- 英
- implantable cardioverter defibrillator ICD、implantable defibrillator
- 関
- 植え込み型除細動器
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/13 11:56:25」(JST)
[Wiki ja表示]
植え込み型除細動器(うえこみがたじょさいどうき、ICD)は、体内植え込み式で、心室頻拍や心室細動などの致死的不整脈を止め、心臓の働きを回復する補助人工臓器(医療機器)である。
目次
- 1 概要
- 2 機能
- 3 注意点
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
概要
ICDとは「Implantable Cardioverter Defibrillator 」の略。
致死的不整脈を予防するものではないが、迅速かつ的確に判断して治療を行うので、患者はいつ突然死を起こすかという恐怖感から解放されるため非常に有効な治療法といえる。 カテーテル・アブレーションなどの根治療法が不可能または難しい患者には、症状を抑えるという点でも有効である。
心臓の状態を常に監視し、脈や治療の履歴を保存する。 これらのデータは定期的な検査の際、外部から専用の機器 (Programmer) で読み取ることができる。
1980年に世界初の植え込みが行われ、日本では1990年に臨床試験が開始され1996年より健康保険が適用となる。
2006年より両心室ペースメーカーCRTとICD機能を備えた心臓再同期療法 (CRT-D) が登場している。
本体はチタン製で、大きさはタバコの箱よりもやや小さいくらいであったが、2011年現在では、ZIPPOライター程度の大きさになっている。通常は左または右の鎖骨の下部の皮下(または大胸筋下)に植え込み、ここから2種類のリード線を肩の静脈から、1本は右心室の奥(ICDリード)、もう1本を右心房の上部(心房リード)に留置する。 手術はどこの病院でも行えるわけではなく、不整脈専門医が常勤しなおかつ心臓血管外科を標榜している施設に限られる。
機能
治療法の設定には、抗頻拍ペーシング、カルディオバージョン、除細動、の3つがある。 これらの設定は手術後でも、専用の機器 (Programmer) を植え込み部位に当てるだけで容易に体外から変更することができる。
心室頻拍に対して、心臓ペースメーカーと同じような刺激で頻拍よりも少しだけ速めに電気を送ることで治療を行う。ほとんどの場合、自覚しないうちに治療が終わっている。
抗頻拍ペーシングでも治療ができなかった場合、自己心拍に同期して軽めの電気ショックを与えることで頻拍を止める。突然胸を叩かれたような軽度の不快感がある。
心室細動が起こったとICDが判断したときは最大限のエネルギーを使い電気ショックを出して心室細動を止める。これは胸を蹴られたような感じがするが、意識を失っていることも多く、治療が行われたことに気がつかない場合もある。また除細動直後に心臓が止まるような場合は、心臓ペースメーカーと同じようにペーシングを行う。
注意点
ICDは、心臓ペースメーカー以上に電磁波影響による誤作動が発生する恐れがあるため、電磁波等への注意をする必要がある。
ICDを植え込むと、身体障害者福祉法により、身体障害者(1級)の認定を受けることができる。
ICDを植え込むことにより、心臓を起因とする突然死は防げても、心室細動などで心停止状態に陥った際に意識を失うことにより、倒れて頭部を強打するなどして、結果として死亡してしまうことがある。
関連項目
- ミッシェル・ミロースキー - ICDの発明者
- 自動体外式除細動器 (AED)
- 電気的除細動
- 除細動
- 心臓
- 優先席
- 心臓カテーテル検査
外部リンク
- 患者会のページ ICD友の会 NPO法人日本ICDの会
- 日本不整脈デバイス工業会(旧ペースメーカ協議会)
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈(en) | 心房細動 | 心房粗動(en) | ブルガダ症候群 | 早期再分極症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性疾患
|
狭心症 | 心筋梗塞 | 急性冠症候群 | 冠動脈血栓症 | 心室瘤 | 心破裂 | 乳頭筋断裂(en)
|
|
弁膜症
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症(en) | 三尖弁閉鎖不全症(en) | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症(en)
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖(en) | 単心室
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎(en) · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(虚血性心筋症・拡張型心筋症(en) · 肥大型心筋症(en) · 拘束型心筋症(en) · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍(en) | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
大血管
|
大動脈瘤(胸部・腹部(en)・胸腹部) | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群
|
|
動脈
|
閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | 動静脈瘻 | 動脈硬化 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全 | 両心不全(en)
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症(en) | 二次性高血圧(en) | 高血圧性緊急症(en)
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓MRI | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査 | 脈波伝播速度検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈バイパス術(CABG)
|
CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
|
|
弁膜症手術
|
弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
|
|
小児心臓外科
|
動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術(en) | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ジャテン手術 | ラステリ手術 | ロス手術
|
|
心不全外科
|
心移植術 | 補助人工心臓装着術 | 左室形成術(Dor・SAVE・Overlapping)
|
|
不整脈外科
|
メイズ手術(en) | 心臓ペースメーカー | 植え込み型除細動器
|
|
大動脈手術
|
大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
|
|
末梢血管手術
|
末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
|
|
|
内科的治療
|
循環作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬(en)
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
血管内治療
|
経皮的冠動脈形成術
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 植込み型除細動器の一般原則 general principles of the implantable cardioverter defibrillator
- 2. 皮下植込み型除細動器 subcutaneous implantable cardioverter defibrillators
- 3. 植え込み型除細動器:合併症 implantable cardioverter defibrillators complications
- 4. 植込み型除細動器装着患者における運転の制限 driving restrictions in patients with an implantable cardioverter defibrillator
- 5. 心不全における心臓ペーシングの概要 overview of cardiac pacing in heart failure
Japanese Journal
- 着用型自動除細動器(WCD),完全皮下植込み型除細動器(S-ICD) (特集 植込みデバイスによる不整脈・心不全の診断・治療はどう変貌したか : 現状と将来の展望)
- QT延長症候群,Brugada症候群,早期再分極症候群 (特集 Beyond the textbook 心電図 実践診療で役立つコツ) -- (12誘導心電図を読み解くコツ)
- 重症不整脈に対するデバイス治療 : その歴史と新しい進歩 : 完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)の登場
Related Links
- 植え込み型除細動器という名前は長いので、以下、英語の頭文字をとった「ICD」を代わりに使います。ICDは心室頻拍や心室細動といった命に関わる重症な不整脈を経験した患者さん、あるいはその可能性が高いと予測される患者さんが ...
- ICD(植込み型除細動器) ICDシステムの植え込みは、すべて担当医師の指示/指導のもとに進められます。 手術前に疾患名、手術の目的、手術方法、その他の付随する検査やこの手術に関する有益性、危険性などの重要なことについて ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 34歳の女性。労作時の息切れと易疲労感とを主訴に来院した。1か月前から、階段昇降時に息切れと疲労感とを自覚するようになった。その後、症状が続くため心配になって受診した。意識は清明。体温 36.1℃。脈拍 64/分、整。血圧 110/76mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 97%(room air)。左の鎖骨上窩に径1cmのリンパ節を3個触知する。胸部の聴診でⅢ音を聴取するが、呼吸音に異常を認めない。眼所見と神経学的所見とに異常を認めない。血液所見:赤血球 512万、Hb 14.6g/dL、白血球 3,900、血小板 28万。血液生化学所見:総蛋白 6.5g/dL、アルブミン 3.8g/dL、AST 27IU/L、ALT 42IU/L、LD 151IU/L(基準 176~353)、CK 37IU/L(基準 30~140)、クレアチニン 0.9mg/dL、Ca 9.8mg/dL、P 4.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、抗核抗体陰性、ACE 41.2U/L(基準 8.3~21.4)、可溶性IL-2受容体 726U/mL(基準 550以下)。胸部エックス線写真で両側の肺門リンパ節の腫脹を認める。心電図は洞調律で心拍数 68/分、不完全右脚ブロックを認める。心エコーで左室拡張末期径 64mm、左室駆出率 34%、左室壁厚は中隔、後壁とも9mmで心室中隔基部の菲薄化を認める。左の鎖骨上リンパ節の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 9A、B)を別に示す。
- この患者で、心不全の治療とともに行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D030]←[国試_110]→[110D032]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107E033]←[国試_107]→[107E035]
[★]
- 関
- ICD、implantable cardioverter defibrillator
[★]
- 英
- countershock
- 同
- 電気的除細動 electrical defibrillation
- 関
- 植込み型除細動器
[★]
- 関
- ICD、implantable defibrillator
[★]
- 英
- defibrillator, cardiac defibrillator
- 関
- 体外式除細動器、自動体外式除細動器、植込み型除細動器
[★]
- 英
- fibrillation
- 関
- f波
[★]
- 英
- defibrillation, DF