prevalence, impairment, impact, and burden of premenstrual dysphoric disorder (PMS/PMDD)”. Psychoneuroendocrinology 28: 1–23. doi:10.1016/S0306-4530(03)00098-2. PMID 12892987.
参考文献
- アレン・フランセス 『精神疾患診断のエッセンス―DSM-5の上手な使い方』 金剛出版、2014年3月。ISBN 978-4772413527。
関連項目
- 月経前症候群
- 気分障害 / うつ病
- en:Premenstrual dysphoric disorder (英語) ウィキペディア英語版
精神と行動の障害(ICD-F - 290-319) |
器質性 / 症状性 |
認知症 |
- 軽度認知症
- アルツハイマー型認知症
- 多発性脳梗塞認知症
- ピック病
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- ハンチントン病
- パーキンソン病
- AIDS認知症症候群
- 前頭側頭型認知症
- 日没症候群
- 認知症徘徊
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その他 |
- せん妄
- 脳振盪後症候群
- 器質脳症候群
- 他の症状性を含む器質性精神障害
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|
精神作用物質使用、薬物乱用による障害 |
- 薬物中毒 / オーバードース
- 身体依存
- 薬物依存症
- 反跳作用
- 二重反跳
- 離脱
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統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害 |
- 統合失調症
- 統合失調型障害
- 持続性妄想性障害
- 急性一過性精神病性障害
- 感応性妄想性障害
- 統合失調感情障害
- 他の非器質性精神病性障害
- 特定不能の非器質性精神病
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|
気分障害(感情障害) |
- 躁病 - 軽躁病
- 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症)
- 抑うつ症状(大うつ病性障害 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ病)
|
|
神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
不安障害 |
恐怖症 |
- 広場恐怖症
- 社会恐怖 / 社交不安障害(対人恐怖)
- 特定の恐怖症(閉所恐怖症)
- 単一社会恐怖
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その他 |
- パニック障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- ストレス(急性ストレス障害 - PTSD)
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適応障害 |
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身体表現性障害 |
- 身体化障害
- 身体醜形障害
- 心気症
- 疾病恐怖
- ダ・コスタ症候群
- 疼痛性障害
- 機能性神経症状症(ガンザー症候群 - 咽喉頭異常感症)
- 神経衰弱
- Mass Psychogenic Illness
|
解離性障害 |
- 解離性同一性障害
- 解離性健忘
- 解離性遁走
- 離人感・現実感消失障害
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生理的・身体的 |
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- 神経性大食症
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- 疼痛(膣痙 - 性交疼痛)
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産後 |
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性と性同一性 |
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- 言語障害(吃音症 - 早口症)
- 運動障害(常同運動症)
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未分類 |
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- 想像妊娠
- 精神運動性激越
- 常同症
- 心因性非てんかん性発作
- Kluver-Bucy症候群
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Japanese Journal
- 月経前不快気分障害の6ヵ月間のparoxetine治療 : 継続投与と完結投与法の比較(海外文献)
- 若年女性における月経前症候群(PMS)の実態に関する研究
- 甲村 弘子
- 大阪樟蔭女子大学研究紀要 1, 223, 2011-01-31
- 月経前症候群(PMS)は月経周期の黄体期、すなわち月経前に起こる様々な身体的、精神的症状をあらわす疾患であり、軽度のものを含めると多くの女性が経験する。PMSは疾患として名前が広く知られているにもかかわらず、その原因はまだ明らかにされておらず、確立された判定基準はない。本症の頻度に関しては、諸外国では報告がなされているが本邦ではほとんど認めない。若い女性での報告もみられない。本研究では、日本におけ …
- NAID 110008096396
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- 月経前不快気分障害(げっけいまえふかいきぶんしようがい 英称:Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)は月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)と比較して 、より精神症状又は身体症状が重いものをいう。「月経前不機嫌性障害」ともいう。 ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- premenstrual syndrome、PMS
- 関
- 月経前緊張症
- 関
- 月経前不快気分障害 premenstrual dysphoric disorder PMDD
概念
- 月経周期の応対期に発症し月経の開始後数日で改善する精神症状・身体症状であり、月経周期ごとに繰り返すのが特徴である。
症状
- 精神症状:イライラ、緊張、不安、気分変動、情緒不安定、注意散漫、抑鬱、攻撃性、嗜眠、思考力減退、疲労感、食欲の変動、甘みや塩分の渇望、感情失禁、性欲の亢進・減退
- 身体症状:全身性浮腫、乳房痛、腹部膨満感、顔面・四肢の浮腫、体重増加、消化器症状、頭痛、めまい、のぼせ
原因
- エストロゲンとプロゲステロンのアンバランス
- プロラクチン分泌亢進
- アルドステロン分泌亢進
- セロトニン分泌低下
- β-エンドルフィンなどオピオイドペプチド分泌低下
- ビタミンB6分泌低下
- 精神的葛藤
- 社会的不安
診断
- 月経前に周期的に出現すること、精神的疾患や器質的疾患の除外でなされる
治療
- 排卵抑制剤:GnRH agonist、ダナゾール、経口避妊薬
- プロゲステロン剤、エストロゲン+プロゲステロン剤
- 精神安定剤:ベンゾジアゼピン系薬
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
- 漢方薬:当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸
- ビタミンB6
- 抗アルドステロン療法
- 食事療法
- ハーブ:(聞くらしいと言うデータはある)イチョウの葉
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[★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
[★]
- 英
- mood disorder, mood disorders
- 同
- 感情障害、(旧定義)情動障害 affective disorders
- F30 Manic episode 躁病エピソード
- F31 Bipolar affective disorder 双極性感情障害
- F32 Depressive episode うつ病エピソード
- F33 Recurrent depressive disorder 反復性うつ病性障害
- F34 Persistent mood [affective] disorders 持続性気分障害
- F38 Other mood [affective] disorders
- F39 Unspecified mood [affective] dis
[★]
- 同
- malaise、discomfort、discomfort、dysphoria、ailment、uncomfortable、unpleasant
- 関
- 不安、不快感、病気、不快気分、精神不安感、異常感
[★]
harm、hazard、injure
- 関
- 危険、損傷、ハザード、傷害を与える、害する
[★]
- 英
- dysphoria
- 関
- 不安、不快、精神不安感