出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/08 06:18:45」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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IUPAC名
4-(2-methyl-1H-imidazol-1-yl)-2,2-diphenylbutanamide
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臨床データ | |
法的規制 |
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投与方法 | 経口 |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | およそ57.8% |
血漿タンパク結合 |
87.1~88.8% |
代謝 | 肝臓(CYP3A4) |
半減期 | 約2.9時間 |
排泄 | 約95%を尿中・糞中に排泄 |
識別 | |
CAS番号 (MeSH) |
170105-16-5 |
ATCコード | 無し |
PubChem | CID: 6433090 |
UNII | XJR8Y07LJO |
KEGG | D06273 |
化学的データ | |
化学式 | C20H21N3O |
分子量 | 319.40 g/mol |
SMILES
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イミダフェナシン(英:Imidafenacin {INN})は、ムスカリン性アセチルコリン受容体阻害薬で、抗コリン薬の一つ。アセチルコリンによるムスカリン受容体サブタイプへの刺激を阻害することで薬効を発現する。主に過活動膀胱による頻尿などに用いられる。
1993年に杏林製薬株式会社と小野薬品工業株式会社が共同開発を始めた。1997年より臨床試験を開始し、過活動膀胱症状に対して優れた有効性及び安全性が確認された。2007年4月に「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」の効能・効果、「通常、成人にはイミダフェナシンとして1回0.1mgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。」の用法・用量で製造承認を得た。
その後、本剤の通常量(0.2mg/日)投与で安全性に問題がなく、十分な有効性が得られない患者を対象に、通常量の2倍の用量である0.4mg/日への増量後の安全性及び有効性の確認を主な目的とした増量長期投与試験を実施した。2009年12月に、「効果不十分な場合は、イミダフェナシンとして1回0.2mg、1日0.4mgまで増量できる。」との用法・用量の追加承認を得た後に、2010年11月には、水なしでも服用可能なウリトス®OD錠0.1mg(口腔内崩壊錠)の製造販売承認を得た。
イミダフェナシンの適応は以下のようになっている。
なお、OD剤は口腔内で崩壊するが口腔粘膜からは吸収されないため、使用する際には唾液、または水で飲みこませる事を指導する必要がある。
ムスカリン性アセチルコリン受容体のサブタイプM1・M3に対して拮抗作用がある。この時、唾液腺の分泌抑制作用に比べ膀胱の収縮抑制作用が相対的に強く作用する。膀胱にはサブタイプM1が、膀胱平滑筋にはサブタイプM3があるため、拮抗作用により、アセチルコリン遊離と膀胱平滑筋収縮抑制作用を示す。
イミダフェナシンは消化管でほぼ100%吸収されるが、そのうちの約40%が肝臓で初回通過効果を受ける。血漿中主代謝物は、メチルイミダゾール基が酸化されたM-2、またM-2のメチルイミダゾール基が環開裂を受けたM-4及び未変化体のN-グルクロン酸抱合体のM-9である。CYP3A4によってM-2・M-4が、UGT1A4によってM-9が代謝される。また、イミダフェナシン及びその主代謝物M-2、M-4、M-9は、ヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4)を阻害しない。
本邦においては、イミダフェナシンは経口のみで使用される。OD剤が開発されており、水無しでも服用が可能になっている。 健康成人男性にイミダフェナシン0.1mgを空腹時に単回経口投与した時、投与後1.3~1.5時間で最高血漿中濃度(以降Cmax)に達し、その濃度は471pg/mLで、半減期は約2.9時間となる。また、食後投与では空腹時投与に対してCmaxは1.3倍の約2時間、AUC0~12は1.2倍である。なお、OD錠の空腹時の単回経口投与の場合でも、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータはほぼ同等の経過をたどる。
健康成人男性にイミダフェナシン0.25mgを1日2回、5日間反復投与した時、初回投与後と最終回投与後の血漿中濃度推移はほぼ同等で、反復投与による蓄積性はほぼ無いとされる。
65歳以上の高齢者はCmaxが1.2倍高いが、AUC0~∞はほぼ同様の経過をたどる。
抗コリン作用を有するイミダフェナシンには、それに伴う副作用も有する。めまい、眠気があらわれることがあるため、機械の操作、自動車の運転には十分な注意が必要である。
主な副作用は以下のようになっている。
医師管理下での治療を行っていても、体質や持病によって重篤な副作用が現れてしまう場合がある。その場合はただちに投与を中止し、適切な処置を行う必要がある。
上記の2つの副作用は抗コリン作用に由来するものであり、変更可能であれば他剤で代用するなど柔軟な対応が求められる。
類似化合物(他の利尿治療剤)において、以下の症状が現れたとの報告がある。そのため、症状が現れた際には直ちに投与を中止する必要がある。
イミダフェナシンの過量投与により、以下のような症状が現れる。
過量投与による症状が現れた際には、胃洗浄又は活性炭投与を行い、次にアトロピン過量投与の場合と同様の処置を行う。また、尿閉に対しては導尿等、散瞳に対してはピロカルピン投与等、各症状に応じて適切な処置を行う。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)において胎児への移行が報告されている。
動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
イミダフェナシンを服用する際、以下の病気・症状を有する患者には原則禁忌となっている。
イミダフェナシンの投与で、以下の症状・病状の悪化が懸念され、他の治療薬の効果を妨げる可能性がある。
以下の薬剤との併用により、効果が損なわれたり、相互に増強し合うことがある。
イミダフェナシンの処方例は以下のようになっている。
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ウリトス錠0.1mg
リンク元 | 「その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬」「ウリトス」 |
薬効分類 | 一般名 | 商品名 | 用法 | 作用機序/薬効薬理 | |
過活動膀胱治療剤 | イミダフェナシン | ステーブラ | ウリトス | 1回0.1-0.2mg 1日2回 | 受容体サブタイプM3及びM1受容体に高親和性を示す |
過活動膀胱治療剤 | トルテロジン | デトルシトール | 1回2-4mg 1日1回 | ||
過活動膀胱治療剤 | フェソテロジン | トビエース | 1回4-8mg 1日1回 | ||
過活動膀胱治療剤 | ソリフェナシン | ベシケア | 1回2.5-10mg 1日1回 | 膀胱平滑筋において、ムスカリンM3受容体拮抗作用を示すことにより、膀胱の過緊張状態を抑制し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤 | ビベグロン | ベオーバ | 1回50mg 1日1回 | 本剤は膀胱平滑筋に存在するβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤 | ミラベグロン | ベタニス | 1回25-50mg 1日1回 | 膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤 α1阻害 | ナフトピジル | フリバス | 1回12.5-75 1日1回 | α1受容体遮断作用に基づき前立腺部及び尿道に分布する交感神経の緊張を緩和し、尿道内圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤 PDE-5阻害 | タダラフィル | ザルティア | 1回2.5-5mg 1日1回 | タダラフィルはPDE5を阻害することにより、前立腺及び膀胱平滑筋、並びに下部尿路血管の平滑筋内cGMP濃度を上昇させる。タダラフィルによる血管拡張作用を介した血流増加が前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状緩和に寄与していると考えられる。また、前立腺及び膀胱における平滑筋弛緩が血管に対する作用を補完している可能性がある。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬 α1阻害 | シロドシン | ユリーフ | 1回2-4mg 1日2回朝夕 | 下部尿路組織である前立腺、尿道及び膀胱三角部に分布するα1A-アドレナリン受容体サブタイプを介する交感神経系を遮断することにより、下部尿路組織平滑筋の緊張を緩和し、尿道内圧の上昇を抑制し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する | |
前立腺肥大症の排尿障害改善剤 α1阻害 | タムスロシン | ハルナール | パルナック | 1回0.1-0.2mg 1日1回 | 尿道及び前立腺部のα1受容体を遮断することにより、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。 |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エピカルス配合 | 1回2錠 1日3回 | 抗炎症作用、前立腺重量増加抑制作用 | |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エビプロスタット配合 | 1回1錠 1日3回 | 前立腺の炎症は過形成や症状の進行に関与しており、また、膀胱の慢性虚血による酸化ストレスも、排尿筋過活動による蓄尿症状の原因となっている。抗炎症作用や抗酸化作用により、前立腺肥大症における排尿障害を改善する | |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エルサメット配合 | 1回2錠(配合)/1錠(S配合) 1日3回 | 抗炎症作用、前立腺重量増加抑制作用 | |
前立腺疾患治療剤 | セルニチンポーレンエキス | セルニルトン | 1回2錠 1日2-3回 | 抗炎症作用、排尿促進作用、抗前立腺肥大作用を有する | |
尿失禁・尿意切迫感・頻尿治療剤 | オキシブチニン | ネオキシテープ | ポラキス | 1回2-3mg 1日3回(錠)/37.5mgテープ1枚 1日1枚(テープ) | 膀胱平滑筋において、細胞内カルシウムの細胞外への流出促進と細胞外カルシウムの細胞内への流入阻害によりカルシウムイオンに拮抗する。また、骨盤神経より遊離されるアセチルコリンに拮抗する(抗ムスカリン作用)。これらの作用により膀胱の過緊張を抑制することで初発尿意量および最大膀胱容量を増大させる。 |
尿失禁・頻尿・過活動膀胱治療剤 | プロピベリン | バップフォー | 1回20mg 1日1-2回 | ||
頻尿治療剤 | ブラダロン | フラボキサート | 1回200mg 1日3回 | 膀胱充満時の律動収縮を抑制し、膀胱三角部における筋放電作用を減弱する | |
勃起不全治療剤 | タダラフィル | シアリス | 1回5-20mg 1日1回 | 性的刺激により一酸化窒素(NO)の局所的な遊離が生じる際に、タダラフィルは、cGMP分解酵素であるPDE5を阻害することにより海綿体のcGMP濃度を上昇させる。その結果、平滑筋が弛緩し、陰茎組織への血流が増大して勃起が達成される。 | |
勃起不全治療剤 | シルデナフィル | バイアグラ | 1回25-50mg 1日1回 | シルデナフィルは、陰茎海綿体のPDE5を選択的に阻害し、神経及び海綿体内皮細胞由来のNO刺激により産生された陰茎海綿体内のcGMP分解を抑制することにより、陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、血流量が増加し、陰茎を勃起、維持させる。 | |
勃起不全治療剤 | バルデナフィル | レビトラ | 1回5-20mg 1日1回 | 陰茎海綿体平滑筋及び関連小動脈を弛緩させて陰茎を勃起させるcGMPは,グアニル酸シクラーゼによる合成とPDE5による加水分解とのバランスにより調節されている.バルデナフィルはPDE5を阻害することによりcGMP量を増加させ,陰茎を勃起させる | |
切迫早産における子宮収縮抑制剤 | 硫酸マグネシウム | マグセント | |||
切迫流・早産治療剤 | リトドリン | ウテメリン | リトドール | 1回5mg 1日3回 | β-受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc-AMP含量を増加させ,Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに,膜の過分極,膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし,子宮収縮抑制作用を発揮する |
尿路結石治療剤 | ウラジロガシエキス | ウロカルン | 1回2錠 1日3回 | 結石発育抑制作用及び溶解作用を有し、抗炎症作用、利尿作用とともに腎結石・尿管結石に対する排出促進効果を示す |
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