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リンク元 | 「急速進行性糸球体腎炎」「血尿」「rapidly progressive nephritis」 |
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臨床的に数週から数ヶ月の経過で急速に腎機能が低下して腎不全に至る予後不良の疾患であり、病理的には半月体形成がみられる(半月体形成性糸球体腎炎)ことが特徴の疾患である。小児には稀であり、30-60歳に多く、また男性に多い(男女比=2:1)。血清学的に半月体形成性糸球体腎炎は3つの病型に分類され、それぞれ原因が異なる。type Iは抗基底膜抗体の存在が特徴的であり、特発性のものとグッドパスチャー症候群によるものがある。typeIIは免疫複合体型であり、免疫複合体の沈着が特徴的であり、特発性、感染症(溶連菌感染後急性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎、敗血症、感染性心膜炎、B型肝炎、C型肝炎)、悪性腫瘍、自己免疫性(全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、クリオグロブリン血症)、糸球体疾患の続発(IgA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎)などよるものがある。type IIIはpauci-immune型(つまり蛍光顕微鏡上、免疫複合体が乏しい)でありANCAが関連しているとされ、特発性の他、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡多発血管炎などが原因となる。初発症状は全身倦怠感、食欲不振、嘔気などの非特異的症状で潜行性に発症するが、急性腎炎症状やネフローゼ症候群で発症することがある。約50%の例に上気道感染症、インフルエンザ、発熱などの潜行性感染が認められる。進行すれば腎炎症状を呈し、浮腫、乏尿、腎不全、血尿・肉眼的血尿、高血圧をきたす。診断は腎生検により行う。治療は半月体が線維化する以前に(つまり細胞性)、できるだけ早期に開始する。ステロイドパルス療法、カクテル療法(副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、抗凝固療法、抗血小板療法)、血漿交換法を行う。予後は極めて不良であり、発症後数週から数ヶ月、遅くとも1年で腎不全に至る。(YN.E-44 PED.1247)
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