- 日
- よくかんさん
- 関
- 気逆
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/03/01 19:37:16」(JST)
[Wiki ja表示]
抑肝散生薬・ハーブ |
---|
効能 |
鎮静 |
---|
原料 |
ブクリョウ ビャクジュツ ソウジュツ センキュウ チョウトウコウ トウキ サイコ カンゾウ |
---|
臨床データ |
---|
法的規制 |
|
---|
投与方法 |
経口 |
---|
識別 |
---|
KEGG |
D07049 |
---|
別名 |
ヨクカンサン |
---|
テンプレートを表示 |
抑肝散(よくかんさん)は漢方方剤の一。
初出は1556年に出版された小児医学書「保嬰撮要」(薛鎧著、薛己注釈)。
ツムラ抑肝散(医療用)を開封し顆粒を示したところ
[1]
組成
白朮[2]、茯苓、川芎、釣藤鈎、当帰、柴胡、甘草
効能・効果
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
平肝熄風、気血双補。やせ形でやや虚弱、腹直筋に緊張が見られる患者の痙攣、情緒不安、不眠、自律神経失調症、血の道症、夜泣きなどに用いる。元来は小児向けの処方だが、(量を調節すれば)同じような症状がみられる成人が服用しても問題はない。近年の研究から、進行した「アルツハイマー型認知症」で起こる妄想や、徘徊(はいかい)、暴力などの抑制にも効能があることが知られている[3][4]。
また、ADHDやうつ病にも効能がある。[5][6]
臨床試験
認知症患者(原疾患:アルツハイマー、脳血管障害、Lewy小体病)でMini-Mental State Examination (MMSE) スコア24 未満、neuropsychiatric inventory (NPI) スコア6 より高値の52例(抑肝散群27 例、非投与群25 例)によるランダム化比較試験において、抑肝散は非投与群に、NPI スコア、幻覚、不安興奮などで有意な改善を認めた[7]。
また、抑肝散のグルタミン酸トランスポーター賦活作用とセロトニン1A受容体パーシャルアゴニスト作用が発見されるなど現代医学の視点からも作用機序が研究されている。[8]
抑肝散に関する最近の臨床研究および基礎データについてはen:Yokukansan(英語)を参照されたい。
副作用・禁忌
消化器が非常に弱い患者には、慎重に用いること。
また、甘草を含有するため、偽性アルドステロン症が起こる危険がある。また漢方薬は体内のカリウムを容易に排泄させるため低カリウム血症などの電解質に異常をきたすことがある、筋肉の痙攣等の副作用がおこるので血液検査などを定期的に受ける必要がある。
関連処方
- 抑肝散加陳皮半夏 - 日本での臨床知見をもとに、抑肝散に改良を加えて開発された処方。慢性患者や成人向けに、痰飲を除く作用が強化されている。
- 抑肝散加芍薬黄連 - クラシエ薬品より発売されている[9]。
その他
原典「保嬰撮要」には、この方剤について「母児同服」(患児の母親もこの薬を服用すること)と書かれている。これは、当時の医学に、今日の家族療法に通じる臨床知見があったことを示すものであるとされる。
全薬工業の市販薬「アロパノール」はこの漢方処方の製剤である。
脚注
- ^ a b ツムラでは白朮を蒼朮で代用している。
- ^ 原典は白朮だが、日本では代わりに蒼朮を用いたエキス剤もある。
- ^ 認知症周辺症状と抑肝散 ツムラ・メディカル・トゥディ
- ^ 抑肝散との出会いが、認知症の治療の幅を広げてくれた 漢方View
- ^ 精神疾患・発達障害に効く漢方薬―「続・精神科セカンドオピニオン」の実践から (精神科セカンドオピニオン)
- ^ 赤尾清剛, 川嶋浩一郎, 齋藤絵美 ほか、抑肝散の応用 『日本東洋医学雑誌』 2011年 62巻 3号 p.479-508, doi:10.3937/kampomed.62.479
- ^ Iwasaki, K., Satoh-Nakagawa, T., et al. (2005). “A randomized, observer-blind, controlled trial of the traditional Chinese medicine yi-gan san for improvement of behavioural and psychological symptoms and activities of daily living in dementia patients.”. Journal of Clinical Psychiatry 66: p.p.248-252. PMID 15705012. http://article.psychiatrist.com/dao_1-login.asp?ID=10001208&RSID=26378982034291 2010年1月4日閲覧。.
- ^ 抑肝散のグルタミン酸トランスポーター賦活作用とセロトニン1A受容体パーシャルアゴニスト作用 金芳堂 脳21
- ^ 日東薬品工業 (2014年5月28日). “「クラシエ」漢方 抑肝散加芍薬黄連錠 (PDF)”. クラシエ薬品. 2014年10月17日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 医療関係者向けサイト漢方スクエア「抑肝散関連コーナー」 - 抑肝散のエビデンス情報が集められている。
- 抑肝散 - ツムラ
- 抑肝散加陳皮半夏 - クラシエホールディングス
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 成人のがん患者に生じる静脈血栓塞栓症(下肢静脈血栓症と肺血栓塞栓症)への抗凝固療法anticoagulation therapy for venous thromboembolism lower extremity venous thrombosis and pulmonary embolism in adult patients with malignancy [show details]
…compared with edoxaban and rivaroxaban: Edoxaban – An open-label noninferiority randomized trial (Hokusai VTE Cancer Investigators) of 1050 patients with cancer-associated VTE compared anticoagulation with…
- 2. 血小板減少症患者への抗凝固療法anticoagulation in individuals with thrombocytopenia [show details]
…schedules have also been used, such as reduction of the dalteparin dose by 2500 units as done in the Hokusai VTE cancer trial . Dose reductions for unfractionated heparin have not been described, and we favor …
Japanese Journal
- 抑肝散と桂枝湯は卵巣摘出マウスに表出するASD様社会性低下行動を改善する
- 李 林煜,松本 欣三,荒木 良太,矢部 武士,藤原 博典
- 日本薬理学会年会要旨集 93(0), 3-P-285, 2020
- <p>Autism spectrum disorder (ASD) is a neurodevelopmental disorder with core symptoms of sociability deficit. We focus on allopregnanolone (ALLO) which is a neurosteroidal positive modulator of …
- NAID 130007811764
- 抑肝散により四肢麻痺を伴う低カリウム血症を生じた頸椎症の1例
- 症例報告 認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する抑肝散加陳皮半夏とメマンチンの併用療法
Related Links
- 「抑肝散」はこの「肝」の高ぶりを抑えることから名づけられた漢方薬です。もともと子どもの夜泣き、疳(かん)の虫に使われていた薬で、現在は大人の神経症状にも使われています。
- 抑肝散とは……精神面、筋肉や眼に作用する漢方薬. 抑肝散には心身の興奮や緊張を緩和する作用があります。. 元々は子供のかんしゃくなどに用いられた漢方でしたが老若男女問わず使用できます. 抑肝散(よくかんさん)は柴胡(さいこ)、釣藤鈎(ちょうとうこう)、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草 ...
- ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)の効果と副作用、飲み合わせ、注意など。次のような症状は、副作用の初期症状である可能性があります。発熱、から咳、息切れ、呼吸困難 [間質性肺炎]。尿量が減少する、顔や手足がむくむ
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)
組成
- 本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.25gを含有する。
日局ソウジュツ 4.0g
日局ブクリョウ 4.0g
日局センキュウ 3.0g
日局チョウトウコウ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局サイコ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
添加物
効能または効果
- 虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
- 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 著しく胃腸の虚弱な患者 [食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等があらわれることがある。]
- 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者 [これらの症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
間質性肺炎(頻度不明):
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
偽アルドステロン症(頻度不明):
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
心不全(0.1%未満):
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、体液貯留、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、心胸比拡大、胸水等)が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ミオパチー、横紋筋融解症(頻度不明):
- 低カリウム血症の結果として、ミオパチー、横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢痙攣・麻痺、CK(CPK)上昇、血中及び尿中のミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明):
- AST(GOT)、ALT(GPT)、AI-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗不安様作用
- 正常マウスに経口投与したところ、高架式十字迷路実験において抗不安様作用を示した2)。この作用は脳虚血ラット(経口)3)及び老齢ラット(混餌)4)でも認められた。
攻撃性抑制作用
- アミロイド前駆体蛋白過剰発現マウス(混餌)5)、アミロイドβ蛋白脳室内注入マウス(経口)6)及び亜鉛欠乏マウス(飲水)7)に投与したところ、攻撃性が抑制された。
睡眠障害改善作用
- 隔離ストレスマウスに経口投与したところ、ペントバルビタール誘発睡眠時間の短縮が抑制された8)。
作用機序
- 本剤は、以下の作用により薬理効果を示すことが示唆されている。
- 攻撃性抑制作用
グルタミン酸放出抑制作用
- 亜鉛欠乏ラットに経口投与したところ、海馬細胞外液グルタミン酸濃度の上昇並びに海馬スライス標本におけるグルタミン酸神経終末開口放出が抑制された9)。
グルタミン酸取込是正作用
- チアミン欠乏下のラット培養アストロサイトにおいて、グルタミン酸取込能の低下、グルタミン酸トランスポーターのmRNA並びに蛋白の発現低下を改善した(in vitro )10)。
セロトニン2A受容体ダウンレギュレーション作用
- 正常マウスに経口投与したところ、前頭前野セロトニン2A受容体発現量が低下し、セロトニン2A受容体作動薬(ジメトキシヨードアンフェタミン)誘発首振り運動が抑制された11)。
セロトニン1A受容体刺激作用
- ・パラクロロアンフェタミン処置ラット12)及び隔離ストレスマウス13)に経口投与したところ、攻撃性が抑制され、その作用はセロトニン1A受容体拮抗薬(WAY-100635)で消失した。
- ・in vitro 受容体結合試験において、セロトニン1A受容体部分刺激作用を示した14)。
- ・電気ショックラットにおける不安抑制作用は、WAY-100635で消失した15)。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 肝、五臓
[★]
- 関
- 漢方製剤、抑肝散加陳皮半夏
[★]
- 関
- 漢方製剤、抑肝散料
[★]
- 関
- 抑肝散、漢方製剤
[★]
- 日
- よくかんさんかちんぴはんげ