- 英
- sodium fluoride
- 商
- Fバニッシュ、オラブリス、ダイアデント、バトラーF、バトラーフローデンフォームA、バトラーフローデンフォームN、フルオール、フローデンA、ミラノール、弗化ナトリウム
- 関
- その他の歯科口腔用薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/22 07:25:10」(JST)
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フッ化ナトリウム |
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
7681-49-4 |
KEGG |
C08142 |
特性 |
化学式 |
NaF |
モル質量 |
41.988173 g mol−1 |
外観 |
無色結晶 |
密度 |
2.79 g cm−3, 固体(20 ℃) |
融点 |
993 ℃
|
沸点 |
1704 ℃
|
水への溶解度 |
4.0 g / 100g水(20℃) |
構造 |
結晶構造 |
立方晶系
塩化ナトリウム型構造 |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
−573.647 kJ mol−1[1] |
標準モルエントロピー So |
51.46 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cpo |
46.86 J mol−1K−1 |
危険性 |
MSDS |
MSDS |
EU分類 |
有毒 (T)
刺激性 (Xi) |
NFPA 704 |
|
Rフレーズ |
R25, R32, R36/38 |
Sフレーズ |
(S1/2), S22, S36, S45 |
関連する物質 |
関連物質 |
フッ化リチウム
フッ化カリウム
フッ化ルビジウム
フッ化セシウム
塩化ナトリウム
臭化ナトリウム
ヨウ化ナトリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フッ化ナトリウム(フッかナトリウム、sodium fluoride)は組成式 NaF で表されるナトリウムのフッ化物である。無色の固体で、フッ化物イオンの発生源としてさまざまな用途に用いられる。フッ化カリウムと比べて安価であり、吸湿性も低いが、利用される頻度はカリウム塩のほうが高い。
天然にも産し、ビリオム石(ヴィヨーム石、Villiaumite)と呼ばれるが希産である[1]。
目次
- 1 化学的性質と構造
- 2 反応
- 3 合成
- 4 用途
- 5 参考文献
- 6 外部リンク
- 7 関連項目
化学的性質と構造
無色の立方体または正八面体型の結晶である。塩化ナトリウム型の結晶構造を持ち、Na+ と F− がそれぞれ互いを中心とした八面体の頂点に位置する。その格子定数は a = 4.620Å[2]、Na−F 結合距離は2.31Åである。
ハロゲン化アシル、塩化硫黄類、塩化リン類との求電子置換反応を利用したフッ化物の合成に使われる[3]。他のフッ化物と同じく、有機合成においてはシリルエーテルなどの脱シリル化剤として用いられる。
赤外光や紫外光を透過する。温度によらず水には溶けにくく、溶解度は 3.53 g/100 mL (0℃) であり、暖めても溶解度はほとんど変わらない。MSDSによればエタノールには僅かに溶けるとある。水溶液中では一部が加水分解するため、弱アルカリ性を呈する。
- NaF + H2O Na+ + OH− + HF
- ( F− + H2O OH− + HF )
フッ化ナトリウムは塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化カルシウムと共に融解すると共晶を形成する。硫酸ナトリウムとの間には2つの共晶点が存在する。固体および液体のフッ化ナトリウムは導電性を持ち、電気抵抗は温度が下がると上昇する。
反応
硫酸と反応させると硫酸ナトリウムとフッ化水素を生じる。
他のハロゲン化ナトリウム化合物と比べて毒性が高いことの理由として、フッ化物イオンのルイス塩基性の高さが挙げられる。フッ化物イオンは鉄を含む酵素に結合し、その作用を妨げる。
合成
濃フッ化水素酸を当量の水酸化ナトリウムで中和すると得られる。
- HF + NaOH → NaF + H2O
さらにフッ化水素が反応すると、フッ化水素ナトリウムが生成する。
- NaF + HF → NaHF2
炭酸ナトリウムとフッ化水素の反応でも合成できる。
- 2 HF + Na2CO3 → 2 NaF + H2O + CO2↑
また、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムの熱分解によっても発生する。
用途
フッ化物塩は、歯のエナメル質成分ハイドロキシアパタイトと反応してフルオロアパタイトを形成させて歯牙の耐酸性を強化すると考えられている。アメリカ合衆国では水道水にフッ化物を添加する目的にフッ化ナトリウムが使われていたが、ヘキサフルオロケイ酸 H2SiF6 やそのナトリウム塩(ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム) Na2SiF6 で置き換えられた。歯のう蝕を予防するために、歯磨き粉に添加されることもある。
木材の防腐剤や接着剤の保存料として用いられる。ホール・エルー法によるアルミニウムの製造の際に融剤として加えられる。そのほか、以下の用途が知られる。
- 抗生物質や殺鼠剤、セラミックス。
- ガラス製造用の融剤。
- 他のフッ化物に含まれる過剰のフッ化水素の除去。
- 有機合成におけるフッ素化剤。
- 単結晶は機器分析で光学フィルター、レンズ、プリズムに使われる。
- 吸光光度分析における鉄イオンのマスキング。
- 再利用六フッ化ウランの精製。
- 分子生物学では脱リン酸化酵素(フォスファターゼ)阻害剤として知られる。
参考文献
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ Halpern, D. F. "Sodium Fluoride." Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis; John Wiley & Sons, 2001. doi:10.1002/047084289X.rs071
外部リンク
関連項目
ナトリウムの化合物 |
|
二元化合物 |
Na3As · NaAt · NaBr · Na2C2 · NaCl · NaF · NaH · NaI · NaI3 · NaN3 · Na3N · NaO2 · NaO3 · Na2O2 · Na2O · Na2Po · Na3P · Na2S · Na2Se · Na2Te
|
|
三元化合物 |
Na3AlF6 · NaAlH4 · NaAuCl4 · Na3BF4 · NaBH4 · Na2B4O7 · NaCH3 · Na2C2O4 · NaCN · Na2CN2 · NaHF2 · NaHS · NaHSe · NaNH2 · NaOH · NaPF6 · Na2PtCl4 · Na2PtCl6 · Na2SiF6
|
|
四元・五元化合物 |
CH3COONa · C6H5ONa · HCOONa · NaBH3CN · Na[B(OH)4] · Na3[Fe(CN)6] · Na4[Fe(CN)6] · NaOCH3 · NaOCH2CH3 · NaOCN · NaSCN · Na2[Zn(OH)4]
|
|
ナトリウムの化合物 - ナトリウムのオキソ酸塩 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 歴史と栄養の観点から水道水フロリデーションの実現を考える
- 眞木 吉信
- 口腔衛生学会雑誌 63(5), 414-419, 2013-10-30
- … 料理を食べることによって誰でも恩恵を受けられるという利点がある.WHOをはじめ欧米先進諸国では,フッ化物が栄養素として位置付けられ,年齢ごとに目安量と上限量が定められ,水道水フロリデーションの導入とそのサプリメントとしてのフッ化ナトリウム製剤が市販されている.日本においても,『日本人の食事摂取基準』の中に「フッ素」を明確に位置付けて,水道水フロリデーションの実施を期待したいところである. …
- NAID 110009675854
- 伊藤 知佐,作 誠太郎,田村 大輔,堀田 正人
- 日本歯科保存学雑誌 56(4), 377-384, 2013-08-31
- … に比べて有意に少なかった.このことから,表面粗さ(Ra)が0.1μm以下で光沢度が40〜90%の歯面コート材における細菌付着性は表面粗さや光沢度が影響するのではなく,歯面コート材の組成,特にS-PRGフィラーやフッ化ナトリウムが影響している可能性が推測された.結論:ビューティコートとホワイトコートの表面処理による表面粗さに有意差は認められなかった.また,表面処理ごとの光沢度をサーマルサイクリング前後で比較し …
- NAID 110009674448
Related Links
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- フッ化ナトリウム(フッかナトリウム、sodium fluoride)は組成式 NaF で表されるナトリウムのフッ化物である。無色の固体で、フッ化物イオンの発生源としてさまざまな用途に用いられる。フッ化カリウムと比べて安価であり、吸湿性も ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
弗化ナトリウム液「ネオ」
組成
有効成分(100mL中)
効能または効果
効能・効果
用法・用量
- 通常、歯面に対し2週間に3〜4回塗布を1クールとし、これを年間1〜2回次の方法により実施する。
塗布方法
一般的方法
歯面の清掃
- 歯ブラシ等によって口腔内を十分に清掃してから、必要ある時は塗布面の歯石を除去し、ポリッシングブラシ又はポリッシングカップに研磨剤をつけて歯面から歯垢(苔)を除くようにする。
防湿・乾燥
- 巻綿花(ロールワッテ)を用いて塗布する歯を孤立させ、綿球で唾液を拭った後、圧縮空気(エアーブロー)で乾燥する。
薬液の塗布
- 薬液(2mL以下)に浸した脱脂綿、ガーゼ等で歯面をなるべく長く薬液に浸潤させる。塗布後約30分間は洗口させないで唾液を吐かせる程度にとどめる。
トレー法
歯面の清掃
トレーの選択及び適合
- 歯(列)弓に適合するトレーを選び、このトレーの大きさに合ったゴム袋及び塗布紙をセットする。
薬液の浸潤
- 塗布紙にスポイトで薬液(2mL以下)を浸み込ませる。
トレーの装着
- トレーを口腔内に挿入し、軽く歯列に圧接して約4分間かませる。
トレーの除去
- トレーを外し、塗布紙を除去する。塗布後約30分間は洗口させないで唾液を吐かせる程度にとどめる。
- 塗布薬液量は2mL以下とし、幼小児においては必要最小限度にとどめること。
- 塗布後約30分間は洗口させないこと。ただし、薬液の残留する唾液は吐き出させ、飲み込まないよう指示すること。
薬効薬理
- 歯牙の形成期に適量のフッ素が作用すると、ヒドロキシアパタイトの生成が促進され、結晶性が向上することがX線結晶学的にも証明されている。
また、作用するフッ素量に応じ、ヒドロキシアパタイトの水酸基とフッ素イオンが置換し、安定した結晶構造を持つフルオロアパタイトが生成し、エナメル質の溶解性が減少するとともに、フッ素の唾液中の無機質を沈着させる再石灰化促進作用と、細菌の産生する酵素の活性を阻害し、酸産生を低下させる作用等により、歯質の耐酸性を向上させ、齲蝕抵抗性のある良質な歯牙を形成する2)。
有効成分に関する理化学的知見
フッ化ナトリウム
一般名
- フッ化ナトリウム(Sodium Fluoride)
化学名
分子式
性状
- 本品は白色結晶性の粉末で、においはない。本品は水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。水溶液はガラスを侵す。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- castor oil
- ラ
- oleum ricini
- 同
- カスター油
- 商
- MS温シップ、アプレゾリン、キンダロン、クロルプロマジン塩酸塩、ケトコナゾール、ゲファルナート、コンスーン、サイベース、スチックゼノールA、チンク油、テストーゲン、デスパコーワ、トフラニール、ハーネシップ、パスタロン、パステル、パッペンK、バトラーF、ビーマス配合、ヒマシ油、フッ化ナトリウム、ポステリザンF、ポリトーゼ、マイアロン、マゴチロン、マルタミン、ミルサート温シップ、ヤンヤン温パップ、ラクール温シップ、加香ヒマシ油、加香ヒマシ油FM、親水軟膏
- 関
- 下剤、トウゴマ Ricinus communis、リシノール酸
構造
作用機序
- 膵液で加水分解されてグリセリンとリチノール酸に分解される。リチノール酸は腸粘膜に刺激を与え瀉下作用を呈する。
薬理作用
- 迅速に発現する
動態
適応
注意
- 軽い腹痛を呈し、腹鳴を伴う。
- 妊婦への使用は骨盤内充血を引き起こすことがある。
- 腸吸収を妨げるので長期不要には不向き
禁忌
副作用
相互作用
[★]
フッ化ナトリウム、リン酸
- 関
- その他の歯科口腔用薬
[★]
フッ化ナトリウム
- 関
- その他の歯科口腔用薬
[★]
リン酸、フッ化ナトリウム
[★]
その他の歯科口腔用薬
[★]
- 英
- sodium, natrium, Na
- 関
- Na+
血液(血清)中のナトリウム (臨床検査法提要第32版)
尿中のナトリウム
- <20 mEq/l (正常と判断できる範囲)
- >40 mEq/l (腎性腎不全を示唆)
尿Na,Kと血清Naによる血清Naの予測
- 経口摂取と輸液による自由水の摂取がなければ
- 尿([Na+]+[K+]) < 血清[Na+] → 血清[Na+]上昇
- 尿([Na+]+[K+]) = 血清[Na+] → 血清[Na+]普遍
- 尿([Na+]+[K+]) > 血清[Na+] → 血清[Na+]低下
食品中の食塩量
- ほとんどの製品ラベルに記載されている、ナトリウム[g]はそのまま食塩量[g]と考えることができないので、指導する債には注意を促す。
- 分子量から考えるとNa(23), Cl(35.5)なので、ナトリウムx[g]は食塩 x /23 * (23 + 35.5)、つまり2.54 * x [g]となる。
- 例えば、小生が常食している某社のインスタントラーメンにはナトリウム2[g]との記載があるが、これは5.08gの食塩が含まれているということになる。もちろんスープは全部飲む。1日3袋食べたことがあるのだが、、、
臨床関連
[★]
- 英
- thorium、Th
- 関
- トロトラスト、232Th
概念
- 参考1
- 原子番号:90
- 元素記号:Th
- アクチノイド元素の一つ
- 銀白色の金属。
- 安定同位体は存在しない。
- 北欧神話の軍神または雷神トールにちなんで名づけられた。
同位体
- 参考1
同位体
|
NA
|
半減期
|
DM
|
DE (MeV)
|
DP
|
228Th
|
trace
|
1.9116 y
|
α
|
5.52
|
224Ra
|
229Th
|
syn
|
7340 y
|
α
|
5.168
|
225Ra
|
230Th
|
trace
|
75380 y
|
α
|
4.77
|
226Ra
|
231Th
|
trace
|
25.5 h
|
β
|
0.39
|
231Pa
|
232Th
|
100 %
|
1.405 × 1010 y
|
α
|
4.083
|
228Ra
|
234Th
|
trace
|
24.1 d
|
β
|
0.27
|
234Pa
|
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
[★]
- 英
- fluoro、fluorinated
- 関
- フルオロ、フッ素化
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類