ダプトマイシン
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- 2011年7月1日、MRSA感染症治療薬のダプトマイシン(商品名キュビシン静注用 350mg)が製造承認を取得した。適応は、「ダプトマイシンに感性のMRSAによる感染症 (敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、 ...
- 効能又は効果. <適応菌種>: ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌( MRSA). <適応症>: 敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び 手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
キュビシン静注用350mg
組成
有効成分の名称
含量
- 350mg
(調製時の損失を考慮に入れ、1バイアル中367.5mgを含む。)
添加物
禁忌
効能または効果
適応菌種
- ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
適応症
- 敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
- 左心系感染性心内膜炎に対する本剤の有効性は認められていないため、右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること。〔左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない。〕
- 本剤は肺炎に使用しないこと。〔本剤は肺サーファクタントに結合し、不活性化される。〕
[敗血症、感染性心内膜炎の場合]
- 通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回6mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注する。
[深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染の場合]
- 通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回4mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注する。
- 本剤は1バイアルにつき7mLの生理食塩液を加えて溶解し、この溶解液の濃度を50mg/mLとして用いること。〔「適用上の注意」の項参照〕
- ダプトマイシンは主に腎臓で排泄されるため、血液透析又は連続携行式腹膜透析(CAPD)を受けている患者を含む腎機能障害の患者では、下表を目安に本剤の用量調節をすること。〔「慎重投与」「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照〕
†可能な場合、血液透析日には血液透析後に本剤を投与すること。週3回でも可。
- 本剤は、1日2回以上投与しないこと。〔海外第I相及び第II相試験において1日2回以上投与した場合、血中クレアチンキナーゼ(血中クレアチンホスホキナーゼ)[CK(CPK)]値が上昇した。〕
- ダプトマイシンはグラム陽性菌に対してのみ抗菌活性を有する。したがってグラム陰性菌等を含む混合感染と診断された場合、又は混合感染が疑われる場合は本剤と適切な薬剤を併用して治療を行うこと。
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の出現等を防ぐため、次のことに注意すること。
- 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
- 原則として他の抗菌薬及びダプトマイシンに対する感受性を確認すること。〔「薬効薬理」の項参照〕
- 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。〔「臨床成績」の項参照〕
慎重投与
重大な副作用
ショック・アナフィラキシー様症状
(1.0%)
- ショック・アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症
(頻度不明)注1)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)値上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
好酸球性肺炎
(頻度不明)注1)
- 本剤投与2〜4週後、発熱、低酸素血症性呼吸困難、びまん性肺浸潤を伴う好酸球性肺炎が報告されている。これらの症状や徴候があらわれた場合には、投与を中止し、全身ステロイド療法等の適切な処置を行うこと。
末梢性ニューロパシー
(頻度不明)注1)
- 末梢性ニューロパシーがあらわれることがあるので、本剤投与中は末梢性ニューロパシーの徴候及び症状に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
腎不全
(頻度不明)注1)
- 腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎
(頻度不明)注1)
- 偽膜性大腸炎は、ダプトマイシンを含むほぼすべての抗菌薬の使用により報告されている。偽膜性大腸炎が疑われたり、確定診断がなされた場合には、本剤の投与中止又は適切な処置を考慮すること。
薬効薬理
抗菌作用
- ダプトマイシンは、MRSAを含むブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸球菌属等、臨床的に最も重要な好気性グラム陽性菌に対して、in vitro で抗菌力を示す。メチシリン、バンコマイシン及びリネゾリド耐性を含む薬剤耐性グラム陽性菌にも抗菌力を示す。また、ダプトマイシンは、in vitro 及びin vivo 動物モデルにおいて、グラム陽性菌に対して速やかかつ用量依存的な殺菌作用を示す。
作用機序4)〜7)
- ダプトマイシンは菌の細胞膜と結合し、速やかに膜電位を脱分極させる。また、ダプトマイシンにより、DNA、RNA及び蛋白質の合成阻害が生じることが示されている。これら膜電位の消失、並びにDNA、RNA及び蛋白質の合成阻害により細菌が死滅する。
耐性機序
- ダプトマイシンに対する耐性機序は明らかにされていない。耐性をもたらす伝達性因子は知られていない。他クラスの抗菌薬に対する特異的な耐性機序による交差耐性はみられていない。
臨床において、ダプトマイシンによる治療後に、ダプトマイシン感受性が低下した黄色ブドウ球菌及び腸球菌の出現が報告されている。
他の抗菌薬との相互作用8)、9)
- ダプトマイシンと他抗菌薬とのin vitro 相互作用試験では、殺菌曲線の検討において拮抗作用はみられていない。ダプトマイシンと、アミノグリコシド系薬剤、βラクタム系薬剤又はリファンピシンとの併用により、メチシリン耐性株を含む黄色ブドウ球菌及びバンコマイシン耐性株を含む腸球菌属に対しin vitro において、相乗作用が示されている。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- daptomycin, DAP, DAPT
- 商
- キュビシン
- 関
- 抗菌薬、抗MRSA薬。主としてグラム陽性菌に作用するもの。環状リポペプチド系抗菌薬
[show details]
Streptomyces roseosporusの発酵産物から得られた抗菌薬/抗生物質。
- 13個のアミノ酸残基からなり、そのうち10アミノ酸残基が環を形成し、N末端のトリプトファンにデカノイル基が結合している。
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む、Staphylococcus属、Enterococcus属、Streptococcus属といった、臨床上重要なグラム陽性菌に対し殺菌作用を示す。
- 作用機序:細胞の構成要素であるペプチドグリカンの合成阻害、細胞透過性の破壊、リポタイコ酸合成阻害、細胞膜電位の破壊など
- 耐性を取られにくい
- 生体利用率は悪く点滴静注のみ
- 代謝:80%が肝臓で代謝される。
- 生体移行性:軟部組織への移行性は良好。肺胞内では肺サーファクタントと結合して抗菌活性が低下する。
- 濃度依存性
- postantibiotic effectを有する
- 全てのグラム陽性球菌に有効。
- グラム陰性桿菌には活性がない。
[★]
- 関
- MRSA、抗菌薬
[★]
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