出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/06/12 09:04:03」(JST)
「噪音」とは異なります。 |
関根勤監督の映画作品については「騒音 (映画)」をご覧ください。 |
騒音(そうおん、noise pollution)は、典型七公害の1つであり、人の健康及び生活環境に影響を及ぼす。
騒音は一般には不快で好ましくない音をいうが、主観的な面があることは否めないと考えられている[1]。例えばオックスフォード英語辞典では騒音の定義ついて「望ましくない音」と説明している。また、騒音問題を国際的に扱う際には、「騒音」の語義が持つニュアンスが諸言語においてわずかずつ異なることが問題となる[2]。
騒音規制の法律には、公衆を擾乱する特定の音を発する行為を規制するタイプと、音の物理的な特性に基づいて騒音評価方法とその基準値を定めて規制するタイプがある。前者は騒音の量的測定が可能になる以前から存在する、伝統的な騒音問題への対処方法であり、おおまかな世論を含んだ質的な規制といえる[2]。後者は「一定以上の大きい音=騒音」という量的な評価に基づくが[2]、日本の国立環境研究所の調査では、音量に関わりなく望ましくない音は騒音として苦情の対象となりえる[3]。
激しい騒音は人体、特に聴力に損傷を与える。労働安全衛生の場では医学的見地から、20世紀後半より世界各地で騒音に対する量的基準が制定されている[2]。また、交通騒音などの環境騒音についても、環境性睡眠障害や心疾患等の罹患率・有病率の上昇が認められることから、WHO[4]およびWHO欧州事務局[5]がガイドラインを定めている。
騒音公害は、発生源の種類等によって工場・事業場騒音、建設作業騒音、自動車騒音、鉄道騒音、航空機騒音、その他(生活騒音、低周波音等)に分類される[6]。また、自動車騒音、鉄道騒音、航空機騒音などは交通騒音とも分類される。
工場・事業場騒音、建設作業騒音、生活騒音など、交通騒音以外の騒音を環境騒音と分類している例[7]が見受けられる。しかし、国際的には、住民が影響を受けるような騒音はすべて環境騒音(Environmental Noise,Community Noise)であり[4]、騒音職場での騒音(Occupational Noise)と区別されている。
自動車、鉄道、航空機などから発生する騒音。
工場・事業場内の機械や装置、工場敷地内を走行する自動車や作業車両から発生する騒音[6]
建設作業に用いる機械や建設機材、建設作業場内を走行する自動車や作業車両から発生する騒音[6]
近隣騒音とは、営業騒音(カラオケ装置等の営業機器、商業宣伝・選挙等用の拡声器)、テレビ・音響機器等、事業所や家庭における空調設備など屋外に設置される機器による騒音など、上記以外の騒音である[6]。
店舗や住宅街における商業宣伝の拡声器使用について、1989年(平成元年)の旧環境庁の通達[8]により、各都道府県に条例によって音量や使用方法の規制が設けられている[9]。近年、住宅街を巡回する廃品回収車や移動販売車が増加していることから拡声機に係る騒音苦情の件数が増加傾向にあり、2009年度には前年比27.7%増と急増している。
東京都環境局では、生活騒音として次の5つを分類している[10]。
近年では保育所や幼稚園、小学校など幼児・児童を預かる施設に対して「子供の声がうるさい」などの苦情が近隣住民から寄せられる事が増えており、中には裁判にまで及ぶ事例もある[11][12][13][14][15]。
ドイツでも子供の声が騒音だと問題になったが2011年5月26日、ドイツ連邦議会において『「連邦イミシオン防止法を改正案」乳幼児、児童保育施設及び児童遊戯施設から発生する子どもの騒音への特権付与』を可決した。これ以前にもベルリン市など自治体レベルで同様の条例が可決している[16][17][18][19][20]。
2015年3月27日、東京都議会は子どもの声を都の騒音条例の数値規制の対象から外す東京都環境確保条例改正案を全会一致で可決した[21]。
低周波音は200Hzあるいは100Hz以下の低い周波数帯域の音である。環境省は100Hz以下を低周波音としているが、国によっては200Hz以下としており、国際的な定義はない。低周波音の成分が卓越する騒音の場合、中高周波数帯域が卓越する騒音よりも、様々な住民影響が大きくなるため、より厳しい基準値が必要とされている[4]。
成人の可聴周波数範囲の下限とされる20Hz以下の音は、超低周波音と国際的に定義されている。ただし、20Hz以下の音でも高い音圧レベルではヒトは知覚できる。また、上半規管列隙症候群[25]のように、内耳に障害を持つ場合、低周波帯域の知覚特性は健常人よりも高感度となる[25]。
騒音は、「音の大きさ(ラウドネス)」に関するヒト聴覚の周波数特性を近似した周波数重み付け(A特性)に基づいて音圧レベルを補正した騒音レベルで計測評価されることが多い。騒音レベルの単位はデシベル(dB)。かつては単位に「ホン」も用いられていたが、日本では計量法により1997年9月30日に廃止された。
ほとんどの騒音は時間変動するため、変動する騒音レベルを何らかの方法で代表する方法が採用されている。「騒音に係る環境基準」では、変動騒音のエネルギー平均値である等価騒音レベル(LAeq)を評価指標としている[26]。
航空機騒音の場合は、騒音レベルを元に時間帯などを考慮して再計算された指数「WECPNL」が用いられてきたが、国際的な状況等を受けて2013年4月1日からLdenに移行した。
世界保健機関(WHO)は1999年に「環境騒音ガイドライン」を公表し、交通騒音に起因する心疾患について言及している[27]。
欧州WHO事務局は2009年に「欧州夜間騒音ガイドライン」、2011年に「環境騒音による疾病負荷」を公表している[27]。
日本では、騒音公害は、環境基本法により、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、振動、地盤沈下、悪臭とともに典型七公害に含まれている[1]。2014年度には総務省における公害苦情調査において、件数が大気汚染を抜いて最多事例となった[28]。ただし、公害等調整委員会による苦情件数の集計は自治体に届いた苦情が対象で警察が対応した苦情は含まれていない。また、同一発生源に対する苦情は1件として集計されており[29]、我が国での騒音苦情の総数を反映していない。例えば、航空機騒音に対する苦情件数は、毎年300件程度とされているが、厚木海軍飛行場への苦情件数(神奈川県内のみ)だけで毎年5,000件程度の騒音苦情が神奈川県内自治体に寄せられている[30]。また、警察が対応した騒音苦情は含まれておらず、夜間の道路交通騒音に対する警察への苦情などは総務省が公表する苦情件数には反映されていない。
のある発生源また、騒音規制法では、特定施設を使用する事業場や、特定建設作業に規制基準が設定されている。
この節の加筆が望まれています。 |
風力発電施設の設置をめぐっては、騒音による鳥類の生息環境の悪化、騒音による鳥類の餌資源の逃避・減少への対策が課題となっている[31]。
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