ロルプロマジン、フェノバルビタール、プロメタジン
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ベゲタミン(Vegetamin)とは、塩酸クロルプロマジン配合剤であり、中間~長期作用型の精神神経用剤である。鎮静剤や抗不安剤、睡眠薬などとして使われる。ベゲタミンにはそれぞれA剤とB剤があり、含まれる成分の量が異なるが、薬理作用は同様である。また部類は抗精神病薬である。
ベゲタミンAには塩酸クロルプロマジン25mg、塩酸プロメタジン12.5mg、フェノバルビタール40mg
ベゲタミンBには塩酸クロルプロマジン12.5mg、塩酸プロメタジン 12.5mg、フェノバルビタール30mgがそれぞれ配合されている。
目次
- 1 薬理作用
- 2 効能と対象
- 3 用法
- 4 副作用
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薬理作用
脳の中枢に直接作用し、催眠鎮静作用を表す。まず、本剤に含まれている塩酸クロルプロマジンは、鎮静作用を表し、次に、塩酸プロメタジンは塩酸クロルプロマジンの副作用を軽減する(抗パーキンソン作用や抗吐作用)。また、フェノバルビタールは催眠作用を表し、塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタールは相互に作用を増強する、これにより強力な催眠鎮静作用を表す(塩酸プロメタジンは副作用軽減を目的に、塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタールは相互作用による、作用増強を目的として配合されている)。
効能と対象
主に統合失調症、うつ病、神経症などにおける不眠症の治療薬や、鎮静剤、抗不安剤として使用される。また、本剤にはフェノバルビタールが含まれており、抗痙攣作用もある。
用法
通常成人には「ベゲタミンA」「ベゲタミンB」錠として、就寝前に1~2錠を経口投与する。鎮静には3~4錠を頓用または複数回に分けて投与する。
誤って多量に摂取すると一時的に前向性健忘症にかかることもある。
副作用
本剤には塩酸クロルプロマジンが含まれており、まれに悪性症候群、パーキンソン病症状(錐体外路症状)などが出ることがある。
一般的に多いのは服用後のめまい、ふらつき、注意力の低下、翌日への持ち越しなどである。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 活性炭の反復投与後に意識障害が再燃したベゲタミン^【○!R】中毒の1症例
- 古谷 良輔,岡田 保誠,稲川 博司,小島 直樹,石田 順朗,佐々木 庸郎,吉村 幸浩
- 日本救急医学会雑誌 19(2), 106-112, 2008-02-15
- NAID 10024371940
- 30-P2-181 当院におけるベゲタミン^[○!R]中毒の2症例 : 中毒処置の必要性についての検討(医薬品情報,社会の期待に応える医療薬学を)
- 神原 永長,新島 ともえ,小西 千尋,坂野 千賀,田中 茂,山田 英貴,岡村 昇
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 17, 355, 2007-09-01
- NAID 110006963535
- 向精神薬ベゲタミンA?大量服毒による高度低血圧と睡眠薬併用の影響
Related Links
- ベゲタミン(Vegetamin)とは、塩酸クロルプロマジン配合剤であり、中間〜長期作用型の 精神神経用剤である。鎮静剤や抗不安剤、睡眠薬などとして使われる。ベゲタミンには それぞれA剤とB剤があり、含まれる成分の量が異なるが、薬理作用は同様である。
- ベゲタミンAは、向精神病薬である塩酸クロルプロマジン(ウインタミンど同成分)が25mg 、塩酸プロメタジン(ヒベルナ糖衣錠と同成分)が12.5mg、そしてフェノバルビタール( フェノバールと同成分)が40mgといった成分がこのような割合で配合されている「配合剤 」 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ベゲタミン-A配合錠
組成
成分・含量(1錠中)
- クロルプロマジン塩酸塩 25mg
プロメタジン塩酸塩 12.5mg
フェノバルビタール 40mg
添加物
- 乳糖水和物,トウモロコシデンプン,ヒドロキシプロピルセルロース,メチルセルロース,ステアリン酸マグネシウム,ゼラチン,アラビアゴム末,白糖,タルク,沈降炭酸カルシウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,安息香酸ナトリウム,カルナウバロウ,青色1号,赤色3号,黄色5号
禁忌
昏睡状態,循環虚脱状態にある患者[これらの状態が悪化するおそれがある。]
バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]
アドレナリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
ボリコナゾール,タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合),リルピビリン,ダクラタスビル,アスナプレビル,バニプレビル,マシテンタンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
フェノチアジン系化合物及びその類似化合物,バルビツール酸系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
2歳未満の乳幼児[「小児等への投与」の項参照]
効能または効果
下記疾患における鎮静催眠
統合失調症,老年精神病,躁病,うつ病又はうつ状態,神経症
- 鎮静には,通常,成人1日3〜4錠を分割経口投与する。
- 催眠には,通常,成人1日1〜2錠を就寝前に経口投与する。
- なお,年齢,症状により適宜増減する。
慎重投与
血液障害,腎障害,肝障害のある患者[血液障害,腎障害,肝障害が悪化するおそれがある。]
褐色細胞腫,動脈硬化症あるいは心障害又はその疑いのある患者[血圧の急速な変動がみられることがある。]
重症喘息,肺気腫,呼吸器感染症等の患者又は呼吸機能の低下している患者[呼吸抑制があらわれることがある。]
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させることがある。]
高齢者[「高齢者への投与」及び「適用上の注意」の項参照]
幼児,小児[「小児等への投与」の項参照]
虚弱者[呼吸抑制があらわれることがある。(「適用上の注意」の項参照)]
高温環境にある患者[体温調節中枢を抑制するため,環境温度に影響されるおそれがある。]
脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。]
急性間歇性ポルフィリン症の患者[急性発作を誘発することがある。]
緑内障の患者[眼圧を亢進させることがある。]
前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[排尿困難を悪化させることがある。]
薬物過敏症の患者
甲状腺機能低下症の患者[血中甲状腺ホルモン(T4)濃度が低下することがある。]
重大な副作用
Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。
本症発症時には,白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている。
突然死,心室頻拍(頻度不明):血圧降下,心電図異常(QT間隔の延長,T波の平低化や逆転,二峰性T波ないしU波の出現等)に続く突然死,心室頻拍(Torsades de pointesを含む)が報告されているので,特にQT部分に変化があれば投与を中止すること。
また,フェノチアジン系化合物投与中の心電図異常は,大量投与されていた例に多いとの報告がある。
再生不良性貧血,溶血性貧血,血小板減少,無顆粒球症,白血球減少(頻度不明):再生不良性貧血,溶血性貧血,血小板減少,無顆粒球症,白血球減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量又は投与を中止すること。
麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。
遅発性ジスキネジア(0.1〜5%未満),遅発性ジストニア(頻度不明):長期投与により,遅発性ジスキネジア,遅発性ジストニア等の不随意運動があらわれ,投与中止後も持続することがある。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(0.1%未満):低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙攣,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(0.1%未満),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満),紅皮症(剥脱性皮膚炎)(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群,また,紅皮症(剥脱性皮膚炎)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,眼充血,口内炎,咽頭痛,紅斑,水疱・びらん,そう痒感等の異常が認められた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
眼障害(頻度不明):長期又は大量投与により,角膜・水晶体の混濁,網膜・角膜の色素沈着があらわれることがある。
SLE様症状(頻度不明):SLE様症状があらわれることがある。
呼吸抑制(頻度不明):呼吸抑制があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸(頻度不明):AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹,発熱がみられ,更にリンパ節腫脹,肝機能障害等の臓器障害,白血球増加,好酸球増多,異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。なお,ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く,発疹,発熱,肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
横紋筋融解症(頻度不明):横紋筋融解症があらわれることがあるので,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
肺塞栓症,深部静脈血栓症(頻度不明):抗精神病薬において,肺塞栓症,静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので,観察を十分に行い,息切れ,胸痛,四肢の疼痛,浮腫等が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
中枢抑制作用
クロルプロマジン塩酸塩とフェノバルビタールの相乗作用
- これら2剤の鎮静作用の相乗作用を,マウスの正向反射の消失を指標に試験した。結果は,それぞれの単剤の全く作用を示さない量で,これら2剤をベゲタミン-A配合錠,B配合錠の配合比率に従った量で配合することにより,2〜10倍の相乗作用を示した7)。
クロルプロマジン塩酸塩とプロメタジン塩酸塩の拮抗作用
- これら2剤の錐体外路症状の拮抗作用を,ラットのカタレプシー惹起作用を指標に試験した。結果は,カタレプシーが惹起されるクロルプロマジン塩酸塩量に,ベゲタミン-A配合錠,B配合錠の配合比率に従ったプロメタジン塩酸塩を併用することにより,有意に抑制され拮抗作用を示した8)。
催眠作用
- 健康成人男性7例にベゲタミン-A配合錠 1/2錠相当量を投与し,終夜睡眠ポリグラフィーによりベゲタミン-A配合錠投与夜とプラセボ投与夜の差異を比較した。
ベゲタミン-A配合錠投与夜では対照夜と比較して,REM睡眠及び睡眠段階1,2(浅い睡眠)は出現率,量共ほとんど変化はなかった。しかし,睡眠段階3では増加,4では減少傾向を示した。睡眠段階3,4を併せたSWS(徐波睡眠)では,出現率の変化は少なかったが量は増加した9)。
有効成分に関する理化学的知見
- 一般的名称:クロルプロマジン塩酸塩(JAN)[日局]
Chlorpromazine Hydrochloride
- 化学名:3-(2-Chloro-10H-phenothiazin-10-yl)-N,N-dimethylpropylamine monohydrochloride
- 分子式:C17H19ClN2S・HCl
- 分子量:355.33
- 化学構造式:
- 性状:白色〜微黄色の結晶性の粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある。
水に極めて溶けやすく,エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく,無水酢酸にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
光によって徐々に着色する。
- 融点:194〜198 ℃
- 分配係数:134896[1-オクタノール/水]
- 一般的名称:プロメタジン塩酸塩(JAN)[日局]
Promethazine Hydrochloride
- 化学名:(2RS)-N,N-Dimethyl-1-(10H-phenothiazin-10-yl)propan-2-ylamine monohydrochloride
- 分子式:C17H20N2S・HCl
- 分子量:320.88
- 化学構造式:
- 性状:白色〜淡黄色の粉末である。
水に極めて溶けやすく,エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく,無水酢酸にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
光によって徐々に着色する。
水溶液(1→25)は旋光性を示さない。
- 融点:約223 ℃(分解)
- 分配係数:708[pH7.4,1-オクタノール/緩衝液]
- 一般的名称:フェノバルビタール(JAN)[日局]
Phenobarbital
- 化学名:5-Ethyl-5-phenylpyrimidine-2,4,6(1H,3H,5H)-trione
- 分子式:C12H12N2O3
- 分子量:232.24
- 化学構造式:
- 性状:白色の結晶又は結晶性の粉末である。
N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく,エタノール(95)又はアセトンに溶けやすく,アセトニトリルにやや溶けにくく,水に極めて溶けにくい。
水酸化ナトリウム試液に溶ける。
飽和水溶液のpHは5.0〜6.0である。
- 融点:175〜179 ℃
- 分配係数:33.9[pH7.4,1-オクタノール/緩衝液]
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- phenobarbital PB
- 同
- フェノバルビトン phenobarbitone、フェニルバルビトン phenyl barbitone、エチルフェニルバルビツール酸 ethylphenylbarbituric acid、ルミナール luminal
- ラ
- phenobarbitalum
- 化
- フェノバルビタールナトリウム
- 商
- ルミナール Luminal、ノーベルバール、フェノバール、ルピアール、ワコビタール。アストモリジン(プロキシフィリン、エフェドリン、フェノバルビタール)。複合アレビアチン、ヒダントール(フェニトイン、フェノバルビタール)。ベゲタミン(クロルプロマジン、プロメタジン、フェノバルビタール)。トランコロン(フェノバルビタール、メペンゾラート)
- 関
- 抗てんかん薬、バルビタール
作用機序
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1139400F1023_1_03/1139400F1023_1_03?view=body
[★]
- 関
- 精神神経用剤