- 英
- polyethylene glycol、polyethyleneglycol、PEG
- 同
- マクロゴール macrogol
- 商
- Colovate, Colyte, GoLYTELY
- (免疫グロブリンの処理)テタノブリン、ヘブスブリン、グロベニン、ヴェノグロブリン
- (経口腸管洗浄剤)ムーベン、ニフプラス、ニフレック
- (軟膏)ウレパール、フルコート、マクロゴール
- 関
- トリトン、ポリオキシエチレン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/28 04:09:40」(JST)
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ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、略称 PEG)は、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)である。 ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、略称PEO)も基本的に同じ構造を有する化合物であるが、PEGは分子量2万程度までのもの、PEOは数万以上のものをいう[1]。両者は物理的性質(融点、粘度など)が異なり用途も異なるが、化学的性質はほぼ同じである。
一般的な構造式は HO−(CH2−CH2−O)n−H と表される。PEG は水、メタノール、ベンゼン、ジクロロメタンに可溶、ジエチルエーテル、ヘキサンには不溶である。タンパク質など他の高分子に PEG構造を付加することを PEG化 (ペグか、pegylation) という。
利用
PEG は無毒とされいろいろな製品に用いられる。「マクロゴール」などの名で多くの緩下剤の基剤として用いられる。またセトマクロゴールは皮膚用クリームに用いられるが、希に急性アレルギー症状(アナフィラキシー)を発症することがある[2]。
PEG を他の疎水性分子に結合すれば非イオン性界面活性剤(PEG部分はポリオキシエチレン[POE]鎖と呼ばれる)が得られ、化粧品の乳化剤などに用いられている。
PEG をタンパク質性医薬品に結合すると、タンパク質の分解を抑制する効果(”ステルス化”)により、効力を延長したり副作用を軽減することが可能になる。例としては PEG化インターフェロンα(C型肝炎に有効)や PEG化G-CSF製剤[3]がある。
PEG はタンパク質を結晶化する際に、沈殿剤としてよく用いられる。
PEG は脊椎損傷の治癒に効果があることもイヌの実験で示されている[4]。
また材料としての PEG は、軍用防護服[5]や、糖尿病患者の血糖値を監視するための採血器に代わるタトゥー風の方法[6]などへの応用も開発されつつある。PEG によりポリウレタンエラストマーにゴム状の性質を与えることができ、これはポリウレタンフォームやスパンデックス繊維へ応用されている。
PEG は弾力性のある高分子なので、膜にしても非常に高い浸透圧(数十気圧)に耐える。また生体物質との特異的相互作用もないとされる。これらの性質から PEG は、浸透圧を利用する生化学実験(特に浸透圧ストレス法)に最も適した材料のひとつである。
生物学では細胞への DNA導入や細胞融合に用いられる。DNA導入は、PEG 存在下ではプロトプラストに DNA が取り込まれやすくなることを利用した方法である。細胞融合は、細胞を PEG で処理することによって細胞膜が結合し、PEG を取り除くと細胞が融合することを利用した方法である。
考古学においては、古い木造品を保存する際に、内部の水分と PEG とを交換して固化することで保存するために用いられる。この方法は PEG を融点以上の温度にして木材中に浸透させて内部の水分と置き換え、その後、常温に戻して固化させ、木材組織を維持する方法である。
PEO はリチウムイオンポリマー二次電池の絶縁材および電解質溶媒として用いられる。拡散速度が低いので機能に高温を要することも多いが、粘度が高いため融点に近い温度でも非常に薄い電解質層を作ることが可能である。結晶化によって性能が落ちることもあるが、逆に多くの塩によって結晶化が抑制される。このような性質により、他のリチウムイオン二次電池よりも軽量の割には大エネルギーを出すことができる。
脚注
- ^ 中村亦夫著、『水溶性高分子』、P.117、化学工業社、1973年
- ^ ホーリン(R)V膣用錠に含まれるマクロゴール6000によるアナフィラキシーの1例皮膚の科学Vol.9 (2010) No.5 P462-464, JOI:JST.JSTAGE/skinresearch/9.462
- ^ PEGフィルグラスチム Neulasta®
- ^ Study on dogs yields hope in human paralysis treatment
- ^ [1]
- ^ [2]
外部リンク
- ポリエチレングリコール 200
- 国際化学物質安全性カード ポリエチレングリコール(200-600) - 国立医薬品食品衛生研究所
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Japanese Journal
- 42. 放射状張力がもたらした腸新生 : ポリエチレングリコールを用いたマウス腸管の進展法(第42回日本小児消化管機能研究会)
- ポリエチレングリコール(PEG)誘導体の開発と医療用および工業用材料としての有用性
Related Links
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- ポリエチレングリコールは毒性が低く、様々な応用がある。 日本薬局方(局方)や医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たすポリエチレングリコールを「マクロゴール」といい、軟膏・ローションの基剤、坐薬基剤、錠剤の ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
献血グロベニン−I静注用2500mg
組成
- 本剤は、ヒトのポリエチレングリコール処理免疫グロブリンGを含む凍結乾燥製剤で、1瓶中に下記の成分を含有する。
有効成分
- ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンG:2,500mg
添加物
- D-マンニトール:750mg
グリシン:225mg
塩化ナトリウム:450mg
添付溶解液
- 日本薬局方注射用水:50mL
- 本剤の主成分であるポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンGは、日本において採取された献血血液を原料としている。
また、製造工程中においてブタ腸粘膜由来のヘパリンを使用している。
禁忌
本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
効能または効果
◇無又は低ガンマグロブリン血症
◇重症感染症における抗生物質との併用
◇特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で、著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
◇川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)
◇慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善
◇天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)
◇スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症(ステロイド剤の効果不十分な場合)
重症感染症において抗生物質との併用に用いる場合は、適切な抗菌化学療法によっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること。
川崎病に用いる場合は、発病後7日以内に投与を開始することが望ましい。
====天疱瘡に用いる場合は、副腎皮質ホルモン剤による適切な治療によっても十分な効果が得られない患者のみを対象とすること。
臨床試験では、副腎皮質ホルモン剤20mg/日(プレドニゾロン換算)以上を3〜7日間使用したにもかかわらず、臨床症状の改善が認められなかった患者に対し、
本剤の有効性及び安全性が検討されている。====
腫瘍随伴性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、薬剤誘発性天疱瘡に対する有効性及び安全性は確立していない。
スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症に用いる場合は、副腎皮質ホルモン剤による適切な治療によっても十分な効果が得られない患者のみを対象とすること。臨床試験では、副腎皮質ホルモン剤20mg/日(プレドニゾロン換算)以上を2日間以上使用したにもかかわらず、効果不十分で更なる追加治療が必要な患者に対し、本剤の有効性及び安全性が検討されている。
- 本剤は、添付の日本薬局方注射用水(2,500mg製剤は50mL、5,000mg製剤は100mL)で溶解し、効能・効果に応じて以下のとおり投与する。なお、直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。[溶解方法は末尾を参照してください。]
- ◇無又は低ガンマグロブリン血症:
通常、1回人免疫グロブリンGとして200〜600mg(4〜12mL)/kg体重を3〜4週間隔で点滴静注又は直接静注する。なお、患者の状態により適宜増減する。
- ◇重症感染症における抗生物質との併用:
通常、成人に対しては、1回人免疫グロブリンGとして2,500〜5,000mg(50〜100mL)を、小児に対しては、1回人免疫グロブリンGとして100〜150mg(2〜3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、症状により適宜増減する。
- ◇特発性血小板減少性紫斑病:
通常、1日に人免疫グロブリンGとして200〜400mg(4〜8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、5日間使用しても症状に改善が認められない場合は、以降の投与を中止すること。年齢及び症状に応じて適宜増減する。
- ◇川崎病の急性期:
通常、1日に人免疫グロブリンGとして200mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注、若しくは2,000 mg(40 mL)/kg体重を1回点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて5日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。
- ◇慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善:
通常、1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間連日点滴静注又は直接静注する。なお、年齢及び症状に応じて適宜減量する。
- ◇天疱瘡:
通常、1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて適宜減量する。
- ◇スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症:
通常、1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する。
急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある。(無又は低ガンマグロブリン血症の患者には注意すること)
投与速度1):
- ショック等の副作用は初日の投与開始1時間以内、また投与速度を上げた際に起こる可能性があるので、これらの時間帯については特に注意すること。
1)初日の投与開始から1時間は0.01mL/kg/分で投与し、副作用等の異常所見が認められなければ、徐々に投与速度を上げてもよい。ただし、0.03mL/kg/分を超えないこと。2日目以降は、前日に耐容した速度で投与する。[末尾の「体重別投与速度表」参照]
2) 川崎病の患者に対し2,000mg(40mL) /kgを1回で投与する場合は、基本的には1)の投与速度を遵守することとするが、急激な循環血液量の増大に注意し、20時間以上かけて点滴静注すること。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)における筋力低下の改善は、本剤投与終了1カ月後に認められることがあるので、投与後の経過を十分に観察し、本剤投与終了後1カ月間においては本剤の追加投与は行わないこと。
天疱瘡における症状の改善は、本剤投与終了4週後に認められることがあるので、投与後の経過を十分に観察し、本剤投与終了後4週間においては本剤の追加投与は行わないこと。
無又は低ガンマグロブリン血症の用法・用量は、血清IgGトラフ値を参考に、基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて、投与量、投与間隔を調節する必要があることを考慮すること。
慎重投与
IgA欠損症の患者
- [抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
腎障害のある患者
脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者
- [虚血性疾患、心臓血管障害、脳血管障害、血管障害を有する高齢者等の脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者は大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある。]
血栓塞栓症の危険性の高い患者
- [血栓塞栓症、鎌状赤血球症、既に冠動脈瘤が形成されている川崎病、高ガンマグロブリン血症、高リポたん白血症、高血圧等の血栓塞栓症の危険性の高い患者は大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。]
溶血性・失血性貧血の患者
- [ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者
- [ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
心機能の低下している患者
- [大量投与により、心不全を発症または悪化させるおそれがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー(0.1〜5%未満)
- ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、頻脈、喘鳴、喘息様症状、胸内苦悶、血圧低下、脈拍微弱、チアノーゼ等が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
無菌性髄膜炎(頻度不明)
- 大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心、嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがあるので、このような場合 には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明)
- 急性腎不全があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。
血小板減少(頻度不明)
- 血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行うこと。
肺水腫(頻度不明)
- 肺水腫があらわれることがあるので、呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症(頻度不明)
- 大量投与例で、血液粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。〔「慎重投与」(3)(4)および「高齢者への投与」(2)の項参照〕
心不全(頻度不明)
- 主として川崎病への大量投与例で、循環血漿量過多により心不全を発症又は悪化させることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、心雑音、心機能低下、浮腫、尿量減少等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
なお、心機能の低下している患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。〔「慎重投与」(7)の項参照〕
薬効薬理
本剤は、各種の細菌、ウイルス、毒素に対する抗体活性を認めた。12) また、本剤製造工程における抗体価の低下は認められない。
本剤は、実験的マウス感染症に対して感染防御効果を示した。13)
本剤は、実験的マウス感染症に対して抗生物質との併用効果を示した。13)
本剤は、マウス好中球に対して貪食能促進作用を示した。14)
本剤は、健康人から得た好中球に対して貪食能促進作用を示した。15)
本剤は、抗ラット血小板ウサギ血清により惹起させた実験的ラット血小板減少症に対して血小板減少抑制作用を示した。16)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- intestinal lavage
- 関
- 洗腸
- 下剤の投与よりも強力な腸管内排出効果が期待されたが、エビデンスがない実験的医療にとどまる。(SQ.480)
- 適応は腸管球種が比較的遅い物質で他に有効な治療手段のない中毒
- 注入液にはポリエチレングリコール電解液(ニフレック)を用いる
[★]
塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、無水硫酸ナトリウム
- ポリエチレングリコール(マクロゴール4000 ポリエチレングリコール4000)、サッカリンナトリウム水和物(サッカリン)
[★]
- 英
- macrogol
- ラ
- macrogolum
- 関
- トリトン triton、ポリエチレングリコール polyethylene glycol PEG、ポリオキシエチレン polyoxyethylene
- マクロゴール6000、マクロゴール4000、マクロゴール400
[★]
[★]
破傷風抗毒素、ポリエチレングリコール、グリシン、D-マンニトール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸
[★]
- 英
- polyethylene glycol monododecyl ether
- 関
- ポリドカノール
[★]
- 英
- PEG precipitation
- 関
- ペグ沈
[★]
- 英
- recall
- 関
- 思い起こす、呼び戻す、想起
[★]
- 英
- glyco、glycated
- 関
- 糖、糖化