- 72歳の女性。左側腹部痛と下血とを主訴に来院した。3日前から便秘が続いていた。今朝、突然左側腹部痛が出現し、その後に血便を認めた。高血圧を指摘されているが、降圧薬は服用していない。意識は清明。体温36.9℃。脈拍96/分、整。血圧150/96mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。左側腹部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。血液所見:赤血球390万、Hb12.5g/dl、Ht38%、白血球9,800、血小板20万。血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、尿素窒素18mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST20単位、ALT15単位、LDH360単位(基準176~353)、アミラーゼ178単位(基準37~160)。CRP0.6mg/dl。
- 画像検査所見として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A026]←[国試_100]→[100A028]
★リンクテーブル★
[★]
- 36歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。10年前から十二指腸の再発を繰り返している。夜遅くまで残業することが多く、食事も不規則になることが多い。喫煙60本/日を15年間。2週前から会社の決算期にあたり毎晩遅くまで仕事をしていたところ、心窩部痛が強くなった。血液所見:赤血球454万、Hb13.4g/dl、白血球7,800。血清生化学所見:尿素窒素14mg/dl、クレアチニン1.1mg/dl。13C尿素呼気試験陰性。対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a. 禁煙の指導
- b. 絶食の指示
- c. 酸分泌抑制薬の投与
- d. 非ステロイド性抗炎症薬の投与
- e. ヘリコバクター・ピロリの除菌
[正答]
※国試ナビ4※ [100A025]←[国試_100]→[100A027]
[★]
- 28歳の男性。1か月前から1日6、7行の粘血便が出現し来院した。4か月前から頻回の軟便がある。回盲部から右側腹部にかけて圧痛を認める。血液所見:赤血球389万、Hb11.5g/dl、白血球9,600、血小板39万。血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン3.5g/dl、AST25単位、ALT22単位、LDH360単位(基準176~353)。CRP5.6mg/dl。注腸造影写真を以下に示す。
- この患者で吸収障害が予想されるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A027]←[国試_100]→[100A029]
[★]
- 英
- ischemic colitis
- 同
- 虚血性腸症候群 ischemic colon syndrome、阻血性大腸炎
概念
- 基礎疾患を有する高齢者に好発し、突然の腹痛、下痢、下血を主徴とし、粘膜への血行障害に伴う粘膜の変性による虚血性の炎症である。
- 本疾患は粘膜への血流障害に基づく疾患であり、血管造影で血流途絶像が認められるような腸間膜動脈閉塞症とは区別される。
疫学
- 基礎疾患を有する動脈硬化症、心疾患で高齢者に多い。
- 便秘を有する10歳代の若年者(女性に多い)
病型
臨床経過による分類
- マーストン分類
- 一過性型:粘膜に限局:瘢痕無く治癒:症状は1-2週間以内に消失
- 狭窄型:粘膜下層以下:腸管の狭窄を生じる:一過性型より持続。数ヵ月後に腸管狭窄。
- 壊死型:全層の障害:腸管の壊死・穿孔をきたす:強い持続性、進行性の腹痛で、数日の経過で腹膜炎の症状をきたす(特に高齢者に多く、死亡率が高い)
- 一過性型、狭窄型を狭義の虚血性大腸炎としている(SSUR.539)
- 一過性(65%)>狭窄型(25%)>壊死型(10%) (出典不明)
病因
- 動脈硬化、左心不全、血管炎、凝固亢進状態、避妊薬の使用、血管収縮性薬剤の使用、便秘などの腸管内圧上昇など
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病 → 腸間膜動脈の狭窄
- 好発部位:左側結腸に好発。 脾弯曲部、下行結腸、S状結腸に多い(QB.A-229)
- 出典不明
- 血管側の因子と腸管側の因子の両方により腸管粘膜や腸管壁の血流低下・虚血を惹起する
- 血管側の因子:血圧低下、動脈硬化、微小血管のスパズムなど
- 腸管側の因子:腸管内圧亢進、腸蠕動など
症状
- 3主徴:腹痛・下痢・下血
- 突然性の腹痛と血性下痢に引き続いて発熱が生じることがある。下血の量は比較的少量。
身体診察
検査
- 血液検査:(炎症所見)白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇
- 注腸造影検査:母指圧痕像(thumb printing)、縦走潰瘍
- 粘膜下の浮腫や出血による
- 一過性型:数日で消失。狭窄型:瘢痕による狭窄や嚢形成
- (急性期)病変部の粘膜浮腫、発赤、出血、びらん、縦走潰瘍。(壊疽型)血流途絶による暗黒色粘膜、蠕動の停止。粘膜の生検でヘモジデリン沈着細胞が見られ、これにより確定診断される。
- (急性期)結腸ヒモに沿って縦走するびらん・発赤
- (感染性腸炎と鑑別が必要な場合)便培養:サルモネラ菌、病原性大腸炎、赤痢菌、(抗生剤を内服していれば)Klebsiella oxytoca
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診断
- 病歴+身体診察+検査所見(血液検査・内視鏡・注腸検査)
鑑別疾患
- IMD
- 薬物性腸炎、憩室炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、アメーバ赤痢
治療
- 一過性型:保存的療法(絶食、輸液、抗生物質投与)
- 壊死型・狭窄型:手術((狭窄型)潰瘍治癒が遷延した場合、狭窄の程度を考慮して腸管部分切除。(壊疽型)麻痺性イレウス、腹膜炎(腸管の壊死・穿孔(稀))が見られた場合、緊急手術の適応。
予後
- (出典不明)
- 一過性型・狭窄型:良好、再発少ない。
- 壊死型:死亡率50%
参考
- 1. [charged] Colonic ischemia - uptodate [1]
国試