出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/18 10:52:56」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
1-azabicyclo[2.2.2]oct-8-yl (1S)-1-phenyl-3,4-dihydro-1H-isoquinoline-2-carboxylate
|
|
臨床データ | |
ライセンス | US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 | 経口 |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | 90% |
血漿タンパク結合 | 98% |
半減期 | 45-68時間 |
排泄 | 腎臓 (69.2%) 便(22.5%) |
識別 | |
CAS番号 | 242478-37-1 |
ATCコード | G04BD08 |
PubChem | CID: 443938 |
DrugBank | DB01591 |
ChemSpider | 391992 |
UNII | A8910SQJ1U |
ChEMBL | CHEMBL1734 |
化学的データ | |
化学式 | C23H26N2O2 |
分子量 | 362.465 g/mol |
SMILES
|
|
InChI
|
ソリフェナシン(solifenacin)は、抗コリン薬に分類される膀胱平滑筋の収縮を抑制する薬物である。頻尿と尿意切迫感、時として尿失禁を伴う過活動膀胱症候群の治療に用いられる。アステラス製薬からコハク酸との塩として、ベシケア(VesiCare、2,5mgと5mg)の商標で2005年より販売されている[1]。
ソリフェナシンは競合的なムスカリン受容体拮抗薬である。副交感神経から放出されるアセチルコリンは膀胱平滑筋上のムスカリン受容体、特にM3受容体に結合し、膀胱の収縮およびその結果としての排尿を誘発する。 アセチルコリンのM3受容体への結合を阻害することにより、ソリフェナシンは膀胱平滑筋の緊張を低下させ、膀胱が多くの尿を蓄えることを可能にして、排尿回数、尿意切迫感および尿失禁回数を減少させる。消失半減期が50時間と長いため、一日一回のソリフェナシン服用で24時間に渡って膀胱平滑筋の緊張を低減させることが可能である。
その作用メカニズムから、口渇他、以下の副作用がありうる。国内で過活動膀胱患者を対象にした1,267例中、副作用発現症例は577例(45.5%)で、口内乾燥が358例、(28.3%)、便 秘182例(14.4%)、霧視42例(3.3%)であった。
中等度の肝機能障害患者(Child‐Pugh分類B)と重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満へは、1日1回2.5㎎から投与を開始し、上限は5㎎で、慎重に投与する。軽度の肝機能障害患者(Child‐Pugh分類A)へは1日1回5mgから開始し、増量には副作用への留意が必要で、慎重さが求められる。
従来の抗コリン薬に比べて、ムスカリン受容体拮抗作用が膀胱選択的であるため、抗コリン薬特有の副作用は少なくなっているが、皆無ではないため、特に投与開始初期は注意が必要。尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌、などの下部尿路における新生物など、事前に過活動膀胱類似の症状を示す疾患を尿検査などで除外し、前立腺肥大症など下部尿路閉塞疾患を合併する患者には、α1遮断薬の投与などの治療を優先する[2]。
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
ベシケアOD錠2.5mg
リンク元 | 「その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬」「ソリフェナシン」 |
関連記事 | 「ケア」 |
薬効分類 | 一般名 | 商品名 | 用法 | 作用機序/薬効薬理 | |
過活動膀胱治療剤 | イミダフェナシン | ステーブラ | ウリトス | 1回0.1-0.2mg 1日2回 | 受容体サブタイプM3及びM1受容体に高親和性を示す |
過活動膀胱治療剤 | トルテロジン | デトルシトール | 1回2-4mg 1日1回 | ||
過活動膀胱治療剤 | フェソテロジン | トビエース | 1回4-8mg 1日1回 | ||
過活動膀胱治療剤 | ソリフェナシン | ベシケア | 1回2.5-10mg 1日1回 | 膀胱平滑筋において、ムスカリンM3受容体拮抗作用を示すことにより、膀胱の過緊張状態を抑制し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤 | ビベグロン | ベオーバ | 1回50mg 1日1回 | 本剤は膀胱平滑筋に存在するβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤 | ミラベグロン | ベタニス | 1回25-50mg 1日1回 | 膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤 α1阻害 | ナフトピジル | フリバス | 1回12.5-75 1日1回 | α1受容体遮断作用に基づき前立腺部及び尿道に分布する交感神経の緊張を緩和し、尿道内圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤 PDE-5阻害 | タダラフィル | ザルティア | 1回2.5-5mg 1日1回 | タダラフィルはPDE5を阻害することにより、前立腺及び膀胱平滑筋、並びに下部尿路血管の平滑筋内cGMP濃度を上昇させる。タダラフィルによる血管拡張作用を介した血流増加が前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状緩和に寄与していると考えられる。また、前立腺及び膀胱における平滑筋弛緩が血管に対する作用を補完している可能性がある。 | |
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬 α1阻害 | シロドシン | ユリーフ | 1回2-4mg 1日2回朝夕 | 下部尿路組織である前立腺、尿道及び膀胱三角部に分布するα1A-アドレナリン受容体サブタイプを介する交感神経系を遮断することにより、下部尿路組織平滑筋の緊張を緩和し、尿道内圧の上昇を抑制し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する | |
前立腺肥大症の排尿障害改善剤 α1阻害 | タムスロシン | ハルナール | パルナック | 1回0.1-0.2mg 1日1回 | 尿道及び前立腺部のα1受容体を遮断することにより、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。 |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エピカルス配合 | 1回2錠 1日3回 | 抗炎症作用、前立腺重量増加抑制作用 | |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エビプロスタット配合 | 1回1錠 1日3回 | 前立腺の炎症は過形成や症状の進行に関与しており、また、膀胱の慢性虚血による酸化ストレスも、排尿筋過活動による蓄尿症状の原因となっている。抗炎症作用や抗酸化作用により、前立腺肥大症における排尿障害を改善する | |
前立腺肥大症治療剤 | オオウメガサソウエキス、ハコヤナギエキス、セイヨウオキナグサエキス、スギナエキス、小麦胚芽油 | エルサメット配合 | 1回2錠(配合)/1錠(S配合) 1日3回 | 抗炎症作用、前立腺重量増加抑制作用 | |
前立腺疾患治療剤 | セルニチンポーレンエキス | セルニルトン | 1回2錠 1日2-3回 | 抗炎症作用、排尿促進作用、抗前立腺肥大作用を有する | |
尿失禁・尿意切迫感・頻尿治療剤 | オキシブチニン | ネオキシテープ | ポラキス | 1回2-3mg 1日3回(錠)/37.5mgテープ1枚 1日1枚(テープ) | 膀胱平滑筋において、細胞内カルシウムの細胞外への流出促進と細胞外カルシウムの細胞内への流入阻害によりカルシウムイオンに拮抗する。また、骨盤神経より遊離されるアセチルコリンに拮抗する(抗ムスカリン作用)。これらの作用により膀胱の過緊張を抑制することで初発尿意量および最大膀胱容量を増大させる。 |
尿失禁・頻尿・過活動膀胱治療剤 | プロピベリン | バップフォー | 1回20mg 1日1-2回 | ||
頻尿治療剤 | ブラダロン | フラボキサート | 1回200mg 1日3回 | 膀胱充満時の律動収縮を抑制し、膀胱三角部における筋放電作用を減弱する | |
勃起不全治療剤 | タダラフィル | シアリス | 1回5-20mg 1日1回 | 性的刺激により一酸化窒素(NO)の局所的な遊離が生じる際に、タダラフィルは、cGMP分解酵素であるPDE5を阻害することにより海綿体のcGMP濃度を上昇させる。その結果、平滑筋が弛緩し、陰茎組織への血流が増大して勃起が達成される。 | |
勃起不全治療剤 | シルデナフィル | バイアグラ | 1回25-50mg 1日1回 | シルデナフィルは、陰茎海綿体のPDE5を選択的に阻害し、神経及び海綿体内皮細胞由来のNO刺激により産生された陰茎海綿体内のcGMP分解を抑制することにより、陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、血流量が増加し、陰茎を勃起、維持させる。 | |
勃起不全治療剤 | バルデナフィル | レビトラ | 1回5-20mg 1日1回 | 陰茎海綿体平滑筋及び関連小動脈を弛緩させて陰茎を勃起させるcGMPは,グアニル酸シクラーゼによる合成とPDE5による加水分解とのバランスにより調節されている.バルデナフィルはPDE5を阻害することによりcGMP量を増加させ,陰茎を勃起させる | |
切迫早産における子宮収縮抑制剤 | 硫酸マグネシウム | マグセント | |||
切迫流・早産治療剤 | リトドリン | ウテメリン | リトドール | 1回5mg 1日3回 | β-受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc-AMP含量を増加させ,Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに,膜の過分極,膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし,子宮収縮抑制作用を発揮する |
尿路結石治療剤 | ウラジロガシエキス | ウロカルン | 1回2錠 1日3回 | 結石発育抑制作用及び溶解作用を有し、抗炎症作用、利尿作用とともに腎結石・尿管結石に対する排出促進効果を示す |
.