■反応の速度 実際に標準自由エネルギーが負であるからといって、反応が自発的にどんどん進むことはなく、活性化エネルギーあるいは触媒の供給が必要である。
■平衡定数とΔGの関係 物質Aの濃度と自由エネルギーの関係はほぼ次式で表される GA - G゜A = RT [A] GA :部分モル自由エネルギー、化学ポテンシャル G゜A:標準状態での部分モル自由エネルギー
aA + bB ⇔ cC + dD この反応の反応に伴う自由エネルギー変化ΔGは ΔG = c * G c + d * G d - a * G a - b * G b 標準状態では ΔG゜ = c * G゜c + d * G゜d - a * G゜a - b * G゜b
[C]^c * [D]^d
ΔG = ΔG゜ + RT ln -------------
[A]^a * [B]^b
平衡状態では
[C]^c * [D]^d
ΔG゜ = - RT ln ------------- = - RT Keq
[A]^a * [B]^b
Keqは平衡定数なので
[C]^c * [D]^d
Keq = ------------- = exp( -ΔG゜/RT )
[A]^a * [B]^b
ΔG゜= - RT ln Keq //
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/11/08 12:03:08」(JST)
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表・話・編・歴
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自由エネルギー(じゆうエネルギー、英: free energy)とは、熱力学における状態量の1つであり、化学変化を含めた熱力学的系の等温過程において、系の最大仕事(潜在的な仕事能力)、自発的変化の方向、平衡条件などを表す指標となる[1][2]。
自由エネルギーは1882年にヘルマン・フォン・ヘルムホルツが提唱した熱力学上の概念で、呼称は彼の命名による。一方、等温等圧過程の自由エネルギーと化学ポテンシャルとの研究はウィラード・ギブズにより理論展開された。 等温等積過程の自由エネルギーはヘルムホルツの自由エネルギー(Helmholtz free energy)と呼ばれ、等温等圧過程の自由エネルギーはギブズの自由エネルギー(Gibbs free energy)と呼びわけられる。ヘルムホルツ自由エネルギーは F で表記され、ギブズ自由エネルギーは G で表記されることが多い。両者の間には G=F+pV の関係にあり、体積変化が系外に為す仕事 pV の分だけ異なる。
熱力学第二法則より、系は自由エネルギーが減少する方向に進行する。また、閉じた系における熱力学的平衡条件は自由エネルギーが極小値をとることである。
ヘルムホルツの自由エネルギー(英語: Helmholtz free energy)は、等温条件の下で仕事として取り出し可能なエネルギーを表す示量性状態量である。なお、IUPACでは「自由」を付けずにヘルムホルツエネルギー(英語: Helmholtz energy)とすることが推奨されている[3]。記号 F や A で表されることが多い。
内部エネルギー U、熱力学温度 T、エントロピー S として、ヘルムホルツエネルギーは
で定義される。
熱力学温度 T、体積 V、物質量 N の関数として表されたヘルムホルツエネルギー F(T,V,N) は完全な熱力学関数となる。 このように見たとき、定義式は完全な熱力学関数としての内部エネルギー U(S,V,N) の S に関するルジャンドル変換
と見ることができる。
ヘルムホルツエネルギー F(T,V,N) の各変数による偏微分は
で与えられる。 ここで、p は圧力、μi は成分 i の化学ポテンシャルを表す。 従って、全微分は
となる。
系のスケール変換を考えると
の関係が得られる。
温度 Tex の環境にある系が、ある平衡状態から別の平衡状態へ変化する過程を考える。熱力学第二法則により、系が外部から受け取る熱 Q には上限が存在する。
この不等式とエネルギー保存則から、系が外部に為す仕事 W にも上限が存在する。
等温条件下では変化の前後で系の温度は外界の温度と等しく T=Tex なので、ヘルムホルツエネルギーの定義から
となり、不等式
が成り立つ。この場合の仕事 W は膨張仕事および非膨張仕事のすべてを含んでいる。
すなわち、温度 Tex の環境にある系が状態 X0 から X1 へと変化する間に外部に為す仕事 W には上限 Wmax が存在する。
この Wmax はヘルムホルツエネルギーを用いると
と表され、変化の前後でのヘルムホルツエネルギーの減少量が等温条件において取り出し可能な仕事量である。
等温条件下で外部に一切の仕事を行わない場合、とくに、等温等積で非膨張仕事も行わない場合は
となり、自発変化はヘルムホルツエネルギーが減少する方向へ進む。 また熱力学的平衡条件はヘルムホルツエネルギーが極小値をとることである。
統計力学では、カノニカルアンサンブルと関係付けられる。 分配関数 Z(β) を用いて、
と表される。 これはミクロとマクロをつなぐボルツマンの関係
から導かれる。
ギブズ自由エネルギー(英語: Gibbs free energy)は、熱力学や電気化学などで用いられる、等温等圧条件下で非膨張の仕事として取り出し可能なエネルギーを表す示量性状態量である。非膨張の仕事の例としては電池反応による電気的な仕事があり、ギブズ自由エネルギーの減少量は等温等圧条件下で系から取り出し可能な電気エネルギーを表す。なお、IUPACではギブズエネルギー(Gibbs energy)という名称の使用を勧告している[4]。 通常は記号 G で表される。
等温等圧条件下ではギブズ自由エネルギーは自発的に減少しようとする。即ち、Gの変化が負であれば化学反応は自発的に起こる。さらに、ギブズエネルギーが極小の一定値を取ることは系が平衡状態にあることに等しい。
これは、ヘルムホルツの自由エネルギーに関する
等温等積条件下ではヘルムホルツの自由エネルギーは自発的に減少しようとする。即ち、Fの変化が負であれば化学反応は自発的に起こる。さらに、ヘルムホルツの自由エネルギーが極小の一定値を取ることは系が平衡状態にあることに等しい。
と対応している。
エンタルピー H、熱力学温度 T、エントロピー S として、ギブズエネルギーは
で定義される[1]。あるいは、ヘルムホルツエネルギー F、 圧力 p、体積 V を用いて
で定義されることもある。内部エネルギーを U とすると、エンタルピーの定義 H=U+pV、或いはヘルムホルツエネルギーの定義 F=U−TS より
が得られる。
熱力学温度 T、圧力 p、物質量 N を変数にもつ関数として表されたギブズエネルギー G(T,p,N) は完全な熱力学関数である。このように見たとき、定義式は完全な熱力学関数としてのエンタルピー H(S,p,N) の S に関するルジャンドル変換
と見ることができる。 ヘルムホルツエネルギーを用いた定義では、V に関するルジャンドル変換
と見ることができる。
ギブズエネルギー G(T,p,N) の各変数による偏微分は
で与えられる。 ここで μi は成分 i の化学ポテンシャルを表す。 従ってギブズエネルギー G(T,p,N) の全微分は
となる。この式は化学熱力学の基本方程式と呼ばれることがある[5]。
系のスケール変換を考えると、
の関係が得られる。
温度 Tex、圧力 pex の環境にある系の状態変化を考える。 等温条件下では定義から
が導かれる。 また、熱力学第二法則から
であるが、非膨張仕事がない等圧条件下では系が得た熱がエンタルピーの変化と等しいので
となる。これらを合わせると、非膨張仕事がないときには、等温等圧条件から
が得られる。 等温等圧の条件下では、非膨張仕事がなければ自発変化はギブズエネルギーが減少する方向へ進む。また熱力学的平衡条件はギブズエネルギーが極小値をとることである。
定圧定温条件での化学反応における標準反応ギブズエネルギーは標準反応エンタルピーおよび標準反応エントロピーと以下の関係がある。
標準反応ギブズエネルギーと平衡定数Kとの間には以下のような関係がある。ここで R は気体定数である。
標準環境温度(25℃, 298.15K)においては以下のようになる。
また標準電極電位との関係は以下の通りである。ここで n は電池反応の半反応式における電子の化学量論係数、 F はファラデー定数である。
電池ではギブズエネルギー変化が負の値を取る向きに起電力が発生する。
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