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重症急性呼吸器症候群(じゅうしょうきゅうせいこきゅうきしょうこうぐん、Severe Acute Respiratory Syndrome; SARS(サーズ))は、SARSウイルスにより引き起こされる新種の感染症。新型肺炎(非典型肺炎、中国肺炎、Atypical Pneumonia)とも呼ばれる。
2002年11月(広州市呼吸病研究所は7月と発表)に中華人民共和国広東省で発生し、2003年7月に新型肺炎制圧宣言が出されるまでの間に8,098人が感染し、774人が死亡した[1][2]。
目次
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国名 | 発症数 | 死者 | 回復 |
---|---|---|---|
中国 * | 5327 | 348 | 4941 |
香港 * | 1755 | 299 | 1433 |
台湾 * | 307 | 47 | *** |
カナダ | 250 | 38 | 194 |
シンガポール | 206 | 32 | 172 |
アメリカ | 71 | 0 | 67 |
ベトナム | 63 | 5 | 58 |
フィリピン | 14 | 2 | 12 |
ドイツ | 10 | 0 | 9 |
モンゴル | 9 | 0 | 9 |
タイ | 9 | 2 | 7 |
フランス | 7 | 1 | 6 |
マレーシア | 6 | 3 | 3 |
イタリア | 4 | 0 | 4 |
イギリス | 4 | 0 | 4 |
インド | 3 | 0 | 3 |
韓国 | 3 | 0 | 3 |
スウェーデン | 3 | 0 | 3 |
インドネシア | 2 | 0 | 2 |
マカオ * | 1 | 0 | 1 |
コロンビア | 1 | 0 | 1 |
フィンランド | 1 | 0 | 1 |
クウェート | 1 | 0 | 1 |
ニュージーランド | 1 | 0 | 1 |
アイルランド | 1 | 0 | 1 |
ルーマニア | 1 | 0 | 1 |
ロシア | 1 | 0 | 0 |
南アフリカ | 1 | 1 | 0 |
スペイン | 1 | 0 | 1 |
スイス | 1 | 0 | 1 |
合計 | 8069 | 775 | 7452 |
(*) 中国本土、マカオ、香港、台湾はWHOにより |
2002年11月16日に広東省で40代の農協職員が発症した例が最初とみられているが、2003年5月6日までに報道されたところによると、広州市呼吸病研究所は最初の患者が7月にさかのぼると発表しているとのこと。
SARSが知られるようになったのは、2003年2月のことである。
中国からの旅行者であるアメリカのビジネスマンがシンガポールへ向かう航空機の中で肺炎に似た症状を引き起こした。飛行機はベトナムのハノイに着陸したが、ハノイの病院でこの旅行者は死亡した。病院の基本的な処置にもかかわらず、彼の処置に当たった医師や看護師が同じ症状を示し、何人かが死亡した。この症候群の病原性と医療従事者への感染は世界中の保健当局を恐れさせた。ハノイ在住のカルロ・ウルバニはWHOへ報告をおこない、2003年3月12日、WHOは世界規模の警報を出した。
SARSは、トロント、シンガポール、ハノイ、香港、台湾、及び中国の広東省、山西省に広まった。香港での感染源は2月にメトロポールホテルの9階に宿泊した広東省の医師で、ホテルを訪れた16人に感染させた。それらの旅行者はSARSをシンガポールやトロントに広めた。これがもとで3月頃から世界的な罹患者の広がりをみせたと考えられている。
2003年4月3日、日本政府は、SARSを新感染症として取り扱うことを発表。さらに、4月17日、原因が判明したため、SARSを指定感染症へ切り換える方針を発表した。
その後、5月になって、台湾でSARS治療にたずさわっていた26歳の台湾人医師が観光目的で訪日、近畿地方(大阪府内、大阪市営地下鉄、近鉄都ホテル大阪上本町、リーガロイヤルホテル大阪、大阪城など)を観光後、帰国してからSARSを発症していたことが明らかとなり、厚生労働省がその全旅程と立ち寄り先を発表、それらの施設で消毒をおこなう事態へ発展した。
WHOは2003年7月5日、最後まで台湾に出されていた感染地域指定を解除した。しかし、完全な制圧までにはまだ期間を要するとみられた。また、冬に再流行する可能性が指摘された。
2003年6月13日現在、WHOがとりまとめたところによると、患者の約9.4%が死亡しており、WHOの推計では致死率は14-15%に達するとみられる。
2003年の世界保健機関の発表:
WHOによれば、トロント、シンガポール、台湾、ハノイ、中国広東省、香港、そして上海などの地域で局地的なSARSの感染拡大が起こっている。香港では、最初の感染者の一団は3月29日には退院している。6月13日現在までの報告によると、香港での回復例は1,380人になっている。
おもな症状は、38度以上の発熱、せき、呼吸困難など。病原体は新型のコロナウイルスであることが判明、SARSウイルスと命名された。
SARSの感染方法はまだはっきりとはわかっていないが、感染者のせき、または、くしゃみの飛沫を吸引することにより感染するか、あるいは付着した分泌物への接触により感染すると考えられている。各国の保健機関はまた空気感染の可能性も調査している。
2003年後半以降は2004年前半までに計14名の感染患者が報告されている。この内訳は11名が実験施設等における感染事故によるもので、残り3名はそれぞれ感染経路不明の単発的なものである。
実験施設等での事故による感染者11名のうち9名は、2004年3月から4月にかけ、北京の国立ウイルス学研究所で発生したものである。これは4月22日に公表され、同研究所は翌日閉鎖、WHOと中国政府の共同調査チームにより調査が開始された。しかし、これも接触者の健康監視等により感染は終息し、5月18日にWHOが終息宣言を出すに至った。
2010年現在、その後の感染発生の報告はされていない。
2003年3月12日、CDCの警告につづき、WHOが世界的に警告を発した。WHOによれば感染の疑いがある患者は隔離するのが望ましく、以下のようなケースを「感染の疑いあり」と定義している。
ある人物が、2003年2月1日以降:
SARSに関する一般的な照会については、感染症の専門家が組織しているNPOであるバイオメディカルサイエンス研究会(バムサ)でも、病気自体や診断検査法について応答(原則的として9時 - 17時)できる。
新コロナウイルスにより感染/発病する。
WHOのFAQによると、おもに飛沫感染によって広がる。飛沫感染とは空気感染ではなく、咳やくしゃみで飛んだSARS患者の唾液を吸い込むことによる感染である。飛沫は大きいため、飛ぶ距離は通常1メートル以内。しかし、SARSは空気や汚染された物を介してもっと広範囲に広がる可能性もある。
普通の風邪ウイルスも飛沫感染によって広がる。空気感染によって広がるウイルスには、麻疹ウイルスがある。
通常のコロナウイルスは体外で3時間以上生き延びるが、SARSウイルスは乾燥したプラスチック上で24時間以上生存することが確認された。[5]
感染経路の調査結果によると、ごく一部の患者が多数の人にうつしたとみられ、このような患者はスーパースプレッダーと呼ばれているが、その理由を含む感染の仕組みは解明されていない。通常の患者は1~2人に感染させるが、スーパースプレッダーは20人以上にうつしていた。
このウイルスの発生源はハクビシンが疑われていたが、キクガシラコウモリが保菌者であった。
SARSの症状を示している患者がSARSウイルスに感染しているかどうかを調べるため、以下の検査法が実施されている。これらの検査法により、SARSウイルスに感染していることが確認されれば確定例となる。
汚染された物を触ることによる感染のリスクを減らすために、CDCは石鹸と水で十分に手を洗うことを勧めている(WHOのFAQより)。日本では感染の疑いがある人がいたものの感染者が出なかった。手洗いやうがいが慣行されているためという習慣もいわれたが、以下の理由も指摘された。
日本国内では重症急性呼吸器症候群に感染した患者を搬送する救急車や治療・入院を行う病院が整備されている。2003年7月には日産自動車の関連会社である日産車体が京都府へ重症急性呼吸器症候群患者対応救急車の第1号車を寄贈したのを皮切りに、同様の車両が多くの自治体に導入されている[6]。
ウイルス性疾患であるので抗生物質の適応はない。
2003年7月30日、中国 深圳市でSARSの免疫物質の合成に成功[7]。
世界的に旅行を控える傾向になり、航空業界や旅行業界に大きなダメージを与えた[8]。その後のSARS対策に関するニュースなど(日本における指定病院の設定などのニュース)で、既に現地では沈静化していたにもかかわらず、流行当時の画像をイメージ映像として、それと共に伝えていたため、沈静化後も海外旅行を控える傾向が長引いた。その分、国内旅行や非感染地域への旅行が幾分増加していた。
感染人数の多い中国の北京では当時、戒厳令が発動される噂がながれていたので、その前に北京を脱出しようとする人々が増えていた。
最初の感染者がみつかった香港や東南アジア地区への旅行者は激減した。また、その他の地域も含め、海外旅行者が減少した。香港国際空港ではロビーに医療テントが設置されていた。世界各国の国際空港などで、検疫が実施されるようになった(2006年12月現在)。
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高齢者 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | レジオネラ・ニューモニエ | インフルエンザウイルス |
年齢階級 | 総数 | 15~ | 25~ | 35~ | 45~ | 55~ | 65~ | 75~ | 85~ | 90~ | |
19 | 29 | 39 | 49 | 59 | 69 | 79 | 89 | ||||
受療率 | 外来 | 6 | 3 | 4 | 3 | 3 | 6 | 7 | 14 | 21 | 21 |
入院 | 19 | 2 | 3 | 2 | 3 | 7 | 21 | 86 | 309 | 489 | |
死亡率 | 男性 | 76.4 | 0.5 | 0.5 | 1.5 | 4.6 | 15.2 | 69.2 | 339 | 2087 | 4317 |
女性 | 62.7 | 0.3 | 0.5 | 0.9 | 1.9 | 5.6 | 22.4 | 144 | 934 | 2291 | |
総数 | 69.4 | 0.4 | 0.5 | 1.2 | 3.2 | 10.3 | 44.6 | 249 | 1291 | 2787 |
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