6-メルカプトプリン
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メルカプトプリン
|
IUPAC命名法による物質名 |
3,7-dihydropurine-6-thione |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
?,(Increased Risk of Abortion) |
法的規制 |
? |
投与方法 |
Oral |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
5 to 37% |
代謝 |
xanthine oxidase |
半減期 |
60 to 120 min., longer for its active metabolites |
排泄 |
Renal |
識別 |
CAS登録番号 |
50-44-2 |
ATCコード |
L01BB02 |
PubChem |
CID 667490 |
DrugBank |
APRD01096.txt |
KEGG |
D04931 |
化学的データ |
化学式 |
C5H4N4S |
分子量 |
152.177 g/mol |
メルカプトプリン(英: mercaptopurine)とは抗がん剤の一つで免疫抑制を示す。6-メルカプトプリンあるいはPurinethol(商品名)、ロイケリン散10%(商品名:大原薬品工業)とも呼ばれる。メルカプトプリンはチオプリンの一種である[1]。
目次
- 1 歴史
- 2 用途
- 3 作用機序
- 4 副作用
- 5 薬物相互作用
- 6 使用上の注意
- 7 関連項目
- 8 註・出典
- 9 外部リンク
歴史[編集]
1948年に、Hitchingsらが代謝拮抗物質の研究中に発見した。1952 年にElion らがHypoxanthineから6-メルカプトプリンを合成している。抗腫瘍作用は1953 年Clarke ら、Law らが動物で確認し、1953 年にはBurchenal らにより臨床試験が行われた。[2]
用途[編集]
白血病の治療に使用され、(日本では未承認であるがクローン病や潰瘍性大腸炎の様な)炎症性腸疾患にも適用される[3]。
in vitro試験では抗パラ結核菌作用を示す[4]。
作用機序[編集]
メルカプトプリンは対応する リボ核酸に変換される。すなわち6-MPリボ核酸はプリン核酸の生合成と代謝を阻害する。そのことにより、DNAとRNAの合成とそれらが関与する機能を阻害する。またメルカプトプリンはヌクレオチドの相互変換や糖たんぱく質の合成に干渉する。
副作用[編集]
メルカプトプリンを投与した際、下痢、悪心、吐き気、食欲不振、胃・腹部痛、脱力感、皮膚の発疹・赤発、脱毛などの副作用が見られる。重篤な副作用には、発熱、潰瘍性口内炎、皮下出血や出血、皮膚の単発的な紅斑、(目や皮膚の)黄疸、膵炎、褐色尿、排尿痛や排尿困難がある。さらに重篤なものには、黒色便、タール様便(下血)、血便、血尿などがある。
メルカプトプリンのアレルギー反応として、皮膚の赤発、そう痒、腫れそして目まいや呼吸困難がある。
メルカプトプリンは骨髄抑制や白血球や赤血球の減少を引き起こし、それは骨髄毒性よると考えられている。メルカプトプリンの投与患者は週次の血球測定の実施が推奨される。説明不能または異常に大幅な赤血球や白血球あるいは各種血球数の低下がみられた場合は、患者へのメルカプトプリンの投与は速やかに一時的な投与中止を実施すべきである。
骨髄抑制や骨髄毒性が見られる患者には、チオプリントランスフェラーゼ(TMPT)欠損検査を実施すべきである。TMPT欠損患者の場合、健常人よりも広域で重篤な骨髄抑制が生じる。検査でTMPT欠損を示す患者では健常人より低投与量で治療を継続すべきである。・
薬物相互作用[編集]
しばしば痛風の予防として処方されるアロプリノールは、メルカプトプリンを代謝するキサンチンオキシターゼを阻害する。アロプリノール投与中の患者はメルカプトプリンの副作用リスクが高まる。メルカプトプリンの投与量を減らすかアロプリノールを投与中止すべきである。
使用上の注意[編集]
メルカプトプリンは身体の感染防御能を低下させる。メルカプトプリン投与中は予防接種やワクチン投与は医師の許可を受けてから実施すべきである。近日中にポリオ経口ワクチンを投与された患者はメルカプトプリン投与を避けることが通常では推奨されている。
メルカプトプリンは、妊婦への投与により胎児の形成異常の増加を示唆する証拠やその評価により問題があるとされ妊婦への投与は推奨されていない。そして、妊娠三か月以前の妊婦では流産の頻度が増加する。1999年にDavisら研究者はメトトレキサートと比較して中絶薬として検討した際には、メルカプトプリンは単独使用では流産の発生の効力がないことを見出した。メルカプトプリンを投与された被験者はいずれも(二週間後に)胎児は心疾患を発症し妊娠中絶となった。[5]
メルカプトプリンは動物やヒトで染色体異常を引き起こす。ハツカネズミでは致死的な形質異常を引き起こす。そして、ヒトでは発がん性が示唆される薬剤である。
関連項目[編集]
- アザチオプリン
- チオイノシン
- フルオロウラシル
- シタラビン
- テガフール
註・出典[編集]
- ^ Sahasranaman S, Howard D, Roy S (August 2008). “Clinical pharmacology and pharmacogenetics of thiopurines”. Eur. J. Clin. Pharmacol. 64 (8): 753–67. doi:10.1007/s00228-008-0478-6. PMID 18506437. http://dx.doi.org/10.1007/s00228-008-0478-6.
- ^ 抗悪性腫瘍剤 ロイケリン®散、医薬品インタビューフォーム、大原薬品工業株式会社
- ^ Nielsen OH, Vainer B, Rask-Madsen J (November 2001). “Review article: the treatment of inflammatory bowel disease with 6-mercaptopurine or azathioprine”. Aliment. Pharmacol. Ther. 15 (11): 1699–708. PMID 11683683. http://www3.interscience.wiley.com/resolve/openurl?genre=article&sid=nlm:pubmed&issn=0269-2813&date=2001&volume=15&issue=11&spage=1699.
- ^ Shin SJ, Collins MT (February 2008). “Thiopurine drugs azathioprine and 6-mercaptopurine inhibit Mycobacterium paratuberculosis growth in vitro”. Antimicrob. Agents Chemother. 52 (2): 418–26. doi:10.1128/AAC.00678-07. PMC 2224720. PMID 18070971. http://aac.asm.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=18070971.
- ^ Davis, Anne R.; Leslie Miller, Hisham Tamimi, and Allen Gown (June 1999). “Methotrexate Compared With Mercaptopurine for Early Induced Abortion”. Obstetrics & Gynecology 93 (6): 904–9. doi:10.1016/S0029-7844(98)00569-9. PMID 10362152. http://www.greenjournal.org/cgi/content/full/93/6/904.
外部リンク[編集]
- FDA Label, Mercaptopurine (PDF)(英語)
- 抗悪性腫瘍剤 ロイケリン®散、医薬品インタビューフォーム
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Premium Edition 構造で薬を理解する 構造的類似性がもたらす薬物相互作用
- 伊藤 勝彦
- 日経ドラッグインフォメーションpremium (210), PE7-9, 2015-04
- … メルカプトプリンは、主にキサンチンオキシダーゼによる酸化を受けて代謝される。 … メルカプトプリンとアロプリノールを併用すると、アロプリノールがキサンチンオキシダーゼを強力に阻害し、メルカプトプリンの代謝を抑制する。 … その結果、メルカプトプリンの… …
- NAID 40020431032
- アザチオプリン : 古くて新しいくすり (特集 個別化薬物療法 : 始まっている臨床応用) -- (最新の知見・臨床での実際)
- 免疫調節薬 : アザチオプリン,6-メルカプトプリン(6-MP) (炎症性腸疾患 : 病因解明と診断・治療の最新知見) -- (炎症性腸疾患の内科的治療)
Related Links
- メルカプトプリン(英: mercaptopurine)とは抗がん剤の一つで免疫抑制を示す。6- メルカプトプリンあるいはPurinethol(商品名)、ロイケリン散10%(商品名:大原薬品 工業)とも呼ばれる。メルカプトプリンはチオプリンの一種である。
- ロイケリンとは?メルカプトプリンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:病気別版)
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Japan Pharmaceutical Reference
販売名
組成
成分・含量
添加物
効能または効果
- 緩解導入量としては、メルカプトプリン水和物として、通常成人1日2?3mg/kgを単独又は他の抗腫瘍剤と併用して経口投与する。緩解後は緩解導入量を下回る量を単独又は他の抗腫瘍剤と併用して経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 肝障害のある患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。〕
- 腎障害のある患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。〕
- 骨髄抑制のある患者〔骨髄抑制を増悪させるおそれがある。〕
- 感染症を合併している患者〔骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。〕
- 水痘患者〔致命的な全身障害があらわれることがある。〕
重大な副作用
骨髄抑制
(頻度不明)
- 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本剤は、細胞増殖に重要な意義をもつ核酸の生合成を阻害する。メルカプトプリンは細胞内でinosinic acidのチオ同族体thioinosinic acid(TIMP)に変換し、このTIMPは主としてinosinic acidからのadenylosuccinic acid及びxanthylic acidへの転換を阻害し、adenine, guanine ribonucleotideの生合成を阻害するとされている1?4)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- メルカプトプリン水和物
(Mercaptopurine Hydrate)〔JAN〕
化学名
- 1,7‐Dihydro‐6H‐purine‐6‐thione monohydrate
分子式
分子量
性状
- 本品は淡黄色?黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
本品は水、アセトン又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- 6-mercaptopurine, mercaptopunne
- ラ
- 6-mercaptopurinum
- 同
- 6-MP
- 商
- ロイケリン
- 関
- アザチオプリン、制癌薬
- GOO. 134-138,1347f
- プリン代謝拮抗薬
- 抗悪性腫瘍薬
代謝
作用機序
- 本剤は、細胞増殖に重要な意義をもつ核酸の生合成を阻害する。メルカプトプリンは細胞内でinosinic acidのチオ同族体 thioinosinic acid(TIMP)に変換し、このTIMPは主としてinosinic acid からのadenylosuccinic acid 及びxanthylic acidへの転換を阻害し、adenine, guanineribonucleotideの生合成を阻害するとされている
適応
- 白血病、悪性リンパ腫以外の腫瘍に対しては効果が少なく適応されない
注意
重大な副作用
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4221001B1052_1_02/4221001B1052_1_02?view=body
[★]
- 英
- mercaptopurine hydrate
- 関
- メルカプトプリン
[★]
- 英
- 6-mercaptopurine riboside
- 関
- チオイノシン
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- purine
- 同
- [[7H-イミダゾ[4,5-d]ピリミジン]] [[7H-imidazo[4,5-d]pyrimidine]],プリン塩基 purine base
- 関
- ピリミジン、アデニン、グアニン
- ピリミジン環とイミダゾール環との縮合環からなる複素環式化合物
- プリン核を持つ塩基性化合物がプリン塩基