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国際労働機関 |
各国語表記
International Labour Organization(英語)
Organisation internationale du travail(フランス語)
Международная организация труда(ロシア語)
国际劳工组织(中国語)
Organización Internacional del Trabajo(スペイン語)
منظمة العمل الدولية(アラビア語)
|
|
概要 |
専門機関 |
略称 |
ILO |
状況 |
活動中 |
活動開始 |
1919年 |
本部 |
スイス
ジュネーヴ モリヨン通り 4
北緯46度13分45.8秒 東経6度8分3.4秒 / 北緯46.229389度 東経6.134278度 / 46.229389; 6.134278座標: 北緯46度13分45.8秒 東経6度8分3.4秒 / 北緯46.229389度 東経6.134278度 / 46.229389; 6.134278 |
公式サイト |
国際労働機関 |
Portal:国際連合 |
テンプレートを表示 |
ノーベル賞受賞者 |
|
受賞年:1969年 |
受賞部門:ノーベル平和賞 |
受賞理由: |
|
国際労働機関(こくさいろうどうきかん、英語: International Labour Organization、略称:ILO)は、1919年に創設された世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関。本部はジュネーヴ。
目次
- 1 概要
- 2 沿革
- 3 組織
- 3.1 総会
- 3.2 理事会
- 3.3 国際労働事務局
- 4 国際労働条約
- 5 日本との関係
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 脚注
- 9 外部リンク
概要
加盟国は185ヶ国(2012年6月現在)。 日本は常任理事国であるが、労働者保護に関わる重要な条約(1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)など)が未批准である。
沿革
- 1919年 - 第一次世界大戦後、当時の社会活動家による国際的な労働者保護を訴える運動、貿易競争の公平性の維持、各国の労働組合の運動、ロシア革命の影響で労働問題が大きな政治問題となっていたため、国際的に協調して労働者の権利を保護するべきと考えられた。パリ講和会議において国際連盟の姉妹機関としての国際労働機関の設立が合意され、ヴェルサイユ条約第13編労働などの各講和条約には規約が記載された。そのILO憲章の前文では『普遍的で持続的な平和は社会正義によってのみもたらされる』と明記された。[1]当初の参加国は43ヶ国[2]。
- 1944年 - 第二次世界大戦中は活動が縮小していたが、フィラデルフィア宣言を採択し、戦後に向けて活動を再開した。フィラデルフィア宣言において下記の根本原則を確認した。
- (a) 労働は、商品ではない。
- (b) 表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。
- (c) 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。
- (d) 欠乏に対する戦は、各国内における不屈の勇気をもって、且つ、労働者及び使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において、一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって、遂行することを要する。
- 1946年 - 国際連合と協定を結び、国連の目的達成の一翼を担う、最初の専門機関となる。ILO憲章を改正し、フィラデルフィア宣言をその付随文書として取り込む。
- 1969年 - ノーベル平和賞を受賞した。
- 1977年 - アメリカ合衆国は、社会主義国への批判とイスラエルへの支援の目的で脱退したが、1980年に復帰した[3]。
- 1999年 - 総会において21世紀のILOの目標として「すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現」を掲げた。
組織
ILOの組織は、総会・理事会・国際労働事務局等の本部組織の他に40以上の国に地域総局と現地事務所を設けている。また、ILOは社会対話の推進から国際連合機関のなかで唯一[4]、加盟国が政府、労働者、使用者の三者構成で代表を送っている。
総会
第1回ILO総会(1919年、ワシントンD.C.)
総会はILOの最高意思決定機関である。通常は毎年1回、6月に開催され、国際労働条約・勧告の審議・採択、各国の実施状況の審査、加盟国の承認などを討議する。加盟国の代表は政府代表2名、労働者代表1名、使用者代表1名の計4名からなる三者構成を採っている。政労使の各代表はそれぞれ独立して発言や投票を行い、各加盟国を一つの単位とはしない。
この他に、約10年に一度、船員労働のみを審議する「海事総会」がある。
理事会
理事会はILOの執行機関である。総会の決定事項の執行やILO事務局の監督を行う。理事は政府理事28名、労働者理事14名、使用者理事14名の計56名で構成される。このうち政府理事10名は常任理事国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本・イタリア・ロシア・中国・インド・ブラジル)から任命される。
国際労働事務局
国際労働事務局はILOの日常業務を遂行する機関である。事務局には理事会が任命する事務局長の下に2000名を超える職員がおり、諸会議の報告書作成や労働・生活条件の国際的な資料収集と分析等を行っている。
国際労働条約
ILOには、189の条約と201の勧告がある(2011年6月現在)。[5]
設立以来、具体的な国際労働基準の制定を進めてきており、近年では、男女の雇用均等や同一労働同一賃金の徹底、強制労働と児童労働の撲滅、移民労働者や家庭内労働者の権利にも力を注いでいる。ILO総会で採択される条約を国際労働条約という。それを批准した国だけしか拘束しない。しかし、採択時に反対した加盟国も、条約を自国で批准権限を持つ機関(日本では国会)に提出しなければならない。
日本は、48の条約を批准しているが、これは全条約のうち約4分の1、ヨーロッパ諸国のおよそ半分またはそれ以下である。(例、ドイツ83、イギリス86、スウェーデン92、フィンランド98、オランダ106、ノルウェー107、フランス123、スペイン133)
開発途上国への技術研修などの役割も果たしており、そのために国際研修センター(トリノに設置)を置いている。
- ILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)、日本は批准している。
日本との関係
日本は設立時から参加しており国際会議には政府・使用者・労働者(松岡駒吉他)のそれぞれ代表を送っている。1938年に脱退し、サンフランシスコ講和条約調印の1951年にILOへの復帰を果たした。
1922年以来、脱退・再加盟を経て1954年から常任理事国を務めている。1975年からは政府、労働者、使用者の三者すべてが常任理事となっており、理事会における議席を占めているものの国内では、派遣業界がILO勧告を守らないなどといった例も数多く見られる。これに対し拠出金や人的協力においては非常に協力的でありILO側からも高く評価されている。
日本の主な未批准条約
ILOが採択した184条約(失効5条約を除く)のうち、日本が批准しているのは48条約で、わずか四分の一に過ぎない。以下は日本の主な未批准条約;
1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)などの労働時間・休暇関係の条約。
1998年のILO新宣言(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」)で「最優先条約」とされた8条約のうち、105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇禁止)の二条約。
その他、3号(母性保護)、 94号(公契約における労働条項)、95号(賃金保護)、97号(移民労働者)、103号(母性保護、改正)、148号(作業環境)、151号(公務労働者)、154号(団体交渉) 、155号(労働安全衛生)、157号(社会保障の権利維持)、158号(使用者の発意による雇用の終了)、160号(労働統計)、171号(夜業)、173号(労働者債権の保護)、174号(大規模産業災害防止)、175号(パートタイム労働)、177号(在宅形態の労働)、183号(母性保護)など。
日本では特に、労働時間関連[6]、母性保護関係[7]、雇用形態についての条約批准に消極的である傾向がうかがえる。連合、全労連など、日本の労働団体はこれら未批准の条約の早期批准を求めている[8][9]。
「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」とILO憲章に書かれているとおり、日本も国際労働機関から早期批准を求められている。
参考文献
- 日本ILO協会 『ILOのあらまし : 活動と組織・主な条約と勧告』 日本ILO協会、東京、2005年、第5版。ISBN 4-931097-20-0。
- 中山和久 『ILO条約と日本』 岩波書店、1983年。
関連項目
- ILO諸条約
- 諸井六郎
- ディーセント・ワーク
- サービス残業
- ワーキングプア
- 強制労働
- 児童労働
- 過労死
- 労働組合
- 同一労働同一賃金
- 労働時間
- 時間外労働
- 結社の自由
- 国際連合
- 労働法
- 労働
- 雇用
- 雇用契約
- 公契約
脚注
- ^ Constitution of the International Labour Organisation, Preamble
- ^ 日本ILO協会『ILOのあらまし : 活動と組織・主な条約と勧告』pp.2-6
- ^ 中山和久 『ILO条約と日本』28ページ
- ^ ILO駐日事務所 ILOについて
- ^ 国際労働条約の一覧
- ^ 18本の労働時間・休暇関係の条約を1本も批准していない。
- ^ 3本の母性保護に関する条約、第3号、第103号、第183号(母性休業の最低期間についても規定する)を一本も批准していない。
- ^ “連合|中核的労働基準とILO(国際活動)” (日本語). 連合. 2010年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月28日閲覧。
- ^ “【第4章】リストラ「合理化」反対、働くルールの確立” (日本語). 全労連. 2010年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月28日閲覧。
外部リンク
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ウィキメディア・コモンズには、国際労働機関に関連するカテゴリがあります。 |
- 国際労働機関 ILO: International Labour Organization(英語)
- ILO駐日事務所
- 国際労働機関(ILO)とは
- ILO憲章・フィラデルフィア宣言・労働における基本的原則及び権利宣言
- 日本ILO協会
- 国際労働条約の一覧
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- 外交史料館報 = Journal of the Diplomatic Archives (28), 71-83, 2014-03
- NAID 40020372794
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- 同
- United Nations, UN, U.N.
- 同
- 国連
概要
国際連合は、国際連盟の反省をふまえて第二次世界大戦時の戦勝国である連合国 (第二次世界大戦) (United Nations) が中心となる。1945年10月24日に、アメリカ合衆国のカリフォルニア州サンフランシスコで発足した。最初の加盟国(原加盟国)は51ヵ国であった。
日本はテンプレート:和暦12月18日に80番目の加盟国となった。2006年6月末現在、国際連合の加盟国数は192ヵ国。最も新しい加盟国は、モンテネグロ(2006年6月28日加盟)である。国際連合の本部は、アメリカ合衆国のニューヨーク市マンハッタン島にある。
国際連合本部ビル(オスカー・ニーマイヤーを中心とした建築家国際委員会が設計)は老朽化しており、新館を建築家・槇文彦が設計予定。ただし、国際連合の資金難により計画は滞っている。
世界人権宣言
- 参考3
主要機関
…
-
- 国連開発計画, United Nations Development Programme, UNDP
- 国連環境計画, United Nations Environment Programme, UNEP
- 国連人間居住センター, United Nations Centre for Human Settlements (Habitat)
- 国連難民高等弁務官事務所 UNHCR, Office of the United Nations High Commissioner for Refugees
- 国連パレスチナ難民救済事業機関, United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East, UNRWA
- 国連貿易開発会議, United Nations Conference on Trade and Development, UNCTAD
- 一次産品共通基金, Common Fund for Commodities
- UNCTADタングステン委員会, UNCTAD Committee on Tungsten
- 国連大学, United Nations University, UNU
- 国連訓練調査研修所, United Nations Institute for Training and Research, UNITAR
- 世界食糧理事, World Food Council, WFC
- 国連児童基金, United Nations Children's Fund, UNICEF
- 国連資本開発基金, United Nations Capital Development Fund, UNCDF
- 国連人口基金, United Nations Population Fund, UNFPA
- 国連天然資源探査回転基金, United Nations Revolving Fund for Natural Resources Exploration
- 国連ボランティア, United Nations Volunteers, UNV
- 国連薬物統制計画, United Nations International Drug Control Programme, UNDCP
専門機関
- 14ある。独自の構成国、予算、本部を持ち、国連とは独立している。
- 国際労働機関, ILO
- 国連食糧農業機関, FAO
- 国連教育科学文化機関, UNESCO
- 世界保健機関, WHO
- 世界銀行
- 国際通貨基金, IMF
- 国際民間航空機関, ICAO
- 万国郵便連合, UPU
- 国際電気通信連合, ITU
- 世界気象機関, WMO
- 国際海事機関, IMO
- 世界知的所有権機関, WIPO
- 国際農業開発基金, IFAD
- 国連工業開発機関, UNIDO
- 類似機関
- 国連の計画およびその他の機関:特定分野での活動を目的として、総会が設立。経済社会理事会と密接に協力し、ほとんどの場合、総会と経済社会理事会に報告責任を有する。
国連児童基金, UNICEF
国連パレスチナ難民救済事業機関, UNRWA
国連難民高等弁務官事務所, UNHCR
世界食糧計画, WFP
国連訓練調査研究所, UNITAR
国連貿易開発会議, UNCTAD
国連開発計画, UNDP
国連人口基金, UNFPA
国連環境計画, UNEP
国連大学, UNU
婦人の向上のための国際訓練研究所, INSTRAW
国連人間居住センター, UNCHS
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88
- http://unic.or.jp/index.php
- http://unic.or.jp/information/universal_declaration_of_human_rights_japanese/
- http://unic.or.jp/information/UN_charter_japanese/
[★]
- 英
- institution、agency、institutional
- 関
- 施設、設立、媒体、代理業