- 英
- capecitabine
- 商
- ゼローダ Xeloda
- 関
- フッ化ピリミジン
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カペシタビン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(+)-pentyl 1-(5-deoxy-β-D-ribofuranosyl)-5-fluoro-1,2-dihydro-2-oxo-4-pyrimidinecarbamate |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口投与 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
良好 |
血漿タンパク結合 |
53~55% |
代謝 |
カペシタビン―(カルボキシルエステラーゼ)→5'-DFCR ―(シチジンデアミナーゼ)→5'-DFUR |
半減期 |
0.4~0.8時間 |
排泄 |
尿中(80~90%) |
識別 |
CAS番号 |
154361-50-9 |
ATCコード |
L01BC06 |
PubChem |
CID 60953 |
DrugBank |
APRD00203 |
KEGG |
D01223 |
化学的データ |
化学式 |
C15H22FN3O6 |
分子量 |
359.35 |
カペシタビン(Capecitabine)とは、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤に類する抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)。
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の代表ともいえるフルオロウラシル(5-FU)は、これまで乳癌や消化器癌の治療に最も多く使われてきた抗癌剤の一つであるが、カペシタビンは、骨髄細胞や消化管では活性体になりにくく腫瘍組織内でより選択的に5-FUを生成することを目的として、日本ロシュ研究所(現中外製薬株式会社鎌倉研究所)で創製された。製造販売元は中外製薬株式会社で、商品名は「ゼローダ®(Xeloda®)」。
目次
- 1 概要
- 2 効能・効果
- 3 重大な副作用
- 4 作用機序
- 5 関連事項
- 6 外部リンク
- 7 参考資料
概要
経口の抗悪性腫瘍剤であり、患者への投与の際の負担が少ない。また、体内(特に腫瘍細胞内)で段階的にフルオロウラシル(5-FU)に変換させることで、5-FUが腫瘍細胞内へ選択的に高濃度に(長時間にわたり)供給される。全身への暴露は5-FU注射薬に比べて少ないとされる。 2010年現在世界100以上の国々で承認されているが、臨床における有効性、安全性に関しては現在もなお検討中である。
効能・効果
- 手術不能又は再発乳癌
- 結腸癌における術後補助化学療法
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
重大な副作用
脱水症状、手足症候群(Hand-foot syndrome)、心障害、肝障害、黄疸、腎障害、骨髄抑制、口内炎、間質性肺炎
作用機序
カペシタビンは、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5'-deoxy-5-fluorocytidine (5'-DFCR) に代謝される。次に主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5'-deoxy-5-fluorouridine (5'-DFUR) に変換される。更に、腫瘍組織に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼ (TP) により活性体である5-FUに変換され、抗腫瘍効果を発揮する。
関連事項
外部リンク
参考資料
- 『ゼローダ®錠300』医薬品インタビューフォーム・改訂第6版(中外製薬)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 進行・再発乳癌に対するラパチニブとカペシタビン併用療法の検討
- 処方せんから考える がん患者 服薬指導スタートアップ講座(第2回)カペシタビン錠を含む処方せん(2)
- 日本臨床腫瘍薬学会 [編],秋田 賢宏,板垣 文雄
- 調剤と情報 = Rx info 19(2), 222-227, 2013-02
- NAID 40019577789
- 処方せんから考える がん患者 服薬指導スタートアップ講座(第1回)カペシタビン錠を含む処方せん(1)
Related Links
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- ゼローダの有効成分カペシタビンは、体内に入ると肝臓や腫瘍内で代謝され5-FUに 変わります。つまりゼローダそのものには抗がん効果はなく、体内で5-FUに変換されて 初めて抗がん薬として作用します。こうした薬剤のことを専門家はマスクドコンパウンドと ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ゼローダ錠300
組成
成分(1錠中):有効成分・含有量
成分(1錠中):添加物
- 無水乳糖、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、酸化チタン
禁忌
- 本剤の成分又はフルオロウラシルに対し過敏症の既往歴のある患者
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者(「相互作用」の項参照)
- 重篤な腎障害のある患者(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- ○手術不能又は再発乳癌
- ○結腸癌における術後補助化学療法
- ○治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- ○治癒切除不能な進行・再発の胃癌
手術不能又は再発乳癌に対して
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 単剤投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の増悪若しくは再発例に限る。
- 併用療法に関して、初回化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
結腸癌における術後補助化学療法に対して
- Dukes C以外の結腸癌における術後補助化学療法での、本剤の有効性及び安全性は確立していない。また、国内での術後補助化学療法に関する検討は行われていない(【臨床成績】の項参照)。
治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対して
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 手術不能又は再発乳癌にはA法又はB法を使用する。結腸癌における術後補助化学療法にはB法を使用し、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法を使用する。治癒切除不能な進行・再発の胃癌には白金製剤との併用でC法を使用する。
A法
- 体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、21日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。
(表1)
B法
- 体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(表2)
C法
- 体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(表3)
体表面積 |
1回用量 |
1.31m2未満 |
900mg |
1.31m2以上1.64m2未満 |
1,200mg |
1.64m2以上 |
1,500mg |
体表面積 |
1回用量 |
1.33m2未満 |
1,500mg |
1.33m2以上1.57m2未満 |
1,800mg |
1.57m2以上1.81m2未満 |
2,100mg |
1.81m2以上 |
2,400mg |
体表面積 |
1回用量 |
1.36m2未満 |
1,200mg |
1.36m2以上1.66m2未満 |
1,500mg |
1.66m2以上1.96m2未満 |
1,800mg |
1.96m2以上 |
2,100mg |
- 各用法の開始用量(1回用量)は以下の体表面積あたりの用量から算出している。
A法
B法
C法
- 1,000mg/m2
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は、【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、患者の状態やがん化学療法歴に応じて選択すること。
- 結腸癌における術後補助化学療法において、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、本剤を適宜減量すること。
- 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、併用する他の抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。
休薬・減量について
- B法及びC法において副作用が発現した場合には、以下の規定を参考にして休薬・減量を行うこと。
休薬・減量の規定
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade1
- 治療期間中の処置:休薬・減量不要
治療再開時の投与量:減量不要
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade2 初回発現
- 治療期間中の処置:Grade0-1に軽快するまで休薬
治療再開時の投与量:減量不要
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade2 2回目発現
- 治療期間中の処置:Grade0-1に軽快するまで休薬
治療再開時の投与量:減量段階1
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade2 3回目発現
- 治療期間中の処置:Grade0-1に軽快するまで休薬
治療再開時の投与量:減量段階2
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade2 4回目発現
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade3 初回発現
- 治療期間中の処置:Grade0-1に軽快するまで休薬
治療再開時の投与量:減量段階1
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade3 2回目発現
- 治療期間中の処置:Grade0-1に軽快するまで休薬
治療再開時の投与量:減量段階2
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade3 3回目発現
NCIによる毒性のGrade判定注2):Grade4 初回発現
- 治療期間中の処置:投与中止・再投与不可
あるいは治療継続が患者にとって望ましいと判定された場合は、Grade0-1に軽快するまで投与中断
治療再開時の投与量:減量段階2
- 上記の休薬・減量の規定に応じて減量を行う際、次の用量を参考にすること。
- 1,250mg/m2相当量で投与を開始した場合の減量時の投与量
体表面積:1.13m2未満
- 1回用量
減量段階1:900mg
減量段階2:600mg
体表面積:1.13m2以上1.21m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,200mg
減量段階2:600mg
体表面積:1.21m2以上1.45m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,200mg
減量段階2:900mg
体表面積:1.45m2以上1.69m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,500mg
減量段階2:900mg
体表面積:1.69m2以上1.77m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,500mg
減量段階2:1,200mg
体表面積:1.77m2以上
- 1回用量
減量段階1:1,800mg
減量段階2:1,200mg
- 1,000mg/m2相当量で投与を開始した場合の減量時の投与量
体表面積:1.41m2未満
- 1回用量
減量段階1:900mg
減量段階2:600mg
体表面積:1.41m2以上1.51m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,200mg
減量段階2:600mg
体表面積:1.51m2以上1.81m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,200mg
減量段階2:900mg
体表面積:1.81m2以上2.11m2未満
- 1回用量
減量段階1:1,500mg
減量段階2:900mg
体表面積:2.11m2以上
- 1回用量
減量段階1:1,500mg
減量段階2:1,200mg
- 一旦減量した後は増量は行わないこと。
- 注2)B法による国内臨床試験においてはNCI-CTC(Ver.2.0)によりGradeを判定した。手足症候群は以下の判定基準に従った。
また、C法による国内臨床試験においては手足症候群も含めてCTCAE v3.0によりGradeを判定した。
手足症候群の判定基準
Grade:1
- 臨床領域:しびれ、皮膚知覚過敏、ヒリヒリ・チクチク感、無痛性腫脹、無痛性紅斑
機能領域:日常生活に制限を受けることはない症状
Grade:2
- 臨床領域:腫脹を伴う有痛性皮膚紅斑
機能領域:日常生活に制限を受ける症状
Grade:3
- 臨床領域:湿性落屑、潰瘍、水疱、強い痛み
機能領域:日常生活を遂行できない症状
- 該当する症状のGradeが両基準(臨床領域、機能領域)で一致しない場合は、より適切と判断できるGradeを採用する
- 「結腸癌における術後補助化学療法」に関しては、投与期間が8コースを超えた場合の有効性及び安全性は確立していない。
慎重投与
- 腎障害のある患者[副作用が重症化又は発現率が上昇するおそれがある(「重要な基本的注意」、【薬物動態】の項参照)。]
- 肝障害のある患者
- 冠動脈疾患の既往歴のある患者[心障害があらわれるおそれがある。]
- 骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強するおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 消化管潰瘍又は出血のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
脱水症状
(頻度不明注4))
- 激しい下痢(初期症状:腹痛、頻回の軟便等)があらわれ脱水症状まで至ることがあるので観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し補液、電解質投与等の適切な処置を行うこと。
手足症候群(Hand-foot syndrome)
(頻度不明注4))
- 手掌及び足底に湿性落屑、皮膚潰瘍、水疱、疼痛、知覚不全、有痛性紅斑、腫脹等の手足症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
心障害
(頻度不明注4))
- 心筋梗塞、狭心症、律動異常、心停止、心不全、突然死、心電図異常(心房性不整脈、心房細動、心室性期外収縮等)等の心障害があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
肝障害、黄疸
(頻度不明注4))
- 肝機能検査値異常、黄疸を伴う肝障害があらわれ、肝不全に至った症例も報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、肝機能検査値異常を伴わない黄疸があらわれることが報告されている。
腎障害
(頻度不明注4))
- 腎機能検査値異常を伴う腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
骨髄抑制
(頻度不明注4))
- 汎血球減少、顆粒球減少等の骨髄抑制が、また、骨髄抑制の持続により易感染症、敗血症等があらわれることがあるので定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
口内炎
(頻度不明注4))
- 口内炎(粘膜炎、粘膜潰瘍、口腔内潰瘍等)があらわれることがあるので観察を十分に行い、有痛性の紅斑、口内潰瘍、舌潰瘍等が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
(頻度不明注4))
- 間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
重篤な腸炎
(頻度不明注4))
- 出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがあるので観察を十分に行い、激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な精神神経系障害(白質脳症等)
(頻度不明注4))
- 歩行障害、麻痺、錐体外路症状、失調、協調運動障害、平衡障害、構音障害、意識障害、嗜眠、錯乱、健忘、指南力低下、知覚障害、尿失禁等があらわれることがある。また、このような症状が白質脳症等の初期症状としてあらわれることがあるので観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
血栓塞栓症
(頻度不明注4))
- 深部静脈血栓症、脳梗塞、肺塞栓症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(頻度不明注4))
- 皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍効果26,27)
- 可移植性ヒト乳癌(ZR-75-1、MCF-7、MAXF401、MX-1)及びヒト結腸癌(CXF280、HCT116、LoVo、COLO205)担癌ヌードマウスに対して抗腫瘍効果が認められた。また、他の抗悪性腫瘍剤との併用により、抗腫瘍効果の増強が認められた。
作用機序28,29)
- 本薬は消化管より未変化体のまま吸収され、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5'-DFCRに代謝される。次に主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5'-DFURに変換される。更に、腫瘍組織に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼにより活性体である5-FUに変換され抗腫瘍効果を発揮する。5-FUはFdUMPに代謝され、チミジル酸合成酵素及び5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸と不活性複合体を形成する。その結果チミジル酸合成を抑制することにより、DNA合成を阻害する。また、5-FUはFUTPに代謝され、UTPの代わりにRNAに取り込まれてF-RNAを生成し、リボソームRNA及びメッセンジャーRNAの機能を障害すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- カペシタビン(Capecitabine)(JAN)
化学名
- (+)-pentyl 1-(5-deoxy-β-D-ribofuranosyl)-5-fluoro-1,2-dihydro-2-oxo-4-pyrimidinecarbamate
分子式
分子量
性 状
- 白色の粉末。メタノールに極めて溶けやすく、ベンジルアルコール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にやや溶けにくい。
融 点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- large bowel cancer
- 同
- 結腸直腸癌, colorectal cancer, CRC, colorectal carcinoma、直腸結腸癌
- 関
- 結腸癌 colon cancer colonic cancer。大腸
- first aid step1 2006 p.277
概念
- 大腸に発生した悪性腫瘍の総称
- 結腸癌、直腸S状部癌、直腸癌を含む。
疫学
死亡率
- 男性:第4位(肺>胃>肝>大腸)
- 女性:第1位(大腸>胃>肺>肝>乳房>子宮)
リスクファクター(first aid step1 2006 p.277)
- ×Peutz-Jeghers syndromeはリスクファクターではない
好発部位
- 直腸・S状結腸 > 上行結腸・盲腸 > 横行結腸 > 下行結腸
- 直腸が50%、S状結腸25% (出典不明)
頻度
肉眼分類
早期癌
- 0-I型(隆起型):Ip(隆起型)、Isp(亜有茎型)、Is(無茎型)
- 0-II型(表面型):IIa(表面隆起型), IIc(表面陥凹型)
進行癌
- 1型(腫瘤型)
- 2型(潰瘍限局型)
- 3型(潰瘍浸潤型)
- 4型(びまん浸潤型)
頻度
- 進行癌:2型(潰瘍限局型) > 3型(潰瘍浸潤型) > 1型(腫瘤型) > 4型(びまん浸潤型)
- 早期癌を含めると、2型(潰瘍限局型)(80%)に次いで0型(表在型)が多い。
- 2型で外周の2/3週以上となると、注腸造影でapple core sign として認められる。
病期分類
Dukes分類
- A. 癌腫が腸管壁内に限局するもの ← 固有筋層まで(MP。つまりT2)
- B. 癌腫が腸壁を貫いて浸潤するが、リンパ節転移のないもの
- C. リンパ節転移があるもの
進行病期分類
stage
|
定義
|
治療
|
0
|
癌が粘膜にとどまっている。(M)
|
内視鏡
|
I
|
癌が大腸壁にとどまっている。(SM,MP)
|
SM軽度浸潤(<2cm)では内視鏡、それ以外は手術療法
|
II
|
癌が大腸壁の外まで浸潤している。(SS,SE)
|
手術療法
|
III
|
リンパ節転移がある。
|
手術療法+補助化学療法
|
IV
|
肝転移、肺転移または腹膜播種がある。
|
手術療法 and/or 化学療法 and/or 放射療法
|
大腸癌取り扱い規約 第7版(2009年)
壁深達度
- M:粘膜内まで
- SM:粘膜下層まで
- MP:固有筋層まで
漿膜を有する部位
- SS:MP越えているが漿膜下にとどまる
- SE:漿膜表面に露出
- SI:他臓器に直接浸潤
漿膜を有しない部位
進行度
|
N0
|
N1
|
N2
|
H1,H2,H3,M1 P1,P2,P3
|
M
|
0
|
|
SM MP
|
I
|
IIIa
|
IIIb
|
IV
|
SS,A SE SI,AI
|
II
|
リンパ節郭清
- 1群リンパ節郭清:D1:腫瘍付近のリンパ節(傍リンパ節)を切除
- 2群リンパ節郭清:D2:癌のある腸管を栄養する血管に沿うリンパ節(中間リンパ節)までを切除
- 3群リンパ節郭清:D3:栄養血管の根元にあるリンパ節(主リンパ節)までを切除
病理
症状
腫瘍の局在
|
右側結腸
|
左側結腸
|
S状結腸・直腸
|
症状
|
自覚症状に乏しい(貧血、腹部腫瘤、腹痛、まれに腸重積)
|
イレウス多い、左下腹部痛
|
血便/粘結弁
|
下痢
|
便秘、便通過障害(下血・血便)
|
便通異常(下痢・便秘、腹部膨満感、しぶり腹、輪状狭窄、糞柱の狭小化)
|
検査
血液検査
腫瘍マーカー
便潜血
単純X線検査
診断
治療
- 原則として以下の治療を選択するが、必要に応じて、手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせる。(SSUR.550)
- Stage0,StageIの一部:内視鏡的切除
- StageI,II:手術療法
- StageIII:手術療法+化学療法
- StageIV:手術療法、化学療法、および放射線療法の組み合わせ
早期癌
内視鏡的治療
原則
病期
- stage 0 ~ stage I and SM軽度浸潤 and 最大径 2cm以下
適応基準
- ( M or SM ) and ( 最大経≦2cm ) and ( 肉眼型は問わない )
進行癌
-
- FOLFIRI療法 → FOLFOX療法 、 FOLFOX療法 → FOLFIRI療法 。一次治療にはベバシズマブ、二次治療にはセツキシマブの併用を推奨
- stage I~IVで行われる。
- 原発巣の切除とリンパ節の郭清を行う
- 転移巣(肝臓、肺)、局所再発に対して:根治性が得られるなら切除。得られないのであれば姑息的治療(肝転移の場合なら、経カテーテル的肝動脈塞栓術
- (姑息的に?結腸癌の進展による直腸の狭窄が考慮される場合には)Hartmann手術をおこなう。
- (大腸癌の肝転移例に対する手術適応)原発巣が根治的に処理されている場合には積極的に肝切除を行う。肝切除ができない場合は経カテーテル的冠動脈塞栓術を施行(QB.A-194)
術式
結腸癌
- 結腸部分切除術
- 回盲部切除術
- 結腸右半切除術
- 結腸左半切除術
- S状結腸切除術
- 結腸全摘術
検診
スクリーニング
- USPSTF
- 50-75歳の成人に便潜血・大腸内視鏡を推奨する(A)
- 85歳以上の高齢者には推奨しない(D)
- リスクが有る患者には40歳、ないし発症した親族の年齢の10年前から大腸内視鏡を5年ごとに行う
- リスク:2人の大腸癌ないし腺腫性ポリープの家族歴あり
- 大腸内視鏡であれば10年毎でよいが、これをやらない場合には毎年の便潜血を。
参考
- 1. がん情報 - 結腸および直腸 Colon and Rectum(C18-C20)
- http://ganjoho.ncc.go.jp/data/hospital/cancer_registration/odjrh3000000hrgr-att/20070723022_c18colon_and_rectum.pdf
- 2. 大腸低分化腺癌,印環細胞癌の臨床病理学的検討
- 山形県立中央病院外科
- 平井 一郎 池田 栄一 飯澤 肇 佐藤 敏彦 岡部 健二 石田 卓也 太田 陽一
- 最近11年間の大腸癌手術症例1,260例のうち,低分化腺癌(por)93例,印環細胞癌(sig)7例を臨床病理学的に検討した.また間質結合織の多寡で髄様型(med),中間型(int),硬性型(並1)に3分類した。por,sigはs(a2)以深の進行例が多く,早期癌203例中1例のみであり,癌発生直後より急速に進展すると考えられた。5生率は高分化:67.9%,中分化:423%,por,sig:37.4%で,por,sigは有意に予後不良であった。間質別5生率はmedで79.6%と極めて予後良好だったが,sciには3年生存例がなく,med,int,並i間に有意差が認められた。組織発生の検討では,intは分化型腺癌の浸潤先進部の分化度が低下し低分化部分が優勢となったもので,med,sciは発生初期から低分化腺癌の形態をとる症例が存在すると考えられた。大腸低分化腺癌,印環細胞癌の間質組合織の多寡による3分類は予後,癌組織発生の点で重要である。
- http://journal.jsgs.or.jp/pdf/028040805.pdf
- http://www.jsco-cpg.jp/guideline/13.html
ガイドライン
- http://www.jsco-cpg.jp/guideline/13.html
- 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2010年版 - 大腸癌研究会 JSCCR
- http://www.jsccr.jp/guideline2010/guideline02.html
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