出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/09 21:10:40」(JST)
人工食道(じんこうしょくどう)とは食道の代用として用いる人工臓器。
再生医療の素材を応用して作成された「再生食道」、人工の素材を応用して作成された「人工食道」などがある。
人工食道の開発の背景には、食道癌の手術における「食道再建」の術式が煩雑で困難なことが挙げられる。通常、胃か腸が代用食道に用いられるが侵襲が大きくなり患者の負担が大きい。そこで代用としての人工食道が発案された。
早くも1960年代には、様々な材料の人工食道が開発されたが、感染そのほかの問題で失敗に終わった。 人工心臓などは無菌的な環境にあるので、感染の危険は比較的少ないが、人工食道などの消化器系の人工内臓では、中身が細菌に溢れた食物や糞便であるので、一際感染には弱い。 見直されるようになったのは近年の再生医療の発展による。しかしながら再生医療の技術では、粘膜だけの再生は可能だが、筋層や外膜は再生されないという問題点がある。 最近、再生医療による粘膜再生と、形状記憶合金による人工筋肉の組み合わせが試みられている。
過去に行われた人工食道の蠕動メカニズムとして、埋め込み型のモーターなどが応用されたこともあったが、胸腔内は腹腔内と比較しても、肺や心臓などがあって余剰スペースが全くなく、実用化に至らなかった。最近開発された形状記憶合金による蠕動搬送機能は、超小型軽量化を具現化した面で実用化に近づいた。経皮エネルギー伝送システムの応用で完全埋め込み型のシステム開発も具現化し、動物実験段階にある。再生医療とのコンバインで実用化が待たれる。
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国試過去問 | 「111D005」 |
関連記事 | 「食道」「道」「人工」 |
A
※国試ナビ4※ [111D004]←[国試_111]→[111D006]
O:食道入口部 esophageal orifice | |||
Ce: 頚部食道 cervical esophagus | |||
S: 胸骨上縁 margin of the sternum | |||
Te: 胸部食道 thoracic esophagus | Ut: 胸部上部食道 upper thoracic esophagus | ||
Mt: 胸部中部食道 middle thoracic esophagus | ↑ | B: 気管分岐部下縁 tracheal bifurcation | |
↓ | |||
Lt: 胸部下部食道 lower thoracic esophagus | ↑ | ||
D: 横隔膜 diaphragm | |||
H: 食道裂孔 esophageal hiatus | |||
Ae: 腹部食道 abdominal esophagus | ↓ | ||
EGJ: 食道胃接合部 esophagogastric junction |
部位 | 名称 | 筋肉 | 神経 | 運動性 | シナプスする構造 | 最終的な伝達物質 | 運動 | |
上部1/3 | 上食道括約部 | UES | 横紋筋 | 舌咽神経、迷走神経(疑核) | 随意性 | 運動終板のアセチルコリン受容体 | アセチルコリン | 弛緩 |
平滑筋 | 迷走神経 | 不随意性 | 壁内コリン作動性運動神経 | |||||
下端部 | 下食道括約部 | LES | 平滑筋 | 迷走神経 | 不随意性 | 壁内非アドレナリン作動性抑制運動神経 | NO, VIP | 弛緩 |
交感神経 | 平滑筋α受容体 | アドレナリン | 収縮 |
層構造 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||||||||
器官 | 単層扁平上皮 | 単層立方上皮 | 単層円柱上皮 | 角化重層扁平上皮 | 非角化重層扁平上皮 | 上皮表層の構成細胞 | 粘膜固有層 | 腺の構成細胞 | 粘膜筋板 | 粘膜下組織 (大抵、粗結合組織) |
筋層 | 漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ) | |||
食道 | ○ | 食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺 |
粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す) |
縱層 (縦走筋のみ) |
固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム) | 内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋) |
外膜(横隔膜まで) 漿膜 |
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