- 英
- likelihood ratio, LR
- 関
- 陽性尤度比、陰性尤度比
- 疾患を有する人がその検査結果になる確率と疾患を有さない人がその検査結果になる確率の比 (SUB.203)
例
se 感度
sp 特異度
- のとき
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疾患
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あり
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なし
|
検査
|
陽性
|
se
|
1-sp
|
陰性
|
1-se
|
sp
|
- 検査が陽性の例(陽性尤度比)を考えると、「疾患を有する人が陽性になる確率」と「疾患を有さない人が陽性になる確率」の比を考えるので次の通りとなる。
- se / ( se + 1 - sp ) / { (1 - sp) / ( se + 1 - sp ) } = se / ( 1 - sp ) = 感度 / ( 1 - 特異度 )
- 検査が陰性の例(陰性尤度比)を考えると、「疾患を有する人が陰性になる確率」と「疾患を有さない人が陰性になる確率」の比を考えるので次の通りとなる。
- { (1 - se ) / ( 1 - se + sp ) } / { sp / ( 1 - se + sp ) } = ( 1 - se ) / sp = ( 1 - 感度 ) / 特異度
国試
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尤度関数(ゆうどかんすう、英: likelihood function)とは統計学において、ある前提条件に従って結果が出現する場合に、逆に観察結果からみて前提条件が「何々であった」と推測する尤もらしさ(もっともらしさ)を表す数値を、「何々」を変数とする関数として捉えたものである。また単に尤度ともいう。
その相対値に意味があり、最尤法、尤度比検定などで用いられる。
目次
- 1 概要
- 2 簡単な例
- 3 母数を含むモデルの尤度関数
- 4 歴史
- 5 関連項目
概要
B = b であることが確定している場合に、 A が起きる確率(条件付確率)を
とする。このとき、逆に A が観察で確認されていることを基にして、上記の条件付確率を変数 b の関数として尤度関数という。また一般には、それに比例する関数からなる同値類
をも尤度関数という(ここでは任意の正の比例定数)。
重要なのは数値自体ではなく、むしろ比例定数を含まない尤度比である。もしならば、と考えるよりもと考えるほうが尤もらしい、ということになる。 が与えられた場合には、それからについて推論するのには条件付確率を用いる。 逆に、が与えられた場合に、それからについて推論するのには条件付確率(事後確率)を用いるが、これは尤度関数であるあるいはから、次のベイズの定理によって求められる:
ただし、尤度関数は後に示すように確率密度関数とは別の概念である。
簡単な例
コインを投げるときに、表が出る('H')確率が pH であれば、2回の試行で2回とも表が出る('HH')確率は pH2 である。 pH = 0.5 であれば、2回とも表が出る確率は0.25である。このことを次のように示す:
これのもう1つの言い方として、「観察結果が'HH'ならば pH = 0.5 の尤度は 0.25である」、つまり
- .
と言える。一般には
と書ける。 しかしこれを、「観察値が0.25ならば、1回投げて表の出る確率は pH = 0.5」という意味にとってはならない。 極端な場合を例にとると、「観察結果が'HH'ならば pH = 1 の尤度は1」とはいえる。しかし明らかに、観察値が1だからといって表の出る確率 pH = 1 ということはない。'HH'という事象は pH の値が0より大きく1以下のいくつであっても起こりうるのだ。 の値はxが1に近づくほど大きくなる(しかし現実にはpH はおよそ0.5である場合が多い)。観察はたった2回の試行に基づくもので、それからとりあえず「pH = 1 が尤もらしい」といっているにすぎない。 また尤度関数は確率密度関数ではなく、積分しても一般に1にはならない。上の例では pH に関する[0, 1]区間の尤度関数の積分は1/3で、これからも尤度密度関数を pH に対する確率密度関数としては解釈できないことがわかる。
母数を含むモデルの尤度関数
統計学では標本の観察結果から母集団の分布を表現する母数(パラメータ)を求めることが重要であるが、母集団の母数がある特定の値であることを前提条件として観察結果が得られると考え、統計学の問題に尤度の概念を適用できる。尤度関数は特に最尤法、尤度比検定で重要な意味を持ち、尤度を最大にするという原理により多くの統計学的推定法が導かれる。 次のような母数を含む確率密度関数族を考える:
ここで x が確率変数、 θ が母数である。尤度関数は
ここで x は実験の観察値である。θ を定数として、 f(x | θ) を x の関数として見たときには、これは確率密度関数であり、逆に x を定数として θ の関数として見たときには、尤度関数である。 この場合も尤度を、観察標本が与えられたときに「この母数が正しい」という確率と混同してはいけない。観察結果はあくまでも少数の標本にすぎず、仮説の尤度を仮説の確率として解釈するのは危険である。
歴史
尤度に関する初期の考察はデンマークの数学者トルバルド・ティエレ(Thorvald N. Thiele)による1889年の著書にみられる。 尤度についての完全な考察が現れた最初の論文は、ロナルド・フィッシャーによる1922年の"On the mathematical foundations of theoretical statistics"である。ここでフィッシャーはまた「最尤法」(method of maximum likelihood)の語を初めて用いている。フィッシャーは統計学的推計の基礎として事後確率を用いることに反対し、代わりに尤度関数に基づく推計を提案している。
関連項目
- 推計統計学
- 確率分布
- ベイズの定理
- ベイズ推計
- 尤度比検定
- 最尤法
- 最大エントロピー原理
- 陽性尤度比
- 陰性尤度比
- 尤度方程式
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- 病歴と身体診察所見に基づき計算した場合に、検査前確率(事前確率)に比べた検査後確率(事後確率)の変化として適切なのはどれか。
- a 低くなった。
- b 高くなった。
- c 変化しなかった。
- d 診察前の確率による。
- e 評価できない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H029]←[国試_106]→[106H031]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103F012]←[国試_103]→[103F014]
[★]
- 急性上部消化管出血の診断で、上部内視鏡検査の感度は90%、特異度は95%である。上部内視鏡検査で出血が陽性のときの尤度比はどれか。
- a. 0.95
- b. 1.06
- c. 18
- d. 90
- e. 95
[正答]
※国試ナビ4※ [101C028]←[国試_101]→[101C030]
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- a 5%
- b 16%
- c 24%
- d 50%
- e 80%
[正答]
※国試ナビ4※ [109F009]←[国試_109]→[109F011]
[★]
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- 英
- positive likelihood ratio, LR+
- 関
- 感度、特異度、尤度比、陰性尤度比。相対危険度と混同するな
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疾患あり
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疾患なし
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検査陽性
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a 真陽性
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b 偽陽性
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検査陰性
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c 偽陰性
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d 真偽性
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- 「疾患を有する人」が「陽性」になる確率と「疾患を有さない人」が「陽性」になる確率の比
使用例
- A疾患の検査前確率がPb (%)の人がいる。
- B検査を行ったところ陽性であった。
- 検査後確率 Pa (%)はどのくらいか?
- 検査前オッズ:Odb = Pb / ( 1- Pb )
- 陽性尤度比 :Lp = 真陽性 / 偽陽性 = ( a / ( a + c ) ) / ( b / ( b + d ) )
- 検査後オッズ:Oda = Odb x Lp
- 検査後確率 :Oda = Pa / ( 1- Pa ) → Pa = Oda / ( 1 + Oda )
国試
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- 英
- negative likelihood ratio, LR-
- 「疾患を有する人」が「陰性」になる確率と「疾患を有さない人」が「陰性」になる確率の比
[★]
- 英
- ratio
- 関
- 率
- 分子と分母の間に全体と部分の関係がないもの。
- 0~∞の値をとる。
[★]
- 英
- likelihood
- 関
- 可能性、見込み