- 英
- megaloblast, megaloblasts
- 関
- 赤芽球
WordNet
- abnormally large red blood cell present in pernicious anemia and folic acid deficiency
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/01 18:55:27」(JST)
[Wiki ja表示]
巨赤芽球(きょせきがきゅう 英:Megaloblast)とは造血の場である骨髄において、正常に成熟すれば赤血球に分化するはずの赤芽球のDNA合成が障害されて細胞の分裂や核の成熟に異常がおこり、細胞核・細胞質共に大きくなった異常な赤芽球。その多くは赤血球になることが出来ずに崩壊する。そのため血液中の赤血球の数が減少し貧血となる。巨赤芽球(Megaloblast)はEhrlichが1880年代に命名したものである。[1][2]。
DNA合成が障害されると細胞核の成熟が遅れるのに比べ(赤芽球は未熟なものの方が核が大きい)、細胞質の成熟はほぼ正常に行われるために赤芽球は巨大になる。細胞核の成熟の進みが遅れるのに比べ、細胞質はほぼ正常に成熟するため、核と細胞質の成熟度に解離が生じる[1][2]。 巨赤芽球では細胞質の成熟の進み方からすると、核の成熟の方が遅れるために核のクロマチン構造は繊細である(正常な細胞でも若い赤芽球の方が繊細である)[1][2]。崩壊せずに赤血球に分化できたものも細胞質はどんどん成長しているので赤血球は数は少ないものの大きく卵形の赤血球となり、その大型化もバラバラでサイズは一定しない[3][4]。
巨赤芽球が出来る原因のほとんどはビタミンB12あるいは葉酸の不足によるもので、B12と葉酸はふたつとも核酸合成に必要であることによる。しかし細胞質の成熟に必要なRNA合成やタンパクの合成の異常は軽いため細胞質の成熟には影響が軽い[1][2]。
なお、ビタミンB12あるいは葉酸が不足して、DNA合成に異常がおこり細胞の成熟が正常に行われなくなるのは赤芽球だけではなく、顆粒球系や巨核球系、さらに他の細胞とくに増殖の盛んな上皮や精子など細胞にも同様の影響をあたえる[1][2]。萎縮性胃炎では平均赤血球血色素量(MCH)の高値が認められる[5]。
骨髄に巨赤芽球が出現し、末梢血において貧血になったものを巨赤芽球性貧血というが[1][2]、巨赤芽球が発生する理由としてはビタミンB12の不足が最も多く97%ほどを占め、次いで葉酸の欠乏が2%ほど、まれにはビタミンの先天的な代謝障害や薬剤によるもの、まったく原因の不明なものがある。B12不足では日本のデータでは、その6割強が悪性貧血(胃粘膜の萎縮による内因子の不足)、3割強が胃切除後であり、他の原因でのB12欠乏も2%ほどある。(つまり巨赤芽球性貧血患者の6割強が悪性貧血)[6]
ビタミンB12や葉酸の不足が原因のものは、不足しているものを筋肉注射(B12)や経口(葉酸)でおぎなってやれば比較的速やかに解消し、それによる貧血も1-2ヶ月でほぼ正常になる[7]。
参考文献
- ^ a b c d e f 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、p.974
- ^ a b c d e f 小川聡 総編集 『内科学書』Vol.6 改訂第7版、中山書店、2009年、ISBN 978-4-521-73173-5、p.72
- ^ 村川 裕二 総監修『新・病態生理できった内科学(5)血液疾患』第2版、医学教育出版社、2009年、ISBN 978-4-87163-435-9、p.45
- ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、p.979
- ^ 12歳で発症した若年性悪性貧血II型の1例、栗山 貴久子ほか、日本小児血液学会雑誌、Vol. 12 (1998) No. 5
- ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.976-977
- ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.987,994
関連項目
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 巨赤芽球性貧血における汎血球減少 (特集 汎血球減少症)
- 母親のクローン病に関連した乳児ビタミンB<sub>12</sub>欠乏性巨赤芽球性貧血
- チアミントランスポーター異常によるチアミン反応性巨赤芽球性貧血症候群 (特集 細胞内小器官と血液疾患)
Related Links
- ※画像をクリックすると大きな画像を別ウィンドウで表示します 赤沢富士男 技師(平成10年8月 呉地区血液勉強会) 巨赤芽球性貧血(megaroblastic anemia=MA)は、比較的診断しやすい貧血の中の代表格です。 但し、鑑別すべき深刻な血液 ...
- 巨赤芽球性貧血。巨赤芽球性貧血とはどんな病気か 細胞が増えるためにはDNAの合成が必要で、その際、ビタミンB12と葉酸(ようさん)が関係しています。ビタミンB12は胃の壁細胞から分泌される内因子と結合し、回腸(小腸) goo ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 70歳の男性。息切れを主訴に来院した。5年前に胃癌のため胃全摘術を受けた。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。胸骨左縁で収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部の正中部に手術痕を認める。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球185万、Hb 8.3g/dl、Ht 25%、網赤血球0.3%、白血球3,900、血小板8.1万。血液生化学所見:尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、総ビリルビン2.1mg/dl、直接ビリルビン0.2mg/dl、AST 28IU/l、ALT 16IU/l、LD 1,280IU/l(基準176~353)、Fe 65μg/dl(基準59~161)、ビタミンB12 112pg/ml(基準250~950)、葉酸8.3ng/ml(基準2.4~9.8)。末梢血塗抹標本で核に過分葉のある成熟好中球を認め、骨髄血塗抹標本で巨赤芽球を認める。ビタミンB12の筋肉内投与が行われ、貧血は改善しつつあったが、治療中に改善がみられなくなった。
- 現時点で患者に不足していると考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A037]←[国試_107]→[107A039]
[★]
- 英
- megaloblastoid cell
- 関
- 巨赤芽球
[★]
[★]
- 英
- megaloblastic
- 関
- 巨赤芽球、巨大赤芽球
[★]
- 英
- basophilic megaloblast
- 関
- 巨赤芽球
[★]
- 英
- megaloblastic anemia
- 関
- 貧血
[★]
- 英
- polychromatic megaloblast
[★]
- 英
- erythroblast
- 同
- 赤芽細胞、有核赤血球 nucleated red cell nucleated erythrocyte
- 関
- 赤血球、鉄芽球
- 前赤芽球→好塩基性赤芽球→多染性赤芽球→正染性赤芽球→網状赤血球→赤血球
臨床関連
[★]
- 英
- bulbus (KH)
- ラ
- bulbus cerebri
- 同
- 延髄
[★]
- 英
- blast cell, blast
- 関
- イモチ病、芽細胞、芽球細胞
骨髄芽球性白血病