Z-100
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2022/09/03 18:16:41」(JST)
[Wiki ja表示]
結核菌熱水抽出物(開発コードZ-100)は、悪性腫瘍に対する放射線療法の際に生じる白血球減少症に対し、免疫力を回復させるために使われる皮下注射用アンプル剤。アンサー皮下注20µg(Ancer S.C.Injection 20µg)の名称でゼリア新薬工業から販売されている。2016年現在、日本での使用には、医師の診断・処方箋が必要な処方箋医薬品とされている。免疫療法薬の1種に数えられる。
成分
アンサー皮下注の成分であるZ-100原液は、ヒト型結核菌から抽出した物質を原料としている。したがって生物由来製品に分類される。また、本剤は単一成分ではなく、アラビノース・マンノース・グルコースを主な構成糖とした多糖体や、核酸類を含んだ混合物である。いわゆる丸山ワクチンの1種であり、“放射線療法時の白血球減少”抑制剤という限定付きながらも、丸山ワクチンが、1991年8月以来、日本では正式な「医薬品」として承認されていることを意味する。なお、本剤の原料として使用しているヒト型結核菌の培養には鶏卵を利用している[1]。
作用と副作用
日本で承認前に、悪性腫瘍の放射線治療を実施する患者に対して行なわれた、二重盲検比較試験を含む臨床試験では、白血球減少に対する主治医の有用判定は、74.7%(189/253)であった[1]。
副作用の発現率は4.7%で、主に、注射部位の硬結、疼痛、発赤、腫脹、瘙痒感、水疱形成であり、過敏症の傾向がある場合に、発疹、蕁麻疹、発熱などの症状が現れる[1]。本剤に過敏症の傾向がある場合には、本剤の投与は禁忌であり、発見された場合、アナフィラキシーショックなどを避けるため、即刻、投与を中止しなければならない。
出典
- ^ a b c “アンサー皮下注20µg 添付文書” (2009年7月). 2015年10月13日閲覧。
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. HIV感染患者における非結核性抗酸菌(MACを除く)の概要overview of nontuberculous mycobacteria excluding mac in patients with hiv [show details]
… Gen-Probe and AccuProbe) to rapidly identify Mycobacterium tuberculosis,… severely immunocompromised population. Mycobacterium xenopi can be isolated from water, especially hot water sources, and is often considered a commensal. Reports of the endemicity of this organism vary. In …
- 2. 感染症予防:感染症の広がり防止に関する注意点infection prevention precautions for preventing transmission of infection [show details]
…are used to prevent transmission by airborne droplet nuclei of infectious agents such as Mycobacterium tuberculosis. Isolation precautions used to interrupt or reduce the risk of transmission of pathogens … with sufficient white coats to allow for frequent cleaning. Attire should be laundered daily in hot water, preferably with bleach. Shared equipment (such as stethoscopes) or other personal items (such…
- 3. 非結核性抗酸菌感染症の病因pathogenesis of nontuberculous mycobacterial infections [show details]
… Mycobacteria other than Mycobacterium tuberculosis and Mycobacterium leprae are generally free-living organisms that are ubiquitous in the environment They have been recovered from surface water,… most likely aerosols from natural surface water or from domestic and institutional hot water systems.…
- 4. 非結核性抗酸菌感染症の疫学epidemiology of nontuberculous mycobacterial infections [show details]
… disease or healed tuberculosis . The isolation of M. szulgai is also usually associated with significant disease. Mycobacteria other than Mycobacterium tuberculosis and Mycobacterium… clinical isolates have also been recovered from naturally occurring surface water, hot tubs, and piped hot water systems . Prolonged exposure to soil has also been identified as a risk factor for MAC infection …
- 5. 小児における樟脳中毒camphor poisoning in children [show details]
… Hot water should not be used to prevent local vasodilation and increased absorption.… A history of a family member being treated for tuberculosis or travel to an endemic region may be a helpful clue.…
Related Links
- 医療用医薬品の薬効分類 [BR:jp08301] 3 代謝性医薬品 33 血液・体液用薬 339 その他の血液・体液用薬 3399 他に分類されない血液・体液用薬 D08746 結核菌熱水抽出物
- 結核菌熱水抽出物注射液の主成分/剤形が同じ製品同士の薬価について比較しています。「処方薬事典」は日経メディカルが運営する医療・医薬 ...
- 『アンサー20(結核菌熱水抽出物)』という商品名の薬剤をご存じの患者さんは多くはないように思います。 「効かないクスリ」「ただの水」と言われる、かの有名な『丸山ワクチン』を10倍に濃縮した薬剤です。
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アンサー皮下注20μg
組成
成分・含有量1アンプル(1mL)中・有効成分
- Z-100原液 10μL(D-アラビノース換算糖含量20μg)
成分のZ-100原液は結核菌熱水抽出物である。
なお,Z-100原液の初期製造工程における培養培地成分として,ニワトリの卵を使用している。
成分・含有量1アンプル(1mL)中・添加物
効能または効果
- 通常,成人には放射線治療開始日以降から投与を開始し,放射線治療終了日まで(ただし8週間を限度とする)1回1mLを1日1回,週2回皮下投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。ただし,1回の投与として2mLを越えないこと。
慎重投与
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- アレルギー素因のある患者
- 重篤な肝障害のある患者〔肝障害を悪化させるおそれがある〕
薬効薬理
薬理作用
白血球減少に対する回復作用8),9)
- 本剤0.5〜10mg/kg/日を放射線全身照射により誘発された白血球減少動物(マウス・モルモット)に投与したところ,減少した末梢白血球数の回復を促進した。
造血機能賦活作用10),11)
- 本剤2.5mg/kgを投与したマウスにおいて,血中のCSF,IL-3の産生を増強させ,造血組織中の顆粒球・単球系前駆細胞を増加させた。
作用機序
- 造血幹細胞に働く造血因子であるCSFの内因的な誘導を促進し,放射線により障害を受けた造血機能を賦活して,放射線治療時の末梢白血球数の減少を抑制する。(動物での作用)
有効成分に関する理化学的知見
分子量
- 本品中の多糖体及び核酸様物質等を高速ゲルろ過クロマトグラフ法により分画すると,3つの分画A,B,Cに分けられる。各分画の分子量は,
分画A:約24,000〜8,000
分画B:約8,000〜3,000
分画C:約3,000〜500
であった。
性状
- 微黄色澄明の液で,わずかに特異なにおいがある。(pH:4.0〜6.0)
★リンクテーブル★
[★]
- 同
- 結核菌熱水抽出物 hot water extract of Mycobacterium tuberculosis
- 商
- アンサー
- 関
- その他の血液・体液用薬
[★]
Z-100。結核菌熱水抽出物
[★]
- 英
- tuberculosis, TB
- 同
- 結核症
- 関
- 結核菌 Mycobacterium tuberculosis、抗結核薬
- 肺結核、腸結核、脳結核腫
- 感染予防学 080423I,II
- first aid step1 2006 p.135,137,143,162,172,173,181
- Pott's disease = vertebral tuberculosis. constrictive pericarditis = tuberculosis
概念
病原菌
疫学
平成21年
- 参考3
- 結核患者の発生は未だ2万4千人以上である。結核罹患率は引き続き減少傾向にあるが、減少率は2%台と低い。
- 新登録結核患者数 24,170人
- 罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 19.0 (対前年比0.4減)
- 80歳以上の結核罹患率は横ばいないし増加し、70歳以上の高齢結核患者は新登録結核患者の半数以上となった。
- 80歳以上の罹患率 88.3 (H20 87.6、H19 90.5、H18 93.0)
- 70歳以上の新登録結核患者の占める割合 50.1%(H20 48.9%、H19 47.9%、H18 47.0%)
- 世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
- 日本の罹患率(19.0)は、米国(4.3)の4.4倍、カナダ(4.7)の4.0倍、スウェーデン(5.4)の3.5倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍。
感染の型
- SPU.178
一次感染
- 初感染患者に形成される初期変化群の増悪による病変:全身性血行性散布(粟粒結核など)、肺原発巣の空洞化、リンパ節の穿孔による吸引性結核性肺炎、結核性胸膜炎
二次感染
症状
結核の皮膚病変
検査
- 「喀痰の抗酸菌検査では1日1回、連続して3日間検査することが推奨されている。抗酸菌検査では通常、塗抹検査と培養検査の2項目をオーダーするが、結核の疑いが強い場合には、健康保険診療上、結核菌核酸増幅法検査を1回行うことができる。」(ガイドライン1より引用)
診断
- 結核菌の診断を行う上では、あくまでも細菌学的検査(塗沫検査、培養検査)によることが原則である。(IRE.1034)
- 結核の疑いが強い場合にはPCR法により確定して、直ちに保健所に届けるのがよい。
治療
- 標準治療法:最初2ヶ月間4剤、次の4ヶ月間2-3剤の計6ヶ月間の治療
- 例:INH,RFP,EB,PZAで2ヶ月間(bactericidal phase) → INH,RFP(,EB)で4ヶ月間(continuation phase)
- 多剤耐性結核菌:少なくともINHとRFPに同時耐性を示す菌株
2009年に厚生労働省告示
- ピラジナミド(PZA)を使用できる場合には、まずイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)およびPZAにストレプトマイシン(SM)またはエタンブトール(EB)を加えた4剤併用療法を2カ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を4剤併用療法開始時から6カ月を経過するまで行う。
- PZAを使用できない場合には、まずINHおよびRFPの2剤にSMまたはEBを加えてた3剤併用療法を2ないし6ヵ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を3剤併用療法開始時から9ヶ月を経過するまでに行う。INHまたはRFPを使用できない場合、症状が著しく重い場合、治療開始から2カ月を経ても結核菌培養検査陽性の場合、糖尿病、じん肺、HIV感染症等の疾患を合併する場合、または副腎皮質ホルモン剤を免疫抑制剤を長期にわたり使用している場合、などでは治療期間を3ヵ月間延長できる。
感染経路
公衆衛生
参考
- http://www.kekkaku.gr.jp/
- http://www.jatahq.org/about_tb/index.html
- 3. 結核登録者情報調査【平成18年まで結核発生動向調査】|厚生労働省
- http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/kekkaku_tourokusya.html
ガイドライン
- 1. 結核診療ガイドライン(の要点抜粋) 山岸文雄 独立行政法人国立病院機構千葉東病院 病院長
- http://www.kekkaku.gr.jp/ga/ga-59.htm
国試
[★]
- 英
- extract、ext
- 関
- エキス、抽出、抽出液、抽出エキス